[戻る]


05月26日 水  天上天下唯我独尊(リブート)

 おう、つい昨日記したことが、我ながら舌足らずであった。

 人類が、巨視的な流れの中で美しく滅びてゆくために、妥協が肝要なのは確かである。
 微視的な日常生活においても、ウスラバカやマジバカやキ●ガイに遭遇した際、妥協できる道を探すべきであることは明白である。
 たとえば、今日の徘徊の帰途、駅ビルの眼鏡安売り店の前で、うら若い女子店員さんにキ●ガイのようなクレームを絶叫している死に損ないの糞爺いを目撃してしまったのだが、そうした、すでに生きる価値を失ってしまった廃人が相手でさえ、いきなり背中に跳び蹴りをくらわせてはいけない。そもそも、気性の荒いウスラバカが多いここいらでは、たびたびそうしたキレる糞爺いに遭遇するから、いちいち蹴り殺していたら、それこそ毎年何人も蹴り殺し続けねばならない。大変な労苦である。だから、近場にそのテナントの店長さんらしい人物などが見当たらない場合、巡回中の警備員さんを見つけて、こっちこっちと差し招き、その人に妥協の道を委ねるのが正しい。日本の警備員さんは武器を携帯していないから、いきなり廃人を撃ち殺したりする心配もない。
 いっそアメリカのスラム街の警官のように問答無用で撃ち殺してほしいものだ、などとは、思ったとしても口にしてはいけない。美しくないからである。

 が、しかし――。
 世の中には、しばしば、いっさい他人の言葉を受け付けない、人の形をした人外が存在する。
 不運にして、そんな人外に遭遇したとしても、美しい妥協は可能なのである。
 その人外が刃物など持ち出したら、一目散に逃げるのも、立派な妥協の一例だ。
 もし、その場にうら若い女子店員さんなどがいて、人外がそっちに刃物を向けたりしたら、当然、人外を駆除するのが正しい妥協である。
 駆除するだけの腕っ節が自分にない場合を考慮して、自分のバッグには常に鋭いハサミを入れておく、そんなのも妥協への道である。ゴツいナイフや庖丁を常備していたら銃刀法違反になるかもしれないが、日雇い作業用のカッターやハサミなら、立派に妥協の範疇である。
 腕っ節もカッターもハサミもない場合、自分が刺されている間に女子店員さんを逃がす、そんな妥協も美しかろう。最悪、女子店員さんといっしょに刺されても、それはそれで、かろうじて美しいかもしれない。
 しかし、刺した人外がそのまま遁走したら、妥協は成立しない。
 だから狸のバッグには、百均で購える限りのでかいカッターやハサミが、いつも入れてある。
 人も狸も、人外に一突きで即死させられることはめったにないから、死ぬ前に苦痛をこらえて相手の目玉でもえぐってやれば、なんとか妥協は成立する。できれば顎の下から脳味噌めがけて力いっぱい刃先を突き上げるのが、最善の妥協であろう。

 そんなのも、狸の言う『妥協』なのです。


05月25日 火  最後の天上天下唯我独尊

 悟り度100%のお釈迦様に、なんとか10%くらいは近づけた気がするし、たとえ1%でもこれから死ぬまでには増量するべく、日々、煩悩の滅却に勤しむ狸なのである。
 などと言いつつ、あいかわらず日に数本は煙草を吸うし、たまには発泡酒もいただくし、肉も魚介類も殺生戒を破って食う。
 あまつさえ、満員電車の中でわいわいわいわいしゃべくりあっている男子学生の群れなんぞを見かけると、たとえ全員マスクを着けていても、疾走する電車の窓からひとり残らず蹴り落としてシマツしたくなる。
 いっぽう、アブレ日に江戸川の土手を徘徊中、ジャージ姿の女子中学生たちがノーマスクでえっほえっほとこちらに駆けてくるときなどは、むしろ真正面から優しい微笑を向け、思うさま深呼吸したくなったりする。
 我ながら困ったものである。

 であるから――。
 もう、誰をも責めるまい。

 大手町のワクチン大規模接種センターでは、23区内の高齢者と確認できれば、予約なしでもテキパキと注射を始めたそうだ。
 予約システムは徐々に改善されつつあるらしいが、当初は誤入力してもノーチェックで予約を受けていたのだから、そもそもマジに予約したのかしていないのか、誰にも解らない。当然、とにかく打ちまくらなければ実際の接種数が稼げず、下手すりゃワクチンが余ってしまう。遠方からわざわざ足を運んでくれたお年寄りに、もれなく打ってあげるのは当然だ。スカちゃんもそれで「ちゃんとできてるじゃないか」と喜んでいる。実際に一日何人接種できたのか、ちっとも報道されないのは、たぶんボケ老人、もといスカちゃんへの思いやりだろう。
 2F君やアソウ君も、新型コロナとは無関係の部分で、もはやボケ老人そのものの発言を、あっちこっちカマしてくれている。
 霞ヶ関のおこたみかんは、ウスラバカやマジバカのレベルを突破して、いよいよキ●ガイの域に達したらしい。

