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04月30日 土  Oの悲劇

 しかし数年前のO157騒ぎ、世間ではもうきれいさっぱり忘れ去っているのかな。
 人間の子供に牛の生肉食わせるなど、焼肉店のみならず両親の見識も疑う。愛する子供を失い悲嘆にくれる両親に向けるべき言葉ではないと顰蹙されるかもしれないが、殺意なき過失致死だって責任は問われる。
 そもそも、この日本に『人間相手に生食での安全を保証された畜肉』は流通していない。出荷時点では100%安全と思われる『無菌豚』だって、最終的には客自身の責任で生食するのである。血便尿毒症脳細胞破壊を覚悟の上で味わうのである。まあ大人や老人は覚悟して食えばいいが、義務教育を終えていない児童が客観的に覚悟できるとは思えない。
 とにかく、この世からろりやしょたをこれ以上減らさんでくれ。

 ちなみに狸はユッケとやらをまだ口にしたことがない。畜肉は常によく煮るか焼くかして食う。
 日本の一般的食肉加工現場の安全性は、何度かそこで日雇いをやって信用しているが、世の中には例外的加工場だってあるだろうし、そもそも加熱した肉の方が香ばしくて旨いじゃないですか。……単に古くて安い肉しか食えないだけか?
 ともあれ、仮に自分が丹波山の猟師に鉄砲で撃たれたとしても、子供に食われるときには、きっちり『煮てさ、焼いてさ、食ってさ』、あの伝統的レシピどおりに扱われたいものである。

          ◇          ◇

 ところで狸は、現状、この国に生き続けることにおいて、居直ることにしました。
 といっても、別に「ふん、なるよーにしかならんわい」と、ふんぞりかえったりするわけではありません。むしろ萎縮したいときには萎縮し、不安を感じればすなおに怯え、逃げたいときには迷わず逃げる、そんな感じです。
 こんだけ天変地異や人災に翻弄されて、己の非力っぷりも痛感させられて、それでも萎縮するなだの、元気に遊べという神経のほうが、そもそも不自然なのである。穴の奥でぷるぷる震えていたいときには、頭かかえて震えてりゃいいのである。
 ただ、探食しないと餓死してしまうし、この世にろりが存在する限り絶望だけはするまいと思うので、まあ、いつもの狸と大差ない、玉虫色の狸生が続くだけなんだろうが。

          


04月28日 木  本当と嘘の境目で

 【毎日新聞 - 04月28日 01:40】
 厚生労働省は27日、原発作業員の被ばく線量について、通常時は年間50ミリシーベルトとする上限規定を撤廃する検討を始めた。5年間で100ミリシーベルトの上限は維持する。福島第1原発の事故では、全国各地から作業員が応援派遣されているため、現行の上限規定のままでは、他の原発の点検業務に当たる作業員が確保できなくなるという懸念が産業界などから出ていた。
 一方、通常時とは別に、緊急時の被ばく線量について厚労省は先月、福島第1原発の復旧作業に限り、100ミリシーベルトの上限を250ミリシーベルトに引き上げる特例措置を設けている。


 ……とまあ、もはやなんだかよくわからない理屈が無限に通用しそうな今日この頃、某派遣会社の内勤の方から、面白い話を聞いた。狸としては確証を得る術もなく、都市伝説の一種として聞いておくしかないが――なんと時給5万の派遣仕事があるそうだ。ズバリ、福島のあそこで下請け作業。ただし、単なる末端作業員とはいえ各種の資格や経験が必要であり、無論、狸などでは勤まらない。
 それにしても時給5万……。
 その半分、いや10分の1でいいから、未経験者でも雑役かなんかで雇ってくれまいか。どうせG・Wも無関係の身、マジに護国の礎として勤労します。
 250ミリくらいイッキしてもへっちゃらだ。白血球がちょっと減るだけじゃないか。(注・あくまで狸の主観)


04月27日 水  とりとめもなく   


               

 ……こいつは何を考えているのだろう。念のため、轢死してません。自発的寝姿です。

          ◇          ◇

 谷口敬先生のブログによると、心療内科で鬱病の診断を受け、薬を服用し始めたとのこと。薬にはやはり副作用があるらしいが、鬱自体は軽減するようだ。
 狸もここでは極力能天気にふるまっているが、実はなかなかキビしい精神状態である。そっち系の病院に行って正直に相談したら、軽めの抗鬱剤、あるいは睡眠薬くらい、すぐに処方してくれるだろう。
 しかしさすがに狸は谷口先生ほどの繊細な神経を持ち合わせていないので、「死ぬ」ことまでは考えない。てゆーか、現状どーあっても母親より先に死ぬわけにはいかないのである。
 あとは、当然ながら創作への未練がある。とにかく生きているうちに、その道で公的評価を受けてみたい。てゆーか、一度だけでも大手からロハで出版してもらいたい。あるいは老舗商業誌に掲載されたい。公募の賞金なんていりません。原稿料も印税もなくていい。食うだけなら日雇いでなんとかなる。あ、でも、やっぱり金もらって、友人知人に借金返したい。
 と、ゆーわけで、精神昂揚も積極的意欲もおぼつかないままに、非ラノベ大衆小説では唯一短編で応募できる公募『オール読物新人賞』に、なんか送りつけてみようかな、などと。

