[戻る]


05月29日 日  たれだぬき

 ここ数日、何をするにも体が重くてしかたがない。
 体重計の目盛りはジワジワ減っているわけだが、実感は明らかに逆転している。
 やっぱり長年のデブは、デブとして太く短く生きるのが吉なのか。
 といって、もはや太く生きるほどの甲斐性は失われているわけで、となると、細く短く、でも少しでも気持ちよくヤケになって生きるか、ぶつぶつ愚痴をこぼしながら細く長く生きるか、そんな選択肢しか残っていない気もする。
 ……まあ、単に夜の麦飯を減らしすぎているだけかもしれない。

          ◇          ◇

 アブレ日。
 天気がいいので無制限徘徊に出ようとしたが、江戸川沿いを柴又まで下ったところで力尽き、帰りは電車に乗ってしまった。実質十キロ程度しか歩いていない。これでは『ローカル路線バスの旅』の蛭子さんに負けてしまう。あの方は60を過ぎた頃にも、愚痴をこぼしつつ十数キロ歩いていた。
 ところで、ロケ日の後半が例の熊本地震とモロに被ってしまったという『ローカル路線バスの旅』の最新作、放送延期になったままなんの続報もないが、やっぱり福島や宮城の回のように封印されてしまうのだろうか。しかし今回は、まさに激震の中をリアルタイムで旅していたわけで、映像記録としても貴重な一編なのではないか。たとえ世の中がどうであろうと、「うわなにバスが止まっちまったよまた歩きだよ」とかぼやきながら能天気に目的地を目指す一行がいても、ちっともさしつかえないと思うのだが。

          ◇          ◇

 例の木馬物件、やっぱり板のほうも更新しておくことにした。
 ここのアレコレは狸が死んだら消えてしまうが、あっちの板は、管理人さんが若いぶん、まだ長持ちしそうな気がする。


05月25日 水  微妙(誤用?)な確信犯(誤用?)

ほとんどの人が実は間違って使ってた日本語ランキング』という記事をネットで見つけ、反省したり居直ったり、ちょっと微妙(誤用?)な気分になった。
 以下、記事のランキングを引用しながら、狸なりに、微妙(誤用?)にコメントしてみる。

          ◇          ◇

第1位【爆笑】 ◯大勢が笑う ×大笑いする
 ――そ、そうだったのか! すみません、狸一匹しかいないとこでも、昔から爆笑してました。そうか、ひとりで爆笑しちゃいかんのか。なんだかとってもサミしいなあ。

第2位【フレンチキス】 ◯舌を使った熱烈なキス ×軽い唇だけのキス
 ――知ってました。これは元来の意味がディープ・キスらしいから、西洋で間違うとエラいことになるぞ。ひい祖母ちゃんと、みっつの坊やがディープ・キスしちまったり。

第三位【敷居が高い】 ◯相手に不義理などをしてしまって行きにくい ×高級すぎたり上品すぎて入りにくい、とっつきにくい
 ――これは狸の場合、登場人物の主観やセリフとしては、×の意味でも『慣用的誤用(?)』として使用するが、自分自身の語彙としては、○でしか使わない。それが狸にとってのリアル、もとい自己満足なのである。

第四位【元旦】 ◯元日の夜明けから明け方 ×元日、1月1日
 ――これは知ってた。つまり『元日の朝』はOKで『元旦の朝』はペケだと、子供の頃に教えられた。

第5位【微妙】 ◯趣深くなんともいえない美しさがある様子 ×よくもなく悪くもなくイマイチ
 ――すみません。個狸的には○とも×とも言いきれず、すっげー微妙な気分なんですが、これってやっぱり気分的に美しくはないですよね。でも、やっぱり微妙なんだよなあ。

