[戻る]


09月29日 日  でんでんむしの日々

 アブレ日。
 深夜から午前8時頃まで、キーボードぽこぽこ。もっとも、一昨日には前半の区切りがつき、本日はその前半の俯瞰推敲をしていた。
 朝、気象予報士のおねいさんが言ったとおりの行楽日和であることを確認してから、カーテンを閉めきって寝る。目覚めた時には日が暮れていた。暑くも寒くもない、睡眠日和の一日であった。

          ◇          ◇

 ひと月も前に録画し、断片的にしか確認していなかったテレビ東京土曜スペシャル『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』を、ようやく通しでじっくり楽しんだ。
 今回は山形の米沢から青森の大間崎を目ざす趣向。例によって4日間のタイム・リミット。「あ、これは絶対無理。トーホグを過大評価している」と、初めから結果は判ってしまったが、もともと過程を楽しむ企画なので無問題。例の太川陽介&蛭子能収の絶妙正反対コンビが、ちょうど花笠祭の時期の故郷を通るのが嬉しかった。
 毎回変わる女性ゲストも、今回は絶妙だった。さとう珠緒さんというのだそうだ。これが40歳にして、なんの嫌味もないブリッコ少女状態。実年齢も若かった頃は、さぞ異性に大モテで同性に忌み嫌われたと推測されるが、40でこれなら、本物の生涯少女である。タイプはまったくバラバラだが、八千草薫さんや吉永小百合さん、あるいは故・飯田蝶子さん、そういった貴重な『可憐老婆』になれそうな気がする。

          ◇          ◇

 明日は仕事だが、明後日はまた自主アブレの予定である。毎月1日は、最寄りのシネコンが1000円ポッキリなのだ。実に数年ぶりで、銀幕を拝もうと思う。噂の『風立ちぬ』を観る予定。
 いや、こないだまでDVDレンタルを待つつもりだったのだが、「希代の名作」と薦めてくれる方が多いし、マジに宮崎監督の長編最終作になるらしいので。
 問題は、狸はクレカ難民であるため、今からネットで時間や座席位置を指定できない点だが、まあ公開後こんだけ過ぎているから、1000円の日でも満席ということはないだろう。今の日本、みんなそこそこ金持ってますもんね。
 国民の皆さん、空気嫁々のビンボぶりっこや身分不相応な節約は、もう止めましょう。本物の貧乏人が困ります。


09月25日 水  懐かしの歌声

 いわゆる懐メロの話ではない。
 世界的なポピュラー・ソングの話である。
 たとえば現在の日本に、これだけスタンダード・ナンバーを歌いこなせる歌手が、果たして存在するか。

     

     

 ううむ、こんだけ素養があってこその、ムード歌謡の大御所であり、演歌の女王だったのである。
 まあ結局、昔は良かったなあ、なんですけどね。

          ◇          ◇

 新作を打ち始めて1ヶ月、原稿用紙換算でようやく40枚。最終的には100枚程度の短編になる予定。ということは、なんとか晩秋には完成するか。
 しかし惨暑に対抗して打ち始めた真夏の話が、下手すりゃ初冬の発表になってしまうという。
 歳なんですねえ。イッキに打ち上げる体力がない。日々の探食だけで体力の8割がたが失われてしまう。知力にいたっては、足を1歩進めるごとに、脳のシナプスが10本ばかり、ぷっつんぷっつんと切れてゆく感覚だ。
 でも打っている間は、やっぱりシヤワセである。脳軟化のため回らぬ口で、一段落ごとに何度も語りなおしながら、カタツムリのごとくねばねばと打つ。効率も経済効果もゼロ。労力と知力と時間の全き浪費。
 しかしまあ、いずれ他人様の目に晒す以上、せめてフランク永井さんや美空ひばりさんの万分の一でも、魂だけは入れたいものである。