 でもまあ、誰をも責めるまい。

 すべては、戦後の我が国が営々と紡いできた、民主主義の成果なのである。
 しかし本音を言えば、俗物的民主主義が社会を席巻する以前、たとえば大正や昭和戦前のオールドリベラリストの時代に戻り、理性的民主主義の勃興期から、すべてをやりなおしたいと切に願う。
 叶わぬ夢とは知りつつも――人が皆、仏陀の悟りに到達できない以上、美しく滅びるためには、もう平衡感覚に頼るしかない。

 男は妥協。
 女も妥協。
 人類みな妥協。
 自分の生死も他人の生死も、この世のすべても、みな妥協。


05月21日 金  新・天上天下唯我独尊

 あのAERAdotの記事は悪質だの誤報だのとウスラバカなことを、狸が信用するタイプの方々はさすがに言いださないので問題ないのだが、一般世間では、スカちゃんやヤバイ君の世迷い言を弁護する方々があんがい多いようで、それもまた、ウスラバカが多数派であればこそ、国のTOPにもウスラバカが立てるような国が仕上がっているという理屈どおりの流れに他ならず、まあ、ウスラバカな皆さんは、今後もお好きなように、ウスラバカ同士のおこたみかんをユルユルと楽しんでいただければいいのである。
 でもまあ、ユルい社会が好きな狸も、さすがに、いかなる誤情報を入力してもワクチン接種予約が成立するシステムや、その程度の内容ですらまだバグが存在するシステムを公衆の面前に晒すほど、頭のネジはユルんでいない。文系の老いぼれながら、ウン十年前にはベーシックやDOSで遊んでいたこともある。

 ともあれ一般世間のウスラバカな方々にも、この国の根幹が、仲間内の目先の損得を第一義に動いていることだけは、心得ておいてほしいものである。
 ……いや、とっくに心得ているのだろうなあ。

 文春砲が掘り起こしてくれた、例の旭川いじめ&凍死事件にしたところで、被害者の女児と家族にすべての損を集約させ、周囲の関係者すべての得を守ろうとしただけの話だ。
 でもね。
 死人に口なし、死ぬほうが負け、などと本気で思っている連中は、ただの人殺しの仲間だからね。 
 まあ、そんな了見でもウスラボケっと楽しく生きられるところがウスラバカのウスラバカたる由縁なのだから、狸が何を言ってもしかたがないけど。

          ◇          ◇

 近頃、『スッタニパータ』の翻訳本を、何種類か読んでいる。
 第四章と第五章が最も古い経典に由来している、つまりお釈迦様の実際の説教に近いらしいので、とくに念入りに読みこんでいるが、いやあ、厳しい厳しい。
 難解なだけでなく、とにかく生半可な覚悟では、お釈迦様クラスの涅槃になどたどり着けない、キツい説教の嵐なのである。

 ともあれ今のところ、狸の解釈だと――。
 やはり死後の世界だの死者の魂だのは、お釈迦様も、実在するとは考えていなかったようである。そもそも六道輪廻っぽい解脱への過程は、現世における種々の迷いの階梯にすぎないのであって、己が生を終えるときに仏として死ねること、それが涅槃なのだ。
 じゃあ自分だけ悟れば、他の衆生はどうでもいいのか――なんてことはまったくないわけで、そもそも『慈悲』こそが『涅槃』に至るための絶対条件であり、その慈悲の対象は、この世界の森羅万象だ。
 となると、やはり狸の大好きな道元禅師あたりが、この国に伝わった大乗仏教の中では、最もお釈迦様に近い説教を残しているように思うのだが、どうか。

 なにはともあれ、曹洞宗提供の昭和仏教歌謡曲・梅花流シリーズが、狸は大好きだ。
 厳しいだけじゃ、くたびれるものね。

     


05月17日 月  笑いすぎて溺死しそうな大笑い海水浴場

 東京と大阪で始めるワクチン大規模接種の予約システムが、老狸でさえ腹を抱えて爆笑悶絶するほどドシロウトなみの出来であることは、すでにあちこちで報道されている。
 でも、防衛省なんぞが矢面に立たされるばかりで、丸投げ先のカラクリは、政権への忖度からか、報道を省略するメディアがほとんどだ。
 なので、こないだも丸々コピペさせてもらった、重箱の隅をつつくのがウリのメディアによる記事を、再び、まんまコピペさせていただく。