          ◇          ◇

 そういえば、ウン10年前の定職疾風怒濤時代、深夜蒲団に潜りこんでも、体は疲労困憊しているのに精神だけは檻の中の回し車でヤケクソ疾走するリス状態、まったく眠くならなかった。そんな時、フルボリュームでラウドネスを聴いていると、アルバム一枚終わる頃には異様なまでの心の平静が訪れ、いつしか眠れていたことを思い出す。

          

 また、逆に無力感が嵩じていわゆる鬱状態に陥ったときは、『底の底まで沈めばあとは浮くしかない』ということで、こんな歌を聞きこんでいた。

          

          

 ……どのみち難儀な狸です。


04月24日 日  故郷

 昨日は予定の7割程度の時間で山形に着いてしまった。土曜にこんなガラ空きの東北自動車道は初めてである。明らかに震災の影響だろう。業務用の車輌も遊びの車輌も少ない。支援関係の車輌なども2〜3しか見かけず、少々不安になる。
 道々、サービスエリアなどあちこちで見かける『がんばろう! 東北』のポスターや立看に、心意気とは別の次元でなにがなし落ち着きの悪さを感じていたのだが、地元の運送屋のトラックを見て、その理由がわかった。そのデコトラのペイントでは、こう謳われていたのである。『がんばっべ! 東北』。……故郷の訛り懐かし、ですね。
 車中で読んだ新聞記事に、福島の計画避難区域では、引越ししようにも、某ヤマトなど大手の引越便がそもそも受付拒否して配車しない、とあった。社員の健康のためだそうである。わっはっは。車夫馬丁の意地も、地に堕ちたもんだ。義理も道理もわきまえて、長生きしたけりゃ勝手にしろ。きっと地元のトラック野郎がなんとかしてくれるだろう。しかし逃げる手段もろくに確保しないで『さあ逃げろ』と言う方も、つくづくいい根性してるよなあ。そのうち自衛隊が引越便も担当するのかな。

          ◇          ◇

 母親のアルツは、やや良い方向に悪化している(?)ようだ。こちらからの話しかけに反応するとき以外は、上機嫌で鼻歌を歌い続けている。以前のようにひたすら同じ質問や陰鬱な愚痴をくり返すことがない。思考能力は落ちているのだろうが、当人も我々も、ストレスは明らかに軽減する。
 狸一家のジンクス『墓参りの間だけは雪も雨も降らない』は、今回も遵守(?)された。
 花見に出かけた霞城公園は、何年か見ないうちにすっかり整備修復され、本丸の復元工事も着々と進み、地元民の憩いの場であると同時に、観光資源への道をも邁進しているようだ。まあ狸としては、戦後の色合いを残した子供時代の未整備の荒れた土手や半分枯れた堀なども懐かしいわけだが、今どきの子供がああした環境で遊ぶと土手から転落してマジに死ぬ恐れもありそうな気がするし、ここは素直にその整備を祝福したいと思う。なんて、実は狸の足腰も弱りつつあるので、ぐちゃぐちゃの土手道が舗装された遊歩道になっていると確かに散歩しやすい。それに、枯れかけた古木まじりの野放図な桜並木よりは、きっちり手入れされた桜並木のほうが、確かに息を飲むほど美しいのである。もっとも、古木を引っこ抜いてまだ植林されていない部分はちょっとスカスカだったが、本丸が完成するまでには、きっとなんとかしてくれるだろう。
 震災の影響で、なんじゃやら桜関係の大きなイベントが中止になったらしく、地元のNHKも、ほとんど震災関係の番組ばかりのようだ。しかし街中には、すでに震災を思わせる気配はほとんど残っていない。昔の記憶と同様、不動の盆地を四方の山塊がどっしり護っているように見える。奥羽山脈を隔てた宮城の海沿いはあの惨状で、朝日連峰のあっち側の新潟も、過去に、たび重なる地震の被害を被っている。その狭間で、冬場の雪と盛夏の酷暑だけ我慢すれば、地震にも津波にも台風にもほとんど痛めつけられず、今後も大丈夫っぽい我が故郷――。
 今となっては、なんでわざわざその土地を離れたのかと後悔することもあるが、まあ『遠きにありて思うもの』という気もするし、そもそも絶対に先に立たないのが後悔だ。またフーテンの寅さんが言ったように『航海先に発ったら船が沈んで死んじゃった』ということもある――あるのか?

