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02月26日 水  新・XP最後の日

 で、Windows7機が無事に届いたわけだが、ちょいといじくってみた段階では、うわなにこれスクリーンフォントが煮込みウドン状態、とか、うわインターネットエクスプロラーでYahooBB上の動画が開かない、とか、過去に何度かWindowsを新しくしたとき同様、まあ例によって種々の困惑にうちひしがれたわけである。
 スクリーンフォントの妙なアンチエイリアスは、どうやらマイクロソフトの親切心による新機能らしいが、小さな親切大きなお世話というわけで、個人設定をいじくったらXP以前のクッキリ表示に戻った。それでもネットの表示は、ある文字種において、どうしても豆腐のごときヤワな文字になってしまう。調べれば細かい設定法などもあるのだろうが、面倒なので放置。
 YahooBB上の動画については、あちこち検索して試してみたが、何の設定をどうやっても『アドビのフラッシュプレイヤーがインストールされていません』が消えず、ときには『ダイレクトXがOFFになっています』などとカマしてくる。最初っからONだよON。どうもYahooBBの動画表示は、このところの新しいバージョンのインターネットエクスプローラー上だと、Yahoo自体が匙を投げているようだ。まあグーグルのクロームを使えば、なんの不自由もないから、いいか。クロームに関しては、CPUがコア2になったせいか、でかい画像も重い動画も、見違えるほど速やかに開くのである。

 それにつけても、昔から使い続けている大小のソフトの多くが、XPを最後に対応を放棄してしまった。必ずしも64ビットと32ビットの問題だけではなく、プログラム作成者(たち)自身が「あー、なんかわけわかんねーし、もーどーでもいいや」状態になっており、OSを作成しているマイクロソフト自体、おそらくは「あー、なんかわけわかんねーし、もーどーでもいいや」と言いたいところを口が裂けてもそうは言えず、「仕様です」で済ませているのではないか。
 今後、新しいWindowsを導入するときは、たいがいの用途の一流ソフトがあらかじめインストールされた大メーカーのバンドル機を、大枚はたいて買うしかないのだろう。
 ……買えないぞ。

 ともあれ、ATOK2005は完璧に動き、ユーザー辞書も移行できた。愛用の『O'sエディター』の環境も無事に移行できた。ホームページビルダー8(もはや骨董品)もちゃんと動いている。で、今日からWindows7機で、いつものようにこの雑想を打ち、Yahooジオシティーズにアップしている。あとは気長に整えていけばいい。
 XP機も、まだ隠居してないんだしな。

          ◇          ◇

 ところで、そんなこんなで、このところ夜更かしがハンパなく、自分の起動と操作性を保つため、朝と昼の両方にドリンク剤を飲んだりしている。ドンキで買った10本398円の安物だから、フトコロにはそう響かないが、ビタミンB系やタウリンとやらは、有名どころの『リポビタンD』をしのぐ量が入っているはずだ。
 ところが、なぜか、いつもの超黄色い小水が出ない。
 ふつう、いりもしないビタミンB群を大量摂取すると、大半は小水に混じってスルーするはずなのだが、それがみんな体内で消費されているらしいのである。
 ここ何年か、すっかり白米中心貧乏飽食路線で生きている狸は、もしかして『江戸患い』――いわゆる『脚気』寸前だったのかもしれない。


