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02月29日 月  体に悪い真実

 軽い鼻水と軽い咳を残し、インフルっぽい気配は消え去ったようなので、今日から仕事にでた。
 長患いのあとで久々に仕事に出ると、一般世間があえて触れまい触れまいとしているあるひとつの『真実』に、真正面からぶち当たることになる。
 ズバリ、仕事ほど体に悪いことはない、そんな真実である。

 バリバリの企業戦士が定年で隠居したとたんボケ老人に――そんな与太話をまことしやかに流布させる狡猾な悪漢輩が巷には多いが、信じてはいけない。あれは、この世にごく少数の、仕事なんて体に悪いことしてないで毎日毎日好き勝手に遊んで長生きできるリア充な方々が、その他大多数の無知無教養な奴隷どもをひとり残らず息絶えるまで酷使し続けるための虚言である。
 繰り返し断言する。仕事ほど体に悪いことはない。

 しかし真実などとゆー大それたものに目覚めたからといって、この溷濁の世に生きる非力な狸に、どれだけの誉れがあろう。
 今夜、心身共に真実に目覚めて帰穴した狸を、高貴なるミケ女王様は「今さら何を述べていらっしゃるのですかこの狸畜生」、そんな御尊顔で一瞥あそばされ、思わずプロレタリア革命に立ち上がりそうになったりするんだけども病み上がりで腰に力が入らずそのまんま「あーうー」などと台所に座りこんでいる非力な狸のふくらはぎに「さあさっさとナマモノをお出しなさいこの卑しい豚畜生」とスルドい牙を立てまくられるのであった。
 しかし理不尽な狂犬の牙とか餓狼の牙とか阿倍さんの牙(おいおい)とかが相手なら、あえて負け覚悟で噛みつき返したいような気がする狸であるのに、なんでミケ女王様が相手だと、このまんま噛み殺されても別に問題ないような気がするんでしょうねえ。

 つまり、そこでもひとつの大いなる真実が、ずごごごごご、などと狸の悟性上に浮かび上がってきたりするわけである。
 ズバリ、愛ほど体に悪いことはない、そんな真実である。


02月26日 金  たみふるりばうんど

 効果があるのは認めます。確かにインフルエンザ・ウィルスを、なんかいろいろ宥めたり賺したり脅したりして、「あーうー」状態を軽減してくれているのは実感できる。しかしあくまで極端な高熱を普通の高熱に下げ、頭ガンガンを頭ズキズキ程度に治め、全身の関節痛や極端なけだるさをまあ寝返りくらいは楽にうてるようにしてくれる、そんな感じの効きであって、とくに完全回復が早まる様子はない。
 熱はあれから今朝までずっと37度台後半を維持し、今夜になってようやく前半まで下がってきた。要するに、39度近いまんまウンウン唸って寝ているか、38度を割った状態でウスラボケっと寝ているか、それだけの違いのような気もする。まあそれだけの差があれば、お年寄りや小児の生命維持には大いに貢献するのだろうが、出るべき日雇いに出られない狸オヤジとしては、むしろ半死半生くらいのほうが、精神的に言い訳が立つ気もする。
 そしてもうひとつの落とし穴――38度台だと激減する食欲が、37度台ではほとんど落ちない。つまり、普通に食って寝てばかりいる。この3日で、ずいぶん肥えなおしてしまいました。稼ぎもないのに困ったもんだよ。


02月23日 火  いんふるたみふる

 昨夜から体の節々がぎしぎしと痛み始め、寝る頃には熱が38.6度、本日の朝も頭ガンガンの足元ヨレヨレ、やむを得ず仕事をキャンセルして「あーうー」などと呻きながら、いつもの病院にのたくりこんだ。ちょっと色っぽくもなくもない女医さんは、「ああこれはたぶんインフルもらっちゃいましたね」と、狸の鼻の穴になんじゃやら突っこんで、ぐりぐりぐりとえぐりまくったりした。今どきは、その検体から、すぐにインフルかどうか判別できるのだそうだ。で、やはりこれが紛う方なきインフルエンザ、「少なくとも5日間は休みなさい」などと、すばらしいご託宣をいただいてしまった。

 で、狸は今回生まれて初めて、タミフルというお薬を処方してもらいました。夢うつつで窓からダイブしたりしないようにしっかり施錠してから服用、夜までひと寝入りしたところ……す、すげーぜタミフル。節々ぎしぎしも頭ガンガンも、数時間で明らかに軽減している。熱も37.6度まで下がっている。
 いやあ、医学の進歩って奴は、すさまじいものがありますね。ほんの数年前までは、インフルもらっちゃったら最低3日くらいはウンウン唸ってるのが常識だった気がするのだが。
 しかし、もしこのまま一両日中に自覚症状が消えたとしても、すぐ仕事に出たら、やっぱり日雇い仲間にウィルスばらまいちまうのよなあ。
 なんといってもインフルですからね、自分さえ具合が良くなればいいわけではない。他に移さないことも大切なのです。特に狸ら最下層労働者は、その日暮らしのイキモノであればこそ、目先の日銭のために最下層仲間まで巻き添えにしてはいけない。などと言いつつ、何年か前の超絶極貧期だったら、餓死しないためにウィルスばらまきながら仕事していたかもしれないが。