09月22日 日  ちょっと復活

 とにかくやっぱり睡眠が薬なのであって、本日自主アブレ、午後遅くまで惰眠を貪ったら、買い出しの行き帰りにずっと頭の中で打鍵物の続きを語る声がブツブツブツと続き、おいおいそりゃ復活じゃなくてもっとヤバいんじゃないの、とツッコむ方がいらっしゃるかもしれないが、なあに狸の場合、高校時代などはずうっとそんな感じだったのである。うん、脳味噌まだ若い。退化しただけだったらご愛敬。
 しかし、お外は本日もよく晴れて、きっちりお暑うございました。帰穴後、昨夜の内に洗濯しておいたジーパンをベランダから取りこもうとしたら、なんと、こんだけ晴れててもまだ乾いてねーでやんの。どんだけシケってりゃ気がすむねん、この日本の夏野郎。

          ◇          ◇

 ところで、先の月曜に台風で電車が止まり往生したわけだが、今週はその後も朝の電車がしょっちゅう乱れて往生した。台風ではなく、例の『●●駅で人身事故が発生したため』である。甚だしい日には、行きも帰りも▲▲駅や■■駅で人身事故が発生している。犯罪がらみや過失による事故だったら、ちょっとはニュースになるはずだから、いずれも事件性のない自発的ダイブと思われる。
 クソ暑いうちは、ままならぬ人生の何もかもを暑さのせいにできたのが、朝夕にちょっと秋風が立ったりすると、人生の難儀さが必ずしもお天道様だけのせいではないことに、どうしても気がついてしまうのでしょうね。
 でもまあ、ふとラジオをつけてみれば、狸の知らないお若い漫才師の方々が、大爆笑級の新ネタを披露していたりもするので、こと自分の生活に関しては、とりあえず終わるまでは続けようと思ったりする今日この頃なのであった、まる、と

          ◇          ◇

 ところでところで、近頃、仕事中にふと気づくと、この歌を口ずさんでいる自分がいるのだが、やっぱり退化?

     


09月20日 金  バテバテ

 なるほど、朝晩は確かに秋の気配を感じられるようになった。しかし日中は、やはり真夏である。つまり火曜以降、『秋→真夏→秋→真夏→秋→真夏→秋→真夏→秋』で現在に至っている。ずーっと真夏だった頃に蓄積された疲労が、めまぐるしい寒暖の差による不調とあいまって、正直、今日などは立っているのがやっとだった。もちろん動き回らなければ日銭にならないので、『歩く』=『前方への転倒を途中でこらえる』、そんな感覚で仕事をしている。しかしふと思えば、二足歩行というやつは、医学的にも力学的にも、それで正しいのである。なんだ、別に問題ないではないか。
 などと懸命に強がりつつも、新作の今週打鍵分10枚程度が、まるまる使えないことに仕事中気づいた。仕事中にそんなこと考えてんじゃねーよ、といった世間の良識などはちょっとこっちに置いといて、これはショックである。要は、作者のさもしいウケ狙い根性によって、そのキャラがするはずのないことをしてしまったのである。なんでそんな初歩的なミスをやってしまったか。はい、脳味噌もバテバテなんですねえ。アルツ級にボケてます。

 で、『和風総本家』である。なんだその脈絡のない話運びは。だからアルツなのである。で、昨夜録画しておいたその番組の『ニッポンの戦う女職人』という回を、今し方、晩飯を食いながら観ていたのだが、発泡酒飲んでるんだか涙を嘗めてるんだかわからんような、たいへんしょっぱい状態になってしまった。それはもう感動的だったのである。生業《なりわい》を通して人生をドラマにできる方々というのは、ミエミエの演出やナレーションを割り引いても、狸などに比べて推定ひゃくまん倍は存在感があるのである。
 正業を通してなんらドラマを語れない狸は、趣味の打鍵物を通して語るしかないのだから、せめて先述のようなドジ場面は、面倒がらずにきっちり語りなおさねばなるまい。

 で、貨幣状湿疹である。突然また話が変わったのである。これはもうアルツに違いないのである。
 で、いつもは初冬にならないと出ない下脚部の貨幣状湿疹が、今年はもう出はじめた。とてもカユい。で、股の間や尻や背中は、汗疹のためにカユい。二の腕や太腿は、蚊に食われてカユい。
 狸は今後、年間を通して、間断のないカユみとともに生きていきます。