02月22日 土  続・XP最後の日

 自主アブレ日。
 このところヤフオクで、Windows7の入った中古パソコンを探していた。Windowsはどうしても正規でなければならない。近頃のWindows機は、ネット回線を通して常にマイクロソフトにチェックされているので、いいかげんなコピー品や妙な認証機などつかまされると、OSが更新されないどころか、いきなり起動できなくなったりするらしい。無論、そうしたアレコレを回避するイケナイ方法なども、世のハッカーさんたちはとうに解決済みなのだろうが、狸にはそこまでの知恵も勇気もないのである。予算は、清水の舞台で3回転ジャンプをキメまくりイキオイ余って端から落下する覚悟で、ズバリ1万円以内。
 ねーだろーなーねーだろーなー、アキバ見て回ったって、最低1万5千は付けてあるからなあ――などと、諦め気分で何度かセリに参加していたら、あるもんですねえ、ちゃんとした中古ショップの再生品を、なんとか9250円で落札した。VISTA時代の地味なビジネス機だが、初期不良の保証はあるし、CPUはちゃんとコア2だし、メモリーも2ギガ入ってるし、再生機用の正規Windows7の32ビット版も付いている。今どきDVDの書き込みができないのはご愛敬。そこいらは、現在使用中のXP機とツギハギにしてしまえば無問題。
 そうして4月8日、マイクロソフトが全世界の衆目をものともせず、かつて巨利をもたらしてくれた愛児XPを「んなもん、もー知らんもんね。今後はどこでのたれ死にしようと、もうウチの子じゃないもんね」と放擲する日を、狸も無事に迎える準備ができたわけである。
 が、しかし――これは狸穴だけの話になるが――どうしましょ、フォトショップ。

 ここで泣きながら懺悔します。実は狸は、とうの昔に金に困って売り払ってしまった正規のフォトショップ7を、XP機からアン・インストールせず、こっそり使い続けておりました。いっときはホームレス寸前まで行った貧しい狸の出来心、お願いですからアドビには通報しないでください。まあ出来っぱなしで今でも続いている出来心ってのは、出来心とは言えないのだろうが、実はアドビさんにもとっくにバレているらしく、その後いっさいの更新が拒絶されます。あたりまえだわな。
 ともあれ、昔は仕事で使いまくり、今も趣味としてけっこういじくっているあの無敵の画像加工ソフトを、ふだん使いにできなくなってしまうのである。XP機も壊れたわけではなく、現に今こうしてしっかり動いているのだが、今後7機にふだん使いを移してしまえば、4月以降、ネットから切り離してスタンド・アローン化したXP機など、めったに起動しなくなってしまうだろう。

 そんなこんなで今日1日、狸はフォトショップに代わるフリーソフトを求めて、ネットの海を彷徨っていたのである。『GIMP』『Paint.NET』『PictBear』『Pixia 』――よくもまあここまで多機能・高機能なソフトを皆様ロハで開発してくださるものだ、と心より感服してしまう。さすがにCMYKをそれぞれ自由にナニできる機能はないようだが、狸ももはやそこまでの機能は必要としない。もうリバーサル・フィルムの退色補正なんて一生やらんだろうしな。
 しかし、やっぱりフリーソフトはフリーソフト、あってほしい機能がなかったり、あってもやっぱり操作性がぎこちないのですね。確かに『GIMP』の多機能ぶりには舌を巻くが、レイヤー間のちょいとしたコピペ操作ひとつとっても、フォトショップとは、エンタメ系におけるアマチュア作家とプロ作家の差がある。
 そんな中で、なぜか日本語のブログやページではあまり紹介されていない『PixBuilderStudio』というアチラのフリーソフトが、機能もまんべんなくあるようだし、ちゃんと日本語対応しているし、操作性においても実にフォトショップなみにこなれており、「こ、これは使える」と小躍りしたのだが――おお、なんと、数多ある候補の中で、これだけがフォトショップのPSDファイルに対応していないのであった。他のソフトは、複数レイヤーのまんまPSDで読み書き可能だが、『PixBuilderStudio』だけは、レイヤー統合状態の画像を『読み込むだけ』なのである。事実上、フォトショップのデータは無視と言ってよい。つらつら鑑みるに、これでPSDファイルにまで対応させてしまったら、まんま『無料フォトショップ入門』になってしまい、アドビに告訴されること必至である。また作者(たち)の「どうだ、俺(たち)だけでここまでやってやったぜ」的な、自負の表れでもあろう。
 仕事も創作も純フリーな狸としては、その心意気に妙に感じ入ってしまい、今後の写真いじりは、当分『PixBuilderStudio』で行こうと思う。


