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07月30日 金  この国はすでに腐っているのかもしれない

 いや、正直、あの大阪の、幼い姉弟が放置され死亡した件に関して、続報を聞けば聞くほど、東京よりはマシと思っていた大阪も、ついにここまで『人間社会として駄目』になってしまったのだなあ、と、つくづく生きているのがつらくなる。母親だけの問題ではない。周囲の環境そのものから『情』も『理性』も抜けている。この世から捨てられ餓死しこの猛暑の中で腐爛していった子供達よ、お願いだから壮絶に祟ってくれ。このやくたいもない国で安穏と己のみを愛する者たちを、子供らしい純な怨念をもって、誰彼かまわず祟り殺してくれ。

 ……などと嘆いても、無論、死にゆく者たちに、そんな現世利益は無関係なのである。せめて生きている馬鹿が馬鹿同士殺し合い、現世から馬鹿を減らしてゆくことを願う。
 とゆーわけで千葉景子法相も、人権だかグローバルスタンダードだかなんだか知らんが一部お育ちのいい方々のタテマエなんぞにこだわらず、ガンガン死刑執行を続けていただきたいものである。ただし物的証拠が完全に揃った馬鹿に限るのは言うまでもない。情況証拠のみで死刑判決の出る国家なんて、死刑制度そのものより、ずっとあの放置母に近い精神異常だと思うぞ。


07月29日 木  バミューダの謎

 朝5時までの予定の倉庫作業が2時半に終わってしまったので、ウン年前だったかと同様に、深夜の江戸川土手を湾岸から狸穴まで6キロ歩いて帰ったら、夜だというのにクソ暑いまんまで、おまけにウン年間のうちに体力が落ちたらしくもはやマジで死にそうである――とゆーよーな私事はヤケクソできれいさっぱりちょっとこっちに置いといて、確かウン年前にもここで話題にした記憶のある遠き夏の幻、TV放映オンリー映画『バミューダの謎/魔の三角水域に棲む巨大モンスター』の話を蒸し返す。いや、いつまでたっても日本ではDVDが出ないんで。作品データやストーリーに関しては、このあたりをご参照ください。
 以前に狸も記したように、アメリカ人キャストによる完全な洋画でありながら主要スタッフは日本人、特に特撮パートは元祖円谷プロのウルトラ風味そのものである。そのあたりが充分にうかがえる映像が、いつのまにかYOUTUBEにアップされていたので引用。

               

 と、ゆーよーな具合なのであり、とにかく夏が巡ってくるごとに狸は再見したくてしたくてたまらないのである。正直、近頃のCGによる水物特撮なんて、ちっとも清涼感を覚えない。コンピューターの放出する熱気くらいしか感じないのである。どんなにちっこいミニチュアであろうと、どんなに水滴がでかく見えようと、テクスチャーデータの大洋よりセコいプールのほうが、まだ涼しい。
 そしてこの映画、モンスター物というより、きわめて古風な幻想海洋ロマンスの佳作なので、とにかく夏の潮風や潮騒をのんびり満喫できる。そのあたりの悠揚迫らざる叙情部分も、YOUTUBEに以前からアップされているのだが、埋め込み無効なのでリンクしておく。
 昨今は、洋画も邦画も、クソめまぐるしく秒単位でカット割りさえすりゃスピーディでクールだろ、根気のない近頃のガキどもの小遣いまきあげるにはなんたってコレよコレ、とゆーよーなチック症的演出がホラーやファンタジーにまで多用されがちだが、そもそも『くつろげない』ファンタジーや『めまぐるしい』ホラーなんてのは、思えばただの神経症なのではないか。

