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09月30日 火  YouTubeは萌えているか

 いや、久々に検索したら、我が青春のリリーズの動画が続々アップされておりまして。ただし、ほとんど埋め込み無効なのが玉に瑕。
 しかし初音ミクに『好きよキャプテン』を歌わせた上、当時のスチル写真を公開してくれる方までいるとは――狸と同世代のヲタと見た。

          


09月28日 日  脳軟化狸

 中山成彬国土交通相(もう『元』が付きますけど)のあれこれは、狸の所見だと、すでに脳軟化症の兆候が出ているのではないか、そう思いたいですね。初めからまともな学習能力のない無知な人間が種々の大臣職を勤め上げていたのだとすると、この日本という国の政府が、あまりにも哀しすぎる。かわいそうに老人ボケで過去の良識や知識や自制心を失ってしまったのだ――うん、そうに違いない違いない。辞任後は、ゆっくり養生してくださいね。これ以降の発言は、どんなに人間として情けない内容でも、我が老母の言葉同様、あくまで脳疾患の症状として聞き流させていただきます。
 まあ日教組うんぬんに関しては、過去になんでだか畑違いの文部科学相などに祭り上げられてしまったとき(あの小泉さんが思いつきでやったらしい)、すでに脳軟化症の始まったもともと右寄りの老化脳になんかいろいろインプットされてしまったのだろうし、実は狸だってすでに高校時代から日教組にはなんかいろいろ困ってしまっているのだけれど、さすがに何の根拠もない数字を事実と主張されては、ああ、やっぱり老人ボケってのは哀しいもんだなあ、そう涙せざるをえない。大体、日教組の力の及ばない地方自治体だってなんぼでもあるのになあ。まさか、日本の教員はみんな日教組に加入してると勘違いしてたわけじゃないよなあ。なんぼなんでも、もと文部科学大臣がなあ。うん、やっぱり思考能力や記憶が失われつつあるのですね。

 ――などと、他人の悪口を言っているバヤイでもないのである。自分の脳味噌の軟化グアイも、近頃は大問題なのだ。
 久々に、リマスター版になって放送された『男はつらいよ』第一作、狸がシナリオ構造そのものに目覚めた最初の映画として懐かしく鑑賞させていただき、あらためて興趣を味わったのだけれど、その懐かしさに泣くまでは至らなかった。懐かしさよりも、当時の自分のあーじゃこーじゃ言いたがるマセガキ厨房視線が頭に蘇り、これこれそこな童、映画とゆーものはもーちっと虚心坦懐に楽しもうね、などと説教を垂れたくなってしまったのである。これが『寅次郎恋歌』あたりになると、初見時すでに思春期もなかばに達しているので理屈より感性が勝っており、今見ても同じようにしみじみと泣けるのだけれど。
 で、本日、無料『男はつらいよ』の次に観た、レンタル物件『フライボーイズ』――拡大公開されなかったので狸はちっともその存在を知らず、五十嵐氏に勧められて始めて知った、去年公開されたばかりの戦争映画である。戦争映画といっても第一次大戦下の話だから、いわゆる戦争スペクタクル破壊ショーではない。なにせ大戦初期は歩兵戦やら騎馬戦やらが主流だったわけだし、そのうち機関銃が一般化して塹壕戦が主となり原始的な戦車も登場したとはいえ、空では機関銃一丁装備しただけのプロペラ複葉機がぶんぶんと入り乱れながら男と男の一騎打ち、そんな感じだ。どうです、男の子ならもう血が沸くでしょう、肉躍るでしょう。で、まだアメリカが参戦していなかった時期、種々の事情でフランスの戦闘機隊に志願したアメリカの青年たちが、反目したり解り合ったり可憐な田舎娘とラブラブしたりしながら、一人前の戦闘機乗りとして成長してゆく――わははは、今どきアリかよこんな絵に描いたような話、などと一瞬腰が引けたりもしつつ、実はしこたま『アリ』なんですねえ。
 古来、『レッドバロン』とか『ブルーマックス』とか、複葉機に乗って一騎打ちできる映画はあったのだけれど、やっぱりビジュアルとしては、すっげー限界があったわけです。モノホン飛ばすかミニチュア吊すか、そしてそれをなんとか物理的に追尾してカメラに収める、それしかない。カメラに収めきれないところは、こっちで脳内補完するからまあそれでもいいのだけれど、さてそれでは、最新の質感バリバリCGで飛行中のビジュアル面を完全に再現できたら、どうか。――わはははは、こっちの脳内補完が、感覚・心理・その他もろもろの情動まで、しっかり行き届いてしまうのですね。ゲーセンの戦闘ゲームにも飛行シミュレーションにもまったく興味のない狸が、もーすっかり犬小屋の屋根にまたがり空を行くスヌーピー=レッドバロン状態になってしまいました。一度そうなってしまうと、ありがちな隊でのドラマ部分なども、もはや涙々です。だってマジ戦友たちなんですもん。殺伐とした戦場に咲く一輪の可憐な花を救うべく、無茶して知ったホントの俺をみたいな活躍ができるんですもん。これで泣かずに何で泣く、これで立たずに何で立つ男の子。
 ……とまあ、そうして情動の無間地獄に恍惚としながら堕ちてゆく脳の緩んだ老狸を、背後から呆れて見下ろしているマセガキ厨房狸の存在にふと気づいたりする、そんな一瞬、ああ、俺も中山成彬の悪口など言う資格がないのかもなあ、などと思わず頭をポリポリする一方で、いや、違う、こうした男の原始的な戦闘意欲を、あーじゃこーじゃと理屈をつけて歪めてしまうような昨今であればこそ、この世界には当分平和など訪れそうもないのだ、そんな結論に達する狸なのである。だって、爽快でしょう? 自ら複葉機を駆って敵とぶんぶん後ろを取り合いながら撃ち落とす、あるいは力及ばず撃ち落とされる――爽快にして明快でしょう。そんな男のケジメ感覚に、なんじゃやら非人道的だの不合理だのと理屈をつけてしまうから、いつのまにやら大量破壊兵器だのハイテク戦闘機だの、男の戦いとは百万光年乖離した現代の戦場風景が出来上がってしまうのである。


09月27日 土  【アナタのこともっと知りたいじゃんバトン】

 甘木様から回ってきました。

 
※ルール
 1.質問の最後に自分の考えた質問を足す(自分も回答する)。
 2.終わったら必ず誰かにバトンタッチする。
 3.まとまりのないバトンなのでどんな質問を加えてもOK。
 4.ルールは必ず記載する。


01)7人にバトンを回す!

