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05月31日 日  ブンガクの公用と効用と昂揚

 ほう、阿倍さんちでは、文系の子は、継っ子扱いになるのか。
 まともな戦争できるアタマじゃないな、やっぱり、あそこんちは。
 先の戦争に至る過程で、万葉系の文学がいかに一般国民を鼓舞したか、阿倍さんは教わったことがないのか。老獪だったお祖父ちゃんも、孫までは教育が行き届かなかったのか。

 実利だけで戦争できる奴などいない。実利にこだわる人間は、ほとんど戦場に立たないのである。バランスシートの計算に忙しいから、爆撃を受けそうな場所にも住んでいない。実際に血を流すのは、ほとんど損得抜きの人間だ。
 いや、たとえばISを見よ。貧乏人も実利で殺し合ってるじゃないか、とおっしゃるケダモノなみの方々もいらっしゃるだろうが、ちゃんとした親の躾を受けていれば、貧乏人だって略奪のためだけに人を殺したりはしない。貧しい自分が、僅かにでも美しくあらんがために戦うのだ。その美しさをどう定義するか、そこに国民の文学意識が大きく関わってくる。言霊の伴わない修身や道徳の教科書など、大半の生徒にとって「ケッ」だったのは、歴史上明らかではないか。国語の教科書だって「ケッ」だったよ、とおっしゃる方には、こう問いたい。じゃあ大衆雑誌の連載小説はどうだったか、ラジオから流れる勇壮な講談や人情あふれる浪花節はどうだったか。芸能と文学は、昔から不可分である。
 とにかく、阿倍さんちのお坊ちゃまがたに、自分たちでおっしゃる美しい国とやらをまともに想像する知恵は、残念ながらなさそうだ。

 ……あれ? 狸って、やっぱり感情右翼? 美しく戦争したがってる?
 いやいや、単にブンガクしたいだけなのね。
 その証拠に、日々お偉いさんにヘコヘコしつつ陰で「ケッ」とか言いながら、自前のやくたいもない絵空事をせめてちょっとは美しくするために、ちまちまぽこぽこしている。


05月29日 金  ぼちぼちぽちぽち

 なんだか垂直の崖にへばりついてじわじわとよじのぼっているんだかいないんだかよくわからないような日々を送っていても、まあ真っ逆さまに落下しない限り、いつのまにか日銭は口座に振り込まれ、打鍵物は溜まって行くわけである。そろそろ例の木馬物件の、4回目を更新できそうな案配だ。あんなユルい文体なら、毎日なんぼでも打ち進められるのではないか、そんなご意見もありそうだが、先月の深夜トリップ時のなかばラリった走馬燈のメモのみを頼りに、日々『てにをは』まで乱れがちな老い疲れた脳味噌で、細部まで映像化しながら成文化している狸としては、これが限界なのである。
 ああ、シャブがほしい。誰か売ってるとこ教えてくれ。ただし1服130円くらいで。リポDだって仕事先の自販機で単品130円で買えるんだから、北●鮮や南米→ヤクザ屋さん経由でなく、ふつうの製薬会社→薬局経由ならば、10本パック780円で売っても利が出るだろうに、あんな化合物。だいたい、近頃のなんだかよくわからない凶悪事件だって、シャブがらみより、単なる情操上の歪みやアルコールがらみのほうが、よほど多いではないか。
 などとアブないことを口走ってしまうほど、昨日までの昼間はぐぞあづぐでぐぞあづぐであぜがだらだらでぐじょぐじょで辛抱たまらんかったわけだが、まあ今日はそこそこ落ち着いたので、やっぱりシャブはいけませんね、うん。晩飯と風呂とニコチンとカフェインで充分です、はい。
 それにつけても、狸って我ながら向精神薬に対して自制心があるなあと感心してしまうのは、例の睡眠導入剤、近頃とんとお呼びでないのである。2日に1錠で処方されているのだが、先月もらった分がまだ10錠も余っている。就寝時間なんぞなんぼバラバラでも、体を使いながらの慢性的な睡眠不足には、いかなる脳内麻薬も太刀打ちできないのであった。
 明日明後日は自主アブレだ。さあ、寝るぞ。
 でも、その前に、いちおうやってみましょうね、ぽちぽちと、脳内麻薬の絞り出し。
 ニコチンとカフェインだって麻薬だろう、などと胸を張っておっしゃる正しい大人の方は、ラリった狸に夜道で襲われ、鼻を嘗められないようにご用心。


05月26日 火  地獄極楽


     

 ほう、来月から、こんなポスターになるのか。年ごとにレトロから今風にしていく、そんな企画なのか。
 痴漢冤罪問題なども、多く話題に上がる昨今だが、実際に痴漢をやる奴がちっとも減らないからこそ、冤罪も増えてしまうわけである。

