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04月27日 日  昭和への逃避、あるいは粉飾という名の回帰


     


 ……ああ、落ち着く落ち着く。

 当時のFM放送のエアチェック・テープだそうです。CDではなく生歌っぽいですね。
 いつもの要さんではなく、VHOさんのファルセットが、とっても艶やか。


04月26日 土  泣いてもなんでもさあ歩け

 ♪ 今日の〜仕事〜は〜 つ〜らかあったぁ〜〜 あとは〜発泡酒〜あおるだけ〜〜〜 ♪

 と、ゆーわけで、あおるほどには量のない発泡酒をちびちびやりながら、頭をカラにして、久々のテレビ東京『路線バスの旅』を録画で楽しむ。今回のルートは、瀬戸内海の、いわゆる『しまなみ海道』を通過するため、高速道路を通るバスは使っちゃいけないというルールを遵守し、あのなんじゃやらいくつもいくつもひしめいている島嶼間の橋を、いちいち歩いて渡っている。これでは『路線バスの旅』ではなく『徒歩渡橋旅』である。
 こりゃ大変だご苦労様ご苦労様、などと、寝っ転がって無責任に声援を送っていると、姉より電話。明日の母親見舞いの時間変更やら、胃瘻の手術が30日に決まったやら。
 結局、その後のなんかいろいろ絡み合う事情や病状の経過によって、母親の経管栄養の予定はパス、胃瘻を採用することになったのである。

          ◇          ◇

 オバマ氏来日のあれこれに関して、例によって各マスコミが有象無象の解釈を披露しているが、狸としては、現時点においては、TPPや尖閣問題を含め、双方まずまずの腹芸を見られたように思う。少なくとも『フラッシュ』や『フライデー』の車内吊りに躍る見出しほど、アベさんもオバマ氏も無能ではない。あの『フォーカス』がまだ健在であったら、岡崎英生氏あたり(高校の文芸部の先輩なのである)は、どう報道したろうか。
 狸が現在読む機会のない朝日新聞あたりは、例によってアベ殲滅戦一色の報道だったのだろうなあ。

          ◇          ◇

 さあて、今世紀の世界は、国際的な経済格差を前世紀のどのレベルあたりまで揺り戻せるか、そこいらが眼目になろうと思う。
 ぶっちゃけ資本主義社会の安泰を望むなら、国際的にも国家的にも、経済格差は再び拡がらざるをえないのである。
 そんなのヤダとおっしゃる方々は、早々に極左化し、科学的社会主義に殉じる覚悟を決めていただきたい。
 国際社会において格差が縮むということは、あなたがもっともっとビンボになるということなのですよ、現在先進国でそこそこ暮らせている幸運な皆様(もちろん狸もそっちに含まれる)。

 まあ人生なんて田舎の路線バス同様、きっちり先が見えるものではない。先が見えない限りは、歩き続ける意味もあろう。
 などと言いつつ、先なんて見えたって見えなくたって、とりあえずぽこぽこ歩き続けるんだけどな、脳味噌ちっこい小動物は。


04月24日 木  日々不安定

 ……平常心平常心平常心。

     

04月20日 日  鬱るんです

 まあ、つまるところ、自立生存が困難になった老人の『延命』は、倫理的問題でも社会的問題でもなく、まして哲学的問題でもなく、ひょっとしたら医学的問題ですらなく、ほとんど実に『経済問題』なのであるな。

 母親の誤嚥性肺炎は再び回復傾向に向かい、じゃあ今後実際に肺が回復したら、現在の輸液による栄養補給から経管栄養に移るかそれとも胃瘻か、まずはその二者択一を迫られるわけである。
 この期に及んでしまうと医師の口調からは、親族の負担、ぶっちゃけビンボが一目瞭然の狸の風体などを鑑み、そのどちらをも選ばない平穏死や尊厳死の方向もそこはかとなく匂ってきたりするわけだし、狸自身、経管栄養にしろ胃瘻にしろ、今回のような誤嚥による甚だしい苦痛を母親がさらに味わう可能性があることを思えば、心が千々に乱れたりもするわけである。
 結句、肺が回復したら、とりあえず経管栄養にして自力嚥下能力の回復に期待する、そんな路線で。
 もはや思考力は皆無で認識力もほとんどないとはいえ、稀には狸や姉の声に反応して目を開いたり虚ろに頬笑んだりする母親に、今、引導を渡す度胸は、厚顔な狸にもさすがにない。
 今後、もしまた誤嚥で苦しむようなことがあれば、かーちゃんかんべん、子供らのわがままだ。

 世の中には、経管でも胃瘻でもなく、なんじゃやら腸に直接栄養を送り込む最新技術が存在し、それだと誤嚥や嘔吐といったリスクがまったくないらしいが、今のところ狸らには無縁の技術である。
 世の中の人間や狸の大半は、アベさんでもオバマ氏でもパクおばさんでもない。