 岡本勝四郎、片山五郎兵衛、菊千代、久蔵、七郎次、島田勘兵衛、林田平八。

02)お名前は?
 バニラダヌキ、沖之司拡、●●●――まさか知らない人がここを覗くとは思えないけれど。

03)ご職業は?
 某ラボ契約社員――半年後は未定。

04)お好きな異性(同性可)のタイプは?
 女性――14歳以下ならもー誰でもOK。これから生まれてくる予定の女性など、特に望ましい。また、すでに彼岸在籍の女性なら、数千歳でもOK。どっちでもない女性の場合、自分の周囲の世間を半径1メートル以上客観できる方で、できれば全世界を皮膚感覚で捉えられる方。
 男性――いいおとこ。じゅるり。

05)特技は?
 狸寝入り。

06)何か資格持ってますか?
 えーと、なんだっけ、第二種教員免許? あと、防火管理者の免状くらい。

07)悩みはありますか?
 なんで寝ている間にポッケのビスケットが増えないんだろう。

08)好きな食べ物と嫌いな食べ物は?
 好きなもの――みがきにしん。輸入発泡酒。
 嫌いなもの――単体以外のきゅうり。

09)今、広い意味で恋をしていますか?
 あーあー、若い頃には、そんなこともあったのう。

10)擬人化に萌えられますか?
 ワタシも可愛ければなんでもいいです。

11)回す7人を指名すると共に、その7人を簡単に紹介して!
 『勝ったのは俺たちではない。あの百姓たちが勝ったのだ。百姓たちは土とともにいつまでも生きるのだ。』

12)原作、学園パラレルで、書いてみたいもしくは見てみたいシチュ&ぷれーは何ですか?
 えーと、学園パラレルって、なんですか? シーズのエロゲー『ぱられる・はあもに〜』みたいなもんですか? だとしたら、日本の有名な女性幽霊さん(お岩さんとかお菊さんとかお露さんとか豊志賀さんとか磯良さんとか宮木さんとか)になんか重なる女生徒キャラたちが一堂に集ってなんかこの世を去ってしまい、なんかツッパったりフヤけたりしている生き残った男子生徒たちに壮絶に祟ったりけなげにフォローしたりしまくる、そんなドタバタをやってみたいですね。
 ちなみに、甘木様のバトンにあった『女装愛好者やオカマやニューハーフしかいない男子高校が、宝塚のような男装した女の子しかいない女子高校と合併する話』は、その成立までの話だと、椎名高志さん4コマ連作に、そんなシチュエーションがあったみたいな。あくまで成立までなので、校長の「……新しい時代がくる。悪夢のようだ」とかいうつぶやきで、オチになっていたような。

13)いつの間にか呟いている口癖は?
 なまねこなまねこ。

14)最近聞いた、ツボだった台詞は?
 侍とても尊からず、町人とても賤しからず、尊い物はこの胸一つ――近松門左衛門の言葉だそうです。

15)今欲しいものは何ですか?
 寝ていても桁の増える銀行口座。

16)今の生き甲斐は?
 死んでいないこと。

17)ツンデレキャラと言ったら?
 うーむ……よくわかりません。だってツンツンの段階で、すでに愛しいではありませんか。

18)あなたは犬派? 猫派?
 どちらかといえば猫。犬は飼いたいと思うが、猫は「なりたい」と思う。

19)男に着せるコスプレ、なにが一番萌える?
 まあ今さらなんなんですが、男にとっての男なんて、服ではなく中身しか愛でようがありません。正直、女性もそう見えるんですけどね。スッピンのスッポンポン、これに萌えずに何に萌えましょ。まあ、だからと言って男が街中をスッポンポンでうろついていたら、ちょっと殺意を覚えるかも。女性の場合は、ぜひ、そーゆー世の中になってほしいですね。

20)お兄ちゃんにするなら誰がいいですか?
 お金持ちなら誰でも。

21)財布の中身は?
 訊いてどうするってんだオラぁ! 札でも入れてくれんのかオラぁ! ……しくしく、しくしく。

22)目が覚めたら、どんな世界に居た?(また、それからどうなった?)
 おとついの夢では、目覚めると、大昔に住んでいた仙台・萩ヶ丘のアパートの風呂場に蒲団を敷いて寝ており、なぜか冬服の女子高生さんが、浴槽の蓋に座ってガマグチの中身を勘定しておりました。なんかセールスのバイトの途中らしいんですが、残念ながらにゃんにゃんのお相手をしてくれるわけではなく、バイト仲間と待ち合わせしてるだけなんだそうです。なんで狸のアパートの風呂場で待ち合わせしているのか、そこんとこは夢の中ゆえちっとも気にかからず、せっかくちょっとかわいい女子高生さんが寄ってくれたのだからなんか飲み物でも出そうと思っていると、もうひとりの女子高生さんが風呂場の戸をがらりと開けて、「お待たせお待たせ」「遅ーい」などと言いながら、いっしょに出て行ってしまいました。なんで狸のアパートの風呂場で待ち合わせしていたのか、目が覚めてから、しばらく考えこんでました。

23)1日だけなりたいキャラは?
 一日だけなら寝ているほうがいい。

24)印象に残っている夢は?
 山形上空を自由自在に浮いたり滑空したりする夢。

25)世の中で一番大切なものって何?
 ろり。

26)今、ハマっているCPとかありますか?
 約束手形にハマるような経済活動には縁がありません。

27)好きなアーティストは?
 小磯良平さんとか。

28)今日の朝ご飯なんでしたか?
 ショップQQのお握り。鮭マヨの。

29)今、眠いですか?
 はい、とても。

30)ストレス発散法は?
 寝る。

31)ひとつだけ夢が叶うとしたら?
 小学校に戻って三浦優子ちゃんの鼓笛隊姿を盗撮しまくる。

32)部屋に貼ってあるポスターの数は?
 なし。

33)早起き出来ますか?
 そりゃ必要とあれば夜明け前にでも。

34)幽霊信じてますか?
 はい。

35)何か癖はありますか?
 かさぶたができるとついはがして再出血させる。

36)最後に買ったものは?
 輸入発泡酒と、うのはな。

37)大きなトマトとミニトマト、無くすならどちらですか?
 食ってみないとわからない。

38)「あ、もしかして大人の階段のぼった?」と思った事はなんですか?
 あんた狸をいくつと思うてはるねん。

39)続編を希望する作品を一つ教えて下さい。
 高橋克彦先生の『総門谷R』。てゆーか、始まって20年以上たつのに、まだ終わってないんですけどね。

40)将来の夢or野望ありますか?
 だからあんた狸をいくつと思ってはるねん。

41)生きてる,と実感したことはありますか? もしあればどんなときでしたか?
 いやもう、毎晩輸入発泡酒飲むたんびに、つくづく実感しますけどね。

42)生年月日を教えてください。
 昭和32年、あれは桜の芽吹く頃。

43)嫌いなタイプはいますか? いるならどういうタイプかをどうぞ。
 自分より弱いものしか攻撃しない牡。

44)特別に好きなスポーツ選手はいますか? いたらその名前と、理由(できたら)もお願いします。
 特別には。

45)歴史上の人物で好きな人は?
 えーと、全人類が、歴史上の人物ですね。それとも、あくまで歴史の教科書に出てくる人という意味でしたら、ほとんど会ったことがないので、よくわかりません。

46)バトンを回してきた人はどんな人?
 なんか最近、仕事休みには出歩くばかりで、なかなかモノを書いてくれない。でも人のことを言える狸ではないので、気長に待とうと思います。

47)はやく裁判員になって鬼畜を吊したいと思いますか?
 はい!!