 世に通勤通学ラッシュがある限り、痴漢被害も痴漢冤罪被害も、根絶は困難だろう。
 狸だって昼勤や夜勤以外はラッシュ時の電車に乗るから、意図せずして、しばしば女性の背後に密着してしまうことがある。なにせ立錐の余地なき車内、どーやっても離れられず、身長差によって狸の息子が女性の腰あたりに凸凹と収まってしまうことさえある。そうした場合、冤罪を被らないため、両手は吊革方向とか自分の鞄の紐とか、極力上方に保つわけだが、「この狸は卑しい狸のナニをこの女性の臀部に押しつけた!」と告発されてしまえば、「いや俺は貧乏糖尿気味なんで勃ってません」と、その場で掘り出して証明するわけにもいかない。

 冗談はさておき――100パーセント冤罪ではないと証明され、当人もそれを認めた場合、従来のようにほとんど訓戒のみに等しいフヌケた処分を下すのではなく、問答無用で手首を切断して二度と接合できないように両断面をササガキにする、それでいいのではないか。以前にも記した、レイプ野郎は全員●茎と金●を石臼ですりつぶす、それの、やや甘いバージョンですね。

 狸だって不健康ななりに牡であるから、ある種の牝の尻を見れば、それは触りたくないと言えば嘘になる。正直、触りたい。ものすごく触りたいと言っても過言ではない。事実、密室で触りまくったこともある。合意の上でしたけどね。当然でしょう。それは自分の尻ではなくヒトの尻である。いやいや合意がないからこそ興奮するのだ、と、なお反論される方がいらっしゃったら、はいはいじゃあひとりサミしく興奮してなさい、と冷たく突き放すしかないわけである。
 で、ここから、さらに本音に入らせてもらうので、次の二行、汚れなき方々には絶対に反転してほしくないのであるが――。

 ズバリ、痴漢より痴女プレイのほうが、ひゃくまん倍もキショクいいのではないか。
 手コキはもとより、尻コキなんぞ、もーまったく極楽だと思うのだが、どうか。


 比べれば痴漢など、しょせん地獄行きの諸行である。


05月23日 土  仮面スカトロパーティ

 佳子さま脅迫「酔っていた」=掲示板投稿容疑の男―警視庁 【時事通信 5月22日(金)12時7分配信】

 秋篠宮ご夫妻の次女佳子さま(20)をインターネット上で脅迫したなどとして、無職池原利運容疑者(43)が偽計業務妨害容疑で逮捕された事件で、同容疑者が警視庁の調べに「酒に酔っていた。自分は反皇室ではない」と供述していることが22日、同庁捜査1課への取材で分かった。同課は押収したiPad(アイパッド)やパソコンの解析を進めている。
 同課によると、池原容疑者は16日午後、新宿区の自宅でインターネット掲示板「2ちゃんねる」に、佳子さまに危害を加えるような内容の書き込みをした疑いが持たれている。


 で、多くのニュースでは、日韓関係がアレなせいかあまり触れていないようなのだけれど、どうやらこの容疑者は、日本人なのに韓国人を装って「韓国人の男に逆らえないようにしてやる」等々、さかんに吹いていたらしい。
 で、バレたら「酔っていた」ですもんね。
 正体を失うほど酔っていても、便所虫はキーボードをポチポチできるらしい。さすがに原始的生物は神経が違う。

 狸など、以前にも述べたように、あたかも極貧の日雇い労働者であるかのように装いながら、実は古代から蓄積された莫大な財宝を連綿と受け継ぐ骨の髄からのブルジョア階級であり、今、オーストリアアルプスを一望する広大な自家用山荘の一室、14歳以下の美ろり69人に傅かれ、黒海産のキャビアを肴に1945年物のロマネコンティを傾けながらこの雑想を打っているほどなので、心身ともに、砂糖細工のごとく繊細である。また、同時に発酵しすぎたブルジョアとしての濃厚な臭気をも持ち合わせているので、酔っ払ったイキオイでスカトロパーティーとか始めても、仮面を着けるなどという一見繊細のようでいて実は野暮の骨頂である行為は、恥ずかしくてできない。仮面は、せめて舞踏会止まりでしょう。伝統的貴族界において、お互いの排泄物は、アポリネールやサド級に、ナマ顔で味わうのが礼儀なのである。

 何を言わんとしているのか自分でもよく解らなくなってきたが、まあいいや。

 今夜も狸穴、じゃねーや、大山荘を訪れたブチ下僕は、たいへんにほわほわしている。
 高貴な狸としては、ミケ女王様のキビしい聖水プレイなども、再度味わうにやぶさかではない今日この頃なのであった、まる、と。

          ◇          ◇

 まる、と言っておいて、真夜中、いきなり続きを打ったりもする。
 いや、録画しておいた『朝やけの詩』を観て、えぐえぐと泣いてしまったのである。
 なんと美しく、痛切な映画だろう。高一やそこらでこれを観て感動していた過去の自分を、力いっぱい抱きしめてやりたい今の自分がいる。
 この映画を、当時『古臭い』と一蹴した多くの映画評論家や観客たちは、はっきりと、その時点で全盲になっていたのだ。高度経済成長のイケイケにフヤけきり、とうにその成長が限界を迎えたことから目を背け、まだイケイケに縋ろうとしていたのだ。
 たぶん、今現在の若者が観てくれたら、かえって多くの共感が得られるのではないか。


