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07月28日 金  雑想

 3日前に仕事の後でプチ洗濯し、ベランダに干しておいたジーパンが、昨日も乾いていなかったのには、さすがに笑ってしまった。雨に濡れたわけではない。純粋に外気の湿度が高すぎて、乾きようがなかったのである。今日はさすがに乾いていたが、洗濯物を乾かすのに丸3日かかる湿度って、どうよ。
 いや、さすがに下着のような薄手のものは1日で乾くし、チノパンも2日で乾くから、着るものに困るわけではないんですけどね。ただ、笑ってしまうだけ。

 狸穴近辺は、ただ鬱陶しい曇天が続き、ごく稀に小雨がぱらつくだけだが、日本のそこかしこでは、毎日のように記録的豪雨の被害が出ているようだ。いよいよ日本も熱帯雨林、アマゾン奥地あたりの仲間入りか。あのあたりなら、洗濯物が永遠に乾かないのも、毎日のスコールで地形が変わるのも、日常茶飯事と聞く。あんまり人が住んでいないから、毎日のニュースで報じられないだけである。
 ともあれ、生きるのが、日を追うごとにどんどんカユくなる。

          ◇          ◇

 一昨日にはもう届いた光文社文庫版『旅する女』、活字が大きいだけに、昔の角川文庫3冊ぶんの厚みがある。毎日持ち歩くのには少々重たいが、なにしろ小松大先生の『女シリーズ』が全作詰まっているのだから文句はない。
 とりあえず『昔の女』と『待つ女』を再読した。ウン十年前に読んだときの記憶に輪をかけて、日本情緒纏綿たる珠玉の短編であった。この『女シリーズ』なら直木賞をとるのが当然だったろうと思うのに、小松大先生は、その十年も前にいっぺん直木賞候補に上がったっきりで、その後もSF・ミステリー関係以外の文学賞は受賞していない。
 あんまりハードSFで目立ちすぎたのだろうなあ。この『女シリーズ』を含め、谷崎賞や川端賞や鏡花賞に相応しい短編だって、筒井大先生に負けず劣らず、数多く残されているのに。

          ◇          ◇

 噂の『うな次郎』を食べてみた。なにしろ安価なので本物と比べてはかわいそうだが、やっぱり鰻にはほど遠いし、ネリモノとしては味がクドい気がする。しかし同じスーパーの、鰻の蒲焼きだか甘煮だか判らないようなべとべと物件に比べれば、価格差抜きでも『うな次郎』の勝ちか。
 去年ためしに食ってみた、豆腐と海苔を使った鰻もどきは、残念ながら、今年は近所のスーパーに並ばなかった。『うな次郎』と比べてみたかった気がする。
 ところで、去年あたり話題になった鰻味のナマズは、まだ量産できないのだろうか。


07月22日 土  小松大先生の日

 ずうっと毎日ひたすら暑い。
 探食する日もアブレ日も、容赦なく暑い。
 ほどなく昏睡状態に陥りそうな気もするが、とりあえずまだ「あーうー」などと蠢いているので、とりあえず良しとしよう。

          ◇          ◇

 図書館で、『小松左京さんと日本沈没 秘書物語』(乙部順子著・産経新聞出版・2016)という、ヨダレモノの本を見つけた。
 内容をパラ見すれば、ふつうなら書名を『秘書物語』にして、サブタイトルに小文字で『〜小松左京さんと日本沈没〜』とかくっつけそうなものだが、まあ紙の本が売れない売れないと大ネガティブキャンペーンを展開している昨今、ちょっとでも知名度の高い人名を先に持ってくるのは、近視眼的な出版社や編集者の猿知恵として、読者も容認しなければならない。作者の乙部さんご自身、自分より小松大先生の名前が先に立つことになんら疑問を持たないであろう、コマツ愛のカタマリのような方である。
 ともあれ狸にとって感涙物の内容であり、借りてすぐに近くのショッピングセンターの冷房の効いたイートインに陣取って、ロハの冷水をチビチビやりながら、イッキ読みしてしまった。