09月24日 水  もうやだ

 富石弘輝君の事件は、捜査過程で狸が「もしや」と危惧していた、最悪の真相が明らかになってしまった。しかし、そこまで母親が肉体的・精神的に追いつめられていたとは知らなかった。前言撤回、お母さん、死ななくていいです。狸もいっしょに泣きます。成田幸満ちゃんの事件は、まさか迷宮入りにならんだろうなあ。なんかもう、こっちの精神が保ちそうもないぞ。とにかく子供だけは殺さないでください殺人者の皆様。いやなの。すっげー、やなの。なんかもう、やりきれないのよ。

 
インターネットの掲示板に「小学校で小女子を焼き殺す」と書き込んだとして、威力業務妨害の罪に問われた千葉県船橋市丸山の無職、杉田敦史被告(23)の初公判が24日、さいたま地裁(西野牧子裁判官)であった。杉田被告は起訴事実を認め、検察側が懲役1年6月を求刑し、即日結審した。
 検察側は論告で「掲示板を盛り上げようとしてやった愉快犯で、動機は身勝手。小女子は『コウナゴ』と読み魚の意味だと言い逃れできるように言葉を選び、計画的で狡猾(こうかつ)」と指摘した。
 弁護側は「周囲が本気でないと判断すると安易に考え、書き込んだ。学校に謝罪する意志もある」として、寛大な判決を求めた。
 杉田被告は被告人質問で「(犯行の)目的はない」と述べ、検察官に「目的もなく、人を殺すと書くのか」と問われると、「人とは書いていない」と反論。「魚を焼いて食べるという意味だ」と主張した。
 掲示板上で自首を勧められながらも応じなかったことについては、「家から出るのがめんどくさかった」と話し、今後の生活について「もう働くつもりはない」と述べた。判決は今月29日に言い渡される。
 論告によると、杉田被告は6月29日、インターネットの掲示板「2ちゃんねる」に、「明日午前11時に丹後小学校で小女子を焼き殺す」「おいしくいただいちゃいます」などと書き込み、母校である埼玉県三郷市立丹後小学校の児童約490人に、5日間にわたり集団下校させるなど、同校教諭らの業務を妨害した。 【9月24日16時44分配信 産経新聞】


 ……どうせ執行猶予になるだろうが、働けバカヤロウ。大体、焼いて食えるほどでかいのはイカナゴとかオオナゴってんだ、寸足らず。


09月21日 日  カビ米給食

 などという新聞一面の大活字に、こないだカビは恐いと記したばかりの狸なのでかなり煽られてしまったが、よく読めば、米飯給食にカビ米が出て子供がバクバク食ってしまったのではなく、おかずの卵焼きの原料として、50グラムに対して0.35グラムの米由来澱粉が含まれており、その澱粉製造過程で事故米が混ぜられていた、ということらしい。どの程度の割合で混ざっていたのかは、どこの記事にも数字がないので不明。ただ『カビ米が給食に!!』と、大活字で煽っているだけである。
 2003年から混入されていたとのことなので、そのとき入学した子供はたっぷり5年間、その卵焼きを食い続けたことになる。健康被害は出ていないというが、一般にカビ毒は、その場で嘔吐するような明確な症状が出るわけではなく、あくまで肝臓障害や発癌といった、なかなか原因の特定しがたい疾病に繋がるわけである。当然、個々の児童が具体的にどれだけの量のカビ米を摂取したのか、そこんとこを、なるべく早急に調査していただきたい。闇雲に煽って済むような問題ではないし、「健康被害は出ていない」などと、即断できる状況でもないのである。
 まあ量的に考えて、たぶん実害はないと思うのだけれど――もはや中国の悪口言える状況ではないですね、この国も。表面的な安全基準値を不合理なまでに厳格化する一方で、現場では「んなもんタテマエや」と、ミソとクソの区別がつかなくなっている。ミソとクソの区別をつけるのは、無論、ご立派な法律でも欲に目のくらんだ自己判断でもなく、『常識』、それしかないんですけどね。
 まだ食えるものを捨てるのも、もう食えないものを食わせるのも、タテマエとホンネの双方が『非常識』、そんな状況だからなのだろう。マスコミは相変わらず、右顧左眄しながらいいように煽ってるだけだし。


09月20日 土  明るい格差社会

 勝ち組やら負け組やら、相変わらず巷では、また国民の年収の差が広がった広がったと大騒ぎしているが、もはや逆さに振ってもホコリくらいしか出ない狸としては、いわゆる『勝ち組』(あくまで経済面限定)の方々の度量、それに今後の日本経済の行く末がかかっているように思う。『負け組』なんぞは、もともとオゼゼが無いのだから、社会経済になど関わりたくとも関われないのである。
 まったくあたりまえの事ながら、お金持ちが持っているおゼゼとゆーものは、貧乏人が持っていないからこそそっちに行っているだけのことで、もし貧乏人が全員一文無し化して滅亡してしまったら、お金持ちのフトコロにも、絶対にそれ以上のオゼゼは回って行かない。そうなると、よりオゼゼを増やすためにはお金持ち同士で奪い合いをして、新たな貧乏人を生み出すしかない。しかし、いっぺんお金持ちになった人間とゆーものは無駄にプライドを肥大化させてしまっているので、いざ貧乏人になったとき、ほとんど生産性がない。一所懸命に日雇い派遣でもなんでもやってお金持ちのために尽くしてくれる正しい貧乏人ではなく、あーじゃこーじゃとお金持ちに因縁をふっかけて、革命やったり暴動を起こしたりしがちだ。まあ根っからの貧乏人も餓死寸前になると窮鼠猫を噛んだりするわけだが、これまでの世界の歴史をふり返れば、お金持ちに面と向かって楯突くのは、もとお金持ち、あるいは中途半端にお金持ちだった階層の場合が、はなはだ多いのである。無駄にプライドが高いからだろう。
 そこで、今現在の『勝ち組』の皆さんに、老爺心から助言させていただく。
 唯々諾々とすなおに貧乏人やってる狸やその仲間たちの時給、もう100円上げてください。あなたがたの生活レベルを1%落としてくださるだけで、こちらの生活レベルは5%も10%も向上します。毎日の昼飯が、お握り1個と総菜パン1個と休憩室の無料麦茶から、定食屋さんの肉野菜炒めあたりにグレードアップするわけです。夕餉の輸入発泡酒にツマミを1品増やせます。それだけで狸ら、牙を失った小動物たちは、死ぬまできちんと貧乏人のまま、あなたがたに感謝しながら労働力を供給し続けるでしょう。昔から言うではありませんか。『百姓は生かさず殺さず』。いかにも傲慢で侮蔑的な表現にも思われがちですが、それさえ保たれれば、『勝ち組』の皆さんが高邁な文化を形成するやらやくたいもない爛れた浪費に溺れるやら好き勝手に生きているのをウスラボケーっと見上げているだけのような顔を装いつつ、貧乏人のほうでも、したたかに底辺なりの土俗文化を維持できたりするわけです。
 で、再度お願いなんですが、時給を100円――いや、せめて50円でも……。