05月20日 水  ち、違うぞ

 えーと、いつもYoutubeには、著作権云々はとりあえずちょっとこっちに置いといて、メジャーのみならず一般に忘れ去られがちなマイナーな神歌や神映像をGETさせてくれる草の根掲示板として、感謝感激している狸なのだが……すみません。この神歌の主・佐藤博さんは、あくまで福島出身のマイナー・フォークソング・シンガーライター佐藤博さんであって、写真の大メジャーなキーボーディスト、故・佐藤博さんとは別人なんですけど……。

     

 ともあれ、この『南風』、聴けば聴くほどに、とうに草叢の土に埋めて忘れていた10代前半の汚れなき、もとい汚れ始めの狸の心を、小さな先端の赤いスコップでザクザクと掘り起こしてくれるような、紛れもない神歌である。胸がきゅんきゅんしすぎて、悶死寸前の狸が約一匹。

 ちなみにまだお亡くなりになっていない佐藤博さんのほうは、前述したように福島出身なので、近頃、こんな歌も歌っておられます。

     


05月18日 月  雑想

 大阪都構想の住民投票、1万741票差で反対多数 【朝日新聞デジタル 5月17日(日)22時47分配信】

 橋下徹大阪市長(大阪維新の会代表)が掲げた「大阪都構想」の是非を問う住民投票が17日に行われ、1万741票差で反対が多数となった。都構想は廃案となり、大阪市は政令指定市として存続する。橋下氏は同日夜の記者会見で政界引退の意向を表明。安倍政権がめざす憲法改正への戦略も含め、今後の国政の動きに大きな影響を与えそうだ。当日有権者数は210万4076人で、投票率は66.83%だった。


 ほう、今どきなかなか景気の良い投票率ではないか。
 京都より西に行ったことのない浅学な狸は、大阪都も大阪府も同じ大阪人がやるんだから実は大して変わらんのじゃないの、などと思ったりもするが、橋下氏の政界引退表明は、橋下氏の行ったなんかいろいろの中でも、最善の行為に思われる。人間関係を上下関係や敵味方でしか計れない人間は、悪徳弁護士やマスコミ弁護士なら立派に務まるだろうが、政界の上に立つには狭隘すぎる。

          ◇          ◇

 暖かいというか、もはや狸にとって暑いというか、帰穴後、窓も玄関も開けっ放しでぽこぽこ打鍵していると、ブチ下僕がパソコン&万年床部屋まで入ってきて、足元をすりすりしまくったりする。ミケ女王様とは違い、ナマモノの要求ではなく、すりすりのためのすりすりなのである。こうして狸の毛皮に猫の毛が付着するわけである。
 ブチ下僕は、後ろ頭を掻かれるのが好きで、ときどきコリコリ掻いてやると、すりすりを中断してじっとしたまま目を細める。確かに、猫が自分で後頭部を掻く姿は、見たことがない気がする。縦横無尽な体躯に見えて、四つ足と肉球だけの人生、じゃねーや、猫生は、やはり不便なのである。人間に化けて自分で自分の後ろ頭をコリコリできるだけでも、狸のほうが猫よりはシヤワセなのだろう。
 しばらくすると、ブチ下僕は椅子の下に丸餅のように落ち着いたので、ふにふにといじくり回す。
 ミケ女王様も、こうしてふにふにいじりまくってみたいが、残念ながら、最後まで尻尾ツンツンしか許してくださらないらしい。


05月17日 日  よれよれ

 本日、自主アブレ。
 例によって昼まで徹夜し、木馬物件の3回目を、例の板に投稿。前2回より分量も多く、かなりハイペースっぽいが、実は、以前に短編として打ちかけていたテキストを、大幅に使い回しできるパートなのであった。打ち下ろしだったら、こんなペースでは進まない。歳なのさ。

           ◇          ◇

 ああ、中村様、お気遣いありがとうございます。……って、いったいそれは何の話かというと、『惰弱』とか『民度』とか『劣化』とか、なんかこないだここでつぶやいた件なのであるが、こんな狸穴でひとりでぶつぶつつぶやいてることでも、どなたかの耳には届いているわけである。ありがたいことである。

           ◇          ◇

 で、夕方に起き出して、ウスラボケっとミケ女王様に仕えたりブチ下僕をこねくりまわしたりした狸なのであるが、それにつけても、ああ、及川ミッチーは、いいなあ。
 ……なんの脈絡もないが、いいのである。僕らはみんな生きている。それでいいのである。

     


