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06月28日 金  なんだかなあ

 例のPC遠隔操作事件に関して、摩訶不思議な、ふたつのニュース。

<PC遠隔操作事件>地検、有罪立証に自信 弁護側争う姿勢 毎日新聞 6月28日(金)20時55分配信
 「予断と偏見を持たず証拠を見れば、片山被告が犯人であることが間違いなく判断できる」。4人の誤認逮捕につながった遠隔操作事件。捜査を終え、28日に記者会見した東京地検の稲川龍也次席検事は自信を見せた。
 一方、片山被告は一貫して関与を否認し、録音録画が認められないことを理由に取り調べにほとんど応じていない。このため検察側は、間接証拠を積み重ねて「犯人は被告以外に考えられない」という構図を描き、有罪を立証する方針だ。
 捜査関係者によると、(1)米国のデータ保管サービスのサーバーに、被告の勤務先のPCで遠隔操作ウイルスが作成された痕跡がある(2)勤務先のPCに遠隔操作で使われた掲示板への接続記録がある−−とされる。
 だが、検察側は「捜査中で証拠隠滅の恐れがある」などとして、被告の関与を示す証拠を弁護側に開示していない。今後は他の証拠も明らかにする方針だが、28日に記者会見した主任弁護人の佐藤博史弁護士は「片山さんを犯人とする直接証拠がなく、検察は証拠を開示できないのだろう。(検察の)『暴走極まれり』だ」と批判。被告はウイルス作成に使われたコンピューター言語を使えないとして、全面的に争う姿勢を示した。
 争点を整理する公判前整理手続きが東京地裁で進むが、公判の日程はまだ決まっていない。【吉住遊】

PC遠隔操作、計10事件で起訴…捜査終結 読売新聞 6月28日(金)18時6分配信
 パソコン遠隔操作事件で、東京地検は28日、横浜市のホームページに小学校への襲撃予告を書き込むなどしたとして、元IT関連会社社員・片山祐輔被告(31)を威力業務妨害と不正指令電磁的記録(ウイルス)供用の罪で東京地裁に追起訴し、一連の事件の捜査を終結した。
 片山被告の起訴は10事件で、ハイジャック防止法違反1件、脅迫1件、業務妨害7件、ウイルス供用6件の計15の罪に問われたが、被告はいずれも関与を否定している。
 起訴状では、片山被告は昨年6月29日、神奈川県警に誤認逮捕された当時19歳の男性のパソコンを不正操作し、「児童を襲撃する」などと書き込んだとされる。地検はウイルス作成罪の適用も検討したが、作成の時期や場所を特定できず、断念した。
 事件の捜査は、4人の誤認逮捕が発覚した昨年10月に始まり、警視庁などの合同捜査本部が今年2月、片山被告を逮捕。現在、地裁で争点や証拠を絞る公判前整理手続きが進んでいる。


 えーと、毎日の記事にある『
米国のデータ保管サービスのサーバーに、被告の勤務先のPCで遠隔操作ウイルスが作成された痕跡がある』ってのが、検察側の最大のウリなんだよな。しかるに読売では『地検はウイルス作成罪の適用も検討したが、作成の時期や場所を特定できず、断念した。』って……いったいなにがどーなってんだ、江ノ島の猫騒動以来。

 自分らの面子に直結する事件では、とりあえず犯人ひとり、早急に作成する――日本の司直の伝統芸ですね。
 神ならぬ身の狸、事の真実など知るすべもないが、この伝統芸だけは、どうか封印していただきたい。
 仮に『犯人作成罪』があったら、確実に懲役くらう警官さんや検事さんや裁判官さん、古今いったい何百人、いや何千人に及ぶか。なまねこなまねこ。


06月25日 火  畏るべしミケ女王

 さて、先週から断続的に続いていた番猫たちの餌係は、本日をもって任期満了いたしました。これで毎朝早起きせずに済むし、夜の残業もできるようになるので嬉しいことは嬉しいのだが、朝晩みゃーみゃーと足元すりすりをかまされまくる楽しみがなくなり、夜の同伴帰穴のみに戻ってしまうのは、ちょっと残念な気もする。
 ところで今夜、お礼のビールを持ってきてくれた管理人さんと、しばらく番猫談義を交わしたところ、ミケ女王様のツンデレ、いや、デレなしツンは、野良時代からの筋金入りと判明。飼い主となってすでに数年たつ管理人さんさえ、いまだにまともに撫でさせてもらえないのだそうだ。一見かまってもらいたいようなそぶりを見せるので、うっかり手を出したら、手の甲をササラのごとく引っ掻かれ、例のパスツレラ菌に感染してしまい、大学病院に駆けこんだこともあるとのこと。軽い流血くらいで済んでいる狸は、まだ幸運だったのですね。
 そんな気性が災いしてか、ここ二三日、ミケ女王様の御尊顔に、くっきりと赤い線が走っている。明らかに、ご近所の猫と勝負した痕である。もはや女王様ならぬ女親分の行状だが、それでも狸穴の台所で厳かにナマモノを要求するお姿からは、一種の気品が感じられる。
 やっぱり猫の妙味はツンですね。
 などといいつつ、欲求不満の解消に、今夜もわしわしとブチ下僕をいたぶる狸であった、まる、と。


