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05月28日 火  うあああああああ

 ……マジにスクールバスを狙って襲撃したのか?
 で、自害したら終わりのつもりか?
 ……何様だ?
 こいつの死骸を現場の電柱にぶら下げて、骨になるまでカラスに突っつかせたら非文明的か?

 そんな文明はいらない。断固否定する。
 べつに狸以外の方々にも否定しろとは言わない。しかし狸は死ぬまで否定する。そして死ぬときは自分ひとりで死ぬ。

          ◇          ◇

 発泡酒イッキ飲みでなんぼか血圧が下がってきたが、気分は最悪なままである。
 それでなくとも、こないだNHK・Eテレの『ETV特集「北朝鮮“帰国事業”60年後の証言」』で慟哭してから、気が滅入って仕方ないのである。
 30日にも再放送するらしいから、ひとりでも多くの方に見ていただきたい。
 こうなったら、滅入り仲間をひとりでも増やしたい。
 狸の性根なんぞ、その程度である。


05月24日 金  超早期夏宵

 わはははは、全身ぐっしょり、気分はアマゾン帰り。
 いやAmazonのロジには、このところ行ってないんですけどね。あくまで南米アマゾンの奥地、濡れた衣類が永遠に乾かないという湿熱の魔境を彷徨った気分なのである。
 明日明後日はもっと気温が上がるという。連休にしといて良かった良かった。
 しかし年々歳々、夏が長くなっておりますね。狸が子供の頃は三ヶ月ちょぼちょぼ、過去数年はおおむね四ヶ月、今年はついに五ヶ月か。そのうち一年の半分が夏になりそうな気がする。

 若い頃は、夏が好きな時期が確実にあった。しかし中年以降は、苦手になる一方である。
 夏空が嫌いになったわけではない。夏の海もきらいではない。
 ただ、午前中からぐっしょりと濡れそぼち、夕方には発酵臭を放ってしまう夏の狸体が鬱陶しいだけである。

 ああ、でも風呂から上がってひと息つけば、窓からの風は、ちゃんと涼しい。
 気分を変えて、ちょっとスタレビ。

     


05月18日 土  雑想

 加齢とともに決断力が衰えていくのが、ありありと自覚できる。
 ちょっとした文章を打鍵するにも、言葉の選択が、昔のようにパキパキと進まない。
 まあ、ここでの独り言などは、あくまで独り言だからさほど悩まないが、創作における言葉の選択は、てにをはレベルで悩んでしまう。何度もしつこく打ち直して、ふと気付けば、ほとんど最初の文章に戻っていたりもする。
 決断力の衰えとともに、長時間椅子に座っているのもキツくなってきた。臀部の脂肪から、昔のようなクッション性が失われている。また排便後のキレもよくない。狸穴外のウォシュレットを使用しても、ペーパーの汚れがなかなか消えない。狸穴の和式だと、それこそ十回もの清拭を要する。括約筋から弾力が失われ、事後の収縮が不十分なのだ。
 つまり、ケツの弾力がない。

 ……ケツダンリョクがない。

 こんな親爺ギャグを言うのにさえ、数分もかかってしまった。困ったものである。 

          ◇          ◇

 ところで狸は『かぐや姫の物語』以来、実に数年ぶりに、劇場の大スクリーンで新作映画を観ようと思っている。

     

 ゴジラとラドンとモスラ、あまつさえキングギドラ――あの『地球最大の決戦』が、ここまでリアルに!!
 狸と同世代の男なら、たとえ死の床にあっても、劇場に這いずりこむのではないか。


 

05月12日 日  令和の次はなんだろな

 ところで先週、休憩のときに仕事先のテレビでやっていた皇室関係の報道バラエティーを観ていて、なるほどその手があるな、と思った。
 そうなのである。愛子様の将来の旦那さんが、たとえ何十代前からの傍流でも天皇家と男系で繋がっていれば、お二人の間に男の子が生まれるだけで、万世一系とかY染色体とかのアレも、イッキに解決してしまうのだ。ナルちゃんの後は愛子様に『立派に先例のある女性天皇』になっていただき、さらにその後は愛子様の息子さんに『名実共に条件をクリアしている男系天応』になっていただく――それでなんの問題もないのである。
 もちろん将来、愛子様に男の子が生まれる保証はないが、それは悠仁親王だって同じ条件だ。皇室典範に手を入れる必要もあるが、あくまで男系を維持するためなら、Y染色体萌えの方々だって反対しないだろう。少なくとも今どきのヤングの中から「ああ私、悠仁様のためなら無慮一億超の口うるさい愚民どものイビリにだって耐えてみせるわ」な女性を探し出すよりは、天皇家の数多ある男系傍流の中から「うーむ、こーゆー育ちのいいお嬢さんの家に婿入りして子だくさんな家庭を築くのも、男子の本懐かもしんない。仕事にも一生困らんし、イビラレなんぞ仕事の内だし」な男性を探す方が、まだ現実的な気がする。
 と、ゆーわけで、今どき何が何でも男系天皇にこだわり口から泡飛ばして万世一系の国体だのY染色体だのとファンタジー設定を述べてる識者の方々は、後者の条件にあてはまる、現実とファンタジーを兼ね備えた、愛子様のお見合い相手を探しましょう。きっと見つかるぞ。てか、見つかるまで旭日旗をはためかせて日本中を駆け回れ。それが皇紀ひゃくまん年への道だ。