05月14日 木  雑想

 千葉女性不明 強殺容疑で4人再逮捕へ 現金奪い生き埋めか 【産経新聞 5月12日(火)23時17分配信】

 千葉県船橋市の無職、野口愛永(まなえ)さん(18)が車で監禁されて同県芝山町の畑から遺体で見つかった事件で、県警が監禁容疑で逮捕した4人の容疑者について、野口さんを土中に埋めて殺害し財布や携帯など所持品を奪った疑いが強まったとして、13日に強盗殺人容疑で再逮捕することが12日、捜査関係者への取材で分かった。船橋東署捜査本部は、野口さんの殺害に4人全員が関わり、生き埋めにした可能性が高いとして捜査を進めている。
 監禁容疑で逮捕されているのは、野口さんの元同級生の船橋市の少女(18)、住居不定、無職の井出裕輝容疑者(20)、成田市の無職、中野翔太容疑者(20)と東京都葛飾区の少年(17)の4容疑者。
 野口さんの所持品の一部である携帯電話は、「川に捨てた」と話した少女の供述通り、千葉市花見川区の川で見つかっている。


 生き埋めにされた被害者にとってはなんの救いにもならないわけだが、いわゆる半グレだったらしい成人ふたりに関しては、県警もよく追い込んでいると思う。ただの『殺人』や『傷害致死』ではなく『強盗殺人容疑』なら、このまま追い込めきれれば、刑法上、有期刑はありえない。この人非人(はたちならもう虞犯少年ではなくただの鬼畜である)らが、たとえば年季の入ったヤクザだったら、金品には絶対に手を触れなかっただろう。殺害の前後にかかわらず、一円でも奪ったら強盗殺人、判決は死刑か無期懲役の二択である。
 まあ裁判員がたまたま全員狸の仲間で、揃って「吊せ!」と叫んだとしても、裁判官が狸の仲間でないかぎり死刑にはならないだろうし、無期懲役でも模範囚でいれば三十年くらいで出てくるわけだが、少なくともそれまでは、いっさいプライバシーを剥奪されたムショ暮らしである。ワガママ幼児なみの頭のまま二十歳まで育った半グレにも、なんぼか矯正効果があるかもしれない。あとは裁判官が妙な温情主義者でないことと、弁護士が狡猾な詐欺的人物でないことを祈るばかりだ。 

 ……いやあ、死刑肯定論者の狸も、近頃はめっきり丸くなっておりますね。
 歳なのさ。

          ◇          ◇

 本日はアブレ日。
 例によって日が昇るまで木馬物件を打鍵し、昼過ぎに起きて狸穴を這い出す。
 未知の道を徘徊したい。しかし交通費はかけたくない。最寄り駅の四方八方はすでに徘徊済みなので、都営地下鉄の隣駅である『篠崎』から、もーまったく方向にこだわらず、とにかく曲がり角があるたんびに「あ、こっちの道のほうが良さげだな」、そんな基準でひたすらほっつき歩く。正解であった。駅前の、どこにでもある都会の地下鉄駅周辺の雑踏は、そう長くは続かず、いかにも江戸川区らしい小規模な町工場や、空き地がほったらかしになって草っ原と化した一角などもあり、でも鉄条網で囲ってあるからつまんねーなーとか思っていると、そこはそれほったらかしのまんまでいつのまにか入り口ができてしまった空き地もあり、近所の女の子たちが白詰草を摘んでいたりする。
 東京でも、けっこう『花摘み少女』って、見られるんですよね。何年か前、山手線の内側、目白台あたりの山の手から幽霊坂(あの和敬塾の裏手の坂ですね)やらを経て学習院下あたりまで徘徊したときも、江戸川区とは正反対の土地柄である高台の町で、江戸川区とはタイプ違いの女の子たちが、道ばたの花を摘んでいたりした。
 やはり狸がお勧めしたい『ろり観賞スポット』は、休日の大規模SCでも渋谷でもなく、日常生活のほんの隅っこで無防備に遊ぶ普段着ろりが見られる場所、つまり無目的徘徊の途上にある、路傍のエア・ポケットである。
 それらがこの都会でも、稀にではあるが今もきっちり残っているこの国は、やはり狸にとって、深く愛さざるを得ない国だ。

     

 ところで、『惰弱』も『民度』も『劣化』も、その言葉の含む曖昧さや時代性や相対性を充分に考察した上で使うなら、別に軽々しい言葉ではないと思うが、どうか。要するに、深く考えないで発作的に使うな、ってことなんだろうな。
 って、誰に対してつぶやいてんだろうね、狸は。
 とまあ、そのように『ツイート』というシステムは、狸にとってハテナな世界なのである。