06月22日 土  ちっく

 図書館で借りた『役者 その世界』(永六輔著・岩波現代文庫)に、こんな一節があった。

 日活初期の撮影所長池永浩久が脚本を批評した時の名言。
「お前の脚本にはドラマはあるが、チックがない」


 そうなんだよなあ。
 どんな駄作だって、ライターが創作意欲を抱いた以上、そこに『ドラマ』はあるはずなのだ。ただ、それを読者や観客にツッコむための『らしさ』=『チック』が欠けているのだ。脚色技術、つまり語り口ですね。『ドラマ』を『ロマン』と言い換えてもいい。どんなに『ロマン』が詰まっていても、それが『ロマンチック』であると他人に感じてもらわなければ、大衆向け作品としては成立しない。むしろ『ドラマ』も『ロマン』もなく『チック』だけで突っ走る、イキオイ勝負のヒット作も多かったりする。
 まあ狸個人としては、『ドラマ』さえきっちり構築されていれば、『チック』のほうは勝手に脳内補填させてもらう場合が多いし、『チック』だけのウケ狙いは敬遠したい。
 ともあれ、いわゆる古典的名作を想起し、つらつらつらっと鑑みるに――やっぱり『チック』は不可欠だ。

 自戒せねば、などと思いつつ、ここ半年、打ち始めてはすぐに中断を繰り返す、枯死ぎみの狸。
 それでも一応の言い訳として、ここの表に再登場する過去作は、『ドラマ』や『ロマン』は以前と大差ありませんが、『チック』の部分は、しつこく見直しております。

     


06月20日 木  黒髪

 電車の中などで、漆黒の髪の成人女性を見かけると、近頃やたらと胸が疼く。懐旧の疼きである。
 ことほどさように、日本の女性の髪は、いつの間にやらすっかり色とりどりになってしまった。都会だと、ちっこいろりでさえ、染めているのが珍しくない。狸としては、必ずしもそれが不快なわけではないのだが、いくら体型がすくすくと欧米人なみに育っても、御尊顔の造作自体は依然として平ぺったい倭人顔がほとんどなので、正直、四分六で違和感が勝つ。
 もっとも相手が男だと、赤毛の爺さんだろうが金髪の餓鬼だろうが緑毛の猿人だろうが、ちっとも気にならない。男はどーでもいいのである。

          ◇          ◇

 先だってここでも記した派遣仲間の、肩までかかる三色髪の頭頂近くに斜めチョンマゲを生やした若い衆が、某現場で、お出入り禁止を喰らいそうになった。三色のコントラストがあまりにハデすぎると、現場のお偉いさんから派遣会社にクレームが入ったらしい。もっとも、現場で実際に接する社員さんなどは、彼が人一倍働くのを良く知っているわけで、彼が慌てて髪を染め直したとたん、元どおり入職できるようになった。
 接客業じゃないんだから、見てくれは関係ないだろう――などといいつつ、狸も自戒せねば。
 女性を髪の色で差別しちゃいかんよな。
 近頃ご贔屓のきゃりーぱみゅぱみゅだって、よく見りゃ金髪倭人顔。


06月17日 月  大笑い海水浴場

 ホリエモン「声優ってそんなにスキルいるの?」発言に人気声優の緒方恵美さんや榎本温子さんがコメント
 などというニュースの見出しが、ネットで目についた。
 詳述は避けるが、なんじゃやら『
ホリエモンは現在、岡田斗司夫さんと一緒にアニメを作ろうとしており、その過程を『ニコニコ生放送』や『Twitter』などで公開している。 』らしい。
 わはははははは。あいかわらず世間をナメきっているのだなあ、堀江さん。
 しかし、あの岡田さんも、近頃すっかり、おたくの牙が抜けてしまったようだ。