          ◇          ◇

【独自】「誰でも何度でも予約可能」ワクチン大規模接種東京センターの予約システムに重大欠陥

 菅義偉首相の肝いりで5月24日、東京都千代田区大手町に開設予定の新型コロナウイルスワクチン大規模接種センター。
 接種予約は17日午前11時の開始からわずか45分で2万1000件に達するなど順調な滑り出しだったが、システムには重大な“欠陥”があることがAERAdot.編集部の調べでわかった。予約対象者の65歳以上の高齢者ではなくても、誰でも、何度でも予約ができるのだ。セキュリティ設計は一体、どうなっているのか。

 菅首相が掲げた「1日100万人接種」を達成すべく、1日1万人の高齢者が接種できるという触れ込みで準備が始まった大規模接種東京センター。
 予約が始まった直後、「ワクチン予約に大変な欠陥が見つかった。システムのセキュリティが機能していない」(防衛省関係者)という情報が飛び込んできた。どういうことなのか?

 AERAdot.編集部は裏付けを取るべく実際の予約システムで確認してみた。予約には地方自治体から送付された接種券を持っている必要があるとされていた。
 予約サイトでは接種券に記載されている市町村コード(6桁)と接種券番号(10桁)を入力し、さらに自身の生年月日を入力する必要がある。
 そこから進むと、接種希望日時を選ぶ画面が出る。カレンダーから接種枠の空きがある日時を選び、予約をすることが簡単にできる。
 今回の予約は65歳以上の高齢者で東京センターは東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県の居住者が対象、大阪センターは大阪、京都、兵庫の2府1県の居住者が対象になっている。
 当然、対象以外の人は予約ができないと思いきや、「誰でも予約できる」(同前)というのだ。

 AERAdot.編集部で東京の予約サイトで試してみると、6桁の市区町村コードには「654321」、10桁の接種券番号には「9876543210」と適当に番号を入力。生年月日も「1956年1月1日」と適当に入力したところ、そのまま進めて、5月29日8時から予約が取れてしまった。
 念のため、もう一度、予約をしてみた。市区町村コードは「555555」、接種券番号は「4444444444」、生年月日は「1954年1月1日」にした。こちらも5月30日16時30分からの枠を予約できた。6桁、10桁未満だとエラーが出たが、それを満たせば予約が取れるというセキュリティ上の“欠陥”があるのだ。(編集部で取った予約は現時点でキャンセルしている)
 これでは北海道や沖縄、名古屋などどこに住んでいようが、何歳であろうが誰でも予約ができてしまう。前出の防衛省関係者がこう明かす。

「極論すると、悪意を持った人物が、乱数的に任意の番号を次々と入力し、全ての枠を占拠することすら出来てしまう、危機管理も何もあったものじゃない。杜撰な仕組みです。予約枠だけ占拠して、当日誰も行かなければ、大量のワクチンがムダになりかねない、まさにワクチンテロが出来てしまいます。初日の17日、システムダウンせずにスムーズに予約が取れた、と官邸も防衛省も自画自賛していますが、システム上、負荷のかからない空っぽのシステムであれば、ある意味、当然です。言うなれば、紙の予約簿に好き勝手に書き込むだけの仕組みと変わらない。対象地域に居住しているか、否か、さらには本当に実在する人物や接種券なのか否かも含め、全くノーチェックなのです。メルカリやヤフオクで枠の転売を始める人もいずれ出るかもしれません」

 防衛省にさっそく取材を申し込むと、以下の回答がきた。
「現在、担当部署に確認している」

 防衛省ホームページに掲載されている予約システムの最下部にはシステムの運営会社として「マーソ株式会社」(Copyright c MRSO Inc. ALL RIGHTS RESERVED.)と記されていた。同社の経営顧問には菅首相の盟友、竹中平蔵氏が名を連ねていた。
 マーソ社のホームページではセキュリティの方針として「情報資産の機密性、安全性、可能性を確実に保護するために組織的、技術的に適切な対策を講じ、変化する情報技術や新たな脅威に対応する」などと記されている。
 マーソ社にも取材を申し込んだが、「担当者が不在で対応できない」との回答だった。なぜ、このような“欠陥”システムになったのか。

「官邸からはサイトの予約をパンクさせるな、と強い指示が出ていました。地方自治体のようにパンクしたら赤っ恥をかくからです。しかし、こんな中身のないシステムならサーバーも負荷はかからないし、重くならないのは当然でしょう。しかも事業会社の顧問に竹中平蔵さんが名を連ねていながらこの始末です。すべての原因は、菅首相や官邸が支持率回復だけを考え、何の制度設計や調整もなく、思い付きで始めたことにあります」(防衛省関係者)

