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09月30日 金  けほけほ

 ガラガラエッヘンケホケホケホ。……まだやってます。大好評ロングランの予感。歳なのさ。
 しかしこの気温の乱高下はなんとかならんか。何を掛けて寝ていいんだかちっとも判らんぞけほけほ。


09月27日 火  こんな夢を見た

 まだ若い自分が、恋人と連れ立って城跡の石垣の上を散歩している。故郷の霞城公園らしく、青空に蔵王なども遠望できる。しかし石垣がなぜか異様に高く、堀の水面まで何百メートルもありそうだ。
 その切り立った絶壁のような石垣から、恋人が足を滑らせて落ちてしまい、あっと言う間に小さくなって見えなくなってしまう。自分は泡を食ってその名を呼びながら、石垣の内側の土手(内側が普通の高さしかないのは、夢のことなのでご愛敬)を駆け下りて堀端に回る。
 そのまま堀に飛びこみ、落下したと覚しいあたりまで泳いで行くが、恋人の姿はどこにも見当たらず、メダカほどのカラフルな小魚が泳いでいるだけだ。しかし良く見れば、それが恋人なのである。つまり『あっと言う間に小さくなって見えなくなってしまった』のに合わせて、物理的にも縮小してしまったらしい。
 何かさかんに訴えかけているその恋人を、自分は掌に掬い上げるが、何を言っているのかは、小声すぎて聴き取れない。

          ◇          ◇

 ――とまあ、奇妙な夢を大量に見たような気がする今朝の記憶のうち、鮮明に思い出せるのは上記の情景だけだ。
 しかし枕元のメモパッド(夢の中で大層面白いシークェンスに遭遇することがあるので、記録用に常備している)には、自筆した記憶のまったくない、こんな走り書きが残されている。

     
人生消しゴム

 確かに狸の筆跡なのだが……誰か教えてください。人生消しゴムって、どんな消しゴムですか。


09月25日 日  雑想

 さあ、出す物は出したぞ。すっきりしたぞ。後は野となれ大和慣れ。……委細省略、誤変換御免。

          ◇          ◇

 ところであいかわらず風評被害で米が売れないの魚が売れないのと東北方面の悲嘆が続き、しかし政治中枢は「そーゆーこまごました問題は下々の民にお任せします」とばかり政局調整に明け暮れ、といって巨視的になんか考えてくれているのかどうかも判然とせず、一介の狸としては「あー、なんか、もーどーでもいいや」的な吐息を漏らしがちなわけである。
 ともあれ、とりあえず暫定基準値内の米や魚なら、それが福島産でもちょいと多めにオマケしてくれるなら喜んで買いますし、仮に基準値の2倍でも2割引にしてくれれば喜んで食いますよ、とまあ、そんな所存の狸です。同様に考える貧乏人は現状のこの国なら無数にいるはずなのだが、要は流通業者が率先して自己保身に走っているわけで、一見威勢のいい築地のお兄いさんたちなども結局はケツの穴のコマい虚勢野郎ばかりになってしまったのだなあ、と、今後は謹んで軽視させていただきます。だってキロ100円以上つけるお兄いさんがひとりもいなかったらしいですもんね、小名浜水揚げの鰹。放射性物質の検出されなかった宮城沖漁場物件でも。イキのいいのが自慢の魚河岸野郎などと自称しつつ、結句、日和見のチンカス野郎ばかりなのですよ、商売人という人種は。なんて、狸も数年前までは、そっち側で稼いでたんですけどね。でもまあ、その後キビしく反省して、きっちり無一文になりましたんでご勘弁。

          ◇          ◇

 ところで、今さらながらアイヒェンドルフの浪漫世界に萌え狂いそうになっている狸は、今後、いかに生きればいいのかしらん。いや、マジに酔ってしまったもので。『大理石像』とか。姉や従姉の買ってくる少女漫画を読みふけった幼時みたいに、なんだか世界がハニーテイスト。うっふん。