          ◇          ◇

 夢にまで見た『染太』の鰻を食い、米沢鯉の甘煮も確保して、帰京。
 途中で休憩した国見のサービスエリアで、『ありがとう自衛隊』というネーミングの土産物(饅頭だったか)を見かける。


04月22日 金  北へ

 明日明後日は姉夫婦の車に便乗し、母親の具合を見に帰郷の予定。
 内陸部ゆえ震災被害は長い停電程度だった山形だが、途中通過する地域の状況やいかに。

 で、本日は帰りがけに市議会議員選挙の期日前投票。県議会のときとは違い、過去の遺物系老人からケバイい化粧のイロモノ系おねいちゃんまで、大量の候補が出揃っている。実は管理人さんからそれとなく投票を頼まれたご近所の民主党候補者がおり、いい人柄らしいのだが、どうも自民だか民主だか、その時々の旗色によってコロコロ寝返ってしまう前歴があるので、ちょっとパス。結局、無所属のお母さんに入れてしまった。理由は、ご本人の育ちが良く、仏教系の教育を受けて、自分の子供たちもちゃんと育てており、しかも剣道三段だから。……って、それは単なる狸の好感度ではないのか。まあ実際、言ってることもまさに『良識』の域を出ない市井の人なのだけれど、別に市長になろうっていうわけじゃないからいいのである。

 さて、天気予報によれば、土日の故郷は雨っぽい。『墓参りの間だけは雪も雨も降らない』という狸一族のジンクス、今回はいかに。


04月21日 木  不思議の国の報道

 さて、栃木県鹿沼市で、癲癇患者の運転するクレーン車が、一瞬に児童6人を跳ねてしまった、あの事故の件だが――ロリやショタの命が非道に奪われたことへのハラワタが煮えくりかえるような思いはまた別の話として――『癲癇』って、いつから報道禁止用語になったのだろう。
 当初、容疑者の自白そのものに「癲癇の薬を飲み忘れた」とあったはずだが、いつのまにやら新聞でもネット配信ニュースでも、『発作を伴う病気』やら『意識を失う持病』になっている。また例の団体からクレームでも入ったのだろうか。それとも例によって自主規制か。

 念のため、狸に差別意識はない。
 以前にも記したが、子供時代の狸は癲癇持ちの叔母と同居していた。
 いつ泡吹いてぶっ倒れるかわからない同居人というのは、無知な幼児にとって、肉親としての親愛があるだけに大変恐ろしいものであり、正直、一生逃れられないトラウマにもなっているのだけれど、それは差別意識になど繋がりようがないのである。身内だもの。
 ちなみに叔母はその後、精神分裂症も患い、被害妄想による幻覚が頻発して自宅治療が困難になり、長く精神病院に入院した。分裂症と癲癇に物理的な関係はなかろうが、癲癇であることの精神的重圧は大いに関係していただろう。
 そんなこんなで、狸は癲癇患者にも精神分裂症(今は統合失調症と呼ばれているが)患者にも、複雑で仄暗いなりに、けして嫌悪ではない一種の懐旧的親愛を感じている。
 今回の事件だって、悪いのは病気を隠して稼ぎ続けようとした容疑者であり、病気そのものに罪があるわけではない。
 だからこそ、なぜ病名そのものを隠蔽しなければならないのか、理解に苦しむ。いや、理解はできるが愚行だと思う。

 そういえば昔、筒井康隆先生が、癲癇に関する記述へのクレームを発端に、しばらく断筆していた時期があった。あれも抗議団体に反撥したわけではなく、出版社側の自主規制や、それを容認する文壇に喧嘩売ってたんだよなあ。

          ◇          ◇

 などと記したあとで、飯を食いながらテレビを見たり、ネットを覗いたりしていたら、その事件の関連ニュースで「てんかん」がイッキに解禁されていた。自粛を反省したのかと思いきや、どうも新聞を見る限り、日本てんかん協会が容疑者を非難するコメントを発したためのようにも思われる。
 つまり、そっちからクレームを喰らう可能性がなくなったわけだ。やっぱり自主規制してたみたいですね、マスコミさん。


04月19日 火  正直は無知の弁解にならない

【YOMIURI ONLINE 04月19日 03:07】
 茨城県つくば市が、東京電力福島第一原発の事故で福島県から避難して転入する人たちに、放射能汚染の有無を確認する検査を受けた証明書の提示を求めていたことが18日、わかった。
 市側は「市民に無用な不安を与えない目的だった」としているが、転入者からの抗議を受け、検査を求めないことにした。
 つくば市によると、市民課長名で3月17日、福島からの転入者にスクリーニング検査を求めることに決め、担当する窓口へ通知した。窓口の担当職員が、転入者に消防本部や保健所で検査を受け、証明書をもらうように指示するなどしていたという。原発事故が起きてから、つくば市には福島県いわき市などからの住民が避難している。
 今月11日、つくば市内の研究機関に就職するため仙台市から転居してきた男性(33)が証明書の提示を求められ、このことを茨城県に訴えたことから問題が発覚した。つくば市の岡田久司副市長は、「放射能汚染について、誤解があったと認めざるを得ない」と釈明した。