05月12日 火  不思議の国のビンボ

 〜前島知美さん(仮名・28歳)/アパレル関係〜

 若い女性が多く働くアパレル業界。華やかに見えるが、実は低賃金で過酷な労働を強いている面がある。契約社員としてショップ店員を務める前島さんの年収はおよそ150万円。休みはほぼなく、もちろん、福利厚生など皆無だ。
「19歳のときに『カリスマ店員』に憧れて飛び込んだものの、現実は華やかな世界どころか、若いコを倒れるまで使い潰すのが当たり前のブラックな業界でした。徹夜で残業をしたり、休日出勤も当たり前なのに手当ては一切出ない。一人当たりの売上げノルマもあるのに、13万円しかない月給のなかから自腹で自分の店の服を買わないといけない。食費を削って服を買うコも多いので、ガリガリに痩せて病気になったり、みんな常に大量の薬を持ち歩いています」
 同じ職場の10代の女性は劣悪な環境に耐え切れず、ストレス性の糖尿病で倒れたという。
「『アパレルには健康なスタッフはいない』というのが業界のあるあるネタです。若いコは生活苦や体を壊してどんどん辞めていく。それでもアパレルに憧れたコはどんどん入ってくるから、ブラックな体制は何も変わらない。私も数年単位でお店を転々としていますが、どこも似たりよったりで、生活は全然楽になりませんね」
 時折、ふと疲れた顔を見せる彼女もまた、精神的にギリギリの状態で働いていた。
「資格を取る時間もないし、みんな目の前の仕事をこなすことしか考えられない。それに職場は10代や20歳そこそこの若いコばかりなので、法律の知識がないから辞めた後も泣き寝入りするしかない。業界もそれを知ってて利用してるはず。人を追いつめて使い潰す業界の体質そのものが、貧困女子を量産しているんだと思います」
 他業種へ転職できるようなスキルも身につかず、心と体を壊せば再起するにも時間がかかる。きらびやかな世界の闇は異様に深い。
<私の未来予想図>
資格もスキルも取れない以上、結婚に逃げるしか術はないです
 5/12発売の週刊SPA!に掲載されている大特集『ニッポンの大問題[女の貧困化]が止まらない!』では、上記のような「リアルすぎる実例」が世代別で続々登場。彼女たちの未来予想図にもぜひ注目してほしい。20代、30代、40代別で「女性の貧困」問題を検証していくと、「ワーキングプア」「シングルマザー」「隠れホームレス」などさまざまな問題が浮かび上がり、貧困大国ニッポンの真の姿に誰もが驚きを隠せないことだろう。
 果たして、新局面を迎えた「女性の貧困」問題に我々はどう向き合えばいいのか、ぜひとも考えながら読んでいただきたい特集なのである。
 <取材・文・撮影/週刊SPA!編集部> 【2015年05月12日 09:22 日刊SPA!】


 おーおーおー、相変わらずマスゴミの野郎女郎が、部数ノルマめざしてブラックに煽る煽る、などと、中二病らしく発作的に罵ってしまう狸です。
 まあ、そんなアパレル会社が多数存在するのは、事実なのだろう。
 でもなあ……。

 狸は清潔な環境が苦手なのでめったに出没しないが、何年か前まではときどきやむを得ず顔を出していた大手弁当工場などは、某最大手コンビニと取引しているため年中無休で人手不足、オバちゃんや外国の人のみならず、10代や20代そこそこの若い日本人女性もけっこう働いていた。長期バイトもいたしも日雇いスポットもいた。当時の昼勤時給900円、今は1000円超になっているようだ。つまり残業なしだと日勤1日8000円、週休2日で出ると月収17〜18万円、源泉徴収やなんかがあるので年収はまあ200万前後か。残業や夜勤もこなせば、当然それを上回る。ただし人並みに連休を取れば、当然200万を割る。
 そんな中で、いわゆる103万や130万の壁を考慮して、そう逼迫していない方は、自分から勤務日数をセーブしたりもする。セーブがいやで、しかも税金や国保をゴニョゴニョしたい方で、かつ現場の掛け持ちが面倒な方は、複数の派遣会社から同じ現場に通う、そんな裏技まで使っていた。後者に属する異常に元気な方は、下手をすると、いや上手にやると、たかだか弁当屋の非正規労働者でも、年に手取り280万稼ぐと言っていた。今の時給なら、300万に達するのではないか。
 そうした中で、もちろんごく少数だが、白帽子を脱げば色とりどりの頭をした20代前半の非正規労働者カップルが、共稼ぎでがんばってもうちょっと広いアパートに引っ越して赤ちゃん作ろうね、などと、実際に貯金を続けていたりもした。無論、どちらかが体でも壊せば、そんな砂上の楼閣の礎は一瞬にして崩れるのだが、その『幼い夢』と、上記の記事で煽るアパレル地獄とやらに使いツブされていくという娘さんらの『幼い夢』は、狸にはまったく違って見えるわけである。
 どうしても一年中キンキンキラキラな夢売りの世界で『カリスマ店員』になりたいなら、死屍累々を越えるイキオイの、夢と根性と才能と技術が、同時に備わっていなければ不可能だろう。まあそうして『カリスマ店員』になっても、自ら達した一年中キンキンキラキラな夢売りの上層にしがみつこうとすれば、後から蜘蛛の糸を上ってくる新参亡者どもなどは、よほど共存共栄の望める猛者でない限り、糸を切って見殺しにするしかないはずだ。上も下も『幼い夢』にしがみついている限りはね。
 ともあれ、仮に前者の非正規お弁当づくりのカップルが、『幼い夢』のなかばで倒れ、子持ちの極貧生活に陥ったとしても、少なくとも子供を檻に入れて餓死させたりはしないように思われる。生活保護でもなんでも、別の生きられる糸を探そうとするだろう。