09月23日 金  究極の選択

 カレンダーの赤印とは無縁の狸なので、本日もヨレヨレで帰宅、さあ先に風呂にしようか飯にしようかそれともあ・た・し? などとやくたいもなく独語しつつふとテレビをつけると、NHKで『マイケル・サンデル 究極の選択 第3回 「ビンラディン殺害に正義はあるか」 』などという面白い特番をやっており、ついつい最後まで見入ってしまった。端的に言えば、無差別大量テロ殺人の頻発する現代において『人が人を殺す』ということの根本的是非を、中国・アメリカ・日本のエリート学生たちがマイケル・サンデル氏の司会進行でテレビ討論する、そんな番組だった。
 狸とはまったく正反対の良識的正論を述べ続ける育ちの良さげな東大のおねいちゃんになぜか激しく萌えてしまった、とゆーよーなド畜生レベルの感想はちょっとこっちに置いといて、久しぶりに学生時代の理屈っぽいダベリング気分に浸り、麻痺しかかった初老の脳味噌が、ずいぶんほぐされた気がする。
 で、その番組の趣旨なども、この際ちょっとこっちに置いといて――見終わった後、風呂でフヤけながら、こんなことを考えた。
 全人類が残らず善人になったとしても、世界中で殺し合いは続く。殺すことはしばしば合理的・理性的であり、悪とは限らないからだ。ゆえに全人類が残らず善人となった社会では、全人類がそれぞれの正しさゆえに殺し合って死に絶える可能性は、ゼロではない。まあ限りなくゼロに近いだろうが、けしてゼロではない。
 逆に全人類が残らず悪人になったとしても、愛し合うことはできる。愛することはしばしば不合理であり、正しいとは限らないからだ。だから全人類が残らず悪人となった社会では、全人類が殺し合って死に絶える可能性はゼロである。お互いが不正であることを承知の上で、愛し合う馬鹿が必ず出てくる。
 自力作善ほど仏に遠いものはないのである。

          ◇          ◇

 先週ようやく『輝ける碧き空の下で』全巻を読み終え、第一部ほどではないがやっぱり惨くて報われない第二部にずっぷしと頭を抱えた後で、今は頭の巻き戻しのため、ちくま文庫の『ドイツ幻想小説傑作選』(今泉文子編訳)を借りて読んでいる。中身はアイヒェンドルフだのホフマンだの、18世紀末から19世紀初頭のドイツ・ロマン派ずっぷしだが、文庫自体は去年出たばかりの新訳である。前に借りた岩波文庫の新刊シュティフター物件といい、ほんとうにこの国の出版文化は海外文学に篤い。そのくせ昭和の日本文学なんか、名著でも片っ端から絶版になる。その上、日本語でろくに挨拶もできず漢字の読み書きもできない小学生に英語まで仕込もうというのだから、そのうちスーパーライトノベルなんてのが登場し、日本文芸新刊の主流になるかもしれない。
 あ、でも、なんか語感がラノベより良さげですね。スラノベ。