 うん、サボろう。
 これはきっと天からの休暇命令なのだ。


02月20日 土  ぽこぽこぽこぽこ

 今日明日と、自主アブレ2連チャン。
 木馬物件に、なんとかケリをつけようという腹である。

          ◇          ◇

 腹の脂肪は、順調に落ちているようだ。アーミーベルトの余り部分が、明らかに伸びている。
 炭水化物ダイエットに加え、ぽこぽこと腹鼓を打ち続けることも、アブラミを減らすには有効なのだろう。
 やがて狸汁の具になるとき、赤身が増えておいしくなりますように。
 ……でも、バラ肉もけっこうイケるんですってね、狸汁。
 ただし、以前ここでも記したように、皮膚の臭いを肉に移さないようにサバくのが、コツらしいです。


02月15日 月  ダイエット順調

 去年、血糖値を下げる薬(いちばん軽い奴)を服用し始めてから、ときおり明らかな低血糖つまりシャリバテ状態、大昔なら「あ、ひだる神に取り憑かれてしまった」とかつぶやいてその場にうずくまりたくなることはたまにあるが、そんなときには、お医者が言うように飴玉一個しゃぶればすぐに復活できるので、大した実害はない。さらに、こないだから炭水化物を意識的にセーブし始め、てっきりシャリバテ状態も増えるかと思ったら、これが意外に増えない。まあ仕事前と仕事中は従来どおり食っているのだから当然か。

 主餐の大飯を小飯にするだけで、僅かながらも確実に毎日ジリジリと、風呂上がりの体重計の数値は減ってゆく。
 アブレ日の前などは、どうせ明日は動かないのだからと思いきってモチ麦ご飯を省略し、代わりに薄味の玉コンニャクを腹一杯かっ喰らったりする。すると一時的に体重計はドーンと上がる。翌日も上がったままである。ただし翌々日には、3日前よりもドーンと下がる。やはり若い頃とは違い、食ったものが腹の中でこなれて残りカスが尻から出つくすまで、2日以上かかっているようだ。ちょっと重労働してしまったときの筋肉痛が、翌日ではなく翌々日に現れるのと同じことか。
 ともあれ、思ったより順調にダイエットが進んでいる。これなら夏を待たずに70キロまで落ちるのではないか。
 そう甘くはない気もするが、いずれ葬式を出してもらった後は、間違いなく体重ナシになっている勘定だ。

 明日はアブレなので、今夜はコンニャク麺を主食にした。食品系バッタ屋だと、2玉買っても160円ちょい。おかげさまで腹はパンパンである。
 結局、まずくない程度のものを腹いっぱい食えれば、単純な狸などは、何食ったって生きられるのですね。

          ◇          ◇

 さて、木馬物件、いよいよラストシーンに向かってぽこぽこと。


02月11日 木  ひと息

 今日は勤労を感謝される日らしいので、自主アブレ。まあ、感謝してくれるのは、自分だけなのだが。
 いや、きっと阿倍さんちのお坊ちゃんも感謝してくれるだろう。一億総活躍社会、すなわち「おまいら死ぬまで休むんじゃねーぞ」ということである。

          ◇          ◇

 例によって明け方まで以下略。
 うおっしゃあ! やっと最終章を打ち終えた。
 こないだ齟齬に気づいた前半は、すでにみっちり修正したが、後半はこれから推敲しなければならないし、まだエピローグも丸々残っている。それでも久々の大長編、完結が近いのは確かだ。
 最終章、数えてみれば原稿用紙換算で現在108枚。しかし本来、最終回2時間スペシャルになる予定だったのは、前々章から続くあの一日の出来事+エピローグである。つまり「100枚から120枚くらいかなあ」とか思っていた部分に、ほぼ300枚を費やしてしまうことになる。
 クドいのですねえ。たぶん狸は死ぬまでクドい。