第6位【姑息】 ◯一時しのぎ ×卑怯
 ――これも、すごく微妙(誤用?)。実はこの単語に関しては、創作を始めてからもう何十年も、首を傾げながら自発的に誤用(?)している。つまり、厳密には【一時しのぎ】を意味することを、高校時代あたりには知っていたのである。しかし、それ以前から周囲で多く使われていた【姑息】のニュアンス――【狡猾】ほどずる賢くなく【卑怯】ほどアンフェアではなく、といって【あざとい】ほど俗っぽくもない――そんなニュアンスの行動パターンを言い表す単語が、どうしても他に見つからないのである。【小賢しい】も【小癪】も、主体と客体の関係性が限定される感じだ。なので、姑息に【姑息】を使ってしまうのです。確信犯ではないが、明らかに故意で。

第7位【性癖】 ◯性質上のかたよりやくせ ×性的嗜好
 ――え? これはどう考えても、○のほうしかあり得ないだろう。たとえば「狸の性癖はロリコンだ!」とは断言できるが、「狸の性的嗜好はロリコンだ!」と断言してしまうと、自らの過去に例外が多すぎる。だいたい実在のロリに手を出したことがない。

第8位【辛党】 ◯甘いものより酒が好き ×めっちゃ辛い食べものが好き
 ――これは、母方の親類縁者の男衆がほとんど辛党だったので、昔から間違えなかった。あれらは、ヨウカンでもトンガラシでもなく、まず「酒!」なのである。

第9位【複雑骨折】 ◯骨が折れて皮膚を突き破った状態 ×複雑に骨折して骨が粉々になったり潰れた状態
 ――ありゃ、どっちも複雑骨折だと思ってた。そうか。前者は、正式には開放骨折なのだろう。でも、後者は単純骨折なのか? うーむ、教えてくれ、イシャはどこだ。

第10位 【割愛】 → ◯惜しい!と思いながら省略 ×単に省略すること
 ――そりゃそーだ。単に省略しちゃいかんだろう、愛。

第11位 【下世話】 ◯世間で人々がよくする話し ×下品な話し
 ――異議なし。お上品でない話題が、すべて下世話なわけではない。ところで、この引用記事内の『話し』って、『し』が余分なのでは。

第12位【確信犯】 ◯正しいことだと信じて行う犯行 ×悪いと分かっていて行う犯行
 ――異議なし。確信と故意は違います。

第13位【初老】 ◯もともとは40歳くらいの意味 ×60歳くらい
 ――そうか? 明らかな古語は別として、今どき人生50年の時代の使用例にこだわってたんじゃ、それこそ『言葉』の存在意義がおかしくなるぞ。いつの時代も、老け始めて見えれば初老だろう。

第14位【破天荒】 ◯前人のなしえなかったことを初めてすること ×豪快で大胆な様子
 ――異議なし。昔から、繊細で寡黙で破天荒な奴も大勢いた。

第15位【潮時】 ◯もっとも適切なタイミング ×手遅れ、引き際
 ――異議なし。満ち引き双方があってこその潮である。

第16位【話が煮詰まる】 ◯十分に議論して結論が出る ×話がこじれてまとまらなくなる、行き詰まる
 ――『話が煮詰まる』なら、異議なし。ただし何が煮詰まるかで、『煮詰まる』のニュアンスは千変万化するだろう。脳味噌が煮詰まったら、結論は出せなくなる気がするし。

第17位【たそがれる】 ◯日が暮れて薄暗くなる ×ぼんやりと考えにふける
 ――あのう、これって誤用じゃなく、ウケ狙いの形容なのでは。まあ、それを真に受ける野暮天も多かろうが。

第18位【憮然】 ◯失望してぼーっとした様子 ×腹を立てているような顔つき
 ――これは、○のほうも憮然の一部にすぎない。むしろ失望して対処に窮する、つまり失望が主体の状態なのである。失望したからといって、いきなりムカっとするとは限らないが、ウスラボケっとするとも限らない。