09月21日 水  つんぼさじきの人々

 なんか久々に台風らしい台風が来たなあ――5階建ての最新湾岸倉庫を揺るがすような強風豪雨の響きを聞きながら、つくづく実感はしていたわけである。休憩時間に休憩室の窓から見る東京湾は渺々と白い波頭に覆われ、雨脚は雨滴でも雨線でもなくほとんど全天最強シャワーで、窓ガラスは雹でも浴びているようにバシバシ震動する。このぶんでは首都圏の交通もめいっぱい乱れているのだろうなあ、と皆で心配しつつ、じゃあ実際の外界の社会状況がどうであるかは、ラジオもテレビもないので、派遣やパートにはちっとも判らないのですね。
 結局夕方5時、いったん全員が作業本部に呼び集められ、社員の方から状況説明。周辺の交通は地下鉄を含め完全にストップしており、最寄り駅への送迎バスも強風のため当分出せない、そんな話。狸ら派遣は、もともと8時くらいまで残業する予定で来ているからいいのだが、かわいそうなのはパート主婦の方々だ。ご家庭の都合やお子さんのあれこれで、どうしても定時に上がらねばならない方が、ふたりばかり。たぶん社員の方が小型車で送ったのだろうと思うが、路肩に転がったり海に落ちたりせずに、ちゃんと帰れたのだろうか。
 ちなみに狸らは8時終了、ようやく送迎バスが出たのが9時15分、大渋滞にもまれて駅に着いたのが40分後(通常10分弱)、止まっていた電車が運行再開したのが10時20分頃、狸穴帰着は11時ちょっと前。さっそくテレビで台風のグアイを確認したら、当然ながらすでに東北方面の心配事ばかりで、狸らがおたおたしていた日中の首都圏のグアイなど、もはや知りようもないのであった。
 しかしまあ、震度7でも倒壊しないと折り紙付きの現場で安穏と仕事をして、台風情報が聞けないだのなんだの文句を言うのは贅沢だろう。
 結局、狸の台風被害は、買ったばかりの傘1本。広げて数秒のはかない命であった。

 ちなみにガラガラエッヘンケホケホは、まだ治っておりません。なんぼか涼しくなったらしい世間の片隅で、狸はあいかわらず汗まみれです。


09月18日 日  ガラガラ

 夏風邪は、ガラガラ声とエヘン虫に定着したようだ。ごくたまに痰が絡む咳も出る。しかし熱っぽさや全身症状は、すっかり消えた。思えばこのパターンは、狸が子供の頃の夏風邪にそっくりである。あの頃の狸は、心身ともにとても繊細な、都会派の、蒲柳のごときデブだったので、一度夏風邪をひいてしまうと、夏が終わるまではケホケホと咳きこんでいたものである。ほっといても夏が終われば治る。問題は、あの頃の夏はせいぜい9月初旬で終わったが、今年の夏は10月前に終わってくれるのか、それだけだ。

 明日も連休の予定だったが、お声がかかったので、やっぱり午後から仕事。タ●ラト●ーの玩具の配送拠点である。ああ、ありがたい。あそこは重量物とは無縁だし、そこそこ冷房も効いているはずだ。そのぶん時給が安いのはご愛敬。

 ところで、いつもの投稿板で甘木様の幻想短編に入れた感想の中、似た傾向の過去作を『猫供養』と記したが、なんだか記憶違いのような気がして先刻調べたら、『猫供養』は、その後『常世花』に改作されていたのですね。でもまあ、わざわざあちらで感想を入れ直すのもなんなので、もし甘木様がこちらをご覧になっていらっしゃいましたら、ぺこぺこぺこぺこ。


09月16日 金  生活保護オマケ付

 ついに狸も生活保護を受けることになった、というような、めでたい話ではありません。今日も死ななかったので、まだ税金を払う側におります。
 本日帰穴後、生活保護ネタのNHKスペシャルを観ていたら、あれが適用されると医療費も薬代も全額地方自治体負担になるので、受給者が病院に行くと、ある種の医者は喜んで大量の薬を処方してくれるのだそうだ。精神安定剤や睡眠導入剤まで。で、一部の受給者はそれらの薬剤を転売して、小遣い稼ぎをしているとか。
 うわあ、いいなあ。狸はここまでビンボしても、いまだに医者で金を払っている。遅れ気味とはいえ、国保も失効しない程度に払い込んでいる。なのにお医者は、必要最小限の薬しか出してくれない。たまにはオマケくらいくれてもいいのではないか。ビタミン剤とか。余った注射器とか。喉飴でもいいな。ちょっと美人の女医さんが、狸の血圧を計りながらさりげなく顎の下を撫でてくれる、そんなキモチだけでもいい。