 と、ゆーよーなMIXYニュースがあり、それに対して、「
そら危険な放射線に汚染された人間がノコノコやってくんだから検査するのが当然だろ。市民を守るのが仕事だからな。ってか放射線浴びてんだから福島から出て来るんぢゃねぇよwww 」などという丸出しのアホもいれば、「口では差別あかんって言うが、例えば吉野家でご飯食べてるときに福島からきましたーって人が横にきたら……。つくば市を一方的に責めれません。」などとゆーよーな、やや控えめな、でもやっぱり救いようのないアホもいる。
 知らねーことに余計な口を出すなこのクソバカヤロウ。知る気もないなら黙っとけ。それとも狸が二液式超強力接着剤をしこたま塗りたくってそのブヨブヨとフヤけた卑しい上唇と下唇を未来永劫開かんようにしてやるか。

 ……まあ別にそれらの無知蒙昧厚顔無恥の徒と知り合いだからMIXYに加入したわけでもないのだが、残念ながら日に日に「ウッソ〜ウッソ〜〜! 狸、も〜信じらんな〜〜い!」級の馬鹿が増えて、もはや一般世間と大差ないコミュではある。
 たとえば谷口敬先生があくまで無害なパロやロリを理由に強制退会させられる一方、上記のようなメルトダウン級精神汚染テキストが「それも市民の意見のひとつ」などとして放置されるとすれば、やっぱりそうした場所からは、そろそろオサラバするべきなんだろうなあ。
 いや、知り合いの動向がちょこちょこ確認できてありがたいコミュではあるのだが、どうも、こう汚物が増えてしまうと……。

 汚物の流入が怖くて、いまだに身辺雑記的なことは、狸穴の奥深くに潜めている狸です。ここですね。

          ◇          ◇

 ああ、今日もまた辛気くさい話になってしまった。
 それでは、口直しに、さあ、みんないっしょに歌いましょう。

          


04月16日 土  ルイはトムを呼ぶ

 【YOMIURI OHNLINE 04月16日 12:08】
 細野豪志首相補佐官は16日午前のBS朝日の番組で、東京電力福島第一原子力発電所の事故発生直後の状況について、「どん底までいった。ほとんど制御不能のところまでいった」と述べ、一時、かなり危機的な事態に陥っていたことを明らかにした。
 その上で、「少しずつだが、コントロールできるようになった。冷却機能の回復という大きな壁を乗り越えないといけない」と強調した。


 ……あのう、その、それはつまり、菅内閣はそーゆー状況で「大丈夫大丈夫」と主張し続けていた、と、今になって正直に打ち明けてくれたわけですね。
 うむ、正直なのはいいことだ。
 しかし首相のみならず補佐官も、まったく腹芸のできない方であったか。ある意味すげーぜ現内閣。

          ◇          ◇

 嬉しい話もある。

 【毎日新聞 4月16日(土)15時0分配信】
 カンボジアの地雷原の村から義援金が届いた−−。内戦による多くの地雷が残るカンボジアで、綿の栽培や加工によって細々と暮らす人たちから、東日本大震災の被災地への義援金とお守りが届いた。彼らの綿製品作りを支援する日本のNPO法人は「額は少ないかもしれないが、貧しい彼らにとっては大変なお金。苦しい中、日本のことを思ってくれる気持ちに感激した。彼らの思いを被災地に届けたい」と話す。
 義援金を寄せたのは、カンボジアの北西に位置する地雷原の村やプノンペン近郊で、綿を有機栽培し、ストールなどに加工している人たち。多くは、地雷被害で足などを失い、経済的に困窮していた。日本のNPO法人「地雷原を綿畑に!」が09年ごろから彼らを支援、綿製品作りを通じ、徐々に収入が得られるようになっていた。
 義援金は、綿製品作りにかかわる約30人の工賃や染め賃1カ月分など計8万円。カンボジアの貧しい地域の1家族の年収約7万円を超える額だ。プノンペン近郊に住む女性たちは、近くの寺院に通って被災地の人々への祈りをささげているという。地雷原の村に住む人からは「今回の地震と津波で、日本の多くの方が亡くなり、被災されたことに、地雷被害者メンバーはショックと悲しみに包まれています。どうか私たちに、皆様の苦しみを分かち合わせてください」とのメッセージも届いた。
 NPO法人の石井麻木代表は「日本からの支援を受けていた人たちが、逆に支援を申し出てくれた。彼らが深く考えた末の思いやりと考え、義援金を受け取ることにした。彼らのことを誇りに思う」と話す。【永山悦子】


 いやもう、お気持ちだけで充分です――などと言える立場ではない非被災日和見狸だが、その8万円があればカンボジアの方々も貧しい晩餉のおかずを一品増やしたりできるのかな、などと思うと、嬉しいながらに、やはり心が痛む。
 そう、強くなければ生きていけないが、優しくなくては生きている資格がないのである。どこかのコワモテの探偵さんだって、そう言っている。
 だから狸も、徒に菅さんや細野さんを責めるのはよそう。みんな一所懸命やっているのだ。ただ政治家に向いていなかっただけなのだ。
 でもお願いですから早いとこ隠居してください。勤勉は寸足らずの弁解にならない。
          ◇          ◇

 大地は今日も揺れていた。
 この無神経な能天気狸でさえ、睡眠中、なんじゃやら何度も何度も目覚めてしまう。
 そんなとき――ああ、お経は、いい。

          