第19位【役不足】 ◯役目が本人には軽すぎる ×役目が本人には重すぎる
 ――異議なし。役が不足なのである。役者の実力は足りている。

第20位【ご賞味ください】 ◯よく味わって食べてください ×食べてくださいね!
 ――異議なし。でも、どうやって誤用と判断すりゃいいんだ、食う側としては。まあいいや。とにかく食えればな。

第21位【小春日和】 ◯初冬のあたたかい日に使う言葉 ×春先の穏やかであたたかい日に使う言葉
 ――うーむ、ここいらになると、理屈として説明しにくい。狸個狸としては、どっちも「ああ、小春日和だなあ」と実感してしまう。これも時代時代の巷における、使用例の多寡で変わっていく気がする。全国の小春ちゃんや小春さんに決めてもらうとか。

第22位【一姫二太郎】 ○はじめに生まれるのは女の子、次は男の子がよいという言い伝え ×女の子1人、男の子2人
 ――異議なし。これが子供の性別人数換算表現なら、『二姫一太郎』も『三姫零太郎』も、ないとおかしい。おそ松くんの家は『零姫六太郎』とか。

          ◇          ◇

 しかし、ほんとに『言葉』って微妙(正誤不明)ですね。


05月22日 日  狸の休日

 自主アブレと自主じゃないアブレが重なり、昨日今日と連休。

 昨日、近所のリサイクルショップで、320ギガバイトのUSB2外付けHDDが3000円弱で出ているのを見つけ、エラーチェック済だし一ヶ月の保証も付くというので、ありがたく購入した。今どき320ギガかよ、と言うなかれ。狸のような小動物が蓄える程度の情報は、それでもでかすぎるくらいなのである。などと言いつつ、ケーブルテレビ機器内蔵の2テラのHDDは早くも半分近く埋まっているのだが、あっちは送ってくる信号を無圧縮で蓄えてるからな。
 新調(?)したHDDをメインパソに繋いだら、すんなり認識し、無事にデータをバックアップできたのだが――なんじゃやら、パソコンのシャットダウンができなくなってしまった。シャットダウンどころか、スリーブも休止も受け付けない。とにかく意地でも再起動してしまうのである。危険覚悟でハード側の電源ボタンをOFFにしても、やっぱり勝手に再起動してしまう。
 で、ネットで検索してみたら――おお、旧型機にWindows10を載せたり、ちょっと古めのハードを繋いだりすると、かなりの確率で生じる不具合らしいのであった。張本人のマイクロソフトは、無論、今のところ知らんぷりをしている。「おいおい、あんだけそっちから『このパソは10でもOKです』と言い張って無理矢理アップグレードさせといて、ちっともOKじゃねえじゃん」とツッコんでも、使用許諾書には、ちゃっかり『でもなんかあっても最終的にはそっちの責任だからね』と明記されていたりする。今どき、そのくらい根性ババ色でないと、世界企業は維持できないのである。
 ネット上にある種々の対処法を片っ端から試してみたが状況は好転せず、残るは、パソのマザーボードのBIOSを更新してみる(見つかればの話だが)しかないらしい。しかも、それで解決できるとは限らないのである。
 とりあえず、再起動直前、パソの電源ランプも内蔵HDDのアクセスランプも消えているタイミングを狙い、すかさずスイッチ付き電源ソケットのほうをOFFにする――そんな形で、ようやくパソを眠らせた。
 なんだかなあ……。

 そんなこんなで、なにかと今後の狸生に煮詰まりを感じ、本日はすべてを忘れて、日比谷公園に出かけた。上野にしようか皇居にしようか神宮外苑にしようか迷ったが、とりあえず日比谷公園を目指す。
 ちなみに狸生が煮詰まったとき、狸が精神的初期化を求めて徘徊する場所は、おおむね以下の歌唱内スポットから適宜選択される。歳なのさ。
 まあ、ほんとは生まれ故郷を徘徊したいんだけどな。

     

     

     