 ともあれ女医さんの処方してくれた各種のヤクで、喉のガラガラもだいぶ楽になってきた。体のほうも、朝のゾンビ状態から、午後には常人の0.7倍速程度で動くようになった。明日は午後から仕事だが、日曜と月曜は人並みに連休である。わーいわーい。
 なんて、今週は3日も休んでたんですけどね。


09月15日 木  ゾンビ化

 朝、微熱。
 昼、発汗。
 夕、平熱。
 喉がガラガラで、ぐぞぐぞぼーどうびでぼがびやがれい(翻訳不能)な気分ではあるが、ともあれ熱は治まったので、腐爛を避けるため明日から倉庫復帰。
 この状況では、正味、ゾンビ以下の動きしかできないと思うが、どうかごかんべん。酷熱に慣れた、本場ハイチの屍ではない。北の狸の死骸である。いかに強力なブードゥーの呪いをかけられようと、土の下で「あーうー」とか寝返り打ってるだけでも、不思議はないのである。
 墓場から蘇るだけマシだと思ってくださいご主人様。


09月14日 水  仮死

 早朝、全身しとどに濡れそぼった状態で目覚め、「あーうー」などと呻きながら、下着やパジャマを着替え、ヨーグルトを食って薬を飲み、また寝る。寝る前にエアコンを最強にしておいたが、午前中、再び全身しとどに濡れそぼった状態で目覚め、「ぐぬぬぬぬう」などと呻きながら、下着やパジャマを着替え、また横になる。しかしすでに日が高いせいかチンケな窓用エアコンなどほとんど送風機程度の効力しかなく、あっという間に全身しとどに濡れそぼった状態で「いいかげんにしろこのクソバカヤロウ!」などと叫びながら起き出し、みたび着替える。水を飲まなければ汗は治まるのかもしれないがそれでは熱中症で死ぬ恐れがあるので水を飲み、このまままた寝ると蒲団が全身おねしょ状態になってしまうので椅子に座ったまま汗が引くのを待ったがうすらぼけーっと座ったまんまでやっぱり全身しとどに濡れそぼってしまい、さらに着替えながらふとラジオをつけると気象情報で『残酷暑』などという新語を披露しており、「……わかりました。この時点でワタシはすべてのナニをアレします」といった意の呟きを呟いたような気もするが自分で確信の持てないまま、いつのまにかまた蒲団に横になったらしい。で、こんどは泥のように熟睡し、目覚めれば午後。なぜか汗はすっかり引いて、くるまっているタオルケットも敷蒲団もポカポカと乾燥して気持ちよく、「ああ、カラカラだ。身も心もカラカラだ。シヤワセシヤワセ」などと仮死状態を楽しんでいるうち、このままだとマジに熱中症で死にそうな気がして、慌てて飛び起きて大量の水を飲む。
 ことほどさように、病んだ小動物は、大自然の中でナスのヘタのように無力だ。しかし薬の効果か大量発汗の結果か鰻の滋養か、熱はいくぶん下がっていた。
 さて、問題は――通常の4倍のイキオイで増殖する汚れ物を、誰が洗ってくれるのか。ここは働き者の小人さんに任せるしかないか。しかしあいかわらず政治中枢はマヒしたまんまで震災復興もままならぬ当節、小人さんたちは、ほとんどあっち方面で手いっぱいとも思われる。
 どうせ自分で洗濯するのならと、諦めてヨタヨタと外に買い物に出、それによってさらに増えた汚れ物をタラタラと洗い、自分自身も丸洗いする。

 さすがに明日の仕事も出る気がしない。しかしまた寝てしまうのはあまりに怠惰な気もして、月末締切の某短編公募に送る予定のナニをアレしたり、諦めきれない茉莉花物件を講談社のメフィスト投稿向けにソレしたりもする。
 まあ未練たらたらで死ぬのも、気にさえしなけりゃ成仏だしな