02月19日 水  掘り出しの旅立ち

 新古本屋の100円ワゴンで、面白い本を2冊ゲット。いずれもハヤカワライブラリー、ハヤカワミステリと同じ判型にカバーをかけたシリーズで、昭和40年発行の『007号/世界を行く』(イアン・フレミング)と、昭和42年発行の『ローカル線の味』(沢史生)。
『007号/世界を行く』のほうは、残念ながらカバーが欠品しているが、それでも神保町なら2000円近く付けるのではないか。完本なら5000円でもおかしくない。中身は創作の007シリーズではなく、作者フレミング自身の旅行記であり、香港やマカオを経て日本にも立ち寄っている。のちの『007は二度死ぬ』は、このときの経験を元にしているわけで、コアなファンには需要の多い古書なのだ。
 いっぽう『ローカル線の味』は、パラ見してみたところ、一見旅行ガイドのようでいて、けっこう臨場感のある秀逸な私小説的表現が散見でき、旅のエッセイとしてもなかなか良さげである。狸が10歳の頃の旅本だから、国鉄は電化やディーゼル化に邁進していたが、蒸気機関車もまだまだ普通に走っている路線があった。そっち系の需要もあるから、神保町の棚なら数百円は下らないだろう。著者は元読売新聞の人だそうだが、記者臭さはまったく感じられない。

 たった200円で、狸が土着の小狸だったあの頃の、日本各地にも海外にも旅立てる。
 新古本屋ビバ!


02月16日 日  雑想

 ♪ か〜さんの〜あかぎれいたい〜〜なまみ〜そをすりこむ〜〜〜 ♪

 などと呑気に歌っているバヤイでもないわけだが、良くもならないものの悪化もせず、残念ながら、恐怖の『ひびわれ人間』には化けられそうもないのである。
 考えてみれば、狸の幼時の農家の女性たちなどは、おしんの冬ほどではないものの、みんな実に痛々しい掌をしていたものである。狸らガキどもは、みんな袖口で洟を拭うもんだから、セーターの袖が乾いた洟でガビガビになっていた。
 そんな昔の生活の快と不快に思いを巡らすたび、なぜかその時代ではなく現在の生活、小綺麗な社会そのものが実は『古びつつある』のではないか、そんな感覚を抱いてしまうのも、ただ加齢のせいか。

          ◇          ◇

 アブレ日。
 ケーブルで録画しておいた『2012』を観る。例の能天気エメリッヒ監督の、超大ボラ終末パニック映画である。いやあアホや。しかし最初から最後まで実にまあハラハラと手に汗を握り、笑い泣き、本質的なアホさを脇に蹴散らしながらどどどどどと爽快に駆けきってしまうのよなあ。『インディペンス・デイ』や『デイ・アフター・トゥモロー』より、アホの蹴散らしグアイが、ひゃくまん倍は増幅している。これすべてシナリオの力である。あの監督は、設定そのものがアホであればあるほど、それを吹き飛ばすイキオイのシナリオにしてしまう。反面、アホではないまともな設定の映画を撮ると、とたんにイキオイが失せる。
 ドラマの風合いは全く違うが、ふと、新旧2本の映画『日本沈没』を思い浮かべた。小松大先生の原作が発表されたときにも、「あのマントル対流のグアイだと、日本列島近辺は、沈下せずに隆起してしまう可能性が高いのではないか」という学術筋の指摘があり、確か小松大先生ご自身、えへへと笑っていた記憶がある。そうした創作上のナニを、それこそ波間に沈めてしまうほどのイキオイ構築技術が、昔の『日本沈没』のシナリオにはあった。新しいほうは、妙にちまちまいじくりすぎて玉砕していた。