 IT弱者の高齢者を対象としているのに、電話での予約は仕組み上なく、インターネットとLINEのみ。高齢者から直接、問い合わせが防衛省にあっても「代理でやってくれる人がいない場合、一切対応しない、地元の自治体で受けてくれ」と回答しているという。
 防衛省のホームぺージ上でのアクセス案内も不親切で、最寄り駅の「大手町」は都内でも屈指の複雑な駅構造になっているのに、「駅からの順路」は、グーグルマップのリンクを貼っただけだ。

「官邸のトップダウンで突貫工事を防衛省にやらせ、こんな雑な仕事になったんでしょうが、これで本当に一日、1万人の高齢者接種を無事にさばけるのか。官邸の“やってる感”演出のために、翻弄されるのはいつも、これまで接種を担ってきた地方自治体と国民です」(政府関係者)

 貴重なワクチン接種だけに慎重にやってもらいたい。

(AERAdot.編集部 吉崎洋夫)5/17(月) 17:03配信

          ◇          ◇

 わはははは。
 今回のスカちゃんの、早急な運営開始など小学生が考えても不可能な一夜の夢には、あの、脳幹どころか末梢神経の隅々まで銭の瘴気に侵されたパソナの大将まで、ちゃっかり絡んでいるのであった。
 わははははははははは。

 かててくわえて、不穏な噂がある。
 近頃の霞ヶ関では、ストレスですっかり頭がイカれてしまったスカちゃんを早めに草葉の陰に蹴りこんで、メンタルだけは最強のヤバイ元総理を復活させようという声が、マジで広がっているらしい。
 それでも、2F君やアソウ君は、現在の権勢を保つから……。
 ……なんだ、あいかわらず、おこたみかんが続くだけではないか。
 ちっとも不穏な噂ではないですね。

 どのみち、今後、日本がどのような状況になっても、狸の懐は、これ以上、寒くならないはずである。
 なんとなれば、これ以上貧窮したら、餓死しないためには、生活保護を申請するしかない現状なのである。
 で、ここいらの単身者の生活保護支給額をネットで調べてみると、狸穴の日々の食卓は、むしろ今よりゴージャスになる勘定だったりもする。

 今より貧しくなる心配が絶対にない生活――これって、あんがい豊かな生活ですよね。
 まあ、キモチだけは豊かである、とゆーことで。


05月14日 金  オミちゃんに叱られる

 たまには仕事にありついて、あいかわらずの満員電車で不安な思いをしながらも、日銭が入るんだからまあいいか、と自分を慰める。
 狸といっしょに東京と行き来する大量の方々も、すでに「明日は野となれ山となれ」と、シャブをキメた神風特攻隊員のように屈託がない。

 帰穴してブチ下僕をいじりたおしながら録画機をポチッとすると、楽しみにしていたチコちゃんは、また今週も録画されておらず、スカちゃんの、あいもかわらず「残り少ない政治生命をかけて、たとえいかなる事態になろうともわたくし断固として先手は打たず、ただひたすら後手後手に回るんだから、もうほっといてよみんな」、そんな感じの会見映像が記録されている。それでも緊急事態宣言の対象地域を拡大したところを見ると、対処方針分科会の正論をガン無視しつづけるのは、さすがに気が引けたのだろう。
 きっとこれは、『オミちゃんに叱られる』とか、新しいレギュラー番組なのだな。

 しかし、このまま現在のペースで『オミちゃんに叱られる』を続けていると、元気な変異型コロナ君がどんどん記録を更新するニュースをシカトして、史上最高のそぞろサミしいオリンピックを中継放送することになるわけだが……まあ『オミちゃんに叱られる』の視聴率さえ上がれば、レギュラー出演のスカちゃんとしては、本望なのだろう。
 まあ、オリンピック中継後は、レギュラーから降板確定だと思うが。

 ところで、東京五輪反対の署名を巡って、SNS界隈で共産党が躍進しているらしい。
 それが時事ネタに終わらず、一定数の理性的な支持者が増えてくれれば、ありがたいことである。
 今どきの日本共産党なんて、実に穏健な平和主義者ばっかりですよ。根性論より理屈優先の業界だから。

          ◇          ◇

 ことほどさように、狸は歳食えば食うほど、左巻きに寄ってゆく。
 いわゆるネトウヨのウスラバカっぷりが、近頃、目に余るからかもしれない。
 あれは、いわゆるパヨクの頑迷さなど、とうに振りきってしまっている。巷の公共の場で増え続ける、いわゆる『キレる方々』と同根の、錯乱した方々にしか見えない。アメリカの共和党が、もはやトランプ礼賛のカルト団体化しつつあるのと、似た狂気を感じる。
 狸としては、それら増殖しつつある『キレるウスラバカ』を抑制するために、世界に蔓延する禁煙信仰をなんとか抑制し、前世紀の和やかな喫煙環境を復活させるべきだと、本気で思っている。