 日曜の日比谷公園の一角では、なんじゃやら、ドイツ祭り(?)のようなイベントが開催されており、大量の人々が、本場のビールを飲んだりソーセージを頬ばったりしていた。狸穴のある町で年に一度開催される『市川ドイツデー』を、ひゃくまん倍にスケールアップしたような有様であった。スケールアップ代なのかショバ代のせいか、ビールも肴も、地元の催しのときより倍は高価だ。ふだんの昼食狸相場の4倍である。
 しかし――飲んでしまいましたビール。食ってしまいましたソーセージに丸パン。明日のフトコロも血圧も血糖値も、今日だけは知ったこっちゃない。脳味噌リセットするんだもんね。どうせ明日など見えない日雇いだもんね。
 で、ほろ酔い気分で日比谷公園を徘徊。あのあたりは、あんがい昔からの建物を大事にしているので、ほとんど錆び朽ちたトタン屋根の売店が、ウン十年前のまんま営業していたりもする。
 G7がらみか、お巡りさんの数が、やたらと多い。しかしまた、上野公園ほどではないが、ここ一年は風呂に入っていないと思われるホームレスっぽい方々なども、少数ながらぼちぼち歩いている。お巡りさんも、別に彼らを咎めたりはしない。ホームレスに化けたテロリストだったらどうするのだ、とも思うが、顔に一年ぶんの垢を蓄えて異臭を放ちながら自爆テロに走る東洋人は、たぶん前例がないのだろう。
 うんうん、この国は、まだまだOK――。
 皇居周辺も、平和な観光の方々で、きわめて和やかに賑わっておりました。皇宮警察の方々は、ふだんより増えていないようだ。まあ、中にはいっぱいいるんだろうけどな。


05月18日 水  寿命

 長年、メインパソのデータをバックアップしていた外付けハードディスクが、ついに絶命した。かつて逝った先輩たちのように、事前に何日か唸ったり呻いたりすることもなく、今夜突然「うっ」とか胸を押さえて、もとい「ごげごげごげ」などと咳きこんで、それっきり動かなくなってしまった。合掌。
 とりあえずデータ消失等の実害はない。あくまでバックアップ用であり、近年のデータはメインパソの中に、古いデータはXPパソの中に残っている。創作テキスト関係などは、USBメモリにもバックアップしてある。しかし、それらのドライブやメモリだって、いつ「うっ」とか胸を押さえて、絶命しないとも限らない。狸同様、もといすべての生き物同様、眠ったまま二度と起き出さない可能性もある。
 と、ゆーわけで、やはり新しい外付けハードディスクを購わねばなるまい。

 それにつけても、心配なのはブチ下僕の余命である。元が野良なので、飼い主の管理人さんさえ実年齢を知らないが、見た目、ミケ女王様よりも倍は老けて見える。近頃、後ろ頭がハゲてきたような気もする。
 挙動のすべてが自尊心に充ち満ちたミケ女王様あたりだと、もし自分の死期を予感したら「わらわは下々の憐憫など受けとうないぞよ」とか言って、何処にか姿を消しそうな気もするのだが、ブチ下僕の場合、いつもの門前あたりで丸くなったまま、ただウスラボケっと永遠の眠りに就きそうな気がする。
 それを見ないだけのために、どこか遠くに引っ越したいような、今日この頃なのである。

 どこかで猫の寿命は売っていないか。


05月14日 土  電子系雑想

 アブレ日。
 久しぶりに上野の国立国際子ども図書館を訪れ、未だ旧帝国図書館の面影を残す煉瓦棟内をしばし彷徨って、なんかいろいろ夢想に酔い痴れたのち、ナウいほうの建物で検索端末に腰を据える。今日は、狸が小学校高学年の頃に愛読していた、秋玲二先生の学習漫画『日本なかよし旅行』を閲覧。なんと4巻ぜんぶ、デジタル化されているのである。他にも同時代の、今ではとんでもねー古書相場になってしまっているポプラ社の児童向けにリライトした海外ミステリーとか、ぽちぽちと呼び出して懐旧に耽る。秋玲二先生の『サイエンス君の世界旅行』は、残念ながらまだデジタル化されていない。次回、書庫から現物を出してもらって閲覧しよう。
 しかし本家の国会図書館と違って、夕方5時に早速と閉館してしまうのは、なんぼ児童書関係の施設とはいえ早すぎるのではないか。大人の研究者や、日雇いの爺いだって利用するのである。