 まあ、しつっこく『日本は実は貧困大国だ!』と煽りまくる、その四流週刊誌の下請けライターさんたちも、清掃業者としてのノルマを果たすために仕方なく、まだ食えるものをわざわざゴミ箱に放りこんだりしているのかも知れないが、まだ食えるものを捨ててると、そのうち自分がもったいないおばけに食べられてしまいますのでご用心。

          ◇          ◇

 例によってコロリと話が変わり、吹き降りの中を帰穴して管理人さんに下水道料を払いに行ったら(狸穴は現在、家賃は不動産屋に振込み、ガス・電気は戸別支払い、老朽化のため複雑怪奇化してしまった上下水料は管理人さんによるメーター管理プラス電卓勘定、そんな具合になっている)、こんどは『島らっきょう』という野菜をもらってしまった。沖縄から渡来したナマのラッキョウの束である。袋には、浅漬けや天ぷらにいいと記してあるが、狸は浅漬けも天ぷらも自製しない。前者はほとんど食性外だし、後者は大量の油が要るので、十年前あたりから狸穴内調理はパスしている。
 今、『島らっきょう』をネットで検索したら、けっこう調理に手間がかかるようなのだが――ナマで味噌でもつけて囓ってみるか。それとも、ちょっと湯がいたほうがいいかな。
 ――あ、なんだ、炒めものに入れてもいいのか。OK。にんにくに似てるってことは、パスタのペペロンチーノにも使えそうですね。なんかとっても精が付きそう。
 思えば、これもミケ女王様の恩返しなのである。貧困大国とやらで中学生なみの夢を見続ける奴隷には、ほんとうにありがたいことです。


05月09日 土  マミアナと猫の女王

 仕事先の玩具ロジで、比較的親しい、定年退職後の小遣い稼ぎ的な年長の日雇い派遣仲間に、休憩室で声をかけられた。
「田貫(仮名)さん、家で何か飼ってるの?」
 ジーパンの踝から膝にかけて、毛だらけになっていたのである。ブチ下僕の抜け毛である。こないだコインランドリーで洗濯乾燥したとき、下着類など小物を整理する間、台所の床に放置していたジーパンに、ブチが座ってくつろいでいたのかも知れない。あるいは狸がテレビ部屋であぐらを掻いていたとき、すりすり攻撃を受けて付着したか。
 ともあれミケ女王様の御貴毛でないことは確かである。ミケ女王様は、台所に立っている狸の足元にすりすりするだけで、それ以外の接触は断じて忌避なさる。そのすりすりだって、いわゆる『甘え』の要素はおそらく2割程度、4割は自分の所有物に匂いをつけるためであり、残り4割は「さあウスラボケっと突っ立てないでさっさとナマモノを出しなさい」といった命令なのである。その証拠に、夏場、狸のふくらはぎが露出しているとき、ちょっと調理中ですりすりを無視したりすると、いきなり噛みついてくる。
「いや、飼っているのではなく、アパートの管理人さんの外飼い猫が、部屋までついてくるのです。だからまあ、つい、おやつをあげたり」
 そのように答えると、その日雇い仲間は、猫嫌いとまではいかなくともさほど猫が好きではない――もとい全てのペット類に興味がないらしく、なんでわざわざそんなことをするのか俺にはよく解らない、そのような意見を返した。まあ奥さんも子供もいる人なので、そっちがよほどかわいいか、あるいはよほど鬱陶しいか、どのみちそれ以外の同居者を望んでいないわけである。

 狸が猫たち、とくにミケ女王様に無私でお仕えしてしまうのは、もちろん現在の狸穴での孤独を紛らわすためでもあるが――ズバリ、猫の恩返し願望。鶴女房とか、あるでしょう。んなアホな、と言うなかれ。実現する可能性がゼロでも願望は願望、妄想といってもいい。
 鶴は千年生きるらしいが、ミケ女王様は猫だから、十中八九、狸より先に他界すると思われる。しかし猫に九生有り。十数年後、狸穴で不遇を託つ老狸のもとへ、ある日突然キュートな猫耳ろりが――とゆーよーなありがちな虫のいい妄想は、狸もこの歳になると、さすがに恥ずかしくて抱けません。数年前は平気で抱けたんだけどな。
 むしろミケ女王様の後を追って狸も死に、生前の願いが叶って来世で猫に転生したとき、他の猫たちに「うわ、狸臭い猫が来た。こっち寄んじゃねー」などと陰湿なイジメに遭ってみゃーみゃー泣いているところへ、転生中のミケ女王様(猫なので、現在が九生目でない限り、後生もやっぱり猫なのである)が御来臨あそばされ、「あー、これこれ皆の者、弱い者いじめをするでない。そのぶよんとしてしまりのない狸臭い猫は、いかにも下僕に良さそうじゃ。わらわにくりゃれ」――。
 なかなか夢のある結構な妄想だと思うが、どうか。