 臨済宗の方の、般若心経の動画である。曹洞宗の狸とは宗派違いだが、同じ禅宗なので、落ち着いた読経姿が好ましい。
 同じ般若心経でも、やたら演出の派手な宗派だと、「おいおい和尚さん、もちつけもちつけ」、そんな気分になってしまう。


04月13日 水  同穴

<東日本大震災>「放射能怖い」福島からの避難児童に偏見
毎日新聞 4月13日(水)22時17分配信

 原発事故で被ばくを恐れ福島県から避難してきた子供が「放射能怖い」と偏見を持たれるケースがあるとして、千葉県船橋市教委が全市立小中学校長らに配慮するよう異例の指導を行っていたことが分かった。福島県南相馬市から船橋市へ避難した小学生の兄弟の事例では、公園で遊んでいると地元の子供から露骨に避けられたという。兄弟は深く傷つき、両親らは別の場所へ再び避難した。大震災から1カ月たつが、福島第1原発の深刻な事態が収まる見通しは立っていない。知識の欠如に基づく差別や偏見が広がることを専門家は懸念している。【味澤由妃】
 南相馬市の小学生の兄弟のケースは、避難者の受け入れ活動に熱心な船橋市議の一人が把握し、市教委に指摘した。市議によると兄弟は小5と小1で、両親と祖父母の6人で震災直後船橋市内の親類宅に身を寄せ、4月に市内の小学校に転校、入学する予定だった。
 兄弟は3月中旬、市内の公園で遊んでいると、方言を耳にした地元の子供たちから「どこから来たの?」と聞かれた。兄弟が「福島から」と答えると、みな「放射線がうつる」「わー」と叫び、逃げていった。兄弟は泣きながら親類宅に戻り、両親らは相談。「嫌がる子供を我慢させてまで千葉にいる必要はない」と考え、福島市へ再び避難した。
 福島県から県内に避難し、この家族をよく知る男性は「タクシーの乗車や病院での診察を拒否された知人もいるようだ。大人たちでもこうなのだから、子供たちの反応も仕方がない。でも、当事者の子供はつらいだろう」と話す。
 市議の指摘を受け、船橋市教委は3月28日「(放射能への)大人の不安が子どもたちにも影響を与え、冷静な対応がとれなくなることが危惧される」として、避難児童に「思いやりをもって接し、温かく迎える」「避難者の不安な気持ちを考え言動に注意する」よう市立小中学校長らに通知した。
 市教委によると今月から市内の学校へ通う被災者・避難者の子供は43人で、うち38人は福島県出身という。
 避難児童を多数受け入れる市立行田西小学校の中村俊一校長は、「温かく迎えるのは言われなくても当たり前のこと」と強調。「放射能を巡る偏見や方言で児童を傷つけることがないよう注意深く見守ろうと、教職員に何度も話している。始業式や入学式で『いつか古里に帰れる日が来るでしょう。その時に船橋に来て良かった、友達ができて良かったと思ってもらえるよう仲良くしてください』と呼びかけた」と話す。
 市教委に指摘した市議は「話を聞き、心がさみしくなった。船橋の子供たちにはいつも『思いやりのある人になってほしい』と言っている」と話す。

 千葉市稲毛区の放射線医学総合研究所(放医研)は福島第1原発事故直後の3月14日、放射線や被ばくを巡る電話相談窓口を開設。研究員や退職者6人が朝から深夜まで応対している。相談は主に首都圏から寄せられ、すでに6000件を超えている。
 震災直後は「原発近くに住む親類を家で受け入れたいが、自分の子に影響はないか」という内容が多かった。その後、避難者の数が増えると「アパートの入居で難色を示された」「福祉施設や病院で被ばく線量を調べるスクリーニング検査の証明書の提出を求められた」などの相談が急増した。
 今回の船橋のケースも踏まえ、放医研の柿沼志津子博士は「大人をまず教育したい。受け入れる側が心配すべきことは何もありません。むしろ心配しすぎる方が体に悪い」と指摘。「放射線について正確な知識に基づき、『正しく怖がる』ことが大切です。もっと勉強してほしいし、私たちも理解を深めてもらえるよう努力しなければならない」と話す。放医研は相談窓口(電話043・290・4003)を当面続けるという。


          ◇          ◇

 わっはっは、こりゃまた大洗海水浴場! ……あ、あそこも被災したんだよなあ。すみませんすみません。
 でもまあ、ガキなんてそんなもんそんなもん。ろくな教育受けてない大人にも、善意は期待するが知識は期待しない。教科書や受験参考書には載ってないですからね。