          ◇          ◇

 狸穴のメイン・パソのOSが、なしくずしにWindows10に変わって数日、やはり、ちょこまかと使い勝手が変わっているのに往生する。
 Windows95→98→2000の頃に経済的な余力があり、その後、XPの出現と共に断崖絶壁から投身するイキオイで極貧化した狸の場合、とにかくその後OSが変わるたんび、新たにできることよりも、もう使えないソフトや周辺機器ばかりが増えてゆく。
 Windows95機といっしょにウン10万で買ったニコンのフィルムスキャナーなど、20年たっても(自力でメンテすれば)ちゃんと動くのに、動かすためのアプリやドライバーは、XPに対応してくれたのが最後だった。
 どんどん不便になってゆくんですよ、いやマジで。こーゆーのもIT弱者って言うんですかね。

          ◇          ◇

 などと言いつつ、やはりネットの海はおもしろい。
 こんなマイナーな古エロゲたちの主題歌さえ、フルに聞けてしまう。
 どちらもゲームの内容自体はちょっとアレ、いや正直かなりスカなわけであるが、音楽だけは立派な出来であった。
 タイトル自体を検索する方が少ないからだろう、当然、YOUTUBEでも気の毒なくらい再生数が少ないが、そこはそれ気は心である。

     

     


05月10日 火  更新

 おとついの夜、パソを立ち上げたまま晩飯食って風呂に入ってまたパソを覗いたら、なんじゃやらWindows10の無償アップデートが、いつのまにやら進行中になっていた。あわてて中断しようとしたら、「ここで引き返すと次は有償になりますよ。タダで配るのはこれが最後ですよ」とゆーよーな、脅迫じみた文言が表示される。もはや貧乏人に対するイジメである。しかし狸には、強大なマイクロソフトに対抗するだけの資力も気概もない。何不自由なく親しんでいたWindows7が見知らぬWindows10に蹂躙されてゆくのを、めそめそと泣きながら、なすすべもなく見守るしかなかった。
 すべての陵辱行為が終わった後には、タッチパネルもタブレットも新規アプリ購入も無縁の狸にとってヒトカケラの利便性も感じられない、ナウくてヤングっぽい画面が立ち上がった。大半の操作は違和感がないが、ATOKとか、一部どうしても設定をいじり直さないといけない。何より悲しかったのは、Windows7で動いていたバーチャルPCが、二度と立ち上がらなくなってしまったことである。つまりWindows95時代のゲームが、もうメイン・パソコン上では動かせないのである。
 まあ、たまにエルフの『恋姫』だの『リフレインブルー』だの、シーズの『ぱられるはぁもに〜』だの『地っ球の平和をま〜もるためっ!』だの、骨董級エロゲをいじって懐旧に浸るだけだったのだし、そもそも95や98時代のノートパソコンが健在だから、実害はないに等しい。OSのサポート期間がロハで延びたぶん、すなおにマイクロソフトに感謝するべきなのだろう。
 しかし、ぶっちゃけWindows98SEとWindows2000のデュアル・ブートが可能になったあたりで、自分がパソコンに求めるすべての機能をすでに手中にしていた古狸などは、ただ呆然と時の流れに身を任せるばかりである。