          ◇          ◇

 唐突ですが、病院の帰りに、一番安い血圧計と、新しいフライパンを買ってきました。
 今年に入って血圧が上がり気味の狸も、まだまだ生き続けなければならないらしい。
 より快適に生きるためには、焦げ付かないフライパンが望ましい。
 いざとなったらカラスや野良猫を張り倒して、食う手もあるしな。
 醤油は控えて、ポン酢あたりで。


04月16日 水  星を見る狸

 ……甘かった。
 母親の病状は、芳しからぬ方向に有為転変。
 今日明日といった事態ではなさそうだが、逆に長期戦の気配なのである。こうなってくると、親子の情にからむ心配に加えて、日々の差額ベッド代といった、非情に、もとい非常に、いややっぱり非情に現実的な問題が、狸一族の貧弱な肩甲骨にミシミシと。
 本当は判っているのである。神も仏も大自然も、自力生存不可能な老小動物などは意地を張ってないで速やかに土に帰ればいいじゃん、と、なんの屈託もなく公明正大にまっぴらいてくれているのでありますよ太古から。
 でもまあ、一介の狸の知ったこっちゃないけどな。
 こっちはこっちで勝手に情に流されます。

          ◇          ◇

 狸なので、夜中に腹鼓を打つお約束上、毎晩一度は月を見上げている。
 こないだから、お月さんの左の横っちょに、やけにでっけー赤色ダイオードが光っていると思ったら、NHKラジオによりますと、あれが火星なのだそうだ。
 火星の大接近――いわゆる『西郷星』ですね。
 また『ラストサムライ』でも観てみるか。


04月13日 日  諸行なんぼか常

 さて先日は、神奈川で入院中の母親を、姉といっしょに見舞ってきたわけだが、病室に入ると、痰が絡んでゼイゼイと苦しそうに寝ているので、あわてて看護師のおねいさんにご注進に及び吸引などしてもらったものの、落ち着いて枕元を見れば、なんじゃやら複数の計器を通して容態などは常にナースステーションでモニターされているわけで、定期的な去痰なども施されているのであった。その痰がまだかなり多い以外、熱や肺自体は快方に向かっているらしく、来週からは現在点滴で補給中の栄養を鼻からの補給に切り替えたり、それが順調に行けばさらに自力の嚥下を目指す――つまり現状は、危篤でもなんでもなくなっているのであった。
 とはいえ現在、痰や唾液を自力では嚥下できないし、今後鼻からの栄養補給に切り替えても、仮に自力で嚥下できるまで回復しても、いつなんどき誤嚥が起こるか誰にも判らない。といって胃瘻にしてしまうほどの容態でもない。体の芯自体は、かなり丈夫な母親なのである。無論アルツ後期なので、運動や意思表示はほとんどできないが、狸が大声で話しかければ、たぶん何ひとつ理解していないなりに声に反応して目を開いたり、「あーうー」などと何事か声を返そうとしたりもするのである。いわゆる植物人間にはまだ遠いわけで、当人も息子も娘も、もはや「なるようにしかなりません」と、時の流れに身を任せるしかない。
 とはいえ今のところ、肺炎を免れ回復傾向。見舞いを終えた息子の狸は、本能のみに生きる小動物らしくとたんに食欲をとりもどし、駅でカツ丼をわしわしとかっ食らったりして、まだ陽も高いしせっかく遠出したのだからと、大船で姉と別れモノレールに乗って、能天気にも湘南は江ノ島を目指したりしてしまうのであった。
 まあ結局、世の中なべて諸行無常なんですけどね、賑やかに、平和に浮かれてましたわ、好天の土曜の江ノ島は。

   

 ちなみに狸自身の気道炎は、軽い花粉症の姉と同程度の症状まで快癒しております。
 実際、ただの花粉症に移行しているのかもしれません


04月10日 木  諸行無常

 とはいえ『現状維持』という概念も、この現世においては机上の空論なのであって、良かれ悪しかれ諸行は無常、狸の洟や痰が日々薄紙をはぐように治まっていくかと思えば、特養の母親が、誤嚥で緊急入院したとの報が入ったりもする。
 明らかな誤嚥性肺炎は発症していない模様だが、軽い発熱があり、予断は許されない。なんといっても、すでに寝たきりならぬ座りきりに近かったアルツ後期の身、誤嚥性肺炎は死因のトップだ。
 とりあえず土曜に様子を見に行くと、姉に伝えておく。

 その報を聞いたとたん、我ながら呆れるほど速やかに食欲が消えた。水やコーヒーは普通に飲むが、胃が固形物を受け付けない。
 かつて父の危篤を聞いたときの感覚に、やはり似ている。
 自分がそれほど繊細な狸であるとか親思いであるとか、そういったレベルの問題ではあるまい。
 状況に順応するだけで、消化能力がいっぱいいっぱいなのだ。
 まだ死んでいないこといずれ死ぬこと、そうしたものが、生まれたこと生きていることと同様ただの自然現象であることは十分に心得つつ、それでもやっぱり本能のみに生きる小動物にとって、血筋というものは、映画『砂の器』のクライマックスでピアノ協奏曲『宿命』を弾きまくるヤケクソの和賀英良のごとく、なんだかよくわからない、濃ゆいものらしいのである。