 ♪ どうせわたしをだますなら〜〜〜 だましつづけてほしかった〜〜 ♪


02月13日 木  ひびわれ狸

 加齢のせいなんだか、今年の冬の寒気と乾燥が特別編なんだか、近頃、掌が厳しいことになりつつある。カサカサが嵩じて、両手人差し指第二関節の外側がヒビ割れてしまい、血が滲んでくる。昔、厳しい故郷の冬にはままあったことだが、関東に南下してからは初体験だ。のみならず掌の内側、右手人差し指の付け根まで、ちょいと角質化した感じでヒビが入っている。さらに両手親指の先、爪の両端あたりの皮膚も角質化し、二か所ほどちっこいヒビが入って、出血はないものの何かが触れるたびにちりちりと痛い。バンドエイドで保護しても、爪そのものが毎日ちょっとずつ伸びてヒビを広げてしまうため、とうぶん閉じてくれそうにないのである。故郷の冬でも、こんな経験はなかった。このまんまだと楳図かずお先生の『ひびわれ人間』のように全身ヒビワレ状態と化し、深夜、泣きながらよその家の窓をぶち破ったりしてしまうのではないか。
 まあそれは冗談――と言いつつ実はちょっとやってみたかったりもするのだが――二六時中ハンドクリームを塗りまくっているわけにもいかず、メンタムのリップスティックを、唇と兼用でちょいちょいと塗りながら仕事をしていたりする。朝晩に塗るダイソーのハンドクリームよりは、こっちのほうが効いているようだ。そう言えば、毎年冬季恒例だった下脚部の貨幣状湿疹も、ダイソーのアロエクリームだけでは結局対処しきれず、義兄の助言でオロナインH軟膏を塗るようになってから、ほぼ快癒した。やはりザルや歯ブラシや靴の中敷きとは違い、ダイソー物件に薬効まで求めてはいけないのだろう。
 かくのごとく、おしんのしんは辛抱のしん状態に陥りつつ、例年この時期に悪化しがちな持病の扁桃腺炎が、なぜか今年はカケラも出ない。あれで発熱するよりは、掌のヒビのほうがまだましなわけだが、あんがい扁桃腺も加齢のためカサカサになって、炎症を起こす気力さえ失ってしまったのではないか。

 ともあれ、明日はまた、この地も酷寒と降雪に襲われるそうだ。
 最高気温3度の仕事場は、おしんのしんでなんぼでも乗りきる自信があるが、帰りの電車を止めるのだけは、お願いですから堪忍してください神様。
 ……冬眠してたりしてな、神。


02月09日 日  XP最後の日

 ああ、やっぱり純白の雪国は、一夜にして白灰茶斑のグチャ国に変わってしまった――などという、世間様の混乱を顧みない個人的な嘆きはちょっとこっちに置いといて、あっという間に今年も2月中旬に入ろうとしており、例の4月8日、ウィンドウズXPのサポート終了が刻一刻と迫っている。なのに金がない。しかし昨今、やらずぶったくりや詐欺師や覗き魔や半既知外や全既知外の跋扈跳梁する電脳網上で、サポートなしのOSを使い続けるほど狸も厚顔ではない。まあ自分のパソなど何をされても今さら惜しむモノなどないし、マジに消えると困る自前のデータは、ちゃんと巣の外にあっちこっち穴を掘ってこっそり埋めてある。問題は、自分のパソを経由して人様のパソにまで既知外が忍び込む恐れがあることだ。狸と違って一般世間の人様は、失って困るような財産を潤沢にお持ちだろう。
 と、ゆーわけで、本日、あわててヤフオクなどを覗き始めた。
 何年か前にメインのデスクトップ機の電源が絶命したときとは違い、新しいOSごと入手しなければならないわけだから、まさか数千円では済むまいなあ――そう覚悟しつつ検索をかけてみると、VISTA搭載機なら数千円以内、ウィンドウズ7でも64ビット搭載物件だと数千円ちょっとから、かろうじてまともに動く程度のスペックの物件が入手できるようだ。