 あらためて全体を俯瞰すれば、打鍵開始時のシノプシス、つまり去年の春先に自分で妄想しウルウルしていた具体的モリアガリの大半は、ずいぶん抑えられた展開になってしまった。なぜか。アレである。って、どれだ。
 つまり去年の暮れに怪奇大作戦の新シリーズの中の一本についてここに記した、『こーすりゃ劇的だろう、こんな展開なら感動必至だろう、ほらほらクライマックスですよここで泣きなさい――そんな感じで段取りを進めるために、個々のキャラが、結局は不自然なチェスの齣でしかなくなっている。頑張ってる役者さんたちが気の毒だ。』――あんなふうにしたくなかったのである。それを避け、キャラ本人たちが本来の人間性や生活意識や過去の実人生に従って行動しないと、肝腎の『物語』が猿芝居に堕ちてしまうのである。
 まあ狸だって、ギャラでも入るんなら、なんぼでも妥協してイケイケで煽るんでしょうけどね。そこはそれ、一介のアマチュアですから。

          ◇          ◇

 晩のモチ麦ご飯や麺類を意識的にセーブしはじめてから、順調に体重が減ってゆく。といってもまだ1キロ減程度、現在76キロちょい。しかしこの一週間、一度も増えずに減り続けているのは確かだ。
 昔のように36時間眠らず食わずで活動したり、夏場に運悪くとんでもねー派遣に当たってしまったりすれば、あっという間に2キロ以上減ることは解っている。しかし、その後、あっという間に元に戻ってしまうことも解っている。だいたい今の歳でやったら、途中で永眠しかねない。焦らずジワジワと、目標は70キロ。
 なぜ70キロかというと、何年か前の巨大ヘルニア騒ぎで1週間近くまともに食えなかったときも、70をチョイ割ったところで止まったからである。たぶんそれが人間に化けた狸の、基本的組成重量なのだ。身長から割り出す標準体重は65キロ前後らしいが、それだと青年時代に戻ってしまう。そこそこスリムなのはいいが、そのぶん、しょっちゅう風邪を引いたり持病の扁桃腺炎をこじらせたり中耳炎でのたうちまわったり、けして健康な若狸ではなかった。
 ――あれ? 去年も今年も、扁桃腺炎、まったくやってないぞ。最後に腫れたのは、確か一昨年の……春だったか。
 もしかして、やはり脂肪を増やしたほうが、呼吸器感染症は生じにくいのだろうか。皮下脂肪の保温効果も馬鹿にならないはずだし。

 ううむ、感染症を選ぶか、高血糖を選ぶか――。
 やっぱり痩せてみよう。白内障や壊疽や人工透析より、肺炎でアッサリ逝くほうが楽だ。


02月06日 土  思い出は辛く愛しくしかし今もまた

 N村氏が川本嬢の『FRAGILE』を出してきたなら、狸は岡村君のこれを出さねばなるまい。
 どちらも、狸が当時の定職に多大な疑問を抱いて悶々とし始めた頃、流れてきた歌だ。

     

          ◇          ◇

 ところで、狸はマジにアルツらしいです。この半月、とんでもねーアホを打っていたことに、今さら気づきました。
 いや、まだ某板には放流していない、木馬物件の最終章の話なんですけどね。早まって前編だけ放流、なんて馬鹿をやらなくて、本当に良かった良かった。
 さあ、また修正の嵐だ。いつになったら、この嵐は去るのか。


02月05日 金  雑想

 ああ、今年は殻付き落花生も鰯の頭も食わないまま、いや食う前に玄関に撒いたり飾ったりしないまま、いつのまにか節分を過ぎてしまった。
 鬼さんこちら。
 サミしい狸穴では、ツノのあるイキモノも歓迎しております。

          ◇          ◇

 まあどんなに秀でた身体能力者だって所詮は人間の一種、中には覚醒剤に溺れたり、幼児を叩き殺したりする奴もいる。むしろ運動音痴の人間より、良識を逸脱する者は多いと思われる。脳味噌に回るべき血を、筋肉に回してしまうからである。しかしそうしたハンデがあってさえ、身体能力のみならず情操面においても秀でた人格者が、確かに存在する。秀でたアスリートは、たいがいそのどっちかに属する。中途半端な方は、やはりそこそこのアスリートにとどまるわけである。

 ともあれ、暴力団の資金源になるという点以外において、覚醒剤は単なる薬物の一種に過ぎないように思う。
 何度かここにも記したが、かつてヒロポンが一般の薬局で売られていた時代、確かに依存して廃人化する者はいた。しかし、やってはみたものの体質に合わず二度とやらなかった者、どうしても徹夜で働かねばならないときだけやって依存にも陥らず重宝していた者、等々、体験談は人様々である。
 これも何度かここに記したが、近頃めっきり体力も気力も筆力も衰えた狸などは、たまのアブレ日だけでいいから、ぜひ薬局で買って飲みたいものだとつくづく思う。しつこいようだが、予算は130円以内。