          

 ……あう、理奈ちゃんに怒られた。


09月19日 金  ぐちぐち

 しかし中国という国は、社会的言論操作に汲々とするあまり、国民の初歩的な知育が放置状態なのではないか。いや、メラミン入り乳製品の話なんですけどね。だって無知じゃなきゃできないでしょう、そういう商売は。恥を捨てたくらいでできるなら、それはそれで大陸人らしい、大らかで無神経な度胸だけれど。

 東京都荒川区では、ハトやカラスや野良猫に餌をやると、罰金をとられることになるらしい。まあ、一生住む予定はないので、どうでもいいのだけれど。野性動物たち(ハトもカラスも野良猫も、飼い主がいなけりゃ立派な『野性』だ)だって馬鹿ではないから、これからも生きられるように生きていくはずだ。しかしカラスに餌をやる人って、いるのかしら。いるとしたら、なかなかユニークな感性の持ち主だろう。一度じっくり話をしてみたい。

 鬼畜AV会社社長・栗山龍の裁判記事を読んで、久しぶりに特定の個人に対する明確な殺意を覚えた。極めて冷静に『廃棄処分』の必要を感じたのである。これからプッツンしようとしている「誰でもいい」方々、あえて対象を選んでこうした鬼畜をササラにしてやる予定はないのでしょうか。ねーだろうなあ。同じ穴の狢ですもんね。しかし、「AV女優は娼婦だから何をやってもいい」のだそうだ。白痴である。こうした、『男』の形態をしたナマゴミが大手を振って歩いているから、きちんとしたプロ意識のあるAV女優さんや娼婦さんは絶滅寸前で、洟をかんだあとのティッシュのような援交娘や風俗嬢ばかりが跋扈するのである。自分の商売物を慈しめず誇れない商売人は、物乞いより下等だ。

 巷で大騒ぎの事故米転売に関しては――いやあ、困った。それらの米よりもヤバい物ばかり食って育った世代の、しかもビンボな狸としては、たとえばそれが『事故米大放出! 残留農薬は基準値のたった2倍程度!』とゆーよーなPOPをつけてスーパーで売られていたら、半値以下なら喜んで買っちゃうかも。少なくとも、農薬はまったく気にならないですね。三丁目の夕日の時代、農薬てんこもりの畑や田んぼで育った野菜や米をバクバク食ってましたから、今さら摂生してもしょうがない。ただし、カビには要注意。『カビもきちんと洗いました!』とPOPにあっても、パスですね。ある種のカビの毒性は、昔から農薬どころの騒ぎではない。そこんとこ、各メディアはヒステリックにムードだけ煽ってないで、もっと詳述してほしいものである。

 で、福岡の公園でちみっこを扼殺した鬼畜は――事件の背景等がまだいっさいわかっていないので即断はできないが――でもやっぱり、今すぐ死になさい。なるべくイタく。焼身自殺あたりが、来世への修行として最適かもしれない。


09月17日 水  男は女の港です

 で、結局『WHITE ALBUM』は、違法と知りつつごにょごにょをむにゃむにゃして、ヲタ青年に返却。この一週間の泥沼に関しては、泥沼にいるとだけ報告していて、攻略法などに関してはいっさい相談しなかったのだが、先日記したことが気になったので青年にも訊ねてみたところ、おお、なんということだ。彼もまた、あの黄金三角は辿ることなく済ませていたらしい。思わず説教してしまいましたよ、狸は。そんなことでは、ヲタとして孤独死を迎える資格なし。沈潜志向のないヲタなど、ただのウーパールーパーだ。ぶよんとしてしまりのないヲタもどきとして、アキバの水面でコスプレ姉ちゃんやメイドさんたちとぽちゃぽちゃ泳いでりゃいいのである。

 で、なぜ自分がこのゲームにここまでハマりこんでしまったのかつらつら鑑みるに、この主人公が由綺ちゃんルートにおいて味わう、一介の大学生が見分不相応な恋人を持ってしまったことの不安、いや、初めは対等だったのにいつのまにか立場が乖離してゆくことの不安や逡巡、懐疑、そしてそれらを乗り越えて、果てしなく成長してゆく彼女という孤独な船のために、自分はこれから港として生きよう、みたいな境地にたどりつく過程、そこんとこが、狸の若い頃の恋愛感情に、かなり重なっているからなのですね。
 さすがにアイドルを恋人に持ったことはないけれど、狸は昔から目立たないヘタレでありながら、分相応の恋愛というものをしたためしがない。実際、若い時分に彼女と行動を共にしていても、世間様から恋人同士に見られたためしがない。「あらあら可愛らしい妹さんですね。お兄さんもご心配でしょう」、そんな感じです。遠慮のない先輩など、「……○○ちゃん、いったいコレのどこがいいの?」などと、狸も同席しているコンパでマジに彼女に訊いてくる始末だ。彼女の行く先々で、狸の敵がゴロゴロ存在していたわけである。そりゃそーだ。こっちはただの石ころみたいなその他大勢型青年で、彼女はとてもかわいい。そんな構図の中で、なにゆえ狸が、たとえ一時期でも彼女とペアでいられたか――ズバリ、当時もちろん自分で口にしたことはないけれど、「私はあなたの港です」――なんか演歌にありそうですね、「女は男の港です」とか。男女が逆ですけど。
 つまり、一般に、可愛い娘というものは、その内面になかなか一筋縄ではいかない強い個性と、それに反比例する脆さを合わせ持っている。白鳥と同じですね。水面をただ優雅に泳ぎ回っているように見えて、実は水面下では、がむしゃらに水を掻いている。普通の娘たち以上に、心理的葛藤や懊悩を、他人から見えないところに隠し持っている。だからこそ、一見ヘタレな男でも、彼女にとって必要な人間になることが可能です。つまり、いついかなる時にも、疲れた彼女が安心して羽根や脚を休められる『港』に徹すればいいのです。世のヘタレ男たちよ、君たちも覚悟次第で、仮想や3Dではなく、現実の美少女や美女を獲得するのは充分可能なのだ。狸がその証拠である。