 さて、ここで問題です。
 ちょいと調べてみたら、狸が長いこと愛用し続けている日本語IME――導入後まもなく無一文になったのでそれっきりバージョンアップできないATOK2005が、32ビットでしか作動しないのである。もっともOSが64ビット対応であっても、32ビットのアプリケーションはたいがい動くし、そのアプリ上でならATOK2005も使えるそうなのだが、正味の話、OSと一体の細々したアプリ、たとえばメモ帳ひとつとっても、ATOK2005がないと、狸にはなかなか難儀である。
 ちなみにウィンドウズ7の32ビット版が正規で入っている中古パソだと、どうしても1万はかかるようだ。面倒な競り抜きで即決しようとすると、今のところ12800円くらいが最安か。

 思いきってATOKそのものをバージョンアップするか――しかし、それだけでも最低数千円、余分にかかってしまう。
 ここはやはり、使い慣れたエディタ等のみATOK2005を使うと割り切り、ウィンドウズ7の64ビットを……いやいや、この際1万円越えは覚悟し、全体をATOK2005のまま……。
 などと煩悶するうちにも、XP最後の日は刻一刻と近づいてくるのであった、まる、と。


02月08日 土  雪国

 週末は東京近辺も大雪だ大雪だと、気象予報士のおねいさんたちが、ここ2〜3日自信たっぷりにはしゃいでいたので、狸も土日は連休にしておいた。日雇い稼業の場合、下手に仕事を入れておいて出勤しそこねると、雇用者も仲介者も労働者本人も、関係者全員がマジに困ってしまう。
 で、本日未明、しっかり雪が降り始めているのを確認、安らかな眠りについた。北方亜種の狸は、外が雪だと、永眠、じゃねーや、冬眠のような深い眠りを味わえるのである。

 昼過ぎまで昏々と眠り、「さて、予報どおり外は雪で埋まってるかな」と楽しみに、しかし過去の例を鑑みて、気象予報士のおねいさんたちの大ハズレも半ば覚悟しつつ窓の外を覗きますと……一瞬、故郷にいるかと錯覚するような雪景色である。
 やったあパパ。今日はホームランだ。
 さっそく犬のように外を駆け回ろうと狸穴から這い出し、狸穴の前から階段にかけての外通路が、まったく処女雪状態であるのに驚く。つまり朝から昼過ぎまで、この階では誰ひとり外出していないのである。天気予報に怯えた独居老人や老夫婦が、事前対策の上で引きこもっているのは仕方ないとして、この階には独身の会社員、つまり資本の犬などもいるはずである。東京近辺ではめったに経験できない雪国状態だというのに、なぜ喜んで庭を駆け回らない犬。狸だって会社員に化けていた頃、たまの休みに雪でも降った日には――あ、いちんち寝てたかもしんない。すみませんすみません。

 なんであれ、このあたりでは未体験の大降りである。
 貧しい狸も、水の漏らない靴をひとつだけは常備しているので、ほとほとと歩きながら、『雪の降る街を』やら『ホワイト・クリスマス』を(なんぼなんでも今どきこれはないだろうと思いつつけっこういい気分で)口ずさみ、ああ粉雪ちらちらの巷がちょうどいいな、などとナメてかかっていると、重めの牡丹雪がしんしんと降り積もり始めたり、突風が吹きまくって無人の江戸川土手がしばしブリザード状態になったり、「ええわたくし大雪と申します。わたくしこの地で拙い芸をお目にかけるのは実にまあ二十年ぶりのことでございまして、今回はもうレパートリーのすべてをイッキにお見せします。大雪! 大雪! 大雪をお忘れなく!」、そんな感じである。

 そうして久しぶりに街から土手から雪国状態を堪能し、ご満悦の狸ではあるが、まあ正直、明日で打ち止めにしてもらえるとありがたい。
 故郷なら一冬中こんな状態でも、雪に慣れているので世間はそれなりに動く。
 しかしこのあたりだと、バスや電車や自前の四つ脚だけが頼りの狸のこと、日雇い現場にたどりつけず、雪達磨と化す悲劇がマジにありうる。