 つまるところ、狸は清原さんとやらを、さほど弾劾したいとは思わない。
 それより、幼児をいたぶり殺害したあの暴力団員、子供の頃に地区大会で優勝経験もあるというあの空手有段者を、官憲がなぜ即刻シメ殺さないのか、首を捻るばかりだ。
 扼殺が人権無視だと言うのなら、一瞬で頭を吹き飛ばし射殺するとか、それでは辺りが汚れて困ると言うのなら、優しくベッドに寝かせてモルヒネの点滴をガンガン増量してやるとか、当人を苦しめずに、あるいはシヤワセに駆除する方法は、いくらでもあるはずだ。当人も「悔いはない」と言っていることだし。

          ◇          ◇

 しかし、それでもおおむね日本は平和である。狸など名前も知らないどこかの娘さんと、どこぞでちょっと見かけた気もする馬鹿旦那の不倫が、あちこちで大ニュース扱いになっているくらいだ。
 一億総小姑国家――いいことなのかもしれない。鬼千匹の小姑たちは、やかましいのは口だけで、たいがい誰も殴り殺さない。戦争にも出ないだろう。
 そうした意味では狸自身も立派に小姑っぽいが、まあこの歳だから、落語の小言辛兵衛方向を目指したいと思う。

          ◇          ◇

 明日はアブレだ、さあ打つぞ。


02月02日 火  時の流れに身をまかせ

 本日はアブレ日。例によって明け方まで以下略、午後遅くに以下略、江戸川隣駅高層物件以下略。
 夕映えの富士山のシルエットは、実に心のユンケルであるなあ。

          ◇          ◇

 甘木さんのブログによると、昔、ジブリでバイトしたことがあったとのこと。なんじゃやら大変なシロモノも手元に残っているらしい。
 ……ああ、若いってすばらしい。ジブリ。ピカピカの新会社(そうか?)ではないか。
 狸なんか、東京ムービー新社だったもんなあ。絵はろくに描けないし、学生時代は人づきあいが今に輪を掛けて苦手だったので、制作でも営業でもない。アパートで電報をもらうと(ひとり暮らしの大学生が個人用電話を引ける時代ではなかったのです)、当時都心にあったオフィスに出かけ、原作(主に海外児童文学)を渡されて自宅に持ち帰り、ひとりサミしく企画書用のシノプシスを起こして、できたら届けるだけのバイトだった。
 その企画部には、まだ新社じゃなかった頃にアニメ『巨人の星』の主題歌を作詞した方などが残っており、爆発的にヒットしても作詞の名義はあくまで会社だから金一封10万もらっただけ、とか思い出話を聞かされた記憶がある。プロの作詞家だったら、印税だけで家が建ったろう。
 今も昔も日本の企業における一社員のコンダラは大変重いものなのであり、それを引っ張って試練の道をゆくのが一社員のド根性なのである。でも狸が小学生の頃の10万なら、あくまで臨時ボーナスと考えれば、まずまずな気もする。サラリーマンの平均年収が、確か手取りで60〜70万の時代だ。

          ◇          ◇

 まあWHOも近頃はウケてナンボの組織になりつつあるから、しばしばとんでもねーウケ狙いの発言をカマしてくるわけだが、「喫煙シーンのある映画はみんな成人指定にするのが吉」には、さすがに大笑いしてしまった。
 その理屈で行けば、強盗や暴行や殺人はもとより戦闘行為などもすべて成人指定にしなければ間尺に合わないことは、一般常識のある大人なら誰にでもわかる。WHOの方々は、たぶん理系の専門職の方が多いので、一般常識の外にいるのだろう。「いや、それらは直接『保健』に含まれないからウチの管轄外だ」というのなら、飲酒シーンはどうする。飲用アルコールは未だ全世界に蔓延し、日々病人死人を量産しているぞ。いやマジで。
 それにつけても、ああ、ゴールデンバットがうまい。ぷかぷか。
 思えば不健康な成人あればこそ未成年の不健康志向もなくならないわけで、不健康な成人の出てくる映画は全部成人指定、そうしようそうしよう、うん。

          ◇          ◇

 終わらない。木馬物件が終わらない。ロマンチックじゃない部分が特に止まらない。
 ……まあいいか。締め切りは狸の臨終日だからな。

     


02月01日 月  まだ

 たかこ 「やっほー! まーだだよー!」
 くにこ 「んむ。これは、まだだな」
 ゆうこ 「ごめんね、ごめんね」

          ◇          ◇

 たぬき 「なんとか今週中に、ポコポコし終わりたい……」
 くにこ 「いんや、おれたちがいるかぎり、ポコポコに、おわりはない。しぬまでポコポコするのが、たぬきのさだめなのだ」
 たかこ 「こっくし! みんないっしょに、ポコポコポコ〜〜〜♪」
 ゆうこ 「……ポコポコ」