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07月30日 金  かなりちがって、とてもへん

 昨日の見出しの件が気になり、週刊新潮を立ち読みしてみた。
 金も払わないでつべこべ言うんじゃねえよ、と言われそうだが、見出しのまんまの内容なので、さらに仰天した。その他の記事では、日本選手の大量メダル獲得を手放しで喜んでいた。
 驚きついでに、今週号の売れ行きは、週刊文春より、週刊新潮のほうが圧勝らしいのである。狸が最初に覗いた小さな書店は、新潮だけが売り切れていたし、大型書店でも、平積みの量は新潮のほうが圧倒的に少なかった。つまり売れているのである。
 もしかして東京近郊の週刊誌購買層は、本気でスカちゃんを支持しているのだろうか。それとも週刊新潮が故意に炎上商法を狙い、それに読者が面白がって乗っかったのだろうか。あるいは自粛自粛の掛け声に倦んで、編集も読者もマジにまっぴらいてしまったのだろうか。
 いずれにせよ、東京近郊で大量の小学生を遠距離流動させるのだけは、かんべんしていただきたい。

 それにしても――。
 ひたすら右へ右へと果敢に進攻し、大炎上の末に総員玉砕した月刊誌・新潮45に続いて、週刊新潮も特攻志願するとしたら、やっぱり新潮社自体が、なんかおかしい。
 狸と同世代の現社長、革マル派上がりのはずなんだが、おこたみかん派に転向したのかな。そういえば電通にも勤めてたしなあ。


07月29日 木  ちょっとちがって、かなりへん

 週刊新潮の車内吊り広告を見て仰天した。
 いわく、
『このままでは「敗北の空っぽ五輪」 今からでも「競技場に子どもたちを!」』
『英大学の研究が明かした「死亡リスクは200万分の1!」』
『日本は未だ「20歳未満の死者ゼロ」』
『一生の思い出「生観戦した子」が未来を担う』

 まあ、実際の記事を読まねば真意は解らないし、元気な文春砲に対抗するためか近頃の新潮は妙にカルトっぽい見出しが増えていたのも確かなのだが、まさか23日の内に東京でここまで感染爆発するとは予想できず、イケイケで刷っちまったんだろうなあ。
 いずれにせよ、勝負に出るタイミングを誤ると負けがこむ、そんな厳しい現実の見本に思われる。
 のみならず、どの見出しも、取材も執筆もエアコンの効いた場所でできそうな記事っぽいのが気にかかる。
 子供だって、この陽気に外で観戦するのはつらいし、元気にウイルス持って帰って働き盛りのお父さんをダウンさせると今後色々困るし、そもそも、死ななきゃいいってもんでもないだろう。後遺症がしんどいのはデータでも明白だ。
 だいたい、今の日本を担っている人材、ほとんど前のオリンピックなんか生観戦しとらんぞ。

          ◇          ◇

 さて、このままのペースだと、東京の感染者数は1日5000人どころか1万人も遠からず、当然、全国津々浦々でも増加に向かう。
 まあコロナによる死亡者は抑えられたとしても、他の救急搬送者がICUまでたどり着けず家族が嘆き悲しむ状況は、また目前に迫っている。
 なにせ肝腎のワクチンが足りない。霞ヶ関の詐欺師の方々は「若者の人流が減らない」「若者たちがワクチン接種を嫌っている」などとおっしゃるが、若い奴隷は働きに出ないとホームレス化するしかない。老狸だって餓死する。そもそも50歳未満のワクチン予約なんぞ始まってもいない自治体が、東京周辺にはゴロゴロしている。
 さすがのスカちゃんも、去年余った30兆円を全額投げだすと決心したようだが、なにせおこたみかん詐欺の代表者、どこに投げだすかは知れたものではない。

 全国民に20万支給してステイ・ホームを徹底――予算的には、去年余った分で可能なはずである。でも仲良しのアソウ君あたりは、ヤダヤダ、ボクのおみかんが減っちゃうよう、とか、あくまで泣きわめくのだろうなあ。
 もし20万もらえたら、今の狸など、4ヶ月は狸穴にこもってみせるぞ。
 年金早期受給がなかった去年の夏前だって、1ヶ月半くらいはこもれたと思うぞ。
 昨年度非課税所帯限定で50万――それでもいい。狸は駄目でも若い奴隷が救われる。
 今年度が非課税になりそうな所帯に50万――おお、これがいいのではないか。狸も対象になる。