 ……なんで突然、煙草の話になった?
 実は、自分でも「なして?」と首を傾げているのだが、なってしまったものは仕方がない。
 えーと……。
 ……そうだ。今夜の帰り、平井駅のホームで、ふと考えたんだった。

 だって、ねえ。
 煙草って、ほんとに精神的効果がハンパじゃないのよ。大麻みたいに「あー、なんか、もうどうでもいいや。テキトー上等」な個人的ユルみじゃなくて、もっと大らかで広範な、社会的な場を含むナゴミ感をもたらす。しかも、元々無気力な状態で吸うと、逆に覚醒効果を得られたりもする。
 煙草のみの狸の、依怙贔屓ではない。
 昭和の半ば、多くの人々が今よりも格段にブラックな仕事を強要され、今よりもとんでもねー満員電車にツッコまれていた時代、それでもホームから電車にダイブする人や、他人を下の線路に突き落とす人は、今よりも少なかった。
 それって、駅のホームの柱のことごとくにくくりつけてあった灰皿、あれと、けして無縁ではなかった気がする。
 ……そんなことを、平井駅のホームで、ふと考えたのである。

 もちろん、煙草嫌いの方々に、いっしょに吸えとは言いません。今さら駅のホームに灰皿並べてくれとも言いません。自分の権利は他人の義務、なんてことは、まったくないわけで。そうなったら、キレる方々の仲間入りするしかないし。
 でも、逆に、他人の権利を片っ端から自分の義務にしちゃったら、ホームを蹴って、電車めがけて跳ぶしかない。
 と、ゆーわけで、男は妥協、いや人類みな妥協、そんな生ぬるい世界を夢見る狸の今日この頃、皆様方におかれましては、いかがお過ごしのことでございましょうや否や。

 それにつけても――こんだけキビしく喫煙所減らしても、減ってないんだよなあ、世間の肺癌。
 肺がまっさらな人も、いきなりCOVID−19の新型肺炎で死んだりするし。

     


05月10日 月  大笑い海水浴場

 スカちゃんが東京や大阪で実施すると言いだしたワクチン大規模接種計画に関して、狸は先月の末に、こんな冗談を記した。

 
……いや、まてよ。これは2F君主導の観光企画かも。
 オリンピック観戦とワクチン接種がいっしょに楽しめる、東京バスツアーとか組むのね。当然、GOTO適用で。


 で、本日、抱腹絶倒してしまった。
 こんな記事を読んでしまったのである。

          ◇          ◇

【独自】高齢者1万人「接種センター」 日本旅行、人材派遣会社に約37億円で自衛隊が“丸投げ”

 
内閣支持率の急落が止まらない菅政権が急きょ、ぶち上げた高齢者に対する「新型コロナワクチン1日1万人接種」計画だが、担当の自衛隊だけでは人手が足りず、人材派遣会社や日本旅行などに約37億円で“丸投げ”していたことがAERAdot.編集部の調べでわかった。
 菅政権は5月24日からスタートさせる東京と大阪に設置するワクチン大規模接種センターについて、東京では1日あたり最大接種人数を1万人、大阪は5千人とする目処がついた、とメディアにアナウンスしていた。
 3カ月間で東京が計90万人、大阪は計45万人の接種を見込み、接種センターは土日祝日を含めて自衛隊が運営し、医官約70人、看護官約200人を全国の自衛隊病院や部隊から集めて東京と大阪の会場に派遣するなどと報道されている。

 しかし、これには“カラクリ”があった。防衛省関係者はこう説明する。
「自衛隊の看護官の人数が圧倒的に足りないので、外注する形で集めることになったんです。菅首相がワクチン接種は『自衛隊がやる』と宣言はしたものの、結局は民間看護師、しかも非正規雇用の方を大量動員してやっつけで進めるしかなかったということです。この計画は菅首相の側近の和泉首相補佐官らが主導し、詳細を詰めぬまま、メディアに大々的にぶち上げられました。だが、ワクチンを所管する厚生労働省や内閣府、内閣官房などには何のノウハウもなく、困り果てていた。自衛隊に押し付ける形になりましたが、結局、看護師派遣や接種会場の受付などロジも含めて人材派遣会社、日本旅行、東武トップツアーズなどに約37億円で”丸投げ”となりました」

 事業主体となる自衛隊によると、一般競争入札の公示が出されたのは5月3日、入札日は9日だった。募集人数は看護師200名で、「納期または工期」については5月17日から8月24日までとなっている。入札金額は約6億9千万円(税抜き)だという。
 だが、受注企業が決まってからわずか8日で200人の看護師を集めるというのは決して簡単ではない。
「常識的に考えたら、無茶な発注です。こんな突貫ですから、金額もハネ上っても仕方がないのではないか」(防衛省関係者)