09月16日 月  台風一過

 今回多大な風水害に襲われた地域の方々には申し訳ないが、狸の被害としては、朝、京葉線も東西線もストップしていたので、仕事先に向かうのに高価な路線バスを奢るやら、それでも徒歩区間が1キロを越えてぐっちょんぐっちょんになるやら、リアルタイムの当人は大被害の実感だが、客観的にはごく軽微な被害しか受けずに済んだ。むしろ雨の止んだ午後遅くから夕方にかけて、やや靄っぽいものの二層構造にはなっていない都心の空を拝め、さらにその彼方の富士山まで久しぶりに遠望できたので、台風様々の感慨もある。
 繰り返します。人生レベルで台風の被害に遭われてしまった皆様、ほんとに申し訳ありません。

 しかし、そんな大悪天候の朝でも、「じゃあディズニーランドに行くにはどうすればいいんですか」などと駅員さんに訊ねるカップルを、西船橋で散見した。舞浜行きが止まっているからだ。心の荒んだ狸は、ついつい内心で「ケッ、この天気で行くなよバカ」などと呟いてしまったが、つらつら鑑みるに、もし狸も20代前半の頃であったら、せっかくの祝日、いかなる天候であろうと雌狸ちゃんと共にハレの場を目ざしていたかも知れず、大嵐の遊園地が舞台のラブロマンスだって、若けりゃ充分アリなのですね。
 ちなみに、ふつうの祝日ならカップルを凌ぐ員数のファミリー層は、さすがに本日は見かけませんでした。そりゃそーだ。攻めと守りの違いですね。

 さて現在、狸穴は久々に、夢のようにサワヤカな夜を迎えているのだが――お天道様よ、このまま油断するほど馬鹿じゃねーぞ狸は。


09月14日 土  睡眠薬

 アブレ日。
 昨夜の内に洗濯も買い物も済ませ、エアコン部屋で午後4時まで爆睡。外気温とは、半日以上きっぱり縁を切ったわけである。
 ああ、頭が軽い、体が軽い。
 本日のタイトルは、『睡眠(の)薬』ではなく、『睡眠(が)薬』なのですね。

          ◇          ◇

 95歳男「日本統治よかった」発言で殴り殺される 韓国ネットでは「死んで当然」「正義の審判だ」
 【J-CASTニュース 9月13日(金)18時26分配信】

 韓国で、95歳の韓国人男性が日本統治時代を「肯定」する発言をしたところ、居合わせた男の怒りを買い、殴られて死亡するという事件が起こった。
「愛国心ゆえ」の犯行だと男は供述、韓国ネットユーザーなどからも擁護の声が上がる。あまりにも惨い事件に、日本では驚きが広がっている。
 韓国紙「世界日報」によれば、事件が起こったのは2013年5月のことだ。ソウルにある宗廟市民公園が、その現場となった。
 同公園は観光スポットとして知られるとともに、近所に住む高齢者たちの憩いの場でもあり、多くの人々が青空の下、囲碁や世間話を楽しんでいる。被害者の朴さん(95)も、そうした輪に加わる一人だった。
 そこにやってきたのが、黄被告(38)だ。彼は大量に飲酒しており、すっかり酩酊していた。この酔っ払いと朴さんが話すうち、その何気ない一言が黄被告の「逆鱗」に触れた。
「日本の植民地統治は、良いことだったとワシは思うよ」
 朴さんがどのような点を「良い」と評価したのかはわからないが、なにしろ朴さんは95歳、終戦の時点でもすでに27歳だ。日本統治の実態、そしてその後の韓国現代史を目の当たりにしてきたわけで、その発言には重みがあっただろう。一方の黄被告は37歳、朴正煕時代すらほとんど記憶していない世代だ。
「なんだと!」
 しかし、「愛国者」である黄被告は朴さんの発言に激怒した。朴さんを蹴飛ばすと、その杖を奪い、怒りに任せて頭などを殴りまくった。朴さんは頭蓋骨や脳などに重傷を負い、治療を受けたものの死亡した。傷害致死罪で逮捕された黄被告は「泥酔しており心神耗弱状態だった」と主張したものの、9月10日に懲役5年の判決を受けた。
 驚くことに、韓国内ではこの黄被告への擁護論が少なくない。上述の世界日報からして「酒の勢いで愛国心の度が過ぎた」とやや同情的だが、さらにネット上では、黄被告を「愛国青年」などと称し、
  「そもそも日帝を称賛した時点でジジイは犯罪者だろ、殺されて当然」
  「懲役刑? むしろ勲章モノじゃねえか」
  「正義の審判だ!」
  「裁判官は売国奴!」
 などと殺人を正当化するコメントが記事に多数付けられている。無論、「これが法治国家のやることか! 韓国はいつから歴史観が違えば人を殺していい国になったんだ?」と嘆く声もあるが、過激な意見の勢力が強い韓国ネット上では押され気味だ。
 日本統治時代への評価をめぐっては、韓国では近年一部の研究者から近代化の進展などを重視し、部分的に評価する動きがある。しかしこうした意見が反映された教科書が8月30日に検定を通過したところ、国内世論が沸騰、政界も巻き込む大論争に発展するなど、今なお「タブー」視は根強い。