05月06日 水  この世界の光と影

『おかあさんのばか』、半世紀近い歳月を経ての再観賞。
 なんという屈託のない世界なのだろう。突然の母親の死をふくめ、なんという透き通った世界なのだろう。いや、映画世界自体は、あくまで日常一辺倒の世界なのである。ままならぬことや小競り合い、ときには袋だたきを含めての、市井の日常である。しかしその日常を包む光が――明るい陽の光であれ覚束ない夜の街灯の光であれ――光が届く限りは、届くぶんだけの空気の『澄み』があるのである。
 などと抽象的な物言いに走ってしまうほど、当時の高度経済成長期のスコンと抜けた空気が、清々しすぎる映画であった。無論、その裏には、現在以上の貧富の格差や苛烈な公害問題なども、リアルタイムでその時代に育った狸が子供心にも感じるくらい存在していたわけだが、幼い子供や大多数の一般人にまで、過大な問題意識を課するような『社会意識』は、まだなかった。劇中に頻出する、屈託のない小学校シーンのように。なにせ教員室に借金取りが押しかけて教員に返済を迫り、それを他の教員や生徒が「こまったもんだこの先生は。でもいい先生なんだよな」と笑って見ているくらいですからね。
 この映画を見終わったとたん、テレビ画面には、ちょっと前にそこそこヒットしたらしいミステリー映画の、濁ったような世界観が映し出された。
 その濁りが時代の成熟であるなら、狸は、やはり死ぬまで精神年齢14歳のままでいい。
 これってやっぱり中二病なんですかね。

          ◇          ◇

 明日はアブレだ。さあ、打つぞ。狸の世界の、中二たちの話を。


05月04日 月  懐旧と現実

 ふう、ひと休み。
 明日は夜勤だから、気の済むまで寝られるぞ、と。

          ◇          ◇

 打鍵中の『美紀と優太と回転木馬』であるが、四十枚を越したプロローグに続く第二回、形になっている部分は約三十枚、しかしそこまで行っても、あの謎の木馬の再登場シーンにすら届いていないのである。やっと優太が顔を出し、美紀と絡み始めたところだ。はっきりと、連続長編群像劇(まあずいぶん軽量級だけども)の形になりつつある。金もないのに我ながら困ったもんだと吐息したりもするが、実はちっとも困ってなどいないのであって、こいつらほんとにどーやってあの感動のクライマックス(あくまで狸の妄想)にたどりつくんだろうなあと、生暖かい目で見守るばかりである。

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 明後日、ケーブルテレビのチャンネルNECOで、『おかあさんのばか』を放送してくれるそうだ。こんな映画である。
 狸は小学校の高学年あたり、映画教室で見せられた。今にして思えば、女の子が初潮を迎えるシークエンスなどもあり、その年頃の女子に見せるにはほどの良い映画だったのだろうが、その時代のその年頃の男子などというものはまだまるっきりのガキなので、ああうちの母ちゃん死んだら確かにヤダよなあ、その程度の記憶しかない。それでも、小学校から中学にかけて毎年1〜2回あった映画教室のうち、狸が記憶しているのは、小学時代だと、その『おかあさんのばか』、三船プロダクションの痛快遠洋マグロ漁船エンタメ『怒涛一万浬』、アメリカ映画と思われるハッピーエンド版『フランダースの犬』、その三本くらいであり、中学では、ノルウエーのレジスタンスの方々がナチスの原爆製造を阻止する戦争アクション『テレマークの要塞』、おいおいこんなんガッコの行事で見せるシロモノかと呆れつつ映画としてはしみじみ酔えた、渋みの極地とも言うべきフレンチ・ノワール『リスボン特急』、それくらいである。つまりその『おかあさんのばか』も、具体的シーンなどほとんど記憶に残っていないにせよ、男のガキの印象に残る作品であったことは、まちがいないのである。
 しかし――今、実物を再確認すると、どうなんでしょうねえ。時代遅れなのか、時代を超えてくれるのか。ビデオもDVDも無縁の作品だけに、博打的にありがたい再観賞ではある。

 日本映画専門チャンネルでは、今月後半から、熊井啓監督の『朝やけの詩』をやってくれるらしい。こんな映画である。
 これまたいっさいのソフト化とは無縁だった地味な作品で、公開前は関根恵子さんのヌードばかりが話題となり、いざ公開されたら当時の頭のトンガった映画評論家などは「なんだこの古くさい話は」と総スカンに近く、映画館に出向いたのも関根恵子さんのヌードを見たいだけの人が多く、当然ながら映画そのものの志――最先端にトンガってるつもりの映画評論家などには理解できない『時代を超越した熊井監督の視線』――がそんなイロボケ野郎どもに通じるはずもなく、可哀想にコケて埋もれてしまった映画である。
 あのなあ。そりゃ高校生の狸が見たって、あの映画が、狸の小学校の頃の日活映画(エンタメではないほうの)の映画文法で作られていることは歴然としていたわけだが、十年前の企画をまんま十年間保ち続けて形にした熊井監督の信念、それを見ないでどーすんのよ。たかだか十年、時代が変わったら言葉や行動パターンも変えなきゃあかんのか。
 ああ、なんだか別方向でトンガってしまったが、新しいだの古いだのはなんら志に関わらない、とまあ、そんなことなのである。
 などと言いつつ、実際に作品を再鑑賞して何を感じるか、それはやっぱり博打なんですけどね。
 しかし、四十年近く前にしばしばお世話になった(なんのや)関根恵子さんの眩しくも清々しい裸身は、変わることなくフィルムに焼き付いているに違いない――って、狸もやっぱりイロボケ野郎の一員かい。困ったもんですね。