 さあて、夜も明けきったので、風呂に入って寝よう。


07月26日 月  ●●●はどこに消えたか

 さて、その後イチジクのお世話になることもなく、無事に先日の夜には通じがあったのだが――不思議。固さも量もきわめて平凡。しかし、ほとんど丸4日ぶん溜まっていたはずなのである。その間、この猛暑にも拘わらず食欲旺盛、毎日3回、安物ばかりだが腹いっぱい食い続けていたのである。じゃあどこに行った、3日ぶんのアレは。
 そういえば昔、狸がエンタメ方向で敬愛していた故・景山民夫氏が、ハッピー科学に洗脳される前、なんかのコラムで書いていたことがある。それは今回の狸とは逆の例で、つまり、ふつうに飯を食っているだけなのに、日に何度も大量の●●●が出て困る、いや、別に困りはしないのだが不思議で仕方がない、そんな話であった。で、それを聞いた故・中島らも氏(確かそうだったと思う)が、「それは誰かが超能力を使って、自分の腸内の●●●を、景山さんの腸内にテレポーテーションさせているのだ」と推論を述べていた。
 まあ確かにこの時期、狸穴の狭くて暑くてくっせートイレで力むという行為は、きわめて難事業であるのも確かである。狸が実は超能力者であり、無自覚のうちに腸内の●●●をどこかに瞬間移動させてしまっていたとすると――くれぐれも他者の腸内や炎天下の路傍などではなく、しかるべき僻遠の地、できれば人跡未踏の氷河の底にでも移動していてほしいものである。あるいは田舎の畑の土中に移動して、まんま夏野菜の栄養になってるとか。

          ◇          ◇

 本日はアブれたので暇だったのだが、何かを積極的に頑張ろうなどという気力はここ数日の汗とともに流れ去ってしまっており、ひと月も前にアキバで入手した処分特価の古エロゲーをいじっていた。『Ange』の『ETERNITY』ですね。対応OSはWindows98までとなっているが、XPでも問題なく動く。
 非常にクセのある絵柄の上に、4時間もあればすべてのルートを終えられるような小ボリュームで、なるほどこれは定価8800円では絶対に売れなかったであろうときっぱり断言できるような内容だったが、480円(ポイントも使ったので実質280円)なら大当たりである。280円ポッキリで、しばし涼しげな山村をうろつける。さらに、うまく立ち回れば、哀れな雪女のお嬢さんの呪いを解き、街にお持ち帰りできたりするのである。シナリオだって、短編としての破綻はない。クレジットをよく見れば、今もけっこう活躍しているライターさんなのであった。まあ短いのはライターさんのせいではなく、製作サイドの事情ですもんね。


07月24日 土  シモネタごめん

 酷暑続きで、同じ経験をしている方は多いのではないかと思うが、ここ三日ばかり大きいほうの排便がない。これはやはり、水分が大量に汗になってしまうため、直腸まで届いていないのだろう。
 その証拠に、日中チノパンまでびっしょり濡らして倉庫作業に励み、帰穴後入浴前に体重を計ると、3キロは減っている。それから飯をかっくらって思うさま水分も補給すると、しっかり元に戻っている。なんぼなんでも飯だけ1キロ食っているはずはないから、残り2キロ以上は水分の重さだろう。つまり何リットルかの水分をイッキに補給しているわけだが、それでも寝るまでに小水は僅かしか出ない。もう1リットルも飲めばモツの中まで水が行き渡りそうな気もするが、さすがに胃袋の方が音を上げる。
 幸いなことに、昨年の例の病気のせいもあって、体重が8キロほど落ちているから、腹が苦しいとかはない。もともといいかげんな代謝の狸だし、まあ出るときゃまとめて出るだろうとは思うが――やっぱりなんか、ときどき右脇腹の下の奥で、去年入れたヘルニア防止網が、はみ出ようとするモツを押しとどめているような気配がする。いや、マジに『キチキチッ』とか響くのね。狸の横行結腸は、たいへん長く大容量なので、腹圧も馬鹿にならないらしい。
 ハイテク素材の形状記憶メッシュは半永久的に保つと聞いたが、反対側は無防備である。そっちからまた出てきたりすると、冷房完備の病院で寝たきりになれるので、実はちょっぴり「……いいかも」などと思ってしまうのだが、さすがに入院前のあの不快感を再体験するのもごめんだし、やっぱりもう1リットルほどラッパ飲みして、流し出したほうがいいのだろうか。しかし、酷暑中の下痢ほど、うざったいものもない。
 何十年ぶりかで、イチジク浣腸を買ってみようかと思ったりする今日この頃。

          ◇          ◇

 ちなみに、冷房無し労働現場での水分補給環境は、年々歳々向上している。冷水器を現場のあちこちに常備し、一時間ごとに麦茶をふるまってくれる現場さえある。数年前は、昼休憩と三時休憩くらいしかなく、ぶっ続けで働かされてヘロヘロになっていたりしたのだから、確実に時代は変わっているのですね。
 まあ、今どき日雇い君でも万一熱中症で死んだりしたら「知らぬ存ぜぬ」では済まないだろうし、実際今年のいきなり連チャン酷暑だと、元気そうな若い衆が午前中だけでヘロヘロになりダウンしてしまったりもするので、社会・自然環境・労働者のガタイそのもの、それらすべてが変転しているのだろう。