          ◇          ◇

 本日はアブレ日。
 何年ぶりかで永田町の国会図書館を訪れ、何十年ぶりかで、ナウい登録利用者カードを作ってもらった。
 これで国会図書館のみならず、上野の国立国際子ども図書館でも、いちいち当日利用カードを借りずに、すぐに検索端末が使える。デジタル化された蔵書なら、ネットでは見られない物件も、その場で内容を確認できる。うふふふふふふふ。
 これで自宅のパソからすべての蔵書の内容を視認できれば最高なのだが、まあ、そこまでは要求いたしますまい。何千万冊もあるんだものね。

          ◇          ◇

 ここの表に放流した木馬物件をチェックしていたら、また誤謬を発見し、あわてて修正した。なんで俺こんなアホ打ってたんだ。なんで今の今まで気づかなかった。これはもう間違いなくアルツだ。
 ……えーと、念のため、すでにお読みいただいたお若い皆様は、気づかなくとも当然の誤謬です。あくまで老狸の記憶の混濁による、技術用語ミス。
 でも、さすがにこれだと、板のほうも修正しといたほうが……まあいいか。島本さんだって生身の人間、たまにゃ記憶違いもあるわな。


05月06日 金  雑想

 狸の血糖値は、どうやら人並みレベルまで下がったようだ。
 これまで飲んでいた薬は、あくまで最低量の初心者向け(?)であり、事実それによって血糖値が下がる気配はなかったから、今回の数字は、純粋に炭水化物の摂取を控え続けた成果と思われる。偉いぞ俺! ……なんて、減らしてるのは晩飯だけなんですけどね。
 ともあれ今後も、寝る前の一合飯は控えようと思う。お茶碗に軽く一杯、そんなとこで。ものたりなかったらコンニャクがあるさ。

          ◇          ◇

 ところで、あの至高の懐旧給食物件『月見カツ』――昭和レトロばやりの昨今、どこかで話題になってないかとネットや図書館で検索しまくってみたのだが、きれいさっぱり、どこにも見当たらない。なぜだ。
 魚肉ソーセージのカツ自体は、現在でも給食に出ているようだが、あんなどでかい丸型や角型の魚肉ソーセージなど、昭和30年代の故郷には存在しなかった。今もあるあの細っこい棒状のやつを、わざわざちまちまと輪切りにし、さらにわざわざ串に刺して揚げてくれるところに、給食のおばさんの真心、とゆーか、慈愛が感じられたわけである。
 あれはもしかして、山国限定の愛だったのだろうか。そういえば故郷では、鯨肉さえ給食の皿に上がらなかった。


05月04日 水  雑想

 なんじゃやら諸般の事情により、狸は飛び石の連休になっている。つまり2日と今日と6日がアブレである。ちなみに、その後は未確定。

 2日に初めて訪れたクリニックでは、むさくるしいと言うより、痩せ細った陰気な若い男の医者に当たってしまい、おまけにその医者がやたら禁煙を薦めてくるので、ほとほと往生した。彼の言うがままに禁煙すると、彼のように痩せ細った陰気な狸になってしまいそうな気がするので、ウツロな作り笑顔で迂遠に拒否したり。いやまあ、痩せるのはいいんですけどね、陰気になるのはいやだ。
 ともあれ次の平日、つまり6日には、もう血液検査の結果が出る。そこで血糖値が下がっていたら、いったんそっちの薬はやめて、経過を見ることになる。

 降圧剤は従来どおり、おそらく死ぬまで飲み続けることになりそうだ。遺伝なんですねえ。終生メタボに縁の無かった亡父も、血圧だけは高かった。塩分を控えても禁煙しても、とうとう下がらなかった。
 まあ親の時代だと、現在の狸の年齢なら150だろうが160だろうがまだまだ正常範囲であり、170を越えてようやく降圧剤、そんな感じだったわけだが、現代日本の医者、とくに若い医者は、シワクチャになっても130以下が望ましいだの、糖尿のケがあるなら125まで下げねばならぬだの、聞いてるこっちがアセりまくって、さらに血圧が上がりそうなことを言ってくる。
 ああ、あの、ちょっときれいでなくもない女医さんが恋しい。ミケ女王様に似て、けして優しくはなかったが、何より陰気ではなかったし、狸の血圧が140まで下がったときも、ちゃんと「上等ですね」とか言ってくれたのだ。