 ……なんか自分が情けなくなってきた。

 全国民に20万支給してステイ・ホームを徹底、それでいいと思います。
 無観客オリンピックは今さらやめても仕方ないので、パラまでやってください。
 オリンピックだけ完遂してパラは中止、なんてことやったら、マジでキレるからな。
 大入道に化けてスカちゃんトリオの夢に出て、ミンチになるまでグリグリ踏みにじってやるからな。


07月27日 火  サウナな季節

 台風接近で、今日の東京の暑さは少々ゆるむ、などという気象予報士のおねいさんを信じていたら、たまたまありついた仕事場あたりは午前中に雨があがってしまい、水分たっぷりの地べたに真昼の陽光がかんかんと照りつけ、あっというまに最強のサウナと化した。
 いやまあ、この季節の湾岸はそんなもんだとわかってますから、今さら驚きませんけどね。

 オリンピックでがんばる海外アスリートの中にも、なんぼなんでも暑すぎる、騙された騙されたとおっしゃる方がいらっしゃるらしいが、同じ地域の片隅では、数多の奴隷が『ただ今日の晩飯と明日の朝飯と昼飯を食う』だけのために、立派なテニス・コートに劣らないスチーム・オーブン級の天然サウナの中で、朝から晩まで台車を押してうろつきまわっている、そんな現実だけは忘れないでくださいね。

 奴隷は生涯、メダルもらえんのよ。表彰台にも立てんのよ。雑誌や新聞でほめられもせんのよ。
 まあ自分で選んだ道だから、別にかまわんのだけどな。

     ◇          ◇

 しかし東京の新型コロナ感染者数はエラいことになってるようだが、当然スカちゃんはガン無視である。
 表向き景気よくブチ上げた昨年度の新型コロナ対策予算も、無事にしっかり節約して、今後のおこたみかんにたっぷり回せそうだし、あとは世界大運動会でせっせと仲間内におみかんを配り、巡り巡って痔民党のおみかんになるのを待つだけだ。
 まあ、さすがにここまで現実をガン無視していると、総理はクビになるだろうが、痔民党のおこたにおみかんを積んどけば、元総理のメダルまでは取り上げられない。

 などとさんざんクサしつつ、『黒い雨』裁判の上告断念決断は、それが支持率の急落を止めるためだとしても、スカちゃんを評価するにやぶさかではない。政府内部では上告せよとの声が大きかったらしいが、今そんなことをしたら、痔民党自体の支持率をさらに落とすだけだろうに。上告しなければ消費税増税レベルの賠償費用が必要になってしまう、などという、いかにも詐欺師らしい意見もあったらしいが、いやいやあんた、昨年度の新型コロナ対策予算を節約しただけで何十兆も浮いてるでしょう。

 ところで、一日単位で集計される感染者数なんぞ毎日毎日気にしても無益なのは自明の理だが、こんだけ検査数を減らしても週単位の陽性者が1.5倍になるということは、無症状の感染者なんぞ下手すりゃ何十万人、都内や周辺の県をうろついているはずだ。それがどんどん増えている。
 周囲の奴隷の中には、かなり具合が悪くても、働きに出てくる奴がいる。計れば熱だってあるのだろう。仲間の奴隷は、それを咎めたりしない。たちの悪いウイルスや黴菌が自分に移らないよう、せいぜい気を配るだけである。

 奴隷仲間を見ていると、自分で死にたい奴や誰かを殺したい奴は、ほとんどいない。
 それでも、誰も自粛する様子はない。
 これから自粛するんで先に生活保護よろしく、と言いだすほどの度胸もない。
 でもまあ、特殊詐欺集団や通り魔よりは、まだマシな連中であろう。

 ちなみに狸のワクチン接種は、やっと来月の18日に1度目の予約がとれた。ただし2度目は、予約中断中である。

     ◇          ◇

 さあて、とっくに前作の長さを超えてしまったエゾヒグマの俊子さんの話の、続きを打つとしよう。
 ようやく中盤を終え、東京駅の中央線ホームで、旧知のパンダと再会するシーンに入ったところである。
 前作に輪をかけてなんだかよくわからない話ではあるが、まあ、また8人の方々くらいは、オチまで読んでくださるに違いない。