          ◇          ◇

     

この作品は、山形県新庄村(当時)で数カ月に及ぶ長期ロケを敢行して撮影された、日本におけるドキュメンタリー映画の記念碑的存在である。雪と人間との生活的苦闘、さらに雪害を少しでも克服しようと様々な対策に取組み、たゆみない努力を続ける雪国の人々の生態を記録し、雪害対策の重要性を社会問題として提起した。

日本/1939/日本語/モノクロ/16mm/38分
監督:石本統吉 
撮影:橋本竜雄、井上莞、竜神孝正、黒瀬進、成田勉
進行:小山良夫 監修:日本雪氷協会、日本民芸協会 製作:大村英之助
製作会社:芸術映画社 提供:新庄市雪の里情報館

ポール・ローサの著作『ドキュメンタリィ映画』に影響を受けた大村英之助、石本統吉らの芸術映画社には、プロキノから井上莞をはじめ有能な作家が集結していた。小川紳介は、石本統吉から『雪国』の話をよく聞いたという。積雪地帯である山形県新庄に足かけ3年の長期撮影を敢行。雪と闘う農民の生活を描いた本格的な自主制作ドキュメンタリーだった。日本のドキュメンタリー映画の原点は、この映画にあると言っても過言ではない。


 以上、YouTubeより、jicken5box様の解説をコピペ。


02月05日 水  初氷

 狸穴のドア直前のコンクリ通路で、本日朝、昨日の雨雪の名残である水溜まりを踏むと、ぱりぱり心地良い音が響いた。これまでも早朝の結氷はあったのかもしれないが、少なくとも出勤する頃には融けてしまっていた。
 で、驚くべきは、その水溜まりが、帰穴したときにも凍りっぱなしだったのである。ほんの小さな浅い水溜まりだから、昼に一度でも融けたら、すぐに乾いてしまっただろう。つまり一日中、凍りっぱなしだったと思われる。この狸穴に定住してから、初めての現象ではなかろうか。

 まあ昨日今日と世間がエラく冷えこんだことは、気象情報等で知ってはいた。しかし当方、冷暖房無縁の空間で働いているとはいえ、いちんちウスラボケっと突っ立っているわけではないので、真冬だって、しばしば汗をかいたりもする。そうした現場では「あぢあぢあぢあぢ」と「ぷるぷるぷるぷる」のあいだに、あんがい春や秋を体感する時間が多い。ぶっちゃけその日が寒かったんだか暑かったんだかサワヤカだったんだか、なんだかよくわからない日が大半なのである。まあ夏場だけは、「ぎょうばいぢんぢじゅうぐぞむじあづがっだんだあ!!」と、声の限りに断言できるのだが。

 そんなこんなで、北方亜種の狸としては、水溜まりのぱりぱり薄氷が、嬉しくてたまらない。
 通勤途中で鼻毛がぱりぱりと凍ったりしたら、なお嬉し懐かしかろうが、さすがにこのあたりでそれを体験するには、何年か前のように、また冷凍倉庫で働かねばならない。この齢になると、あれはさすがに避けたい。それっきりそこで冬眠できるならいいのだが、永眠は、まだちょっと困る。


02月02日 日  温故知旧

 アブレ日。
 川崎長太郎さんとは親交を断念、図書館で、ビンボ系ではないレトロ系、故・鏑木清方画伯の『随筆集・明治の東京』(岩波文庫)や、懐かしの『つげ義春流れ雲旅』(旺文社文庫)を借りてくる。どちらも発行は1980年代だが、中身は古い。ちなみに『つげ義春流れ雲旅』は、昭和44〜45年にアサヒグラフに連載された記事をまとめたもので、イラストは全部つげ先生担当だが、写真の過半数はプロのカメラマン、文章に至っては大半が朝日の人である。それでもつげ先生が連載の冠にされるほど注目を浴びていた頃の仕事だから、土俗的かつ陰鬱であっても、けしてビンボ臭くはない。

