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11月24日 水 ぶつぶつ |
日本は先進国で唯一何十年も賃金が上がっていない、とかいう話は、まあ別に先進国だって色々あっていいと思うのだが、その割に消費税だけどんどん上がってるのは、やっぱり間尺に合わんのよなあ。福祉のためとか言って消費税上げても、アルツ母の介護の自己負担分なんぞ上がる一方だったしなあ。ぶつぶつぶつ。
自分ちの猫にアルコールをかけて火を付けた奴が罰金10万円だけで実名報道もされず、反対車線で事故に合って中央分離帯を越えて転がってきたバイカーをうっかり轢いてしまったドライバーがいきなり実名報道されてしまうというのは、やっぱり間尺に合わんのよなあ。ぶつぶつぶつ。
後者に社会的制裁なんぞ必要ないし、前者はきっちり全国に実名を晒した上で、こっそり警察の中庭でアルコールぶっかけて、これ見よがしにマッチを摺って以下省略。
痔民さんたちが「どうだコロナ対策のために新たに55兆円も財政支出するぜイエ〜イ!」とかはしゃいでる割には、よく見りゃコロナとは関係なさそうな経済対策もちゃっかり合算してるし、そもそも前のコロナ予算が30兆円以上も余ってるし、結局、新たな支出はせいぜい20何兆円くらいなのよなあ。で、新規国債発行額は22兆円らしいから、まずまず間尺には合っているわけだが、前の30兆円ちゃんと出し惜しみせずに使ってりゃ、第5波の人死にも少しは減らせただろうになあ。ぶつぶつぶつ。
◇ ◇
などなど、日々ぶつぶつぶつぶつ愚痴ってしまうのも、猫が足りないからなのよなあ。
世界ネコ歩きとか、猫の映像は増える一方なのだが、触れる猫がいないのよなあ。
もうミケ女王様に引っかかれて出血することもできないし、幼時退行したブチ下僕にぺろぺろ嘗めまわされることもないのよなあ。
管理人さんもお歳を召されてしまって、もう地域猫保護活動は引退するそうだ。
公園や河川敷の野良猫も、近頃めっきり見かけなくなった。
といって、しゃれた猫カフェなんぞに出かける金は、まったくない。
ぶつぶつ、ぶつぶつ、ぶつぶつぶつ……。
11月18日 木 ちょっと黒っぽい狸 |
いよいよ食うに困るか、と懊悩しているとなんとか仕事が入り、とりあえず食いつないでいたところでまた仕事がとだえ、これはついにとうとう即身仏の道を選ぶときがきたか、と覚悟を決めたあたりでまた細々と仕事が入り、風呂上がりに体重計に乗ってみれば、逆に目方が増えている有様である。
これこのように、いかに困窮が続いても、体重も血糖値も減りはしない。血圧も下がらない。
困っていいんだか喜んでいいんだかわからない。
日々、どこまで明日が続くものやら、ほんとうにわからない。
ああ俺もノホホンと生きてるようなフリして実は崖っぷちにいるのかもしれんなあ、などと思いつつ、いやもう立派に崖っぷちしか歩いとらんだろうここ四半世紀、などとも、客観的にはヒシヒシと思われる。
ともあれ、精神的に不安定なのは確かである。
このところ、例のシリーズの一環で、『学校の階段の怪談』(仮題)なる短編を、ぼちぼち打ち進めていた。怪談と称するわりには、かつてなく能天気で無意味な、脱力系のコントである。
しかし、それがオチまで脳内構築できたところで、パタリと打鍵が進まなくなった。
その代わり、久しく打鍵していなかった純ホラー系の短編――ドス黒くて救いのカケラもない、新味のカケラすらない怨霊系の定番みたいな設定とビジュアルが、脳内で盛んに暗躍している。
しばらく脱力しすぎた反動であろうか。
しかるにこの感覚は、遙か昭和の貸本時代、いわゆる『少女スリラー』――池川伸治先生や杉戸光史先生の貸本専用漫画単行本を、夜の寝床で恐る恐るめくっていたときのような、一種の甘美さにも通底している。
どのみち、明日が見えない死にたくないという点では、9歳の狸も64歳の狸も同じことなのである。
そんなこんなで、ここは力いっぱい、ありがちなホラーに浮気してみたいと思う。
テーマは陰湿なイジメ問題。で、非業の死をとげた女生徒の怨念が……。
……うわあ、昭和にも令和にも、ほんとにありがち。
この国は、ほんとうに安定した国なのですね。
何があっても何十年たっても、不動の精神風土。
11月12日 金 われ逝くもののごとく |
瀬戸内寂聴さんが大往生をとげられた。もう少しで、まるまる1世紀の人生であった。惜しむより、ただ合掌するべきであろう。
個狸的には、ドラムの達人・菅沼孝三さんの逝去に愕然とした。
狸より2歳も若い方なのである。
狸が菅沼さんの演奏を初めて見たのは、このバンドがデビューしたときであった。
当時のロック界では、言わずと知れた実力者たちが道楽で組んだような超絶技巧勝負のバンドであったが、あまりに超絶すぎて一般の方々にはウケず短命に終わり、今になって伝説化している。
当時の菅沼さんは、その頃も他のメンバーのように華やかな立ち位置ではなかった気がする。その前も後も、むしろ華やかな方々のバックやスタジオで大活躍し、ロックからジャズまでなんでもござれの、知る人ぞ知る世界的超絶技巧ドラマー、そんな感じであった。
こないだ狸が放流した短編のラストで、古狸(自分ではありません)が化けたドラマーも、実は菅沼さんを意識していた。そんなタイミングでの訃報である。