09月13日 火  バテバテ

 わっはっは、歳を考えろ歳を。
 とゆーわけで、ぐったりと昼まで眠りこけたあと熱を計れば38度に達しており、予報どおりの炎天下を暑いんだか熱っぽいんだかよくわからないダルダルの体を引きずっていつもの病院に行くと、先月に続いてちょいと美人気味の女医さんに当たり、とたんになんぼか気分がよくなる。狸などというものは、その程度のイキモノなのである。
 で、単なる夏風邪らしい。初期の全身症状を考えると、夏バテ、あるいは軽度の熱中症がきっかけになったのかもしれないが、とにかく今は扁桃腺がまっかっかだそうだ。良かった良かった。いつもの扁桃腺なら、いつもの抗生剤と消炎剤と解熱鎮痛剤さえもらってしまえば、何ほどのこともない。
 大事をとって派遣会社に連絡し、明日の仕事をキャンセルする。決定後の勝手なキャンセルはペナルティーをとられることがあるのだが、まあ電話の相手は慣れ親しんだ内勤のおねいちゃんだし、この時期「いやあ、昨日の仕事で軽い熱中症にかかっちゃったみたいで」と言っておけば、仕事柄、同情はされても追求はされない。問題は、早いとこ復活しないと餌が尽きる、それだけだ。
 肝腎の血圧のほうは、ずいぶん低かった。いつもより血が足りてないのかしら。西友で中国産の鰻を奮発して帰穴。そう旨くはなかろうが、栄養はあるだろう。


09月12日 月  バテ

 あまりに長い苛酷な残暑のため、ついに体力が尽きたか。それともなんか傷んだものでも食ってしまったのか。
 昨日起きると頭や体の節々が痛く、体温を測ると37度5分の微熱があり、あまつさえ嘔吐や下痢まで始まってしまった。胃腸のほうは夜中までに治まったが、微熱はとれず、とにかく全身が気怠い。それでもこの程度の微熱で寝こんでいては、このところ連日38度の熱に苦しんでいらっしゃるらしい甘木様に申し訳がたたないので、本日はいつもの倉庫作業に出かけた。
 わははははは。マジにぶっ倒れるかと思いました。元気でお若い派遣仲間の方々が、「……だいじょぶ?」などと本気で心配してくれたほど。でも最後まで働きましたけどね。早退すると即給与が減ってしまうのが非正規労働者の宿命だ。
 で、当然微熱は続いており、といって半分腐ったコンニャクのような臭気を放ったまま寝る気にもなれず、もーどーにでもなれと風呂でフヤけまくったわけだが――上がりまくるのではないかと危惧された体温はあんがい微熱のままで、頭痛や気怠さは、だいぶ治まった。やはり狸の霍乱には、温湯浴なのだなあ。
 明日は幸いにして、月イチの通院日(高血圧のほうの)である。昼過ぎまでゆっくり眠れるし、場合によっては別の薬ももらえる。しかし実際ただの夏バテだった場合、やっぱり薬よりは、鰻かなんかだろうなあ。


09月10日 土  長い夏

 子供の頃、『夏』という季節を、他の季節より特別短いものと感じていたのは、なぜだろう。北国の山形とはいえ、盆地性の気候で、けっこう蒸し暑い日々が長期間続いたはずなのだが。昼が長く、外で遊べる時間が多かったので、夏の終わりを惜しむという感情が強かったのか。つまり、単に今より元気だっただけかもしれませんね。今はもう、夏なんて、ひと月くらいで終わるのが吉。
 思えばここ何年か、6月中旬から9月中旬まで、しっかり年間の四半分が夏で占められている。昔は『日射病』と呼ばれた日盛り限定の軽い病気も、今では『熱中症』で、太陽とは関わりなくポックリ死んだりする。しかしこれが地球温暖化とやらのためだとすれば、これまで人間が容赦なく地球を痛めつけてきたイキオイに比べ、報復としては、まだ軽い気がする。人間のほうが、勝手に弱くなっているだけのような気もする。
 ともあれ、いつまで続く、連日全身汗の滝。