05月02日 土  男と女

 旧日本軍の慰安婦被害女性、ノーベル平和賞候補に推進 【中央日報日本語版 4月29日(水)10時54分配信】

 韓国の法曹・外交界の女性団体関係者らが旧日本軍の慰安婦女性をノーベル平和賞候補として推薦する案を推進中だと韓国の報道機関である世界日報が29日報道した。
 報道によれば韓国女性弁護士会と女性平和外交フォーラムは28日、日本軍の慰安婦生存者である李容洙(イ・ヨンス)さん(87)ら53人をノーベル平和賞の候補として推薦するための案を議論中だと明らかにした。
 韓国女性弁護士会と女性平和外交フォーラムは、慰安婦生存者らが女性に対する暴力反対と戦争犯罪に対する反省を促すなど女性人権と地域平和のために貢献しているという点を認めなければならないという趣旨でノーベル平和賞候補として推薦するつもりだという。
 またノーベル平和賞候補推薦を通じて、慰安婦問題の解決なしには韓日の歴史対立も解決できず北東アジアの平和維持も容易ではないというメッセージを全世界に伝えるためのものだと世界日報は伝えた。


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 慰安婦問題の件は、とりあえずちょっとこっちに置いといて――追きっぱなしにする気は毛頭ないが――どうもその韓国女性弁護士会とか女性平和外交フォーラムに集う皆様の感性が解らない。『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』を、異次元レベルで反転拡大させている気がする。
 だいたい、『女性に対する暴力反対』や『戦争犯罪に対する反省を促す』や『韓日の歴史対立』や『北東アジアの平和維持』を、いっしょくたで扱うのは、正直、不可能である。歴史上、日本兵も韓国兵も他国でレイプしまくっていたわけだし、日本男性にレイプされた韓国女性より韓国男性にレイプされた韓国女性のほうがひゃくまん倍は多いだろうし、日本男性がレイプした日本女性のほうが韓国女性よりはひゃくまん倍も多いだろうし。
 国籍に関わらず、いやがる女性に無理矢理種付けするような男は、100パーセント確実な犯歴を明示の上で、全員●茎とキ●タマを石臼で磨り潰す、それでいいのではないか。
 その男がすでに死んでいる場合はナマで磨り潰すのが不可能だから、その骨を犬に食わせるとか。
 ……まずいか。動物愛護、ということもあるからな。

 いずれにせよ、近頃、感情右翼から、すっかり貧乏左翼に転向してしまった狸でも、『旧日本軍』が直接慰安婦を引っさらっていたわけではない、という事実は認めねばならない。そりゃ、ハンパな日本兵が徒党を組んで韓国女性をレイプしたあと女衒に売り飛ばす、そんなことは当然あったろうが、それはもう明白な軍規違反、『旧日本軍』も許すところではない。などと言いつつ、当然、それを容認するハンパな上官がひとりもいなかったなどと断定するほど、狸も非常識ではない。その場合は、上官ひっくるめて軍規違反である。それについて、戦後生まれの狸に出来ることは、ハンパな兵隊に憤るとともに、被害者の無念を想い心を痛めるだけである。

 ただし――「この男が昨夜女性をレイプした。同じ男として、こいつの陰●とキン●マを石臼で磨り潰せ」と、100パーセント確実な証拠を明示の上で言われれば、誰がどの国の人間かを問わず、力いっぱい磨り潰してやるにやぶさかではない。「この男が昨夜男性をレイプした」でも、同じである。
 しかし「この女が昨夜女性をレイプした」の場合は――すみません。何もできません。
 ……まずいか。性差別、ということもあるからな。
 でも個狸的見解としては、牡より牝のほうが絶対貴重だと思うのね。牡なんぞ九割方死んでも、牝が健在なら哺乳類は滅びない。しかし逆だと、まず絶滅する。


05月01日 金  まだ

 たかこ 「や・っ・ほー・、・まー・だ・だ・よー・!」
 くにこ 「ん・む、・こ・れ・は・ま・だ・だ・な」
 ゆうこ 「ご・め・ん・ね、・ご・め・ん・ね」

 くにこ 「……なんぼポキポキしゃべっても、まんねりは、やっぱしただのまんねりだとおもうんだが、どうか」
 たかこ 「は・っ・は・っ・は」
 くにこ 「……おい、たかこ。おまい、ほんとうは、なーんもかんがえてないだろう」
 たかこ 「う・ん・!」
 くにこ 「…………わかった。もういい」
 ゆうこ 「?」