 教訓その1。
 人間、無事に刑期を終えても、身の程を悟れるとは限らない。
 教訓その2。
 おたくの矯正は、きわめて容易である。おたく以外の妻子を持てばいい。


06月16日 日  雑想

 アブレ日。
 ふだんなら三か月に一度しか行かない床屋に、二か月で行ってしまった。日々、伸びた毛髪(一見70年代藤岡弘風だが実は放置長髪)から滴りまくる汗に、我慢できなくなったのである。
 せめてもの節約のため、990円ポッキリのマックバーバーに行くと、なんじゃやら頭のてっぺんを、三色ソフトからピンク・パイナップルに変化しつつあるようなとんでもねーセンスでキメている若いあんちゃん理容師に当たってしまい、いささか不安だったのだが、予想に反して懇切丁寧、狸の癖っ毛のからまりまくった半白髪頭を、当社比3倍(推定)の入念さで、きっちり整えてくれた。
 そういえば派遣の現場にも、肩までかかる三色髪の頭頂近くに斜めチョンマゲを生やした若い衆がおり、おまけに眉まで薄く剃っているが、性格は素直でとてもかわいい。
 今どきの若者は、ファッションではまったく区別できない。こいつは地味地味ファッションだから真面目そうだ、などと油断していると、とんでもねー無責任をかまされて迷惑したり。つまり、そいつにとってのファッションは『擬態』なのだな。ならば『主張』のファッションのほうが、はるかに与し易い。ちなみに狸のファッションは『成り行き』である。人間に化けるだけで精一杯だ。

          ◇          ◇

 水芭蕉様の日記に、アルツのお祖母様が自分で薬を管理できずワヤワヤになっている話があり、心が痛んだ。数年前の母親を思い出したのである。
 あれは、当人に何をどう教えようとしても無駄である。すでに頭がそうした事象の流れを把握できないのだから、本人以外がすべて管理するしかない。毎日毎日毎回毎回、ぶっちゃけ一日中、管理できる同居人が不可欠だ。
 狸の場合、ケアハウス→グループホームという、身内として最も怠惰な道を選んでしまったわけだが、自分や母親を終日厭いながら生きるよりは、賢明な道だったと思っている。金がかかるのは仕方がない。安価で信頼できそうな特養は、数年行列に並び続けても、ちっとも空きなんぞできないのである。そりゃそーだ。『空き』イコール『先客の退出』、つまり『死亡』である。どんどん空きの出る特養になんぞ、入れたくも入りたくもない。
 まあ、自分は橋の下とか樹海でいいんですけどね、狸だし。

          ◇          ◇

 管理人さんの娘さんが何か手術を受けることになり、付き添いで3〜4日留守になるため、その間、狸が番猫たちの世話を仰せつかった。
 これまでは、管理人さんが留守をすると、一階の老人たちが代理で餌をやっていたのだが、そちらも入院したり引っ越してしまったりで、二階の猫好き狸に順番が回ってきたのである。
 本日、朝晩の餌袋や猫缶や餌皿を預かり、ご苦労賃の高級煎餅もGET。
 ふっふっふ、ミケ女王様そしてブチ下僕よ、しばらくはこの狸が、名実ともに君らの主人であるぞ。
 ……名実ともに奴隷とも言う。



06月14日 金  夏の足音

 などという風流なフレーズはきれいさっぱりちょっとこっちに置いといて、すでに毎日毎日、体毛をしとどに濡らし続ける狸です。
 ところで、毎年夏が近づくと、なぜか一度は起動してしまうエロゲー(またかよ)がございまして、アラフィフすら過去となってしまった爺いが今さらポチっとするシロモノかよと我ながら呆れつつ、今年もついついポチっとしたりしてしまっているのですが――。

     

 今回、ようやく、このゲームの特異性に思い当たりました。夏ゲーに多い田舎ゲー(『水夏』とか)の対極、ビルに覆われた東京の炎天下を舞台としながら、実に清々しい明朗学園青春ドラマ(一部ファンタジー含み)を実現しているのですね。
 つまり、心ならずも大都会の都市熱に茹だる夏を徒に重ねる狸にとって、唯一無二の癒しゲーなのだな、これは。