 ただし、『港』である以上、制限があるのもまた事実。港湾設備の手入れを怠れば、船は舫ってくれなくなる。それは船が悪いのではなく、あくまで港湾側の責任です。そうしてついに廃港化してしまったのが、現在の狸なわけですね。えっへん。


09月16日 火  しつこく

 社会復帰、などと言いつつ、久々にずっぷしハマった『WHITE ALBUM』、それでは当時の巷のエロゲーマーの方々はどう楽しみどう攻略していたのかが気になり、ちょっとネット検索してみたら――まあ感想が十人十色なのは当然として、いわゆる『攻略法』と呼ばれるチャートを見ると、なぜか理奈ちゃんルートに限り不完全なケースが多く、ほとんど『黄金三角』にならないコースばかり記載されているのに愕然とした。
 ここをご覧になっている真面目な方々に今さら根掘り葉掘り解説しても仕方がないので詳述はしないが、とにかく『クリスマス・イブの由綺のライブ後は、由綺と一夜を共にする』ただし『大晦日の夜は由紀ではなく理奈が訪ねてくる』、この二つのイベントを両立させない限り、ドラマツルギーにおける黄金三角は成立しないし、ラスト近いふたりの修羅場における、同業の友人同士でありながら相手の恋人を寝取ってしまった側と、寝取られてしまった側の双方が抱える心の痛みの切実さも、MAXに至らない。さらに、心ならずも(?)由綺から理奈に心変わりしてしまう主人公(あ、俺や)の心理の流れが、まったく整合性を失ってしまう。腑に落ちないのは、多くの攻略ページに、あたかも上記ふたつのイベントを両立させると理奈ルートはほとんど攻略できないかのごとき、注意書きがあることだ。そうズバリと書いてあるわけではなく、『由綺のクリスマスライブのチケットは、由綺本人から郵送で届くのではなく、マネージャーから受け取る』と記してあるのだけれど、それに従ってしまうと、ライブの後は由綺と別れて帰らなければならなくなるし、まだ心変わりもしていないのに、由綺と不穏な会話を交わすことになる。
 まあ、確かに上記の条件を両立させるのはなかなか困難で、また両立させなくとも、そこまでの理奈ちゃん関連イベントをこなしていれば、理奈ちゃんエンドには直行できる。つまり、Hシーンを含めた理奈CGを、100パーセントGETしやすい。しかし、ラクにすけべえだけできたからといって、あくまでライターさんの組んだ真のドラマを味わえないのでは、そのルートを攻略できたとは言えないだろう。
 察するに、当時の攻略本あたりで、そうした安直なチャートが出回ってしまったのではないか。しかし、それを参考に攻略したにしろ偶然そうなってしまったにしろ、主人公(つまりゲーマー自身)の心理的整合性が途中でワヤワヤになってしまっているのは、ゲーマー自身が誰よりも感じるはずだ。その破綻をゲームシステムの不備として看過してしまうとしたら、あまりに安直ではないか。
 もちろん私的ゲーム攻略のHPは星の数ほどあり、中には狸同様、無事に黄金三角コースを辿った方もいらっしゃる。そうした方々のチャートほど理路整然としておらず漠然としている、という事実もなかなか興味深い。ランダム要素の多いシステムの中、自力であれこれ苦労したのだろうなあ。しかし、だからこそ、あのラスト近い、可憐にして切ない少女ふたりの修羅場は、せつせつと心に迫ったはずだ。


09月15日 月  ぷはあ

 結局、その後一日半がかりで、『WHITE ALBUM』を全ルート攻略する――などと記すとなんか勇ましげだが、要は、由綺ちゃんに対して浮気の限りを尽くし、友も裏切り、根がヘタレなだけにかなりコタえてしまいました。しかし、いずれも浮気と言うよりは、そっちに本気になってしまったからこそ、根がヘタレなだけに小器用なフタマタを続けられない主人公なわけで、結局、由綺ちゃんひと筋ルート以外は、その多分に虫のいい『痛み』を味わうためのゲームなのですね。どのルートも、とことんせつない。安直な『泣き』は通用しません。やっぱり由綺ちゃんひと筋ルートを最後にやるべきだったなあ、と痛感しつつ、結局もう一度由綺ちゃんルートを辿ってシメました。このルートと、高嶺の花・理奈ちゃんルートだけは、今後も何度かプレイしたくなる予感。理奈ちゃんルートは、見事な『黄金三角』(狸が勝手に命名した、三角関係恋愛物における、盛り上がり必至の心理的匙加減のこと)でした。

 そんなこんなで、もー脳内がすっかりそっちの世界にトンでしまったので、クールダウンのため、本日午後からは緑地公園で猫見。休日のため人が多く、あまり猫に挨拶できなかったが、片目はまだ元気だったし、昨年のチビも立派な成猫となったようだ。
 夜は社会復帰のため、録画しておいた小津監督の『東京物語』(昭和28年)を、何十年ぶりかでしみじみと再見。続いて、初見の『東京暮色』(昭和32年)も観ようと思ったのだが――ああ、だめだ。こっちは小津監督のシビアな視線が徹底されすぎて、不快感が先に立ち、とても見続けられない。いわゆる名匠と呼ばれる監督は、黒澤監督にしろ、時々やるとこまで容赦なくやっちまうからなあ。
 しかし『東京物語』の原節子さん、ただ美しいというより、種々の意味での『柔らかさ』が『美しさ』まで結晶化したような風合いで、思わず時空を越えて狸の嫁になってください――などと思わず打ってしまって、『WHITE ALBUM』からちっとも抜けきれていない自分に気づき、ぽりぽりと頭を掻いたりする狸なのであった、まる、と。