          


09月08日 木  ぶつぶつ

 東京電力福島第一原発事故の風評被害で苦しむ福島県の農家らを支援しようと、福岡市西区の商業施設「マリノアシティ福岡」で17日に予定されていた「ふくしま応援ショップ」の開店が、中止されることになった。
 出店を計画していた同市の市民グループ「ふくしまショッププロジェクト」に、「福島からトラックが福岡に来るだけでも放射性物質を拡散する」といったメールや電話が相次いだためで、同団体は新たな出店先を探すという。
 同団体によると、農産品の宅配を行う「九州産直クラブ」(福岡市南区)と連携し、マリノアシティ内の農産品直売所「九州のムラ市場」の一角で開業する予定だった。生鮮食料品の取り扱いをやめ、福島県の生産者から仕入れたジャムや梅干し、乾めんなどの加工品を販売する計画で、放射線量が国の暫定基準の10分の1以下であることが確認されたものに限る方針だった。
 8月26日に出店を発表したところ、同団体などに「出店するなら不買運動を起こす」など、放射能に汚染された食品が福岡に持ち込まれることを不安視するメール十数件と電話が多数寄せられたという。今後、同団体は別の出店先を探し、通信販売を検討するという。
 同団体の石井洋平事務局長(31)は「出店の契約を交わしていた九州のムラ市場側から、受け入れ断念を通告された」と説明。「安全が確認されたものだけを販売する予定だっただけに残念。何とか福島の生産者を支援する方法を探したい」と話した。
 これに対し、同市場は「契約は成立しておらず、双方の話し合いで白紙に戻すことになった」と反論している。【読売新聞 - 09月08日 12:02】


 わっはっは、松本龍騒動の腹癒せに、南方の土方やヤクザが騒いでいるな。しかしまああの辺り、戦前あたりまではまだしも『アツい侠気の国』っぽかったが、戦後はすっかり『頭のあったかい夜郎自大の国』っぽくなってしまったなあ。まともな教育を受けられなかったがゆえの寸足らずなら同情の余地もあるが、自発的にまともな教育を忌避した上での寸足らずなら、ただちに己を恥じて自刃すべきである。どこに消えた、男一代無法松の心意気は。

          ◇          ◇

 
衆院科学技術・イノベーション推進特別委員会(川内博史委員長)は7日、東京電力が福島第1原発の「事故時運転操作手順書」の大半を黒く塗りつぶして開示したことを明らかにした。委員会が「事故原因の究明のために欠かせない」として、東電に提出を求めていた。別の「シビアアクシデント(過酷事故)発生時の手順書」については、開示にすら応じなかった。同委員会は9日までに開示するよう再度要求した。
 提出された事故時運転操作手順書はA4判計6枚。「主要項目」や「当直長(当直副長)」など4項目に分類され、それぞれの手順などが書かれている。しかし、ほとんどが黒塗りされていて、かろうじて読めるのは、「原子炉圧力(容器の圧力)が上昇した時、非常用復水器の使用などにより圧力を●〜●メガパスカル(●は黒塗り)に維持、報告する」といった記述に限られる。
 同委員会は、8月26日に経済産業省を通じ、操作手順書などの提出を東電に求めた。同省原子力安全・保安院によると、東電は9月2日に提出したが、その前日の1日、一般への非公開を条件とするよう打診していた。保安院は断ったものの、受け取った黒塗りの文書をそのまま委員会に届けただけだった。
 東電は「知的財産が含まれ、核物質防護上の問題が生じる恐れがある」などと説明しているという。川内委員長は「(黒塗りの資料は)極めて遺憾。手順書の開示に応じない場合は、幹部の参考人招致も検討する」と批判した。【足立旬子、河内敏康、関東晋慈】【毎日新聞 - 09月07日 23:40】