06月11日 火  おたくの殿堂

 当方、順調に退化の一路を辿りつつあり、そういえば小学校高学年の頃、エニード・ブライトンの『五人と一匹探偵団シリーズ』(新しい人名やタイトルは聞いたそばから忘却してしまうのに、こうした古い名詞だけはしっかり思い出せるのですね、脳味噌が退化しても)にハマったことがあったなあ、などと唐突に思い出し、今でも読めるのだろうかと検索してみたところ、当時と同じ版元(実業之日本社)から、しっかり新版が出続けていたので、ちょっとびっくり。
 で、それはこの際ちょっとこっちに置いといて――検索の過程で、こんなHPに行き当たり、ほとほと感服してしまった。
 この児童番組は、当時の狸も頻繁に見ていたはずなのだが、その後の正調『少年ドラマシリーズ』(かの有名な『タイム・トラべラー』とか)のインパクトが強すぎて、ほとんど思い出すこともなかった。狸以外の当時の良い子の皆さんも、おおむねそんな感じではなかろうか。
 それをまあ、ただ「大好きだった」というおたく心に導かれるまま、一個人の力で、よくぞここまで。
 愛ですね。
 自己愛が無私の愛とひとつになったとき、おたくは真のおたくとして殿堂入りするのだろう。


06月08日 土  季節外れのラブソング

 おう、元祖PC版『ホワイトアルバム』のオープニング・ソングも、ちゃんとフル・コーラス音源があるんじゃないか。

     

 ううむ、やっぱり元祖のほうが、アニメ版やPS3版より、ずっといいなあ。きちんと澄んだ、純情可憐声。


06月07日 金  あんがい元気

 なにぶん老朽化の著しい身ゆえ、分不相応の力仕事などはなるべく避けている近頃の狸だが、あえて拒否できないケースもある。たとえば、今後もお邪魔し続けたい高時給の現場で、たまたまイレギュラーな重量物に当たってしまったときなど。
 一昨日、ふだんは軽い衣料品や日用雑貨、重くとも酒瓶程度を扱っている通販の現場で、ほんの1時間ほどだが、とんでもねー重量物に出会ってしまった。ミネラル・ウォーターのペットボトル(2リットル入り)が6本詰まったビニールパックを、2パックずつ段ボール箱に収め、次々とパレットに積んでゆく作業である。つまり1パック12キロ、段ボール箱だと24キロ。お若いガテン系の方なら「なんだそれくらい軽い軽い」とおっしゃるかもしれないが、24キロを次々と上積みしてゆく作業は、初老の小動物にとって拷問に等しい。
 やりましたけどね。毎回ある作業でもなし、ふだんは時給以下の仕事で楽させてもらってる現場だし。

 で、ここ数年の狸の身体だと、こうした責め苦に遭った場合、その日にはバテない。むしろ脳内麻薬のおかげで、心身ともに活性化したりする。翌日もまだ動ける。しかし翌々日の朝、寝床から這い出す際、「うあああああああ」などとのたうち回ることになる。
 ところが――なぜか大丈夫だったのですねえ、今朝は。
 いつものように「ああ起きたくねー仕事したくねーこのまま死ぬまで寝ててー」と心底から願いつつ、しかし身体だけは別段痛むこともなく、無事に寝床から這い出せたのであった。
 実は、まだ若い? それとも代謝がさらに遅くなったり、痛覚が衰えたりしただけ?
 ま、いいや。ちゃんと動ければ。

 このところ、収縮期血圧がまた140に達しているのが、かえって幸いしているのかもしれない。何年か前に発覚するまでは、収縮期血圧160超デフォルトで、元気に探食していた狸である。
 水っ気に恵まれたこの日本で、飲料水すら何百円も払って飲まなければならない方々のほうが、よほど心配だ。


06月04日 火  雑想

 うう、またユニセフからDM、じゃねーや、寄付のお願いが届いてしまった。
 今回も5000円ポッキリでかんべんしてもらうしかないわなあ。
 あの無差別児ポ法強化論で、仮想も単純所持も十把一絡げにムショ送りにしようと絶叫していらっしゃるユニセフ親善大使のアグネス・チャンさんなんか、きっと何百万も寄付していらっしゃるのだろうなあ。狸が「すみませんビンボなんで誠意だけは認めて下さいお願いですからすみません」などと泣きながら言い訳しても、金額欄の桁がみっつ違えば、救われるちみっこの数も三桁違うわけだからなあ。
 やっぱりアグネス有利なのよなあ。なまねこなまねこ。