09月13日 土  どろどろ

 さすがにひと晩気を鎮めると、客観的に、『WHITE ALBUM』の不完全っぷりも見えてくる。立絵やイベント絵に、かなりアンバランスというか腑に落ちない部分が頻出するのは、どうやら原画がカワタさんひとりではなく、水無月徹さんが加わっているからのようだ。まあ、それ以前のかの大ヒット作、『ToHeart』の原画コンビではあるのだけれど、水無月徹さんはまだあのクセの強いデフォルメを保っている状態、カワタさんはほどの良い個性を保ったままより自然なデフォルメ(これが『誰彼』あたりで完成され、しかし、狸にとって惜しむらくは、その後『萌え絵』にシフトしてしまうわけだが)に移行している途上なので、お互い歩み寄ろうとしたのか、水無月ボディーにカワタ顔が乗っている、あるいは水無月顔の輪郭にカワタ目鼻が収まっている、そんな感じの奇妙な絵が多出する。しかし、一部のイベントシーンや、立絵のアングルによっては、その後の『誰彼』に近い、狸好みの、思わず「カワタ最高!」と叫びたくなるような、その色香と実在感にトロケてしまいそうなビジュアルも多出するので、やっぱりずっぷしになってしまう。
 悪名高いシステムのほうも、ランダム性に問題があるというよりは、作り込みが甘いのである。一週間ごとに、何曜日は大学、何曜日はどこそこにバイト、などと自分の立ち回るスケジュールを立て、その場その場で各キャラとランダムに出会って会話を交わし、そのときの会話によって好感度やなんじゃやらが変化し、その結果、各キャラのルート別のイベントが時々発生する、おおむねそんなシステムなのだが、その毎日の会話部分が、大半がキャラ別イベントとは別に機械的に組まれているだけなので、たとえば由綺ちゃんとかなり深刻なイベントを体験した翌日、バイト先の喫茶店で偶然出会った時にはなぜかあっけらかんと世間話しかできない、そんな違和感を各キャラごとに経験しなければならない。まあ、あくまでゲームのお約束と思ってしまえばいいのだが、慣れるまでは、メインのシナリオ進行の心理的な流れが、かなり阻害される。その意味では、来年出るというPS3版でスケジュール行動やランダム性を排除してしまうのは正しいのだろうが、そっちの部分でも微妙なキャラ立てやクスグリを細かくこなしているのだし、何より攻略時の『達成感』には相当な差が出る。ランダム発生部分にメインイベントと整合性を持たせる、それが理想だと思うのだが――それだと複雑すぎてシステム開発が困難なのだろうなあ。市場規模を考えれば、そうそう開発費もかけられないだろうし――ぶつぶつぶつ。
 などと言いつつ、今夜の狸は、高嶺の花・理奈ちゃんエンドを目ざして、再び、じゃねーや、えーと、四夜目の泥沼にずぶずぶずぶと沈潜します。明日から連休だし。しかしこの作品の原田宇陀児というライターさんは、只者ではない。きっとなんじゃやら嬉しくもキリキリと心が疼いてしまうような、ずっぷしの浮気を仮想体験させてくれるに違いない。

 ところで、某小説投稿板で、更新されるたびに真っ先に読んでいた、ゅぇ様の『風霊月歌』、「あ、更新されてる!」と気づいた翌日にはヲタの泥沼にハマってしまったので、ちょっと父親モードにクールダウン可能なコンディションになってから、じっくり読ませていただきたいと思います。
 あ、それから、くら様のちょっと前のアレは、一応読んだものの面白いんだかなんだかどーにも感想の書きようがなく、今覗いたらいきなしノーマルエンドなどというサブタイトルがくっついて更新されているようなので、これもいずれ読ませていただきたいと思います。
 あ、中村さんの新作も、ちゃんと読んだんだよなあ。でも、これも今のところ、感想の書きようがないんだよなあ。次回更新あたりで、なんらかの脳内リアクションが得られるか――「読みました」だけのコメントってのも、失礼な気がするしなあ……ぶつぶつぶつ。


09月12日 金  ずっぷし

 さて、ずっぷしなのである。ずぶどろなのである。おとついは1時間半しか寝なかった。昨日も今日も3時間しか寝ていない。で、職場でそれなりに仕事を処理しつつも、頭の中ではいつものタカやクーニたちではなく、由綺ちゃんや理奈ちゃんのことばかり――って、これでなんの話か解る人がいるとしたら、ちょっと恐嬉しい(何語だそりゃ)。そうですね、甘木様あたりなら、もしや思いあたることがあるかも――いや、世代的に、やっぱり無理か。
 話せば長いことながら、話さなければ解らないので逐一お話しする。

 おたくはどこにでもいる、という話は、いつかここで記した気がする。以前の職場にも、つぶれてしまったラボにも、現在通っているラボにも、少数ながら確実に存在する。で、現在同室で仕事している男ばかり数人のうち、最年少の青年が(といってももう30過ぎ)、きっちりおたくである。その証拠に、エロゲの話も通じるし、未だに独身だ。
 その彼と、月曜日の昼休みに、懐かしのエロゲの話などしていたと思って下さい。世代的に、彼が大っぴらにエロゲを語れるようになったのは10年ちょっと前からで、それはあたかも狸がウィンドウズのパソを初めて購入したあたり――つまり、彼と狸は20も歳が離れていながら、現在の形でのエロゲ関連キャリア(つまりそれ以前のPC88やら98やらDOSゲーはちょっと横においといて)は、ほぼ同じなのである。
 もっとも彼は当然若者の感覚でそれを始めているから、話題を共有できるエロゲの中でも、当時狸の好んだシーズウェアの『DIVI−DEAD』やら『VIST』やら『かぜおとちりん』やら、コマンド総当たり式だったりランダム要素が高かったりの、面倒なシステムはやはり苦手だったようだ。その彼が、言う。
「来年、リーフの昔の『WHITE ALBUM』が、PS3に移植されるんですよ。アニメにもなります。あれも、いい話なのにシステムがすげーめんどかったから、今から楽しみで」
 詳しく訊くと、その『WHITE ALBUM』という、狸も題名だけは記憶にある恋愛シミュレーションエロゲは、もう進行のすべてがランダム要素のカタマリなのだそうだ。昨今の、AVGを標榜しつつただお仕着せのイベントをたどるばかりで、お仕着せの選択肢を適宜たどれば馬鹿でもチョンでもお目当てのあの子をゲットできます式ではなく、下手すりゃ見せ場のイベントすら運次第で起こったり起こらなかったり――そんなクセモノらしい。しかし、キャラの造型やシナリオの盛り上がりはかなり良く、一部に根強いファンが残っているそうだ。で、今回10年も経ってわざわざ移植したりアニメ化したりするのは、要するに当時一般に評判の悪かった、ランダムイベントてんこもりの面倒なSLG形式をすっかりとっぱらって、馬鹿でもすんなり盛り上がれる形で再勝負、そんな思惑らしい。
「原画は誰?」
「当時はペンネームちがいますけど、今のカワタヒサシさん」
「『誰彼《たそがれ》の!?」』
 今はすっかり、ありがちな萌え絵っぽい絵柄に変わってしまっているが、当時はきわめて狸好みの、皮膚感のある個性的な原画を描いていた方である。
「貸して! その、古い方」

 以前にも何度か記したが、狸は、コマンド総当たりやランダムイベントこそが、現実とゲームに共通する『リアル』だと思っている。作者という神が勝手に設定した運命に、いいように弄ばれて楽しむのは、小説や漫画だけで充分だ。そんなクセモノのエロゲがあるのなら、おまけに当時のカワタさんの原画なら、恋愛シミュレーションゲームなど一度もプレイしたことのない伝奇やファンタジー専門の狸でも、いっぺんプレイしておかなければ――。