07月22日 木  なんたって、おこたみかん

 まあこうあづぐであぢぐであづぐであぢぐでたまらん日々が続き、頭がすっかり煮えてしまって帰穴後の洗濯のタライに昨日洗って乾いた衣類をまたぶっこんでしまっておああああああなどと奇声を発したりしていると、はいはいもう世界大運動会だろうがカミカゼ特攻だろうがやりたいってんならやりたい人にはやらしときゃいいでしょ、と、つい投げやりな気分にもなってしまうわけだが、まあ落ち着いて考えれば、二日分また洗えばいいだけのことだである。しかし死んだ人は二度と帰ってこないし自分も死にたくないし、たとえ死ななくても鬱陶しい後遺症が残って、今後も毎年めぐってくるこのあづぐであぢぐであづぐであぢぐでたまらん日々をぐぬぬぬぬぬうなどと陰湿な奇声を発しながら死ぬまで生きるのはまっぴらごめんなので、やっぱり、今からでも開催中止大歓迎なのである。

 しかしまあ、すでに東京のコロナ病床は満杯になり重症者病床もあっというまに半分以上埋まり、人工呼吸器を操ってくださる医療従事者の皆さんなどは文字通り夜を徹して骨身を削っておられるというのに、いまだにスカちゃんをただのウスラバカな頑固じじいと批判していらっしゃる方々が多いのは、お人好しにもほどがある。
 アレは下々の苦労や今後の死屍累々など全部承知の上で、わざとやってるんですからね。
 たとえ一日でも大運動会の準備期間を延ばし、開催期間を一日でも延ばすことによって、スカちゃんとおこた仲間のおみかんだけは、ちゃんと増えるようになっているのです。いや正味の話。

 詐欺グループのやることに、迷いはない。
 労せずして、より多くのおみかんをGETする、ただそれだけである。
 恥や外聞など、もとから捨てているのです。

          ◇          ◇

 で――。
 ヒロシです。

 ……突然、なんなんだ。
 実は狸の本名も同じヒロシである――そんな事実とはまったく無関係に、近頃の狸は女児や猫以外にも、あのヒロシにハマっている。元自虐ギャグの名手にして、現在はソロ・キャンパーや個性的な旅番組のレポーターとしてがんばっていらっしゃる、タレントのヒロシさんですね。
 連続番組としては、『迷宮グルメ 異郷の駅前食堂』と『ヒロシのぼっちキャンプ』が、とてもいい。
 なんといいますか、あの方の行動や発言パターンを見ていると、ある種の、河川敷の野良猫をながめている気分になれる。けしてなれなれしくはないのに、なんか、ときどき気が向くと妙にうにゃうにゃしゃべりかけてきたり、かと思えば、不意にそっぽを向いてどこかに消えてしまったり、でも、また同じあたりを散歩していると、ひとり、いや一匹でぽつねんと川の流れを見つめながら、狸の気配を察すると、こちらを見ないまま「……うにゃ」とかつぶやいてみせたり。

 太川陽介さんの各種旅番組や、レギュラー化した『太川陽介のスナック歌謡界 〜昭和スターが集う店〜』も大好きなのだが、太川さんの芸風が無邪気なワンコ的MCだとすると、ヒロシさんは真逆、人慣れはしていないがけして人嫌いではない野良にゃんこMC、そんな感じで、実に和むのである。

          ◇          ◇

 和むと言えば、打鍵中の、例のナゴミ系にしてユルミ系の短編シリーズであるが、どうもユルんでいるんだか血眼になっているんだか、自分でもなんだかよくわからなくなってきた。
 しかし、そのなんだかよくわからない筆致が、自分では、とても気持ちがいいのである。化けるべくして化けている、そんな実感がある。
 だからこのまま打ち続けようと思う。


07月18日 土  晴レ腫レカユイ

 現役医師と称する方の中にも、見かけの感染者増加にとらわれてはいけない、死亡者や重症者はどんどん減っているのだからオリンピックも有観客でやるべき、などと発言する方が未だにいるわけだが、今日のニュースでは、土曜日だというのに死亡者も重症者も微増に転じてしまい、ああついに来ましたか、と、ちょっとビビっている狸である。狸穴にもようやくワクチン関係の封書がお役人様から届いたのだが、予約開始はまだ先だ。都内ではないが首都圏バリバリの狸穴でさえ、まだまだこんな進捗なのである。
 そもそも感染者だって重症者だって、ワクチンを打った65歳以上だけが減っているのだ。オリンピックに乗じて、万一、南米出身のラムダ君が出張ってきたら、マジに女児の命までが危険にさらされる。