     


05月10日 金  雑想

 とにかく胸が痛くなってしまうので、あの事故関連の報道はなるべく見聞きしないようにしている。
 毎晩録画で見ているNHKニュースでも、あの件になると早送りしてしまう。
 子供、とりわけ乳幼児が犠牲になる事件は、狸が歳をくえばくうほど、深々と胸をえぐってくる。犠牲者が女児だったりしたら正気を失う。
 そもそも、どこそこに限らず巷の信号設置交差点における右折車と、対向車線からの直進車に関しては、狸が歩行者視点で瞥見するかぎり、「なんであんなどでかい鉄のカタマリ同士がベクトル交えて進行するのを同一平面上で同時にサバかにゃならんのだ。高確率で衝突するのが当然じゃないか」と、常々首をひねっていた。かてて加えて、右折を望む運転初心者が斜向かいからの直進車に遠慮して、なかなか右折できずに戸惑っていると、たちまち後続の右折車がヒステリックにクラクションを鳴らしたりする。寸足らずが寸足らずなシステムの中で鉄のカタマリを転がし合っているのだから、永遠に事故はなくならない。

 なんであれ、子供は轢くな。
 先の短い狸でも轢いとけ。
 できればその場で消滅しろ。

          ◇          ◇

 昂ぶる気を鎮めるため、というわけでもないのだが、こないだケーブルで放送してくれた『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ 〈エクステンデッド版〉』(セルジオ・レオーネ監督、1984、アメリカ・イタリア合作)に、何度も何度も見惚れている。今までソフト化されていた中では一番長かった229分バージョンに、監督没後に発掘された22分のフィルムを挿入復元したものである。
 そもそも監督が本来の望みどおりにまとめると全編270分になるらしく、今回のエクステンデッド版でもまだ20分足りない勘定だが、すでに元フィルムが遺失しており、完全復元は今のところ困難らしい。今回見つかって追加された22分のフィルムも、オリジナル・ネガではなく編集作業用プリントの一部だから、画質は甘いし色もおかしい。それでも情動的な流れは、みごとに補填されている。
 どんなに長くて公開が難儀な作品だって、興行側の都合で短縮したら、映画の情動は確実に損なわれる。とくにレオーネ監督のように作品全体を脳内で完全構築してから撮影に入るタイプの場合、ちょっと切っただけでも、てきめんにニュアンスが乱れてくる。

 ちなみにレオーネ監督の前作、レオーネ作品の中で狸が最も好んでいる『夕陽のギャングたち』(1971、イタリア)にも、長さの違うバージョンが多々あるが、一番泣けるのは、監督自身の意図に最も忠実と言われる〈イタリア語完全版〉だ。ジェームス・コバーンやロッド・スタイガーの肉声は、似た声質のイタリア人によって吹き替えられているが、それでも、あるいはそれゆえに、情緒纒綿たるレオーネ節は、このバージョンで最も盛り上がる。
 現在『夕陽のギャングたち』は、イタリア語版とほぼ同尺の英語版が、レンタルで容易に観られる。たまにテレビ放送もされる。しかし、アメリカの映画会社は、よほど「バカにでも解りやすく」しないと気が済まないらしく、一部の編集や、エンニオ・モリコーネのサウンドトラックをいじってしまっている。結果、もののみごとにラストのニュアンスが変質している。イタリア語完全版は、日本でも一度DVDで発売されたが、少数かつ高価だったため、今では中古も見当たらなくなってしまった。