 で、火曜に受け取った『WHITE ALBUM』なるエロゲを、前回の雑想を記したあとでインストールし、初回版はバグがあると言うのでリーフのHPにあったパッチを当て、わくわくと開始したわけだが――その二時間後あたりに、脳内で、なんじゃやら、はっきりとある音が響きました。――ずっぷし――。で、二時間後には、ずぶずぶずぶずぶと、それはもーきっちり底無し沼にハマってしまいました。
 そもそもこのゲーム、冒頭で、主人公の大学生の性格を、何タイプかに変えられる。血液型、星座、それからちょっとした設問に解答すれば、かなり自分っぽいキャラに設定できます。名前ももちろん変えられます。当然、狸の性格と本名に仕立て上げます。
 で、内容そのものは、どんな話かと言いますと――自分が高校時代からつきあっていた恋人・由綺ちゃんが、アイドル・デビューしてしまうのですね。一介のバイト学生にすぎない自分にとっては、どんどん離れた世界に入って行ってしまう。それでも彼女は自分を想い続けてくれており、自分も彼女を信じ、陰ながら応援している。同じ大学に籍を置いているので、学校でも時々は会えるし、バイト先の喫茶店やテレビ局でも、けっこう出会って話ができる。しかし、彼女をデビューさせた実力派ミュージシャンにしてプロデューサーのシブい奴やら、彼女にいつもぴったりくっついている冷徹そうな女性マネージャーやら、ちょっと不穏なキャラたちの邪魔が入って、思うように親密にできない。また自分自身にも、アイドルとしてブレイクしつつある彼女に対してこれからいったい何をしてあげられるのか、どうつきあっていけばいいのか、そんな悩みが生じているわけです。そして、そんな自分の周囲には、幼なじみやら先輩やら家庭教師先の女子高生さんやら、いい感じの異性がなんぼでもいてくれ、しかも由綺ちゃんと同じプロダクションの実力派アイドル・理奈ちゃんまで、仲のいい後輩の恋人ということで、けっこう親密に接してくれたりする。さて主人公としての自分は、数々の障害を乗り越えて由紀ちゃんひと筋に生きるべきか、それとも思うように会えない寂しさに負けて身近な異性の誰かと親密になるか、あるいは高嶺の花・理奈ちゃんと、なんかいろいろ親密度を深めて行くのか――。
 ……とまあ、大雑把に背景説明してしまうと、「なんてご都合主義の虫のいい話だ! いかにも軟弱なヲタの喜びそうな話だ」と、世間様から怒られてしまいそうな話なのですが、本編を始めて一時間もたつと、これがなかなかイタい方向にしか進まない状況だと解ってきます。なんとなれば、自分も、恋人も、それ以外のキャラも、すべてが本質的にピュアでひたむきなキャラなのですよ。下手に浮気に走れば恋人は深く傷ついてしまうし、先輩アイドルとくっついたりすれば、それはもー修羅場な状況に陥ってしまう(と、貸し主の彼は言ってました)のです。そして主人公の自分もまたクソ真面目な性格なもんだから、どう転んだって、完全ハッピーエンドを目ざすには、由綺ちゃんひと筋に行動するしかない。ところが、そっち方向で行動していても、例のランダム要素の関係で、どーしても他の誰かが絡んでくる。おまけに例のシブいプロデューサーも、マジに由綺ちゃんに惚れてしまって、なんかいろいろ仕掛けてくる――結局このシナリオは、どう転んでも心理レベルでずっぷしハマらざるを得ないのですね。

 さて、事前に職場の彼に聞いた話では、ひととおりイタいルートを済ませてから、由綺ちゃんルートでシメてハッピー、そんな攻略順がお薦めとのことでした。で、狸は、まず高嶺の花・理奈ちゃんを狙うと行き着くという最大の修羅場、それをまず乗り越えてから幼なじみや先輩を、などと考えて、勇躍本編を開始したのですが――はい、なぜかきっちり、由綺ちゃんルートにハマりこんでしまいました。なにせどこでどう行動しても、そこに出現するキャラがランダムなのですよ。一日ごとにセーブとロードを駆使し、理奈ちゃんと親交を深めようとしても、結局由綺ちゃんの存在が勝ってしまったのでしょう。まあそれならそれで、最初にハッピーをキメといて――などと思ったら、これがまた、もうなんとゆーか、『分不相応な相手と相思相愛になったしまった若者の懊悩』を、キリキリと実感させてくれるのですね。クリスマス・イベントで、もー心からあったまるような一夜(Hなし)を体験し、バレンタインのチョコも受け取れたからたから、あ、もうラストまで大丈夫かな、などと楽観すれば、見事に進展なしで終わってしまったり。

 結局、昨日、いや本日の深夜になんとか由綺ちゃんとの初夜を迎えたのですが、正直、シナリオのセンスに舌を巻きました。背景や状況はどうあれ、童貞と処女がセックスに至るまでの過程を、ここまで瑞々しく描いたエロゲ、いや、他のジャンルも含めた創作作品は、かつてなかったように思います。
 狸の場合、ほとんどのエロゲのHシーンは早送りで飛ばしてしまいます。じゃあなんでエロゲなんてやるの、と問われれば、以前にも何度か記したように、往年のピンク映画や日活ロマンポルノに入れ込んだのと同じ理由で、Hシーンさえ入れてあればそれ以外のストーリーはなんでもあり、そんな、メジャー作品にはない、ジャンルとしての可能性を楽しんでいるのですね。まあ若い頃は実用目的もあったりしましたが、少なくともここ何年は、息子がほとんど寝たきりです。しかし、この『WHITE ALBUM』の初夜シーンに限っては、一語一句きっちり目を通してしまいました。それほど愛しい。泣き、などではけしてない、心から「ああ、よかったねよかったね、うんうんうん、これできっと君たちは、もう一生比翼の鳥でいられるんだね」などと祝福する爺いの自分やら、分不相応な少女に惚れてしまいなんとか恋仲になれたもののその後もなんかいろいろ七転八倒していた頃の自分(結局フラれた)やら、なんか、全世代の自分がその初夜に立ち会って、ことことと微笑しながら見守っている、みたいな。

 さて、きりがないので、本日はこのあたりで。明日も仕事なので、眠らないと死ぬぞ。
 などと言いつつ、今日のテーマをすっかり忘れていた。
 つまり、昨夜狸が味わったような大麻摂取なみの多幸感は、あくまでそのゲームシステムの困難さを乗り越えたからこそ得られたのではないか、と、ゆーことです。馬鹿でも攻略記事見ながら選択肢ポチポチ選んでけばたどり着けてしまう昨今のシステムに移植して、果たして意味があるのだろうか。だいたい、当時のカワタヒサシさんの、デッサンは時々かなりアヤしいけれど、とにかく実在感という生命を宿していた個性的原画、これがなければ意味がない。現在の萌え絵では、どこにでもある萌えゲーにしかならないのではないか――。
 そう言いたかったのでした。