04月06日 日  じゅるじゅる

 自主アブレ日。
 じゅるじゅるじゅる。
 雨が降ったり暖かかったり、晴れたり寒かったり、こんな一日の絵日記に『お天気』の欄があったら、どう記せばいいんでしょうね。
 ずぴー。
 やっぱり『いろいろ』かな、うん。お天気も人生も。
 じゅるじゅる。
 いや、このまんまだと、今後の狸の人生いや狸生は、『いろいろ』以前に『のべつまくなし洟をすする』が、最優先になりそうな気もする。
 ずぴぴー。
 でもまあ、こんな冬から春への三寒四温っぽい天候不順も、あっというまに梅雨を抜けて『猛暑』『酷暑』『惨暑』に長期安定してしまうのが、ここ何年かの日本のお約束である。
 ……安定すりゃいいってもんでもないと思うが、どうか。
 とりあえず、なんでもいいからこの鼻水を止めてください気象予報士のおねいさん。
 じゅるじゅるずぴぴー。 


04月04日 金  はな

 花が咲いております。
 満開の桜が、江戸川の土手を、綿菓子のようにふうわりと彩っております。

 洟がたれております。
 鼻血混じりの水っ洟や葱っ洟が、卑しい狸の口吻を、ガビガビとキビしく彩っております。

 …… ♪ はなは〜〜 ながれ〜て〜 どこどこ い〜くのぉ〜〜〜 ♪

 とゆーわけで、発熱や喉の腫れこそ治まったものの、病院を再訪するまでもない程度の洟・痰・咳、つまり病床に逃避する言い訳にもならない程度の風邪の三三七拍子が気道沿いに固着してしまい、内心ただ生を厭いながらも外面元気に仕事しなければ世間様は許してくれないという、因果な春を迎えてしまった今春の狸です。

          ◇          ◇

 ところで、こないだの日曜、姪の結婚式で、うまれて初めてフォアグラを食ってしまいました。
 ちなみに新郎の職業を狸は誤って記憶しており、公務員ではなくJR東海、しかもリニア新幹線関係のバリバリ青年技師。なんせフォアグラだもんな披露宴。
 なるほど狸の好物『アンキモ』が、『海のフォアグラ』と呼ばれるわけである。味覚の大元が共通だ。しかし本家フォアグラが『陸のアンキモ』と呼ばれることは、まずあるまい。『地獄のアンキモ』とも呼ばれまい。無辜のガチョウさんが人間に拉致され、どれほど悲惨な後半生をたどり凄絶な末路を迎えようと、その体内で強制的に形成された病的な脂肪肝は、人にとっても狸にとっても『天上の美味』である。実際アンキモのひゃくまん倍は美味い(あくまで当狸比)のである。原料調達過程において、吊し切りよりひゃくまん倍は陰惨なぶん、きっちり美味いのである。
 しかし卑しい狸の身に、このような高価な美味を舌愛する機会は、たぶんもう二度と生じまい。だから善人ぶって「こんな残酷な食材の存在は、断じてこの世に許されるべきではない!」などと、まことしやかに絶叫しても自分自身はちっとも困らないわけだが、あえて狸は絶叫しません。だって、すっげー美味かったんだもん。そりゃ金があったら食いますよ狸だって週一で。

 ところで例の調査捕鯨禁止判決に対し、まことしやかに「日本の伝統的食文化がどーのこーの」と反論されている本邦識者の方々、なんで全世界に蔓延する喫煙者差別は問題視してくれないんでしょうね。シーシェパードやグリーンピースや小保方論文どころじゃないぜ、あの差別的煙害創作データの乱立は。

          ◇          ◇

 で、やっぱり先週の日曜日、桜木町駅から、ランドマークのでっけー観覧車方向に歩いておりますと、路傍に蝉の死骸がいくつも転がっておりました。先々週の、あの20度越えの陽気で、うっかり夏だと思って羽化しちゃったんでしょうね。で、翌晩には可哀想に凍死してしまった、と。
 彼ら彼女らの最期の夢が、可憐な美少女蝉もしくはイケメン蝉との甘い一刻、あるいはフォアグラ付きの披露宴であったことを、全霊をもって理念する狸です。


04月01日 火  えいぷりるふーる


     

          ◇          ◇

 たかこ 「ジュンで〜〜〜す!!」
 くにこ 「チョーサクで〜〜〜す!!」
 ゆうこ 「……ぽ。……あ、あの……あの……み……、みなみはるおでございま〜〜〜す!!」

          ◇          ◇

 狸注・引用動画とコントのあいだに、関連性はもーまったくございません。