07月22日 木  番猫たちの夏

 夜勤明けで早朝に帰穴。世間は早くもじっくりと加熱済み。
 狸穴の2匹の番猫のうち、古株猫は、もう朝餉のおかずにしたらちょうど良さそうに柔らかく茹だっている。狸の足音に顔を上げても、白濁した薄目を開くばかりで、「あー、なんか入ってきたけど、なんかもうどーでもいーや」、明らかにそんな表情である。
 いっぽう、狸も先般餌付けに成功した若い方は、さすがに狸は警戒対象から外してくれたようだが、道行く人々などにはあいかわらずスルドい警戒を続けている。このクソ暑いさなかに、ご苦労なことである。
 しかし、この猛暑が続くとすれば、8月頃には、2匹そろって「あー、なんかもうどうでもいいや」と並んでたれている姿が見られるものと確信する。

  


07月19日 月  火の用心

 たとえば比較的乾燥した森林地帯で猛暑が続くと、自然発火による大規模な森林火災が起こったりするようだが、自然界の強風による摩擦熱というものがいかに大したものであるか、本日痛感した。
 夜勤明けで、朝から豚めしの大盛りと卵と味噌汁と生野菜をかっくらい、ジャー1本分の冷水を飲み干し(水だけはなんぼ飲んでもタダなので、つくづく日本に生まれて良かったと思う)、帰穴して、ぐっちょんぐっちょんというかギトギトの衣類を脱ぎ捨てて即洗濯し風呂に入り、「ああ電気代がもったいないもったいない」と嘆きながらもエアコンつけっぱなしで部屋を閉め切り、泥のように夕方まで眠り、さて、この陽気だとさすがにすでに乾いている洗濯物を取りこもうとしたところ――洗濯ロープの一部が焦げていた。
 このあたりは東京湾からの風が強いので、軽い洗濯物は、しばしば自由を求めて遠くに旅立ってしまう。実際、夕方など、浮浪化したTシャツやタオルを、けっこう道端で見かける。ビンボな狸としては、1枚の衣類も狸穴から逃がしたくない。特に100円で買えないポロシャツや開襟シャツは厳重に束縛したい。で、ハンガーにぶら下げて、そのハンガーのフックを二重に張ったロープに挟むように吊し、両脇を洗濯バサミで固定し、さらに裾も3ヶ所、もう1列張ったロープに固定――そんな感じで干しておくわけだが、炎天下、強風で一日中激しく振り回されたからか、そのハンガーとロープの接点が、黒く焼け焦げていたのである。最初は単なる汚れかと思ったが、よく見れば明らかに立派なお焦げ。
 もともと摩擦係数の大きいロープに太めのフックを絡みつかせたため、また双方が燃えやすい合成樹脂だったためだと思うが、なるほど、昔から孤島サバイバル漫画などで紹介される、摩擦熱による火起こしなども嘘ではないのだなあ、と、つくづく感心しました。

          ◇          ◇

 猛暑に負けたというわけでもなかろうが、故郷から、母方の叔母の旦那さんが死去したとの知らせ。
 実はその旦那さん、生前なかなか困った人物であり、大酒飲みで酒乱(これはまあ故郷では珍しくないのだが)、また身の程知らずの立候補趣味で、何度も市議選に落選しては破産しかけたりして、いっとき妻と娘(つまり狸の叔母と従姉)が愛想を尽かして家出していた時期まである。直接の死因は肺炎だそうだが、享年74、狸一族の男どもが多く60代で逝くのに比べれば、不摂生のわりには長く生きたほうだろう。
 叔母たちもすでに華々しい葬儀など出す気もないようだし、狸も葬儀に参列できるような懐具合ではないので、弔電のみで冥福を祈らせていただこうと思うが――あの古い田舎の躁病親爺的なキャラは、小狸時代の懐かしい思い出でもあるのよなあ。
 大酒飲みの誇大妄想親爺に、謹んで合掌。家族は災難だったろうけれど。