 わっはっは、スミ塗りだらけの教科書ですか。敗戦を認めた訳ですね。でも「A級戦犯は戦争犯罪者ではない」、と。
 確かにA級戦犯の中には立派な方もいらっしゃった訳だが、こーゆー感じの夜郎自大な連中も多かったわけである。

          ◇          ◇

 それでも人は、シャングリラの夢を見る。

          

             
Have you ever dreamed of a place
             Far away from it all
             Where the air you breathe is soft and clean
             And children play in frields of green
             And the sound of guns
             Doesn's pound in your ears

             Have you ever dreamed of a place
             Far away from it all
             Where the winter winds will never blow
             And living things have room to grow
             And the sound of guns
             Doesn't pound in your ears anymore

             Many miles from yesterday before you reach tomorrow
             Where the time is always just today
             There's a lost horizon
             Waiting to be found
             There's a lost horizon
             Where the sound of guns
             Doesn't pound in your ears anymore


 ――作詞、ハル・デビット。映画『失われた地平線』(1973)より。


09月05日 月  いろいろ

 小宮山洋子厚生労働相は5日の記者会見で、たばこの増税について、「(1箱当たりの価格を)最低でも700円ぐらいまで引き上げるべきだ」と述べた。
 たばこ増税をめぐっては東日本大震災復興財源として政府与党内で検討されているが、野田佳彦首相は財務相在任中の今年7月、「たばこも酒も税制を通じた『オヤジ狩り』みたいなところがある」と慎重な考えを示している。【産経新聞 9月5日(月)16時34分配信】


 まあ今さら700円になろうが1000円になろうが、驚きませんけどね。
 野田首相が財務相時代にのべたという意見は、煙草も酒も老若男女問わずいまだにやめる気のない人が多いので、『オヤジ狩り』はおかしいだろう。しかし『一部の嗜好者にばかり過大な納税を強いるのは不平等』と言い換えれば、まっとうな意見である。
 ところでダダ漏れ放射性物質も、副流煙同様、放射性物質の好きな方々以外にはとっても不愉快だと思うので、分放射性物質コーナーとか、さっさと日本中に整備してくれませんかね。

          ◇          ◇

 果てしなく続くっぽい蒸し蒸し残暑は、台風に直撃されお亡くなりになった方々など思えば、あえて甘受するにやぶさかではない。
 しかし、ゆっくり風呂に入れるようになったとたん、いきなり背中が痒くなったのには困った。これまでは患部周辺のみが絆創膏類のためカブれていたわけだが、そっちは当然快癒して、逆に背中全体が痒くてたまらないのである。どうも垢や脂を落としすぎたようだ。
 なんぼ汗っかきのアブラ中年とはいえ、体内・体外ともに、若い頃よりも代謝は衰えているのである。加齢臭関係以外のパーツは、あんまりガシガシ磨いてはいけないのかもしんない。