 ……マジかいな。
 韓国って、儒教の国じゃなかったか? いかなる状況であれ、よぼよぼの老人を殴り殺したウスラ馬鹿をマジに擁護するウスラ馬鹿が、過半数を占めるわけはないと思うのだが。
 まあ配信元が左利きのJ-CASTだし、しかも大元の事件記事が統一教会系新聞だし、さらに『ネット上』という表現も、発作的な発言の場ではウスラ馬鹿ほど声がでかく多弁なのは自明の理なので、話半分、いや4分の1くらいで記憶しておこうと思う。

 ただ、狸がまともな社会人をやっていた頃、直接見知った彼の国の方々は、明らかに『声のでかさ』を最優先する傾向があったので、個人的におつき合いしたくなかったのも確かである。
 けして国籍で人を差別したくはないのだが――ああ、台湾のお客さんたちが、今でもほんとに懐かしい。在日の方も観光の方も。
 あくまで平均的な話だが、台湾の方々は、日本人より韓国人より中国人より、ほんとに腹が割りやすかった。お互い相手の話をちゃんと聞いてから、双方に利がある形、あるいは痛み分けの形で折り合いをつけ、次の話に進めたのである。

 さて同胞の日本人は――平均的には話がしやすいのだが、一見ごく普通のパパやママでも、ときどきとんでもねーイキオイの脱常識クレームを入れてきたりするので、油断は禁物でした。やっぱり天孫民族だけに、無限のテンションを秘めているのですね。いや正味の話。


09月12日 木  荒む狸

 ……あかん。脳味噌も筋肉も、扁桃腺も皮下脂肪も、今年の夏は越し難いと訴えている。
 あれこれ試行錯誤しながらちまちまと新作を打鍵する1日の内1〜2時間だけは、なんとか心身の凝りがほぐれる気もするのだが、じきに「あ、もう寝なきゃ明日立てない」、そんな時刻になってしまい、結果的に毎日欲求不満が募るばかりだ。

          ◇          ◇

 ところで、バイト学生が食器洗浄機に足をつっこんで、それをツイートしたために個人経営の蕎麦屋が閉店してしまったとか、類似の騒動が絶える気配もないようだ。
 そりゃそうだろうなあ、と、諦観するしかない。
 まともな教育を受けた方ならお解りのように、昔から人類の半分は馬鹿である。ただ昔は馬鹿でも全世界に顔を晒せる簡単な手段がなかったため、世間に流布する馬鹿の情報は、馬鹿が起こした事件の記事等、あくまで「ああ、馬鹿がまた何かやったな」という間接情報だった。ところが現在は、馬鹿でもボタンをポチポチするだけで、直接「馬鹿です」と全世界に自己主張できてしまう。当然、情報発信手段がこのままラクな方向に進化し、メメズやオケラにでも可能なほど簡素化されれば、いずれ全世界の情報の半分は、メメズやオケラなみの情報になる理屈である。
 素晴らしき情報テクノロジーの世界。人類みな平等。
 ……平等なもんですか。馬鹿ほど他人より自分が上だと思っている。
 馬鹿でも使えるテクノロジーではなく、馬鹿が利口になるためのテクノロジーこそ、平等に与えられるべきだ。

          ◇          ◇

 ああ、こんなことを打っている自分がもう厭だ。
 寝よう、うん。

     