 で、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』、今回の追加シーンはちょっとこっちにおいといて、昔から愛好者たちの間で様々に論じられてきた、あの曖昧かつシュールなラスト数分の解釈――。
 狸も初公開時から三十数年、何度も何度も観るたんびに悩んでしまい、「まあ明確な答えなんぞなくとも、こんだけ酔わせてもらえたんだからいいや」みたいな気分でいたのだが、実は今回、ようやっと監督の真意が掴めた気がした。
 まあそれが監督の真の意図とは違うにしても、30代から40代、さらに50代でも確信の持てなかった主人公の情緒が、60過ぎて、ようやく狸の腑に落ちたのである。
 ああ、生きてるうちに間に合って、良かった良かった。


05月04日 土  明日は子供の日なので遠慮なく子供に還ろう

 とはいえやっぱり根性の曲がった貧しい爺いなので、巷の空に泳ぐ鯉のぼりを眺めつつ、熊にまたがった金太郎が足柄山で竜になろうと滝登りしている鯉を片っ端からマサカリでぶったぎって鍋で煮ている光景とかを想像し「ああ米沢の大沼デパートで売ってる鯉の甘煮食いたい真空パックじゃなくて出来たてホカホカの」などとつぶやいたりしてしまう狸なのであるが、それでもやっぱり汚れなき昭和三十年代の子狸(いや実はそれなりに汚かったんだが今よりはなんぼかかわいかったはずである)に還ってYOUTUBEなど検索してみると――。

 うああああ、こんな稀少な掘り出し物が、前世紀の地層から続々と。

     

 ほう、アイドル御三家のひとりが、こんなシブいスタンダードのカバーも。

     

 毎度、年寄りの繰り言とは自戒しつつ――あの頃のアイドルは、ほんとに芸達者だったよなあ。


05月01日 水  新時代狸

 などと言いつつ、もーまったく相変わらずのその日暮らしなんだが、さすがに気分はちょっとめでたい。

 子供の頃から古臭い歌や落語・講談が好きで、そのせいか明治・大正・昭和の三時代を知っているお年寄りには、ずっと憧憬を抱いていた。でもまあ自分はせいぜい昭和・平成止まりだろう、と諦めていたわけだが、それが今日から昭和・平成・令和の三時代をまたぐ古狸になれたと思うと、加齢のデメリット以上に、生きのびた喜びを感じる。できれば亡父のように戦前や戦中も体験したかったのだが、贅沢は言うまい。生まれ故郷の城址公園が習慣的に『連隊』と呼ばれ続け、繁華街には傷痍軍人ルックのオモライさんなども珍しくない頃から生きているので、かろうじて日常生活の中に戦争の残り香を記憶している。

 ちなみに現在、狸が日々持ち歩く繕い跡だらけの頭陀袋(ほつれるとマジに自分で繕っている)には、『昭和天皇伝説 たった一人のたたかい』(松本健一著・朝日文庫)、『志ん生の食卓』(美濃部美津子著・新潮文庫)、『大江戸ボランティア事情』(石川英輔/田中優子共著・講談社文庫)、以上三冊の文庫が入っている。相変わらず、明日への希望に繋がるような書物には、ほとんど接していない。
 ♪ 時の〜過ぎゆくまま〜に〜〜この身を〜任せ〜〜〜 ♪

          ◇          ◇

 で、いよいよ女性天皇・女系天皇の問題が、切羽詰まってきているようだ。
 狸としては、愛子様がお次で、まったく不満も不安もないわけだが、まあ十中八九、悠仁親王が男系天皇を継ぎ、女性天皇・女系天皇問題は先送りにされてしまうのだろう。
 願わくば、悠仁親王には精力絶倫のイケメンに育っていただき、私あの方のためなら無慮一億超の口うるさい愚民どものイビリにだって耐えてみせるわ、そんな女性にめぐり逢い、次の次の天皇候補を、量産していただきたいものである。
 無論、その前に、ナルちゃん&雅子様ご夫婦には、末長く頑張っていただきたい。
 とくに雅子様、無慮一億超の口うるさい愚民どものイビリなんぞ気にしないで、どうか、お体を大事にしてください。狸は何があっても雅子様の味方です。あなたがいなかったら、狸が弟のように思ってきた親愛なるナルちゃん(戦前戦中なら不敬罪で狸汁にされるところだが、もう国民の象徴なんだから、そんなふうに慕ってもいいよね)は、生涯、サミしいチョンガーだったかもしれません。

 ところで、今どき何が何でも男系天皇にこだわる識者の方々、口から泡飛ばして万世一系の国体だのY染色体萌えだのとファンタジー設定を述べてる暇があったら、悠仁親王のために血眼で、良さげな見合い相手を百人も千人も探しておけ。ファンタジーで日本の伝統は守れんぞ。