 ともあれ狸の体重は、間違いなく冬よりも2キロ以上減っている。夕餉の麦飯をずっと半分にしているのだから、当然と言えば当然である。血糖値だけでも、どうか下がっていますように。

          ◇          ◇

 このところ自前のアブラミを消費ながら生き続けているので、深層心理が飢えているのか、あるいは単に老化による退嬰か、ふと子供の頃の味覚が、妙に恋しくなったりもする。
 今夜など、小学校低学年の頃まで学校給食で飲んでいた脱脂粉乳を、また飲みたくてたまらなくなった。あの味や喉越しが、脳から口中までありありと蘇ってくるのである。念のため、後年の味覚調整された脱脂粉乳ではない。多くの級友が、文字どおり鼻をつまんだり涙目になったりしながら飲み下していた、ぶっちゃけ家畜の餌の溶液である。あの戦後史上に悪名を残す救荒飲料が、狸を含むごく一部の生徒にとっては、なぜか美味――とは言えないまでも、立派な乳製品の味覚であり、お替わりしてもいいくらいだったのである。
 しかし、自分に配られた給食は自分で完食しない限り昼休みに出してもらえない、そんな躾にキビしい時代だった(アレルギーの子は例外だが、当時はめったにいなかった)ので、当然、他の生徒のぶんを代わりに飲食するのも厳禁だった。当時の小学校は、今のムショより厳しかったのですね。今のムショだと、他人の分を食うのは厳禁でも、自分の分を残すのはお咎めなしである。

 ああ、月見カツを肴に、あの生ぬるい脱脂粉乳、ラッパ飲みにしたい。
 ちなみに月見カツとは、数ミリ厚に切った魚肉ソーセージを3片ほど串に刺してフライにした、至高の給食物件(あくまで当狸比)である。
 月見カツは今でも再現できるが(面倒なんでやらないけど)、当時の脱脂粉乳は、もう二度と飲めないのだろうなあ。


05月01日 日  かれんだ−? なにそれおいしいの?

 と、ゆーわけで今年のG・Wも、金色だか赤だか青だか黒だか、暦の数字の色など無関係に、アブレたりアブレなかったりしている。
 ともあれ、明日が自主アブレなのは確かである。血圧や糖尿の薬が切れそうなので、もらいに行かないといけない。

 実は、先月までほぼ月イチで通っていた馴染みの病院が、こないだ閉院してしまった。
 あのちょっときれいでなくもない女医さんは、同じ医療法人が経営する、隣の市の病院に移ると言っていた。しかし狸がそこに通うためには、わざわざウン百円かけてJRや地下鉄を乗り継がないと、たどり着けないのである。
 やむをえず、近所の別のクリニックに紹介状を書いてもらったのだが――そこのHPを覗いてみたら、なんじゃやら、むさくるしい男医者の写真しか出ていないのである。
 困るではないか。
 むさくるしい男なんぞに褒められるために、シコシコとコンニャク食い続けてるわけじゃないぞ狸は。
 せめて、ときどき血を抜いてくれる看護師さんたちだけは、ちょっときれいでなくもない女性の方々でありますように。

 ちなみに狸の腹は、着実に、じわりじわりとヘコみつつあります。いや正味の話。
 今のところ、まだ「俺はデブだ」と胸を張って言いきれるほどにはぶよんとしてしまりがないわけだが、やがて夏が過ぎる頃には小太り程度までヘコみ、そして冬には中肉中背――そんな皮算用をしている。
 あくまで皮算用であって、リアル肉算用ではない。
 でもまあ最悪でも、人知れずミイラ化する頃には、きっとスリムな野性の狸になっていることでしょう。