07月17日 土  むしだぬき

 どにがぐれんじづぐぞじめあづい。
 本日は人並みにまた休日だったが、明日は夜勤の予定なので、半連休(?)といったところか。もっともまだいわゆる猛暑日ではないようで、夜にはなんとか気温が下がっているから、労働も打鍵も夜間に済ませたほうが楽だ。
 打鍵中の『茉莉花館』は、あんまり間が空いてもなんなので、ラストに到達しないうちに、あっちの板を更新してしまった。それでも量的には、いつもの1章ぶんの枚数に達している。つまり狸特有の枚数見積法則が、順調に適用されているわけである。頭の中で「あ、こんくらいの筋運びなら50枚」と思って打ち始めるとあら不思議、100枚になってしまうのである。以前は1.5倍程度だった気もするが、年々歳々当社比が増してゆく。ボケなんですねえ。
 長編を更新したとたん、なんじゃやら30枚程度でまとまりそうな短編のインスピレーションが到来、ぽちぽちと打ち始めてみたが、考えてみりゃ60枚程度に膨張するのは目に見えているし、おまけに以前打った『浮遊幽谷』の根暗バージョン、マジビンボ版が仕上がるだけという気もする。でも狸の場合、まともな短編のアイデアなんて滅多に浮かばんのよなあ。とりあえず打ち続けてみよう。


07月14日 水  加湿温風紫外線暖房完備

 休日。ほんとにしつこくてしつこくて申し訳ないが、アブれたとも言う。
 例のホームヘルパー2級講座の修了証が届いたので、とりあえず久々にハローワーク登録。
 係の方が若い女性だったので、なんかいろいろ貧乏自慢を披露していたら、ここ数年雇用保険に入っていなかったので無論失業手当の受給資格などはないものの、その他のなんかいろいろの福祉的な給付など紹介され、市役所の福祉課を訪ねてみる。なんかいろいろ勉強になったが、結局、働く意思と働ける躰がある限り、なんぼビンボでも役所は助けてくれないと再確認。いや、まあなんかいろいろ工夫して書類を揃えれば、働ける躰があっても当分寝て暮らすくらいは出来るようなのだが、そんな七面倒くさい工夫をこらすよりは、日雇い派遣に出ているほうがまだ気が楽だ。
 しかし、なんかいろいろ公的な福祉に関する知識を得るたびに、『五体満足な日雇い派遣労働者』は、この国で最も『奉仕するだけの存在』、つまり奴隷に他ならないと確信する。まあ去年の大病のときには国保の世話になったが、あれだって律儀に保険料払ってたからですもんね。過去に払い込んだ保険料を合算したら、何倍もの金額になっているはずだ。

          ◇          ◇

 で、久々に洗濯する。
 久々に晴れているし風も吹いているので、じきに乾くかと思えば、これがちっとも乾かない。びゅうびゅうと風になびいたり、水平に煽られたり吹き飛ばされそうになったりでんぐりがえって洗濯ロープにからみついたり、「ああ、狸も、これらの洗濯物ほど無茶にピチピチ活動できたら」などと羨んでしまうほどなのに、夕方になってもまだ湿っている。
『北風と太陽』というイソップの寓話があるが、あれはやはりラテン世界の寓話であって、日本で勝負するなら、最強なのは『湿気』である。

          ◇          ◇

 ごのぐぞじめあづいじんぜいぼだれがなんどがじでぐれ。


07月11日 日  雨鰻

 無慮14時間に及ぶ、Y市某小学校体育館における参院選挙の派遣仕事は、確か三年前に別の投票所で働いた時とは違い、現場でのほとんどの業務をローテーションでひととおり体験できて、なかなか実のある現場であった――とゆーよーな話はちょっとこっちに置いといて――最後の最後で挫折してしまいました。例の『歩いて鰻』計画が。
 昨日の現場設営とオリエンテーションの帰途も、きちんと6キロ歩いたのである。で、本日も同様に、最寄り駅ではなく遠方の安い鉄道駅(妙な話のようだが、千葉在住の方なら、現場の最寄り駅が『恐怖の東葉高速鉄道』と言えば「ああ、なるほど」と解ってもらえるだろう。運賃がマジに他の鉄道の2〜3倍なのである)を目ざし、歩きはじめたのである。でも駄目でした。雨が水平に降ってるんだもん。雨量自体はむしろ少ないのだが、強風のため雨滴を避ける術がない。14時間働いたあとで、さらに1時間以上、濡れ鼠で歩き続ける気力がない。
 と、ゆーわけで、プロの老舗鰻はあえなく断念、代わりに吉野家の鰻丼(鰻二枚盛のご飯大盛り味噌汁付き880円)に挑戦してみた。これとてふだんの夕飯予算から見れば、2〜3倍なのである。そして意外なことに、なぜかこれがすこぶる美味だったのである。無論、野田岩などと比べたら池波正太郎先生に問答無用で斬り殺されるだろうが、上野の伊豆栄より美味いと言っても、永井荷風先生には怒られないだろう。ともあれ800ナンボで食える大衆食堂鰻の中では、群を抜いているのは確かである。いやあ、吉野家でまともに食えるのは牛丼だけというこれまでの定説(?)を、みごとに覆されました。ただ、味噌汁はあいかわらず最低のインスタント物件であった。あの無茶なシロモノ、やっぱりまた潰れるまで出し続けるんですかね。