 いったいどこの企業が、いくらで落札したのか。陸上自衛隊中央会計隊に確認すると、落札したのは「キャリア」(本社・東京都世田谷区)だ。
 この会社は2009年に設立されたベンチャー企業だ。歴史は浅いが、20年9月期の有価証券報告書によると、売上高は約122億円。主な事業はアクティブシニアを派遣するシニアワーク事業と、看護師、介護士などを派遣するシニアケア事業だ。わずか8日間で200人の看護師ら人材を集めることができるのか。広報担当者を直撃した。
「対応することができるから入札に参加した。看護師の派遣は設立してすぐに始めているので、強みがある。採用ノウハウはある」
 200人の看護師を短期間で確保する分、金額も通常より高くなっているのではないか、と尋ねた。
「(高いか低いかについては)お答えを控えさせていただきたい」(広報担当者)

 東京のワクチン接種会場は千代田区大手町の官庁街にあるビルの一室で、一日1万人もの高齢者が来場するとなると混乱は必至だ。大阪も府立国際会議場で一日5千人を見込んでいる。
「東京、大阪の両会場の運営、設営、受付から高齢者の案内などのロジも旅行会社2社へ計30億円で”丸投げ”です。急ぎの発注だと、建設工事もそうですが、相場より高額になります。東京センターの設営ロジの元受は日本旅行です。大阪センターの元受は東武トップツアーズです。両センターとも元受から孫請けの複数の人材派遣会社がインターネットで求人募集をかけています」(前出の防衛省関係者)

 日本旅行に取材を申し込むと以下の回答があった。
「大規模接種センターの東京の業務を受託したのは事実です。詳細についてはまだお伝え出来ない。防衛省に確認してほしい」(広報)

 東武トップツアーズに取材を申し込むと以下の回答があった。
「当社はワクチン事業に参画していることをまったく公表していない状況。従って、個別具体なことにお答えできない」(広報)

<大手町駅徒歩8分、職種)☆期間限定☆ワクチン接種の会場運営/給与時給1450円〜 ★日払いOK/WEB登録OK>
<勤務時間7:30〜14:00、14:00〜20:30/週3日〜 来場者の受付対応・誘導、設備設置・撤去 などの作業をお任せします♪未経験OK!主婦(夫)、フリーター歓迎>
 すでにインターネットではワクチン接種会場のロジを担当する求人広告が上がっていた。募集を行っていた会社に詳細を尋ねた。
「メディアへの露出を禁止しているので、お答えできません」(担当者)

 河野太郎ワクチン担当相は5月5日放送されたテレビ番組内で、ワクチンの大規模接種センター東京会場で1日1万人の接種を実現できるかは「自衛隊次第」と“丸投げ”発言。自衛隊から「無責任だ」などと批判の声が上がっていた。
 その自衛隊から今度は民間の人材派遣会社、旅行会社へ“丸投げ”された格好だが、ワクチン接種のドタバタ劇はいつまで続くのか。

(AERAdot.編集部 吉崎洋夫) 2021/05/10 17:49


          ◇          ◇

 まあ、看護師派遣会社は解るとして、まさか、マジに畑違いの旅行会社にまで、億単位でピンハネさせる企画だったとは……。
 わはははははははははははは。
 こりゃ抱腹絶倒どころか、思わず報復絶倒したくなる所業だわなあ。

 いやマテ……未経験OK、主婦(夫)フリーター歓迎、しかも時給1450円のとっぱらい……こりゃいいかも……。
 いやいやいやいや、渇しても盗泉の水を飲まず。
 もとい、ウスラバカさと銭の瘴気が、伝染しそうな水は飲まず。


05月06日 木  続・天上天下唯我独尊

 午後から5時間だけの安手間仕事ではあるが、そろそろ飢えそうだったので、久々に江戸川のみならず荒川もまたぎ、南砂まで進軍した。
 つまり力いっぱい東京都内と行き来してしまったわけだが、餓死しないためなのだから要にして急、不要不急などというフヤけたことを言っているバヤイではない。
 往路は昼間ゆえ総武線も東京メトロも空いていたが、帰途は案の定、大入り満員であった。そりゃそーだ。連休が明けた庶民は、これに乗らないと飢えるのである。自分が飢えるだけならまだいいが、扶養家族がいれば、そっちも飢える。

 と、ゆーわけで、我々下級国民は、実はとっくに、スカちゃんたちがひたすら待ち望んでいるカミカゼへと化してしまっているのであった。
 当然、これ以上の神頼みなんぞ、叶うはずがないのである。
 おこたみかんを楽しんでいる上級国民の方々、そこんとこ、よろしく。