 ところで、ウィズ・コロナだから有観客OKとおっしゃる現役医師の方とやら、本当に現場の医師なのだろうか。
 現在、東京で重症者に計上されているのは人工呼吸器やエクモのおかげでかろうじて生きている方であり、それがなければ確実に鬼籍に入るのである。人工呼吸器なんぞ天下の大東京には3000台以上あるはずなのに、そこまでたどり着けなくて死んだ方もいる。
 あ、そうか。偉いお医者さんなら、自分や身内のぶんはいつでも確保できるものね、人工呼吸器もエクモも。

          ◇          ◇

 さて、いよいよ本格的な猛暑に突入した。
 幸い、餓死しない程度には日銭にありついているが、正直、『晴レ腫レカユイ』をヤケクソで歌い踊りたい体表状況である。
 でもまあ、ブチ下僕はなんとか小康状態らしいので、良しとしよう。

 で、今年の夏は、忘れないうちに早々と――。

     

 若ぶってないで、これも――。

     

 そうだったそうだった。あの坂口良子さんも、加山雄三若大将と草刈正雄若大将の両方で、マドンナやってたんだよなあ。


07月13日 火  続・おこたみかん詐欺

 さて、相変わらずスカちゃんたちは、「1+1=10」だとか「1−1も10」だとか、同時に「1+1=−10」でもあるのだとか、ことあるごとにウスラバカっぽい右顧左眄を押し通し、理性的な方々から「なんで1+1や1−1くらい理解できないのか。バカではないのか」と顰蹙をかい続けているわけだが、それは初めから特殊詐欺グループのやること、理屈なんぞはどうでもいいわけで、いざ総選挙になれば投票者の過半数はコロリと騙され、ちゃんとスカちゃんトリオや傘下の受け子たちに、いつもどおり送金してくれるのである。
 当然、霞ヶ関のおこたにだけは、これからもおみかんが山積みになるのである。いやあ、良かった良かった。

 しかし、もはやケツの毛さえ残り少ない一介の狸だって、たまには甘いおみかんを食べてみたい。また給付金10万くれんかなあ、などと、はかない夢を見たりもする。
 でもまあ、またパソナ筋のお仲間がスカちゃんのブレーンに加わるらしく、ならば世界が滅びようとも消費税は上げる方向、給付金なんぞはビシビシ切る方向、非正規社員は生かさず殺さずなんて甘い扱いをせずに瀕死になるまでコキ使って死ぬ直前で追い出す、そんな方向に邁進するのだろうなあ。

 ところで、テレビの録画を見ていると、政府広報でさかんに生活保護の宣伝が流れるのだが、マジに全国の所帯の半数くらいは『最低限の生活』に落としたいのかもしれない。
 そうすれば、残り半数は、今よりも豊かになる勘定である。革命も暴動も起こらず、永遠におこたみかん詐欺を継続できる。

          ◇          ◇

 放流したユルミ系の短編は、今のところ、天野様に御感想をいただけたきりである。
 いやいや、PV数を見てみると、最後まで読んでくださった方が、あと3人はいらっしゃる勘定だ。
 コミックや動画と違って、一万字近い小説は、ウスラボケっと流し読みできるものではない。最後まで読んでくださったこと自体、立派な評価なのである。
 そーゆーことにしとこう、うん。


07月09日 金  おこたみかん詐欺

 詐欺師というやつは、あくまで意図的に被害者を丸裸にしようとしているのだから、自説の矛盾や誤謬などおかまいなしに、とにかく相手から抜ける毛はケツの毛まで1本残らず抜いて、持っていこうとする。赤裸になった被害者が何百人悶死したところで、「毛を抜いただけで殺すつもりはなかった」と言い張れば、詐欺師の受ける刑罰は1か月以上10年以下の懲役、ただそれだけである。
 と、ゆーわけで、スカちゃんは今日も元気に「あ、愚民ちゃん? うん、ワシだけど、ちょっとお願いがあって」などと、怪しげな電話相談や勧誘に余念がない。記者会見で明らかな痴呆状態であることを隠さないのも、ひたすらウツロな視線をさまよわせるのも、いざ告訴されたときの、心神耗弱による無罪判決を画策しているのである。
 などと、やくたいもないイヤミを垂れ流しつつ――。
 あの記者会見で「先手」という言葉を聞いたときには、腹の底から大爆笑してしまった。
 せ、先手かよ、今回の緊急事態宣言が。わははははははは。
 いやあ、ユルむユルむ。
 実は、スカちゃんは詐欺師でも痴呆でもなく、シュール系のコメディアンなのかもしれない。