          ◇          ◇

 先月31日をもって、シャープが、日本語ワープロ専用機『書院』シリーズのサポートを、ついに終了した。
 などと言っても、そのことをN村さんのつぶやきを通して知るまで、実は狸は、とっくの昔に終了したと思いこんでおり、あらためて、あのメーカーの日本語ワープロに対する思い入れを再確認し、古い『書院者』(?)として、しみじみと感慨に耽っている。

     

 思い起こせば昭和60年(1985)、この史上初のオール・イン・ワン、パーソナル日本語ワープロ専用機『ミニ書院WD−600』を、清水の舞台から昇天する決意で入手して以来、Windowsパソコンを導入するまでの10年以上、社内文書や趣味の打鍵において、狸は熱心な『書院者』であり続けたのである。
 無論、それ以前から、安くても数十万以上の業務用分離型日本語ワープロ専用機はあった。ちっこい液晶に十文字程度しか表示できない、安価なタイプライターっぽい機種もあった。しかし前者は、平社員の安月給ではエベレストの頂上から昇天でもしない限り入手不可能だったし、後者は確かに活字っぽいステキな印字ができたものの、社内文書や創作物をアイデア段階から構築することなどは、到底不可能だった。いっぽう、当時のいわゆるパソコンは、DOSの日本語ワープロ・ソフトがかなり進化してきていたものの、文系アナログ頭の狸だと、やっぱりゲームやグラフィック・ソフトで遊んだり、将来のための知的訓練を標榜しつつビジネス・ソフトでやっぱりちまちま遊んだりするだけで、こと言霊関係となると、自由奔放に使いこなせるシロモノではなかった。
 ぶっちゃけ、この『ミニ書院WD−600』が、当時1DKだった狸穴の、六畳間のおこたの上に置きっぱなしで、起動すれば即メモから構成から本文打鍵まで自由になんかいろいろできて、さらにもっともらしい印刷物に仕立ててムフフなどとほくそ笑むことのできる、初めての言霊関係デジタル物件だったのである。
 まあ、この神が降臨された直後、かなり低価格でNECの類似品が登場し、ほどなく各社による雪崩のような機能向上&低価格競争が始まってしまい、新しき神もわずか1年で時代遅れの馬鹿高いデカ物と化してしまったのはご愛敬。

 狸の風雅な打鍵生活を一変したこのステキな機械がそれから何処へ行ったかというと――実はまだ押入れの奥にいるのです。
 上の画像は、当時のカタログの表紙。隠居した本体といっしょに、押入れの奥で番茶飲んでます。


02月01日 土  まだ

 たかこ 「やっほー! まーだだよー!」
 くにこ 「んむ。これは、まだだな」
 ゆうこ 「ごめんね、ごめんね」

 ちよこ 「こんげつの、ちょーへんに、ごちゅーもく!」
 たかこ 「――おう、ちよちゃんが、しゅやく?」
 ゆうこ 「すごいすごい」
 ちよこ 「えっへん!」
 くにこ 「……んむ。たしかに、でばんはおおいな。んでもやっぱし、このぶよんとしてしまりのない、かばうまみたいなやつが、しゅやくだぞ」
 ちよこ 「かげの、しゅやく!」
 くにこ 「……どうも、おまいはちかごろ、いいきになっているよーだ。これはいっぺん、きっちりシメてやらずばなるまい」
 ちよこ 「ふっ。――きなさい!」
 たかこ 「……こほん。あーあーあー、てす、てす。――『さて本日のメーンエベント、恐怖のろくろ首VS怒濤の不動明王!! でもどっちも幼女!! 史上最強のJSは果たしてどっちだ!?』」
 ゆうこ 「おろおろ、おろ」