          ◇          ◇

 策士バイデンさんが、新型コロナワクチンの特許権の一時放棄を支持すると、明言したそうだ。中国やロシアのしたたかなワクチン外交に対抗するためには、実に賢明な策である。
 当然、母国の製薬業界からは「多大な開発経費を無視したそんな短絡的な発想は、将来の新薬開発に百害あって一利なし」と総スカンを食らっているようだが、バイデンさんが支持しているのは、あくまで今回のCOVID−19による未曾有の世界的被害を治めるための『一時的な放棄』であって、特許権そのものを軽視しているわけではない。
 無論、製薬会社の言い分のほうが現実的には正しい、そうおっしゃる向きもあろう。
 でもね、人間、死んだらそれっきりなのよ。
 あなたの会社がなんぼ資産を積み上げて、何十年後かに全人類を救える神薬を開発する可能性があったとしても、あなた自身は今夜の帰り道で、変異型狂犬病ウイルスに侵されて凶暴化した狸に噛みつかれまくり、ひと晩中のたうちまわった末に、明日の朝には泡を吹いて死んでいるかもしれない。
 すべては一期一会。
 昨日も明日も、その時点の今日。
 同じ今日を生きている誰かを見殺しにした時点で、あなたはCOVID−19の同類なのです。

 狸は近頃、原始仏教、もとい釈迦教こそが、人類が美しい生物種として進化を全うするための、ぶっちゃけ美しく滅亡するための道であると、マジで確信しつつあったりします。


05月04日 火  天上天下唯我独尊

 赤の他人の方のツイッターから勝手に引用してはいかんのだろうが、小動物ゆえ脳味噌ちっこい狸は、平然と借用してしまうのである。
 ちなみに、後藤羽矢子さんとおっしゃる方の作品です。

     

 で、なんのために、この画像を引用したかというと、昭和32年生まれの老狸、しかも都会ではなく田舎の中流家庭に生まれ育った狸にとっては、この『現在の自分は昔の王侯貴族よりも贅沢している』という演繹が、まんま『現在の自分の極貧生活は昭和40年頃までの田舎の中流生活より遙かに贅沢である』という現実に他ならない――そんな爺臭い独善的な説教を、飽食の世代のお若い方々にタレるためなのである。
 ああ、いやらしい。
 でもまあ、いやらしい苦労話は、無駄に長生きしてきた爺いにとって最後の息抜きなので、どうか御勘弁。

 で、さらに独善の限りを尽くさせてもらうと――。

 現在、日本では明らかに最底辺のちょっと上くらいの下層階級に属する狸も、実は未だに毎月、一日分の日銭に相当する金額を、発展途上国の女児教育支援団体に振り込んでいる。
 ちなみに、ユニセフへの寄付はだいぶ前に止め、そっちに一本化してしまった。
 よって、賤しい狸のノブレス・オブリージュは、いよいよ独善的な対象選別に磨きをかけているのだが、狸のことゆえ御勘弁。

 ところで、変異型コロナの感染が、子供にも増えているらしい。
 重篤化リスクは今のところ低いようだが、根性悪の新型コロナのこと、今後どう変異するか解ったものではない。
 もしも近い将来、全年齢層において命の選別が強いられるような状況になったら、女児>女性>老婆>男児>男性>爺い、そんな優先順位だけは絶対に守ってほしい。
 無能な政治屋の爺いなんぞは、焼き場の竈の中に寝かせておけばいいのである。老狸が添い寝して、きっちり地獄に案内します。


05月01日 土  希望

 大阪では、いよいよ本格的な命の選別を余儀なくされ、東京だっていずれそうなることは確実、いやもう区域によってはすでに選別が始まっているのに、それぞれの都市の首長や国家の首長は相も変わらず、目の前のおこたの上の蜜柑だけを気にしながら、意味のない言葉をチイチイパッパと囀るばかりである。

 海の向こうでは、策士バイデンさんが老齢をものともせずに、次々と米国復興を目指して精力的に動いている。
 プーさんやプーちんは、皇帝の椅子と帝国の利権を保つために、着々と奸知を巡らせている。
 英仏独、そして他の欧州勢の首長たちも、世界史という荒海の渦中で国家の沈没を避けるため、狡猾な立ち泳ぎに尽力している。
 中近東やアフリカ諸国や東南アジアや南米あたりは、大なり小なり多数の部族闘争が入り乱れているだけのようにも見えるが、少なくともそれぞれの族長は、賢者にしろ悪人にしろ狂人にしろ、熱く語れる自分の言葉を持っている。
 それらの中で、スカちゃんとムン君だけが、狭い部屋の中、なぜか出口も探そうともせずに、自ら両目を覆い両耳も塞いで、四方の壁にぶつからないようにだけ気を配りながら、ひたすらウロウロしているだけのように見える。
 ほんとうに、似た者同士なのですねえ。
 金さんちの坊ちゃんは、ただの肥大化した幼稚園児だから、員数外。