09月11日 水  運動と平和

 個対個の競技以外のスポーツ、いわゆるチームワーク主体の集団戦にはほとんど興味のない狸なので、競技者という個人と国家という集団の関わりにもあまり興味がなく、いきおい2020年オリンピック東京開催決定にも、大した感慨はない。「んなことやってるより震災復興に金を回せ」という声を聞けば「そういやそうだよなあ」と肯くし、「いや国家としての経済効果や民族精神の鼓舞が大切なのだ」と言われれば「なるほどそうかもしんないなあ」と迷ったりする。実は前回の東京オリンピックのときも、夕陽の三丁目のガキのくせに、かなりシラけていた記憶がある。夢の超特急ひかり号には、めいっぱい憧憬したが。

 それでも今回は、レスリング競技の存続が、すなおにおめでたいと思った。個対個のドツキ合いやシメ合いは、見ていてカタルシスがある。そもそもオリンピックからグラディエーターっぽい種目を減らしてどーすんのよ。
 人の争いを美醜で計るなら、人は一対一で戦っているときがいちばん美しいと、狸は思う。その際の対戦相手は、敵のみならず己自身も含まれる。敵の味方はどこまでが敵か、とか、戦友とどう折り合うか、とかいう問題は、社会的に煩雑すぎて、カタルシスが得難いのだ。だいたい、負けたときの無念の捨て場に困るじゃないですか。小動物は僻みっぽいので、ついつい責任転嫁に逃れてしまうのである。
 だからツブされるときはひとりがいい。ツブすのも直接ツブしたい奴だけでいい。異性愛も友愛も、共に戦うためにではなく、戦う理由、あるいは非戦闘時の安息の場として残しておきたい。

 ところで今回の東京開催決定がらみでも、例によって国家同士の折り合いがどーのこーのと中・韓・日の馬鹿が侃々諤々やっているようだが、ボイコットするべきだのボイコットしてくれだの、いったい何をトチ狂っているのだろう。どうで勝ち負けしか頭にないのだろう馬鹿は。ならばどこであろうとドツキ合えばいいではないか。そのための機会を減らしてどうする。
 平和の祭典?
 未だに擬似戦闘である多くのスポーツが、『平和』に親和するものか。

 全てのスポーツが真に遊技として成熟した時代、そのときが『平和』なのである。


09月10日 火  融け歪む狸

 近頃、朝起きて洗顔しながらラジオを聞いていると、「朝夕はめっきり秋の気配がどーのこーの」といった常套句が毎日のようにNHKのアナウンサーの方々から発せられるのだが、そのたびに内心「……ケッ、いいとこ住んでいいとこで働いてる奴らはシヤワセだよなあ」などと毒づいてしまうドス黒い狸。今年の惨暑は狸の性根を根本から変形させてしまった。なんて、ほんとは元からひねこびてるんですけどね、いつもは鷹揚なふりをしてるだけで。
 しかし実際、ほとんどの仕事先も、帰って寝る狸穴も、惨暑によって鉄筋やコンクリが芯まで熱を持ってしまっているので、3日や4日の気温30度割れなどものともしない。下手に外気温が下がると、かえってその差にムカついてしまう。ちなみに現在午後11時30分、狸穴の居間は摂氏28度である。昼間の外より暑いのである。どないせえっちゅーねんまったくよう。
 と、ゆーわけで、居住地域あるいは住居環境等の幸運によって「ああ、もう秋の気配が」などと余裕をカマしている方々は、妬み深い狸に、秘かに呪われていると思っていただいてさしつかえありません。
 あ、女性は別ですよ。子供も大丈夫。主に14歳以上の男性の方、夜道には充分ご注意ください。馬糞饅頭を菓子折に詰めた狸が、電信柱の陰で、どきどきわくわくと待ちかまえているかもしれません

     