……享年62、なんぼなんでも早過ぎはしまいか。
◇ ◇
ともあれ、合掌。
狸も遠からず逝きますので。
11月06日 土 愛こそすべて |
江戸川に徘徊に出る途中、街道と外環が曲がりくねりながら交差する、厄介な交差点がある。片側2車線と片側3車線、まとめれば10車線が斜めはすかいに交差するので、車用の信号も三色だけでなく、それぞれに右折と左折専用の矢印も出たりして、おまけに歩行者が一度の青では渡れないほど広いため、交差点の中に島(?)があり、そこにも歩行者専用の信号がある。
つまり、車も人も、実に殺伐としがちな交差点である。
幸い、少々離れたところにエレベーター付きのどでかい歩道橋があるので、ちょっと遠回りにはなるが、狸はいつもそっちを渡る。
で、本日の徘徊の帰途、夜間、その歩道橋を渡っている最中、眼下、ちょっと先の交差点の外環中央分離帯あたりから、ちょこちょこと一匹の白い猫が姿を現し、歩行者がひとりもいない横断歩道を渡りはじめた。野良猫なのか、迷子の家猫なのか、遠くて首輪が見えないので判別できなかったが、信号待ちをしている大量の車をまったく気にしていないところを見ると、生粋の室内飼いの猫が、うっかり迷い出たのかもしれない。つまり、車の危険性をまったく認識していないのである。目の前の、赤信号で完全に止まっている大量の車列が、いつなんどき急に発進して凶器と化すか、まったく想像していないらしい。
当然、狸は大いに焦りました。猫のためならけして命を惜しまない狸ではあるが、まさか歩道橋から飛び降りるわけにも行かない。
はらはら見守っていると、白猫は車を怖がらないどころか、何を思ったか、中央車線で信号待ちしている車の下に、とことこと潜りこんでしまった。その車のドライバーが猫に気づいていればいいが、どうも気づいていないらしく、なんの動きもない。信号はぼちぼち青に変わりそうな感じである。
狸は意を決して歩道橋から飛び降り――ませんでした。すみません、ごめんなさい猫様。外環の歩道橋は、さすがに高すぎる。下には車がみっちり停まっている。狸はジェイソン・ボーンでもジョン・ウィックでもないから、飛び降りると死ぬ。
で、代わりに近い方の階段を駆け下りたわけですが、歩道に下りたあたりで、もう信号は変わってしまい、車列が流れ始めている。交差点は少々離れているから、そこからではリアルタイムの現状が見られない。
最悪、二十何年ぶりに猫煎餅を回収することになるのか――でもあれって、半月くらいは鬱状態になるんだよなあ。
などと不安いっぱいで交差点に近づいたとき、盛大なクラクションが聞こえてきた。
青信号の直進車線が、ちゃんと停まっていたのである。
例の先頭車両の前ドアが開いており、ドライバーの姿がない。そして直後の営業用大型バンから、夫婦らしい中年カップルが車道に降りて、クラクションを鳴らす後ろの車列に、ちょと待てちょと待て、と手を振ったり頭を下げたりしている。
待つことしばし、先頭の乗用車の下から、若いあんちゃんが這い出してきた。いましたよいましたよ、と、後ろの中年カップルに白猫を差しだし、でもこれどーすりゃいいんでしょうね、みたいな顔をしている。
まさかその場で長々と相談するわけにもいかないから、二言三言の会話の後、結局、中年女性がにこにこと白猫を抱いて、中年男性といっしょにバンに戻った。
たぶん、乗用車のあんちゃんは猫が自分の車の下に入ったのに気づかず、車高のある後続の大型バンのほうが気づき、わざわざ車から降りて御注進に及んだのだろう。あの様子なら、白猫さんの今後も、きちんと対処してくれるに違いない。
結局、狸はただウスラボケっと、歩道からその様子を見守っていただけなのだが――。
あのわざわざ地べたに這いつくばって猫を救出したあんちゃんは、こないだの選挙で、どこの誰に投票しただろう。見かけで人を判断してはいけないが、棄権した可能性が高いように思われる。あるいはイケイケで胃新あたりに入れたかもしれない。
あのナントカ工務店の主人夫婦――バンのロゴとお二人の雰囲気から推測しただけだが――は、十中八九、痔民支持ではなかろうか。
でもまあ、そんなのは、どうでもいいのである。
みんな幸せに生きてほしい。
こないだ、狸はついムハンマド様の悪口を記してしまったが、あの方も大の猫好きだったのは確かだし、自分がテロに走ったわけでもない。
だから、みんな幸せに生きてほしい。
……あ、でも、猫や女児を迫害する奴は別ね。今すぐ不幸のどん底に落ちてください。
11月01日 月 平常心 |
平常心平常心平常心……平常心平常心。
……でもやっぱり、狸は怯えてしまいます。
お願いですから、消費税を上げるのは狸が死んでからにしてください、単独過半数の詐欺団体様……。
正味の話、実は豊かな人が多いのでしょうね、この国は。
使える金の1割や2割、ボッタくられても平気です。いやむしろもっとボッタくってください、お偉い詐欺師の先生様方――みたいな。
◇ ◇
ともあれ、新作短編の前編を、某所に放流いたしました。
後編も近々放流いたします。
……などと言いつつ、話は終わったはずなのに、推敲中にまたあちこち増えたりしてるんだ、これが。
つくづくクドい狸です。