          ◇          ◇

 ところでブチ下僕の件だが、踏み殺されかけて2日くらいは警戒して狸穴に入ってこなかったものの、昨日今日あたりは、もーきれいさっぱり以前と同じように、居間で食ったり寝たり狸に撫でられまくったりしている。
 ことほどさように、脳味噌のちっこい小動物は、後腐れがなくておめでたい。
 いわゆる化け猫映画や、その手の講釈ネタも大好きな狸だが、あれって絶対、猫嫌いによる被害妄想ですよね。
 たとえ飼い主が目の前で極悪人に惨殺されても、猫は3日ですべてを忘れます。さらに、もしその極悪人も猫好きだったりしたら、遠慮なくにゃうんにゃうんと餌をねだるに違いない。
 でもまあ、そこがいいんだよな、猫にゃん。ああ和む。


06月01日 土  猫ふんじゃった

 いや、あの童謡の話ではない。

 先日の夜半、さて顔を洗って歯を磨いて寝よう、と、パソ部屋から台所に移動する途中、暗い居間の卓袱台の横でブチ下僕が寝ていたのに気づかず、力いっぱい踏んづけそうになってしまったのである。
 それはもうなんの遠慮もなく足を下ろそうとしたので、まんま踏んだらブチ下僕のアンコがはみだし悶死必至だったのだが、トロい狸も、さすがに足先の感触でそれが畳ではなくなんらかのナマモノであると瞬時に気づき、慌てて足先を大きく前方にずらした。しかし間の悪いことに、トロいブチ下僕もさすがに生命の危機を察し、あろうことかあるまいことか、狸のずらした足先と同じ方向へ、瞬時に移動してしまったのである。
 結果、狸はブチ下僕をまともに踏みつぶしてアンコがむにゅ――。
 ……嘘です。
 猫を屠ると祟られるという畏怖心が無意識の内に働き、踏んづけた直後に再度足先を泳がせたため、狸は軽く転倒。ブチ下僕は、それはもう『発射』に近いイキオイで、狸穴から逃亡して行った。

 これは、蒸し暑いので玄関を開けっ放しにしていた狸が悪いのでしょうか。
 それとも、挨拶もなく狸穴で丸くなっていたブチ下僕が悪いのでしょうか。

 幸いブチ下僕に大過はなく、今朝も管理人さんの自転車のサドルの上でいつものように番猫をやっており、「いや昨夜は失礼いたしましたブチさん、こちょこちょこちょ」「おや、それはにゃんの話でございますかな狸殿、ごろごろごろ」などと気の抜けた挨拶を交わしたのだが、夜の帰穴時は、たいがいミケ女王様に従って狸穴までついてくるはずなのに、今夜は女王様オンリーの御来臨で、ブチ下僕は通路に控えたまま番猫をやっていた。

 古来、猫は、人ではなく家に付くと言う。たぶんブチ下僕も、狸は無害だが狸穴はちょっとヤバい、そう認識してしまったのだろうなあ。

     

          ◇          ◇

 ところで、本日より、ここの表玄関を改装いたしました。
 写真や漫画といった、今後更新する可能性がない、狸にとって懐旧の趣味と化した物件は遺跡として奥に引っこめ、更新のありうる小説関係を表看板にしてみました。それも従前のような全作放置公開ではなく、たかちゃんシリーズ以外は、月替わり興行に。
 いや別にもったいぶっているわけではなく、たとえば狸が力尽きて、雑想さえ更新する気力を失っても、表の出し物が月初めに変わってさえいれば、まだ生きているらしいってことで。
 あと、例のナニでいったん全削除した過去の雑想も、古い方からボチボチ復活気味です。チェックしながら自分で読み返してみると、近頃は日雇い極貧話しかできない狸が、退職直後や内職の多かった時期はけっこう趣味に散財していたりするので、ああ昔に返りたい――などとはちっとも思わず、過去の自分を力いっぱいシメてやりたくなりますね、いや正味の話。

 なお、いっとき削除した裏口の街撮り写真も、隠しリンクで復活してます。近頃また、おまぬけザル法・児ポ法が、より見当違いの方向にやかましくなりつつあるようなので、あえて立場の表明をば。
 だから識者の方々とやら、いもしない仮想児童の虐待を防ぐ暇があったら、モノホンの児童を助けてやってくださいよ。あんたらの脳味噌は寄せ鍋のシラコか。

 余談ですが、なんかいろいろ無能扱いの森田健作兄ィが知事になってから、このあたりの交番の無人状態が、めっきり減りました。それが兄ィの公約によってか、単なる治安悪化に伴う成り行きの変化かは知らねども、狸がこの土地に引っ越してきた頃は頻繁に聞かれた女子児童への痴漢行為が、多少なりとも減ったのは事実。
 おまわりさんは、引き籠もってエロ漫画チェックするより、実在鬼畜を見張ってくれるのが吉。