09月06日 金  そして誰もいなくなった

 わははははは。
 ネット上でこんな情報を見つけ、思わず大笑いしてしまった。
 震災による福島原発事故後、辞任した旧経営陣の、その後である。

  勝俣恒久会長  →  日本原子力発電の社外取締役に再任      (現在家族と共に海外在住)
  清水正孝社長  →  関連会社・富士石油の社外取締役に天下り   (現在家族と共に海外在住)
  武井優副社長  →  関連会社・アラビア石油の社外監査役に天下り (現在家族と共に海外在住)
  宮本史昭常務  →  日本フィールドエンジニアリングの社長に天下り(現在家族と共に海外在住)
  木村滋取締役  →  関連会社・電気事業連合会の副会長に再任   (現在家族と共に海外在住)
  藤原万喜夫監査役 → 関連会社・関電工の社外監査役に再任     (現在家族と共に海外在住)


 まああくまで複数のブログ、つまり仮名による情報であり、どこがコピペ元なのかすら判然としないので、実際のところを確認しようとあちこち検索してみたのだが、肝腎の最後の『お揃い項目』だけは、個人情報に関わるからだかなんだか、全員は確認できない。また、職務上やむなくの海外在住なのか、家族への嫌がらせ等を逃れるためなのか、放射能がアレだからなのかも、神ならぬ身の狸には判然としない。
 いずれにせよ、福島原発廃炉に向けて公的資金が投入されるのは確実だし、狸は人生初の東電電気料金月1万越えを果たしたし、移住したくとも不可能な福島周辺の方々は無慮数存在する。

 ううむ。やっぱり人間、いちばん大切なのは金ではないですね。大事なのは家族愛。そして自分の『面の皮』。
 狸も家族愛は小動物なりに保持しているし、面の皮もけっこう厚い。
 うん、OK。あとは金さえあれば殿堂入りの名士だ。


09月03日 火  東京の空

 今さらしつこく繰り返すのもなんなんだが、とにかくここんとこの生活感の9割を占める感覚として――生きるってほんっっっとにカユいっっっっ!!!!

          ◇          ◇

 智恵子は東京に空がないという。狸は東京には空がふたつあるという。
 おそらくその認識の差は、空に対する詩的解釈、あるいは大気汚染度云々のみならず、空を観る視点にもある。
 智恵子さんが東京を観ていたのは大正から昭和初期、東京タワーもスカイツリーもない時代だった。ビルの高さだって知れたものである。対して狸は、東京湾岸に建つ5階建てのロジ、一般のビルなら10階を越える視点から多く東京の空を観る。休みの日には、たまに隣駅の超高層物件のてっぺんから観る。
 で、たとえば昨日、埼玉や千葉の一部が大竜巻に痛ましく晒されていた頃、東京湾岸からそっち方面がどう見えていたか。スカイツリーのちょっと上あたりまでは、いつものごとく晴天とも曇天ともつかぬやや黄色がかった靄の中に、ツリーやビル群がどんよりと無彩色で視認できる状態。ところがその黄色っぽい靄の層の上空には、いきなり堂々とした積乱雲がいくつもいくつも過剰なほどわきあがり、さらにその上は、懐かしい夏の紺碧に澄んだ青空。つまり完全な二層構造に見えるのですね、首都圏の空が。
 近年はこの傾向がいよいよ強く、特に一種の危機感を感じるほど甚だしいときには、都内に濃霧が発生したり、あるいはその彼方でなんらかの異常気象、つまり今回の竜巻や大豪雨のような事態が生じていたりする。
 まあ天のことゆえ何を考えているわけでもないのだろうけれど、こりゃやっぱり文明というものに対してちょっと腹を立てているのかもなあ天、と、今さらながらに思ったりする狸の今日この頃であった、まる、と。

 ちなみに、こないだ隣駅の超高層物件によじ登ったとき、ツリー方向の東京の空はこんなんでした。

     

 で、湾岸方向。

     

 逆光と順光の差があるので、靄の度合いは一概に比較できないが、昨日ほど極端ではないにせよ、やっぱり都心方向の空は二層構造に見える。
 今年の夏は、ずうっとこんな感じですね。


09月01日 日  まだ

 たかこ 「…………」(すでにカラカラの幼女ミイラと化している)
 くにこ 「…………」(すでに出羽三山の即身成仏物件と化している)
 ゆうこ 「…………」(すでにピラミッドの奥深く、子供用の豪華絢爛黄金棺で眠っている)
 たぬき 「…………」(毛皮だけ残して中身は蒸散している)