 まあ、あれだ。たとえばイエールジ・コジンスキー(ジャージ・コジンスキー)の『異端の鳥』あたりを、最も根の暗い高校時代あたりにずっぷし読み込んだりしてしまった狸世代の文芸おたくだと、人間に対して思いやりを期待できるのはあくまで同種としての親近感を抱いてくれたときだけ、という厳しい現実に打ちひしがれたりもしてしまいがちだが、この世界の何をどこまで『同種』と感じるか、そのあたりは、やっぱり昨日借りてきたシュティフターあたりまで根性入れて度量を広げ気を鎮めないと、なかなか達観できないわけである。
 しかしコジンスキーもシュティフターも読者数は限られ、しかもそれぞれ時代や風合いが違いすぎて読者層が重複しない。よって、それらの汚濁世界や清浄世界が実は同じ所に帰着するのである、といった達観が得られない、そのあたりに一般世間の文学的限界があるわけだ。……などと社会の敗残者がエラソーに、このこのこの。
 でもまあ、「わー、放射能がうつるー」程度のノリで己の矮小な世界に遊び転がるガキの後ろ頭を力いっぱい張り倒して矯正に導くくらいの知識は、敗残者でも獲得し続けなければいけないよなあ、大人ですもん。

 思えば狸の幼時は、先進各国が大気圏内核実験しまくり時代。国内原発も(当然原発事故も)ないのに、しょっちゅう『放射能雨』が降り注いでいたので、うつるもうつらないもなかったんですけどね。みんないっしょに、「わー、頭がはげるー」、とたぱたとたぱた。

 結論として、全生物、同じ穴の狸。ただし一部微生物は除く。


04月12日 火  逍遥歌

 2連休、とゆーか、アブれ。
 いつもなら午後まで、半日以上寝て暮らすところだが、なにかと地べたも大気も精神も不安定なためか午前中に目覚め、それっきり眠れないので「あーうー」などと呻きながら起き出す。
 おとついもらって帰ったカップ麺(投票所の休憩室で余ったのを、4つももらって帰ったのである)を食い、郵便局で『茉莉花館』の最終応募原稿を投函。全編のプリントアウトチェックは、今日まで3回やった。以前の応募時を考えれば、そこまでやっても誤謬や誤変換が残っている可能性はあるのだが、まあ何年か前にNFNに応募したときは一次選考を通ったわけだから、そうみっともない穴はあいていないだろう。だいたい、これ以上見直す気力もない。
 晴天下の江戸川沿いを、里見公園まで花見徘徊。
 ここひと月のなんじゃやらが嘘のように、風が清い。

          ◇          ◇

 その後、隣駅前の高層物件に入っている市営図書館に寄ると、シュティフターの『ブリギッタ・森の泉・他一篇』(岩波文庫の新刊)が入荷しており、「おお! このうるわしく愛しく清い『世界』はまだ滅びていない!」などと実感する。
 出版不況がどーのこーの活字離れがどーのこーのと言われつつ、シュティフター作品が安価な文庫本として一般市販されるこの国は、やはり得難い文化国家なのである。岩波が偉いだけかもしれないが、その岩波がまだ存続しているのだから、まだこの国はミューズに見放されていない。
 ラノベともエンタメとも、またいわゆる現代文学ともきれいさっぱり縁のない、それどころか古色蒼然の括りにすら入らないかもしれない一見無味無臭のようなシュティフター世界が、現状の狸には、仏の世界をまんま詳述した至高のファンタジーにも思える。19世紀のオーストリアの人で、しかも超マジメ人間だからキリスト教ずっぷしなわけだが、シュティフターの描く自然や人心の中の『神』は、どう見ても創造主様だのヤソ様だの、厄介な窮屈袋から解放されている。
 訳者の高安国世氏による後書きに、こんな一節があった。
『シュティフターは、人生は既に醜悪や闘争に満ちている、何を好んで芸術の中にまでそういうものを持ち込む必要があるか、と考えるのである。』
 と、まあ、そんな詩心の世界で、文章の大半が情景描写だったりするから、ほとんどの方々にお勧めできる世界ではないのだが、たとえば、そう、「私はムーミンの原作に、いっさい挿絵抜き、テキストのみで惑溺する自信がある」、そんな方にはお勧めできる。あの名訳『楽しいムーミン一家』『ムーミン谷の冬』を残してくださった山室静先生も、シュティフター作品を多数訳されております。

          ◇          ◇

 図書館を出てもまだ陽が高いので、誘惑に負けてアキバをめざす。以前にも紹介したエロゲー『紅殻町博物誌』を入手するためである。ネットで調べたところ、『ゲームショップ紙風船』で、未開封品が処分特価1980円。
 エロゲーに1000円以上払うのは何年ぶりだろう。でも、おとついの選挙手伝いをやったおかげで、今日明日の休日予算は、お正月なみに野口英世さん3人ぶん。駅のカツカレーだって食えてしまうのである。
 明日は煙草代しか使えないが、食糧の備蓄はある。本日の戦利品ふたつで、心も当分飢えずにすむだろう。