09月09日 火  大麻

 うーむ、そもそも大麻摂取による具体的な害が判然としない。取締り強化論者も解禁論者も、なんだか根拠薄なデータばかりネタにしているようだ。まあ吸わないに越したことはなさそうだが、といって喫煙者の狸ですら認めている煙草の害(近頃の発狂したような反煙草大キャンペーンには『おまいらもちつけ』と言わざるをえないが)に比べれば、やっぱり大したことなさそうですね。つまり、現行法で禁止されているから犯罪、それだけのことである。昔のアメリカの禁酒法に近い。大麻精神病というものも確かに存在するが、少なくとも日本においては、アル中や、精神疲労による鬱病のほうがはるかにヤバそうだ。
 といって、吸引した元力士を弁護する気もまったくないけれど。ラリって格闘技をやるとか、格闘技のストレスをラリって解消するってのは、やっぱり志が根本的に違っているような。アートや戦争やってるんじゃないんだから。


09月06日 土  ちょいと一杯

 予定どおり昼過ぎに元明慢勢と浅草雷門で待ち合わせ、ちょいとうろついたりちょいと昼間っから飲んだり、夕方最終の水上バスで夜の隅田川をちょいと下ったりする。
 うろつく前にちょいと入った喫茶店が、いかにも浅草っぽくなんじゃやら懐かしい雰囲気で、おまけに大量の書籍(漫画中心ではなく、日本文学全集やら世界の名作やら、大量の文庫類やらがびっしり並んでおり、ちょいと感動する。店名は『友路有』と書いてトゥモローと読ませるらしい。

          

 『神谷バー』名物の『電気ブラン』、30度の強酒ながら、まったりしつつすっきり風味、おすすめどおりにビールと交互に飲んで、たいそう美味しゅうございました。

          

 浅草寺は、たいへん忍耐強い性格らしく、いつ行ってもきちんと浅草寺をやっている。

          

 水上バスのクルージングは、残念ながら写真なし。
 そもそも本日の撮影は、最後まで売らずにとっておいたニコンのデジカメがついに壊れてしまい、すでに中古では値の付かない10年以上前のエプソン(撮影画素数、なんと1024×768)を戸棚の奥から発掘して使用したのである。いやあ、電子器機類も、アナログのカメラ同様、古いほうが長持ちしたりするのですね。当時はデジカメという商品ジャンル自体が勃興期だから、きっと格別にリキを入れて作ってあるのでしょう。ただし夜の撮影は、遠景だとちょいと無理っぽい。
 さあて、本日は誰にもタカらず自腹で飲んだぞ財布の中身で間に合ったぞ――いや、つらつら省みるに、神谷バーでのワリカンの100円単位はまけてもらったし、水上バスの切符は五十嵐氏が一括購入してくれたみたいな記憶が――でもまあ、おおむね自腹で遊んだはずだ。神谷バーの代金が、庶民の街・浅草らしく、ずいぶん安価だったおかげか。もっとも、老舗の多い観光地という土地柄、一食数千円の店もゴロゴロしてるんですけどね。
 帰途、五十嵐氏がちょっと足を痙らせて、しばらく喫茶店で休憩。長年座り仕事を続けているので、狸よりも徘徊に弱くなっているようだ。老化は足からというので、祈る御自愛。やはり徘徊は、ボケる前に限ると思うので。


09月04日 木  若き友へ、そして若くない友へ

 久しぶりに某投稿板の星猫物件を更新しようとしたら、なんじゃやらどこにも見当たらず、あんまり馬鹿長いので、ついにはぶんちょされてしまったか、などと途方にくれていると、ありましたありました。なんじゃやらいろいろあって、すぐには分別しにくい大量の雑多な物件を、とりあえず別室に移したらしい。今のところ、管理掲示板の、管理人さんが立てたスレからしかリンクしていないという、ちょっと島流しっぽい状態。まあ狸の物件は、すでにほとんどの読者の方がリタイアされてしまったようなので、そうした場所でひっそり更新し続けても問題ないが、他の方の物件には、まだ表に置いておかないと可哀想なものも多いような気がするのだが。ともあれ『ゆうこちゃんと星猫さん』を更新いたしましたので、一部のとっても忍耐力に秀でた皆様、どうか続きもよろしく読んでやってくださいね。

 今度の土曜日、もと明慢勢が浅草で飲んだり水上バスに乗ったりするというので、そぞろ昔恋しい狸は思わず参加の意を表してしまったが――なんぼくらいかかるのかなあ。ぷるぷるぷる。自慢じゃないが、金ならないぞ。でも行き帰りの電車賃くらいならなんとかなるか。でもでも、けっこうな借財をしっぱなしで、再就職したら分割で返すなどと言いつつ、結局母親方向やら何やらあっちこっち待ってもらえない払いに汲々として未だ借りっぱなしの身でありながら、のこのこといっしょに遊びに出る狸というイキモノは、いったいどういう神経をしているんでしょうね。そのうち、マジに街路樹の葉っぱかなにかを支払いに使い始めるかもしれませんね。その際は、どうぞ遠慮なくスマキにして水上バスから海に流すとか、ツブして狸汁にするとか、よろしく始末してください。……えーと、あくまで冗談です。民話や落語にもあるように、狸は狸なりに報恩志向の生物です。
 でも、しかし――ここをご覧のごく少数のお若い方々は、くれぐれも狸ではなく人として、立派に生きてくださいね。


09月02日 火  いびり出し

 まー、なんつーか、日本人総小姑時代とでも言いますか、今さら福田首相の辞任など不思議でもなんでもないと言いますか、相手が首くくったり校舎の屋上からダイブするまでイジメ続けてしまう無神経な子供社会と言いますか、私が福田首相だったら、もうとっくの昔に辞めてますね。国民の大多数に指示されず、仲間のはずの党員にさえイジメられる身で、これ以上いったい何をやれと言うのだ。先任たちのザル政治の尻ぬぐいにちまちまちまちま忙殺されるだけの日々なぞ、狸だってご免ですよ、ええ。
 昨日今日のニュースや新聞を見ていて、ああ、もう日本の国民の大半は完全にウーパールーパー化したかな、と。で、今後はちょっと小泉さんっぽく大声で子供にも話のわかりやすい麻生さんが、しばらく好き勝手にやりたいことだけやって、「私はやりました!」と、名門の家系にまたひとつの花輪を並べるだけなんだろうな、と。でもまあ、母方のお祖父さんが吉田茂さんだから、その狸親爺っぷりをちょっとでも受けついでいて、北を相手にひとつ腹芸でも見せてくれれば嬉しいな、と。
 とりあえず、薄幸のぬらりひょん福田さんに、合掌。って、まだ生きてらっしゃいますね。狸は、実は、あなたのぬらりひょんっぷりに、ちょっと感情移入しておりました。できればもうちょっと頑張って、全国のイジメラレっ子たちの、薄明るい星になってほしかった気がします。