          ◇          ◇

 とりあえず、短編のひとつが仕上がったので、カクヨムに放流した。
 思ったよりシュールではない流れになってしまったが、まあユルいことだけは保証できる。
 とはいえ真心をこめて、大真面目にユルいものに化けたつもりなので、そこんとこよろしくお願いします。

 似たようなシチュエーションの短編や掌編を複数打鍵中であることは以前にも記したが、次に仕上がるのは、たぶん、こんな書き出しの話になると思われる。
[人気エッセイストの石狩俊子はエゾヒグマである。]
 ……どのみちユルい話になることは一目瞭然であろう。

 実は、残る数編のアイデアの中に、あの熱海の大災害を思わせるシーンがあり、着想した時点では、まさか現実にあんな光景を目にすることになろうとは思ってもいなかった。
 無辜の住民が犠牲になる話ではないから、このまま打ち進めてみるが、あまりユルんだ話ではなくなりそうな気もする。


07月06日 火  ユルむ/リベンジ

 巷では大変なことが日々出来しているわけだが、人間の存在もまた自然現象のひとつなのであり、ならばスカちゃんトリオも、土石流警戒地域の木々を引っこ抜いて盛り土にするようなウスラバカも、新型コロナウイルスや天変地異と同様、大自然の脅威の一部にすぎないのである。
 しかるに、根絶の難しい新型コロナウイルスや予測不能の天変地異が恐れられる一方、今すぐ根絶できるはずのスカちゃんトリオや無責任な土建屋などは、なぜか後生大事に保護されている。
 過度の自然保護は、かえって有害なのである。
 行きすぎた害虫駆除は確かに生態系を破壊するが、ゴキブリやツツガムシやスカちゃんトリオや無責任な土建屋を根絶したところで、生態系に悪影響は生じない。
 そのように、何事も大らかにユルんだ視点で対処しないと、地形的にも気候的にも複雑きわまりない日本列島の自然は、今後、維持しがたいように思うのだが、どうか。

          ◇          ◇

 我ながらなんだかよくわからなくなってきたので、とりあえず、猫方向に逃避します。

     


07月02日 金  新・ユルむ

 原稿用紙なら10枚、長くともせいぜい15枚程度の話を、何作かまとめて賞編集に――などと思っていたら、最初の話がもう短編の量に達し、しかもまだ終わっていない。後続の掌編も、のんべんだらりと気の向くままにいくつか並行して打っているのだが、目算どおり掌編に収まりそうな話もあれば、どう考えても第1話より長くなりそうな話もある。
 そうなのであった。狸は常に、当初の目算の1.5倍、下手すりゃ2倍、しまいにゃ3倍も語らないと気の済まないたちなのであった。
 なんのことはない、狸はもともとカピバラの湯浴みのように、ユルみきっていたのですねえ。

          ◇          ◇

 ブチ下僕は、ほとんど寝たきり老人に近い状態である。
 気が向くと管理人さんの部屋の中は徘徊するらしいが、あれほど閉めこまれるのをいやがっていたはずなのに、日課だった縄張り巡回には出ようともしないとのこと。運動能力以上に、好奇心や認知能力が衰えてしまったのだろう。
 台所の猫蒲団(?)で丸くなっているのを一度撫でさせてもらったが、狸の顔や匂いは覚えているものの、ついてくる気はまったくなさそうだった。
 あんなに懐いてたのになあ、と寂しく思いつつ、その狸の部屋でさえ、うっかり閉めこまれそうになると焦って騒いでいたくらいだから、やはり完全専属下僕頭(管理人さんのこと)の部屋を、終の住処に定めたらしい。
 それでいいのだろう。今の状態で外に出したら、たぶん、そのまま行方不明になってしまう。

 ちなみに管理人さんは、狸より数歳年長の、いわゆる猫ばあちゃんである。
 狸穴のある建物は、名ばかりとはいえ一応マンションで、本来はペット禁止だから、ミケ女王様もブチ下僕も、これまでは地域猫として外の猫小屋をあてがわれていたわけである。町内会の顔役である管理人さんが外の猫も管理する、みたいな。
 今回、ブチ下僕という先例が生じた以上、狸が新しい猫を室内飼いすると主張すれば、OKがでるのかもしれないが――。
 飼いません。
 この歳ゆえ、親しい人間が亡くなるのにはだいぶ慣れたが、親しい猫に、目の前で死なれるのだけは避けたい。もう二度とユルめなくなる気がします。