          ◇          ◇

 敬愛する北杜夫先生の『輝ける碧き空の下で』全編を、久々に読み返している。
 先日図書館検索したら、地元の市立図書館にはハードカバーしかなく、第一部と第二部の二冊、それぞれ原稿用紙にして千何百枚もあるブ厚い書籍を読み終えるまで常時携帯するのは少々キツいので、全4冊の文庫版を、わざわざ県立図書館から送ってもらった。極貧ゆえ地方税もろくに払っていない狸のために、お手数をおかけしてすみませんすみません。
 しかしこの歴史的名作、出版界では、もう絶版になってるんですね。
 確かに北杜夫先生の純文学作品は、いまだに人気で版を重ねる『どくとるマンボウ』等のユーモア・エッセイや、綿菓子のように味わいやすいエンタメ系と比べると、たいへん胃にもたれ、いや、心にもたれる。中でも『輝ける碧き空の下で』は、初期ブラジル移民の苦難の歴史を冷静に俯瞰した大河小説であり、キャッチーなストーリーも王道的キャラも見え見えのプロパガンダも、つまり一般ウケしそうな要素がほとんど含まれていない。タイトルのごとく圧倒的に美しい、しかしその下の人間にしてみれば問答無用の苛酷な大自然の中で、ただ生きるために生き、また生きえずしてバタバタと死んでゆく人々の姿が、あたかも博物学的観察でもするように延々と綴られる。つまり現実と文学をどこまで客観的に重ね倒せるか、そんな純文学的意図による(たぶん)大長編だ。
 それを狸が今になって再読しているのは、言うまでもなく例の震災で、大自然と人為の乖離を改めて考え直したくなったからだが――。
 いやもう、現在、特別に惨い第一部を読んでいるためもあり、休憩室や電車の中で慟哭をこらえるのに四苦八苦である。あまりの惨さゆえにある意味『逆カタルシス』(?)に繋がるような、生やさしいシロモノではないのである。悲劇的情動に繋がる感情移入さえ、あっさりと現実的に交わされてしまうのだ。
 こういった物凄いシロモノが、売れない、という理由だけで易々と絶版になってしまった現代日本、やはり大自然の鉄槌と互角に張り合うには、弱体化してしまっていたんだろうなあ。


09月03日 土  フヤける

 夜勤明けの午前、ぬとぬとの毛皮を洗っていたら、背中の絆創膏が流れ落ちた。先日の老医師の言によれば、これで背中の穴が、晴れて完治したことになる。しかし狸は後頭部に目がなく、また狸穴にはちっこいダイソーの鏡があるだけなので、じっくりと傷跡が視認できない。チラリ見と手触りで確認したところ、直径4センチ程度のクレーターの中にT字型の盛り上がりがある、そんな感じだ。そのT字型の切開跡は、どうやらコテコテと黒っぽく固まっており、アップで見れば見るほどグロっぽいようなので、一昨年のキャンタマブクロ同様、写真は残さないことにした。まあ残したくても、背中に腕がないので残せないのだけれど。

 ひと眠りしてから、積もり積もった欲求不満を解消すべく、チャリで銭湯に走る。一番風呂なので、暇そうな爺さんが2.3人いるだけだ。ほぼ貸し切り状態で、1時間ほどフヤけまくる。これでもう、この世に思い残すことはない。この上は大日本帝国臣民として、潔く、でもやっぱり死ぬまではタラタラと生き続け、そのうち業《ごう》が尽きてから、立派な護国の礎になろうと思う。

 ああ、全身を思うさま温湯に浸し、タオルでごしごし背中をこすりまくれるこの至福――などといいつつ、やっぱりクレーターとその周辺はおっかなびっくり撫でるように洗い、帰穴後マキロンぶっかけたりする、小心者の狸。


09月01日 木  けして過去のアレを正当化するわけではないけれど

 でもやっぱり朝鮮学校の無償化ってのは、おかしいと思うのよなあ。やるんだったら、同じ各種学校である一部のインターナショナル・スクールや神学校だって、無償にしなきゃおかしいと思うのよなあ。過去の歴史的アレ云々だとしても、大東亜戦争がらみなら、あちらにだってずいぶん迷惑かけたわけだし。
 まあ、単に民主党政権の意地としがらみなんでしょうけど。
 拉致問題も、意地でも時の流れに任せて風化させる予定なのだろうなあ。案の定、金さんたちから軽く見られて無茶苦茶言われまくりなのに対しても、「まあ表立ってアリラン祭のマスゲームに参加するわけにもいかないので、言外の誠意だけは認めてくださいよ」、そんなところなのだろうなあ。

          ◇          ◇

 小動物らしく萎縮していてばかりでもなんなので、ちょっと景気づけに走る感情右翼の狸。