04月10日 日  やや脱力。しかし陽はまた昇るに違いない、と信じることにしよう、うん。

 千葉県議選挙の手伝いを、朝の6時半から夜8時半まで途中休憩1時間のみでやって、ほとんど事務労働とは言いながらそれなりにくたびれたわけだが、ご存知のとおり、浦安市が液状化問題でアレのため選挙業務を実施できず、どうもなんだかよくわからない状況なわけである。狸が手伝ったY市の投票所でも、投票率は散々だったようだ。しかしまあ派遣としては実に割のいい仕事だったので、浦安市の再選挙でも口がかからないかなあ、などと、他市の不幸に便乗しようとしてしまう不埒な狸が一匹。でも浦安の液状化した現場を横目で見ながら隣の倉庫でせっせと労働したりもしていたので、なにとぞご容赦。

          ◇          ◇

 で、突然、20年以上も前の、本邦ロック・バンドを紹介。

          

 短命に終わったこの『デッド・チャップリン』、メンバーは古いメタル系のファンなら周知の実力派ばかりであり、まああんまり実力派ばっかり集まりすぎてテクに走りすぎ、【とにかくどがちゃがどがちゃが脳味噌をかきまわしてなんだかよくわかんないトリップに引きずりこむ】【無節操なように見せて実は一般市民でもノリやすいキャッチーなメロディーとリズムでウケる】【俺でもなんとかカバーできるんじゃないかとヘビメタ・キッズが親近感を抱くようなスキを見せる】といった売れ線路線から、きれいさっぱり逸脱してしまっている。
 しかし狸は、これほどメンバー全員が超絶プロ技巧を見せびらかし、全員がスタイリッシュでクールであり、しかも集団として破綻していないメタル・バンドなど、『デッド・チャップリン』の後にも先にも見たことがない。世界中探してもないだろう。なのに、すぐに解散してしまったのは、それぞれがどこに行っても一流として食っていけるからであり、なんといいますか、もともと全員がひと組に集まること自体、奇跡に近いバンドだったのですね。
 20年前とはいえ、この日本には、そんな奇跡が起こり得たのである。
 ならばこれからも、奇跡は起こせるに違いない。人それぞれが真摯に我が道を行けば。


04月08日 金  日雇い雑想

 某NTTの関連倉庫で、久々に親しい日雇い仲間と顔を合わせた。何年か前、化粧品容器製造工場に2ヶ月ほどレギュラー的に通ったとき、いつもいっしょだった、40代なかばのスリムなおっさんである。痩せて貧相、と言ってしまうと身も蓋もないが。
 で、本日、何年ぶりかに隣で働く狸の鼻に、彼方向から、なんじゃやら不穏な異臭が漂ってきた。ホームレス臭である。いや、別に家があっても、何ヶ月か風呂に入らず体も洗わないでいれば、誰でも発するあの発酵臭ですね。まあ不精なひとり暮らしの学生とか、寝たきりオムツ老人とか、一般人でもかなりの体臭を発する方はいるが、年季の入った浮浪者さんが発する臭気には、また違った『多層熟成垢臭』とでも言うべき臭気がある。狸自身はまだホームレスをやっていないが、定職があった時代、職場に紛れこんできたホームレスさんに度々対処する、つまり冷暖房完備のSCの休憩所から内心すまんすまんと思いつつ職務上非情に追い出す立場だったので、その臭気には慣れている。
 その派遣仲間は、化粧品容器工場時代にはきちんと持ち家があったはずで、夏場でも体臭など感じなかった。本日、不審に思い改めて見れば、明らかに顔中の髭なども、もはや無精髭を通り越し、放置髭と化しつつある。
 ……もしや家も風呂も失ったのですか?
 などと本人に訊くわけにもいかず、お互い黙々と働いてそのまま別れたのだけれど、さすがにちょっとキモチがアレになった。
 真面目な人なのである。狸よりはるかに几帳面で、くそつまんねー(おい)機械的作業を、ちょっとでも余分にこなそうと、効率的に頑張ったりもする。そんな人なのに、いや、だからこそ下手にローン組んで『持ち家』など持ってしまったことが、非正規労働者化してからは、かえって転落に拍車をかけたのかもしれない。
 まあ、家のない日雇い派遣従事者なんて、今どき珍しくもなんともないんですけどね。ワンコールワーカーというくらいで、いったん携帯を持ち、その料金さえ払っていれば、どこで寝ていようが日銭にはありつける。
 そもそも、自分ひとり生きているだけなら日銭もいらない。食い物は街に捨ててある。

          ◇          ◇

 ちなみに狸は、まだまだ余裕ですよ余裕。その証拠に、今回の選挙でも投票所の手伝いの口がかかった。臭くもヨレヨレでもない証拠である。
 明日はたった2時間の打ち合わせと事前準備でほとんど日銭にならないが、本番の日曜は、ほとんど体を使わず、ただ拘束14時間に耐えるだけで、けっこうな実入りになる。
 で、先日の帰途、自分のぶんの不在投票を済ませてきたのだが――また共産党に入れてしまいましたよ狸は。前回に続き、感情右翼の狸が共産党に票を入れざるを得ないのですよ。入れたくて入れるのではない。例によって、いちばん入れたくなくない人を選んだだけである。なまねこなまねこ。