          ◇          ◇

 で、そんな話のどこに『希望』があるねん、と、本日のタイトルに首を傾げる向きもあろうが、いかに能天気な狸だって、今どきの世界情勢に輝かしい希望を抱いたりはしない。
 狸穴周辺での日常生活にも、とくに希望の種はない。三密どころか一密でさえアブないらしい変異ウイルスが勢力を増す中、仕事の口があれば満員電車に乗って、人の群れの中へ、飢えないための日銭を稼ぎに行くだけの話である。

 そんな狸にとって、なお残る希望とは――言うまでもなく、女児と猫だ。

 昨夜は、ブチ下僕をゴロゴロさせながら、ケーブルで録画しておいた映画『ホテル・アルテミス』(2018・アメリカ)に没頭していた。
 Wikiによれば、こんな映画である
 まあ、ここまで解りにくいストーリー紹介はWikiでも珍しいくらい、なにがなんだか解らない粗筋が記されているし、世間の評価もそこそこだったようだ。日本では劇場公開すらされていない。しかし映画本編は、狸の脳内でトップ・クラスに位置する佳作であった。わずか90分程度の尺で、その複雑なストーリーや人間関係の機微を、よくぞここまで巧みに語り上げたと感嘆してしまうほど、練られた作劇なのだ。端的に言えば、近未来を舞台にしたフィルム・ノワール、そんな感じの野心作。監督は、劇場用長編映画を演出するのは初めてらしいが、脚本家としては、すでに数々のヒットを飛ばしているだけあって、まさに力いっぱい気合いを入れた野心作なのだろう。
 で――主役のジョディ・フォスターが、実にいい。
 老いた女医さんの役で、当然シワシワの老けメイク。しかも足腰が衰えて、歩幅の小さいパタパタ歩き。しかし足腰は弱っていても頭脳明晰で元気なお婆ちゃんって、けっこういますよね。チョコチョコながらもリズミカルに早足で動き回る、そんな頑固そうなお婆ちゃんの役。
 ジョディ・フォスターは狸より数才若いはずだから、演じた当時はまだ60才にもなっておらず、さすがに役柄どおりの70才には見えないが、今の狸よりは老けた演技が、きっちりできている。
 で――その老けっぷりが、なんとも、いい味なのである。

 ジョディ・フォスターさんといえば、狸と同年代の映画ファンだと『タクシードライバー』(1976)の少女娼婦、少し若い世代だと『羊たちの沈黙』(1991)の女刑事あたりが、記憶内の初期代表作だろうか。「いや俺は耽美派のロリ野郎だから『白い家の少女』(1976)が一番好きだ」、そんな不埒な方もあろう。
 しかし狸にとっての初ジョディちゃん鑑賞は、純然たる子役時代のディズニー映画、実写版『トム・ソーヤーの冒険』(1973)であった。その映画で、トムが憧れている同級生のベッキーを演じたのが、ジョディちゃんの本邦初登場なのである。
 ざっと暗算すれば、当時ジョディちゃんは10才か11才、つまり狸語で表現すると、ズバリ『ロリ盛り』直前のお年頃であった。

 思えばあの頃から、ジョディ・フォスターさんは、ただのカワイコちゃんではなかった。
 当時、比較されがちだったアメリカの子役にブルック・シールズ嬢がいたが、ブルック嬢はいかにも正当派の美少女であるのみならず、すでにオジサマ殺しのお色気を発散しており、その後はお色気方向に成長しすぎて、大成できなかった感がある。
 対して、ベッキーを演じたジョディ・フォスター嬢は、なんといいますか――確かにチャーミングでコケティッシュな女児なのだが、それでも、ロリ野郎の狸ですらがなぜかそっち方向の邪念をちっとも抱けず、でも仲良くできたらなんかすっげー楽しそう、みたいな、不思議なオーラをまとっていた。
 あくまで今にして思えばの話だが、後の彼女がレズビアンであるとカミングアウトしたことを考えると、すでに当時から、周囲の男児子役や男性役者とのスタンスに、いっさいの『媚び』を感じさせなかったからかもしれない。

 ともあれ、あの、ちょっとフシギちゃんっぽかった女児が、今、シワシワの老けメイクで、渋いサスペンス映画の主演を張っている。
 しかも、今後もし彼女が寝たきりになったら、狸が迷わず介護を志願して、毎日オムツを替えたりお風呂に入れてあげたくなるような、魅力的老婆なのである。
 こうした息の長い事どもが、老理にとって『女児』が『希望』に他ならぬ所以であり、狸が死ぬまで生き続けるための、原動力に他ならないのだ。

     

 予告編ではドンパチ主体のアクション映画みたいですが、あくまで老女医が仕切る犯罪者専門の闇病院を舞台にした、一夜の群像劇なのです。