          ◇          ◇

 帰穴後、かつて読みあさった小松作品群、とくに現在の狸のアルツがかった文系頭にも懐かしく思い出される『女シリーズ』や、初期の代表作『果しなき流れの果に』を、日々の通勤時や休憩時間にじっくり読み返したくなり、何十年も大事にとってあった懐かしの角川文庫を、本棚の奥からひっぱり出してみたら――うああああ、当時の文庫は活字がちっこすぎて、すでにド老眼の狸は、ルーペでもないと再読できそうにないのであった。
 とりあえず比較的出版年度が新しく活字のでかそうな、光文社文庫版の『旅する女』を、アマゾンで注文。昔の角川文庫だと、短編集のあっちこっちに分散して収録されていた『女シリーズ』が、全十作まとめて読めるらしいのである。しかも古本なら1円ポッキリ! まあ配送料コミだと258円なんですけどね。
 こりゃ出版不況も悪化するわけだよなあ――などと他人事のようにしらばっくれつつ、もし近所の図書館に光文社文庫版の『旅する女』もあったら狸は1円も払わなかったわけで、たとえ258円でも世の中の経済効果に貢献したのは、極貧の狸にとって、なかなか上出来なのである。いつもなら100円均一とか50円均一だものね。

 だいたい、いわゆる先進国家の中には、一般市民にとって書物とは基本的に図書館で借りるもの、そんな国が珍しくない。
 やくたいもない目新しいだけのテキストや、誰が描いても似たような萌え絵を刷った紙の束を、バブルの夢よもう一度とばかり湯水のように売ろうと思っても、世の中、そう甘くはないのである。


07月17日 月  塩狸

 今年の東京湾岸の7月は、ただひたすら中火でぐつぐつ煮込まれ続けているようだ。猛暑日には至らないものの、一日のユルみもなく、断固として真夏日を保っている。

 昨夜、例によってズブドロで帰宅し、「あーうー」などと呻きながらミケ女王様に傅いたりブチ老僕をいたわったりしたのち、「うああああ」などと唸りながら湯船に体を沈めた狸は、突如「うぎゃあああ!!」と絶叫して飛び上がった。首筋の後ろっかわに、激痛が走ったのである。
 涙目になってひんひんと患部を検めたところ、とくに傷や爛れはなく、ただ、うなじから背中にかけての首筋が、赤く腫れ上がっていた。
 室内作業で日焼けするはずはないし、虫刺されでもないし、これはいったい何ならむ――。
 全裸で黙考することしばし、風呂に入る前にプチ洗濯した中の作業用汗ふきタオルを想起して、うわなるほどアレだよ、と得心した。つまり、昼間ずっと首にかけ続けていたタオルが、ぐしょぐしょのまんま熟成発酵して塩分濃度を極度に増し、そんなものを毎日首筋に掛け続けているものだから(いやもちろん毎日交換してるんですけどね)、アセモを一足飛びにして、塩焼け(?)をおこしてしまったのである。

 ことほどさように今年の夏は、ぐつぐつじわじわの、煮込み系なのであった。ブチ老僕も痩せるわけである。
 しかし、死ぬなよブチ老僕。狸も死なない(たぶん)。

          ◇          ◇

 本日はアブレ日。
 世間様も、海の日とやらで祝日。
 狸は日々海にだけは恵まれているので(味気ない護岸ばかりではあるが)遠出はせず、冷房の効いた図書館やショッピングセンターを、ウスラボケっと徘徊する。

 ぼちぼち猫耳物件も打ち進めているのだが、我ながら感心するほど話が進まない。ただ猫娘や可憐ロリと、ユルユル遊ぶばかりである。
 しかし、先ほどようやく浅草見物を終えて、今回のクライマックスである戦闘シーン、じゃねーや、銭湯シーンに突入しそうである。
 銭湯なので、みんなすっぽんぽんになる予定。

 ああ、テキストによる創作は、いい。何を記しても、今のところ児ポ法で検挙される恐れがない。


07月12日 水  白い光の鳥

 明日はいちんち曇りで30度越えで湿気ムンムン――そんな昨夜の天気予報に「うう、やだなあ」と頭を抱えていたら、本日の東京湾岸はカンカン照りの33度であった。まあ晴れているだけ、まだマシか。
 どのみち昼の休憩時にはすでに汗ぐっしょり、ウツロなまなざしでロジの最上階の喫煙所から海面を見下ろしていると、近所にある宮内庁新浜鴨場から出張ってきたのか浜辺で憩っていた白鷺が一秩A実に軽やかに、青空めざして飛翔した。
 で、極めて優雅に羽ばたきながら、ぴゅう、と、白く美しい光の糸を、斜め下方の空に引いてみせた。
 早い話、飛びながら脱糞したわけであるが、鳥の糞という物はしばしばホワイトのポスターカラーのように純白であると知ってはいても、目の前で、こうも見事に光の軌跡を描かれると、ちょっと呆然としてしまうくらい、サワヤカな光景なのであった。
 狸も鳥に化けて、サワヤカに美しく、空中排泄してみたい――思わず、そう願ったりもする。しかし内臓の構造や、ふだんの餌まで完璧に真似しないと、怒り狂った下界の人々によって、確実に射殺されるだろう。