 えーと、念のため。
 今はズタボロの狸にも、「ボーナス出たから野田岩に行こう」とか、「上野散策ついでに伊豆栄で一杯」とか、まあそんな日々も過去あったのですねえ。でももう死ぬまでたぶん無理。
 あとは思い出だけで生きていきます。


07月08日 木  逆夏バテ

 昨日今日と、冷房完備の部屋で座り仕事をしてきた。NTT関係の倉庫作業というから、てっきりいつもの調子だと思ったら、NTTぷららの光テレビの専用コード類やチューナーやリモコンを、ただひたすらクリーニングする仕事だったのである。あれはみんなレンタルなので、回収した機器は磨きなおして再利用するのですね。
 狸はリモコン担当に回されたが、比較的綺麗な物から、なんかの汁でべとべとのリモコンまで、以前の使用者の性格や生活を表しているようで、なかなか面白い。数千個のリモコンを、三十人ほどで、片っ端から選別したり拭き上げたりチェックしたり――とにかく手先だけ動かす単調な現場である。倉庫作業というより、工場の単純作業に近い。で、そうした静かな現場に限って、冷房完備だったりする。暑がりの狸でさえ、このところサウナの中で荷物を運ぶのに慣れきっていたせいか、いわゆる冷房病になってしまいそうだ。実際、肉体労働をやった後よりも、はるかにぐったりよれよれになる。帰穴して風呂に入って発泡酒飲んでも、まだ心身共になんだかだるくて辛気くさい。
 いやあ、狸もすっかりガテン系になりつつあるなあ――なんて、せいぜい重くとも数キロ程度、大半1キロ未満の荷物しか扱ってないんですけどね。それでも「よっ」「はっ」「おうっ」とか、大汗かきながら一日中やってるほうが、クリーニングクロスやアルコールや綿棒で、ひたすらちまちま小物を磨き続けるよりは、やっぱり心身共に、健康にいい。もっとも夜の私物打鍵などは、それこそキーボードを指でぽちぽちしてるだけなのだが、あれも脳味噌だけは紆余曲折、七転八倒してますからね。

          ◇          ◇

 さて、明日は勝手に休日、土日は選挙のお仕事である。自分のぶんは、明日、期日前投票してくる予定。
 民主も自民もイヤ、アレもきらいソレもやだ――結局、いつもの消極的投票になってしまう。イヤ度が一番低い人や党を選ぶしかないのである。個人的には、昔ファンだった岡崎友紀さんなど、大いに惹かれるものがあるのだが――民主の票集めに乗せられてるだけですもんね。やっぱりパス。
 で、結局、狸は何党の誰さんに投票するのか――訊かないでください。
 なぜ、感情右翼の狸が、あそこのあの人に投票せねばならない。
 仕方がないからするのです。棄権だけはしたくない。
 ……でも、なんか近頃マルクス主義って、すっげー夢のあるファンタジーに思えてきたりもするのよなあ。実現不可能な理想論、美しい見果てぬ夢、みたいな。まあ、現に実現不可能であることは、歴史が証明してしまってるわけだけれど。
 せめて誰か、夢のある右翼が出現してくれまいか。声だけでかいアレじゃなく。