 ところで『谷垣総理』の話は、流れちゃったようですね。さすがに政権党は強い。いっぺん自分から「震災の始末は党違うけど谷垣さんお願い」と言ってしまい、よそ目にももうどうしようもないと解っている現総理を、党自体の覇権と面子を維持するためには、降ろすわけにいかない。なまねこなまねこ。


04月07日 木  故郷


          

 この映像は、今夜初めて目にした。
 大船渡か……確か新沼謙治さんの故郷だな。
 と、いうことは――この歌のふたりは、無事に津波から逃れ得たか。

          

 しかし歌というものは、その成立年度に関わらず、歌われるたび、あるいは聴くたびに、その時空に刻まれるシャボン玉のようなひとつの時空のようにも思われる。
 ならばこのふたりは、帰るべき故郷を失い、渋々、住みにくい東京へと引き返すのか。それとも、別の北の町に活路を求めるか。
 いや、きっと10年後あたり、もう一度この歌をしみじみと歌う、あるいは聴くときには、ふたりの先にも懐かしい、北の、雪融けの町が待っているに違いない。
 もっとも放射性物質は心配だが、まあその頃は、東京だって似たようなもんだろう。

          ◇          ◇

 今回のような災害が起こると、いくら生まれ育った土地でも、なんでわざわざそんな危険なところに住み続けねばならんのだ、などと言い出す方が、必ずいらっしゃる。
 でも今んとこ、地球以外に住めそうなとこ、ないからなあ。ならば地球の上で、少しでも安らげる場所を選び続けるしかない。田舎者には、津波や噴火より肌の合わない気性の土地が、いくらもある。


04月05日 火  遙かなりシティ・ライフ

 山形の子狸が東京に憧れ始めた頃の流行歌《はやりうた》。

          

 上京した狸が都会に馴染んだつもりで実は敗北し始めていた頃の流行歌《はやりうた》。

          

 いや、だから別になにがどーしたって話でもないんですけどね。


04月03日 日  生きる

 とりあえず生き残った者として、死ぬまで黙祷は捧げよう。雀の涙だが、義援金も送った。
 しかし、個人的にこれ以上の自粛は不可能である。東日本大震災以前から、狸は1日500円の食費で生きている。
「いやいや、そもそも食いたくとも食えず、風呂に入れない人々も多いのだ。新聞なんてとるのやめて、風呂も3日に1度程度にせよ」と言われるかもしれないが、そうしてしまうと、狸は狸固有の『毎日』というものを、毎日毎日こなしてゆく気力が保てない。

 ともあれ何が起ころうと、いい時代だ。狸は日々、米も肉も魚も野菜も卵も食っている。幼時を思えば夢のようだ。猫にさえ牛肉を食わせてやれる。まあ100グラム97円をさらに処分特価で買ったアメリカ産にせよ、猫も旨い旨いと夢中で食っているし、狸もしかり。でも狂牛病って、どうなったんでしょうね。
 エイズの話題も、近頃ちっとも聞かない。まあこんだけアダルト産業界がナマを標榜し、市井でも『できちゃった婚』などが恥じらいもなくトレンド化するからには、みんなゴムなしでやりまくってるんだろうなあ。サルだよなあ。
 まあそのうちプルトニウムなんかも、世間のトレンドからは外れるのだろう。
 全人類が生殖不能にならない限り、たとえ平均寿命が20歳未満になろうと、牡が精通直後まで、牝が初潮後何年か生きられれば、絶滅はしない勘定だ。

          ◇          ◇

 ああ、いかんいかん。今日こそは、明るい話題を記すつもりだったのに。
 応募用原稿、ようやく梗概まで書いて、プリントしたのに。
 でも、あの話、関東大震災から能動的に立ち直る趣向にしといて良かったよなあ。某作品で懊悩なさっているケイタロウ様には申し訳ないが、やっぱり狸は根っから能天気なのよなあ。

          


04月01日 金  まだ?

 たかこ 「おう、たぬきさん、しかばね。もう、ほねとかわばっかし」
 くにこ 「んむ。これで、わるいたぬきは、いなくなった。このにっぽんにも、ようやく、きぼうのひかりがみえたな」
 たぬき 「ふんふんふんふん」
 ゆうこ 「きゃあきゃあきゃあきゃあ」
 くにこ 「……くぬ! くぬ! くぬ! くぬ!」
 たぬき 「ぐえええええ! ……ぽっくり」

 くにこ 「……なんとゆーことだ。四月ばかが、ほんとうになってしまった。なまんだぶなまんだぶ」
 ゆうこ 「おろおろおろ」
 たかこ 「……んでも、たぬきねいり?」
 たぬき 「ぴく」

          ◇          ◇

 あだしごとはさておき、菅内閣総辞職で、現自民総裁・谷垣禎一氏が総理になるって話は、本当なのかな。
 震災以来の経緯を思えば、そうなるしかないか。
 なにかと影が薄い、お坊ちゃま扱いの谷垣氏だが、いちおう大昔は知性で売った宏池会、この状況で見せてくれるか平衡感覚。
 見せてくれなきゃ困るのよ。お願いだから見せてくれよう見せてくれよう。……もはや涙声の狸が一匹。