 ちなみに、そのロジは休憩所も喫煙所も冷房完備で、トイレにはウォシュレットまで完備したサワヤカな近代建築であるが、作業現場そのものは、トラック・バースが開いている限り、空調など効くはずがない。つまり外が33度なら、現場も確実に30度を越える。
 しかし、一緒に作業していたベトナムの方の話だと、あっちは昨日の最高気温が37度だったそうだ。この時期は湿気もムンムンらしい。
 うん、OK。東京湾岸の狸のほうが、まだシヤワセである。もしベトナムで働いたら、全身アセモで悶死するかもしれない。


07月08日 土  完全無欠の凄夏を予感

 夏の初めっから、東京湾岸は真夏の温気湿気に包まれている。生きるのがカユい。
 また九州方面では、いきなり台風が、天空で神サイズのバケツをひっくり返し続けている。
 この国はこの夏を無事に乗り越えられるのだろうか――などという大局的な心配は、実はほとんどしていない狸なのであって、ただ自分が生きるていることのカユさと、痩せゆくブチ老僕の姿を憂うばかりである。

          ◇          ◇

 痩せゆく姿といえば――猫といっしょにしたら全国の右巻きの方々に天誅を下されるかもしれないが――愛子様はお元気であろうか。
 もとより筆者の署名も無ければ取材したという関係者の氏素性すら判然としないヨタ記事など鵜呑みにする狸ではないし、心身症的な疾患を現代の宿痾として大袈裟に問題視しながら、ことそれが雅子様や愛子様に関わってくると発狂したように非難しだすマスゴミや金余りババアの群れやネット上のカオナシどもなどゴキブリやダニの化身としか認識しない狸なので、とにかく皇太子様御一家の家庭生活の正確なところが、気になってたまらない。
 がんばれナルちゃん! 美しい奥様と愛らしい娘さんを、衆愚の群れから守り抜け! もうすぐ天皇陛下になったら、不忠な輩を徹底的に弾圧して――でもそれができないのが、戦後の皇室の宿命なんだよなあ。
 それができれば、阿倍さんなんて、とっくに今上陛下が●●なさっているだろうに。

          ◇          ◇

 ともあれカユいので、過去に逃避します。

     

     

     


07月03日 月  雑想

 30分も歩いて江戸川を渡ればそこはもう東京都、みたいな場所に巣穴を構えている狸だが、無論、都議選の選挙権はない。ぶっちゃけ都政にも、ほとんど関心がない。よって今回の都議選の結果を見ても「あいかわらず都政はイロモノなんだなあ」くらいの感想しか抱けないのだが、次の国政選挙に大きな影響を与えると言われる都議選で奇跡的大勝利をおさめたとしても、まさか国政選挙で『都民ファーストの会』の看板を上げるわけにもいかないだろうし、何かと狸っぽい小池女史としては、次はどんな芸を見せてくれるのだろう。
 それにしても、以前から「……この人、やっぱりトランプさんなみに頭煮えてんじゃないの」と、比較的鷹揚な狸でさえ首を傾げていた防衛大臣の稲田女史を、安倍さんちのお坊ちゃんは、どうやら政権を棒に振ってまで、とことん庇い続けるつもりらしい。愛しちゃったのかしら。いや、もちろん不倫とかじゃないですよ。あくまで精神的な部分で。愛国と愛人、たった一文字の違いですもんね。
 いずれにせよ、『混迷』の二文字しか頭に浮かばないような近頃の世情などはもーきれいさっぱりこっちに置いといて、日々ただ探餌に時を費やし、ちょこっと余った時間は能天気にロリだの猫耳だの打鍵に費やす、先の短い狸です。

          ◇          ◇

 ところで、久しぶりに黒澤明監督の『天国と地獄』をケーブルの録画で観たら、これがもう面白いのなんの。
 狸は先が短いので、近頃は大概の録画物件を部分的に早送りしながら消化しがちなのだが、この作品に関しては、早送りも30秒スキップも、まったく不要であった。一秒の無駄もない。すべてのカットが面白いから、もったいなくて飛ばせない。
 せめて年に一本でも、こんだけクールな、いやこの半分でもクールな、邦画の新作が観られないものか。


07月01日 土  まだ

 タマ 「やっほー! まーだだよー!」
 暎子ちゃん 「こっちもまだで、あっちもまだですね」
 タマ 「でもクロマグロ、おなかいっぱい食べた! これからみんなで浅草見物!」
 暎子ちゃん 「それだけで30枚近く増えてはいるんですが……いいのかなあ、このままで」