07月05日 月  歩けば鰻

 Y市の参院選挙会場まで日雇いに出ることになり、本日は市役所までパソ関係の説明会に出向く。大半の会場では、プリントアウトした名簿の付け合わせで投票資格の確認を行うのだが、所によっては投票予想人数が1万人前後になるため、バーコードでピッピッピ式に確認するのだそうだ。
 本日と、10日土曜の現場設営および予行練習は、2時間しか時給にならない。そのかわり11日の本番は朝の6時半から夜の8時半まで続くので、まあ3日分としてはそこそこになる。さらに、さすがに2時間の時給だけでは徒歩圏内に住んでいる暇人しか集まらない(日雇い派遣というやつは、大半交通費が出なかったりするので、遠距離の短時間労働だと割に合わない)ので、員数確保のために交通費も支給される。
 で、狸の場合、さすがに初日の今日の往路は、遅刻が恐くて事前情報どおりに路線バスを使ったが、帰りは歩いた。最も節約の狙える鉄道駅まで約6キロ。これを3日ともやれば、地理的に請求可能な交通費の内、千数百円が浮く勘定である。往路も毎回やれば倍が浮くのだが、さすがにそこまでの気力はない。
 しかしたかだか千数百円のために、そこまでやるか――やるのである。
 狸は鰻が食いたい。
 この温気と湿気の日々も、物価の優等生である鶏卵を中心に、110円の発泡酒と68円や100円のおかずで乗りきらねばならない狸ではあるが、なんだか無性に鰻が食いたいのである。それもスーパーの冷凍物ではなく、松竹梅の梅でもいいから、確かな職人仕事による鰻の蒲焼きを、無性に食いたいのである。
 食いたいの食いたいの。食いたいのよう。

 ……まあ、食ったあとで「ああ、千数百円あったら、日々のおかずを1品、半月は増やせたのに……」、そんな後悔をするのは目に見えているんですけどね。とりあえず、それでも明日なき狸は歩き続けます。


07月03日 土  暑苦しい夜の歌

 録画しておいた、テレビ東京の毎年恒例3時間番組『第42回 夏祭り にっぽんの歌』を観て、ぶっとんだ。
 例年、古臭い狸でも辟易するような昨今のつまんねー演歌、過去の名歌謡曲、そして「おいおい何考えてこんなコーナー組んでんだ正気かよでも最高だよおい」的な特集と、なかなか侮れない構成で、暮れの紅白なんぞより、よほど楽しみな番組なのだが――なんぼフォークのコーナーとはいえ、遠藤賢司にナマで『夢よ叫べ』をフルコーラス歌わせるか、ふつう。あまつさえ最終コーナーでは、秋川雅史と米良美一と佐々木秀実と中島啓江が、なぜか沖縄関係の名歌を熱唱しまくるのである。粋狂なのはディレクターかスポンサーか構成作家か。でも狸はマジに感涙しました。

 しかし暑苦しいおっさんって、なんて素敵なんだろう。狸よりも10歳は年嵩のはずだが。

               

  まるでこの世の何もかも 嫌になっちまったのかい
  そんな目をしてまたひとつ 溜息ばかり
  どうしたんだよあの夢は 欠片も瞬かぬ
  そんな夜に 負けるな友よ 夢よ叫べ

     ぶっきらぼうに見栄はって どんなに強がっていても
     本当はね 誰でも哀しくて 泣きたい夜だってあるよ
     それでもみなよほら 可愛いじゃないか 涙も知らぬげに
     そうさそんな夜に 負けるな友よ 夢よ叫べ

        言い訳なんかじゃあの夢は 騙せやしない
        どうにも真面目なその心 みじめになるばかり
        そんなお前と夢見てる 優しいあの娘
        そうさそんな夜に 負けるな友よ 夢よ叫べ

          お前がやらなきゃあの夢は 二度とは瞬かぬ
          そうさそんな夜に 負けるな友よ 夢よ叫べ   (作詞作曲・遠藤賢司)


07月02日 金  蒸し狸

 うわあ、洗濯物、干しっぱなしのままだよ。夕方の雷雨予報、コロリと忘れて出勤しちまったよ。――でもまあ、帰穴したら、昨夜洗って干したときとほとんど同じ濡れ具合だったんで、要は、いちんち乾く日がずれただけ。無問題無問題。
 ことほどさように脳味噌までほどよく蒸しあがり、4日で3キロのダイエットに成功した狸です。仕事の相方は毎日変わりますが、おっさんも若い衆も、「サウナでジムやって金までもらえるんだから最高だよなあ」と、明るくウツロな瞳で喜び合っております。

          ◇          ◇

たかこ 「おう。たぬきさん、とってもごきげん。んでも、おめめが、まっしろ」
くにこ 「うーむ、しぶといやつだ。こんやこそ、たぬきじるがくえるとおもったのになあ。まあ、いい。なつは、ながい。ぶよぶよのたぬきよりは、にくのしまったたぬきのほうが、んまそーだしな」
ゆうこ 「ほろほろほろほろ」


07月01日 木  まだ

たかこ 「おう、たぬきさん、ぐったし。ほとんど、しかばね」
くにこ 「んむ。これは、こんやあたりが、やまだな。ねんのため、そーしきのしたくを、しておこう。それがおわったら、たぬきじるだ」
ゆうこ 「おろおろおろ」