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06月28日 火  紙パンツの日々

 先週末から、尿漏れ用の使い捨て紙パンツをはいて暮らしている。
 ついに失禁が常態になったわけではない。
 キ●タマ袋の左の付け根に、かなり大ぶりの粉瘤種が生じてしまったのである。
 何年か前に患った巨大脱腸とは違い、内臓的な危険はまったくない。しかし、ちょうど始まった連日の猛暑の悪影響もあってか、表面がすっかりズルムケになってしまった。
 皮膚科の医師によれば、化膿しているわけではないようだが、この状態では粉瘤種そのものをどうのこうのできないから、とにかく抗生物質の内服と外用薬の塗布によって内外の化膿を防ぎ、表面が落ち着くのを待とうと言う。
 プロが待てと言うのだから、狸は待つしかない。

 しかし――。
 キン●マ袋の付け根が腫れているのである。しかも皮膚がズルムケなのである。
 ガニマタで歩いても、いてーのなんの。
 出血はほとんどないが、常時、なんらかの体液がしみ出しており、ガーゼくらいでなんとかなる状態ではない。
 なおかつ、この時期、ちょっと買い物に出ただけでも汗をかく。たちまちパンツは、薄まった粘液でぐしょぐしょになる。しまいにゃズボンの股間までシミになりかねない。
 と、ゆーわけで、紙パンツなのである。
 濡れても外にしみ出さないし、弾力性があるせいか、移動時の痛みもなんぼか緩和される。

 で、見たくもない患部を洗浄し軟膏を塗るため、日に何度かは「ぐぬぬぬぬう」などと呻きながら接触し、目視せざるをえないのだが……。
 いったいこのやくたいもない陰毛というやつは、なんのためにこんなにうじゃうじゃと生えまくっているのか。
 なんで表皮がズルムケなのに抜けもせず、うっかり引っ張ると「ひい」とか叫んでしまうほど痛いのか。
 こんなもの、いっそ、ぞろりと抜け落ちてしまったほうが――。
 などと記したとたんに、そうなったら真皮まで損なわれてしまうことに気づき、慄然とした。それではキンタ●が露出してしまいかねない。

 しかし、狸がもし大金持ちであったら、少なくとも陰毛に関しては、いずれ永久脱毛したいものである。

          ◇          ◇

 極貧の中でこんな情けない目に会いながら、それでも今夜は、NHKのBSで『ヒューマニエンス』を観、久々に大層な興趣を覚えた。『“絶滅人類” ホモ・サピエンスを映す鏡』――今週は、そんなテーマであった。
 そう、この世界の歴史を巨視的にとらえれば、ホモ・サピエンスだの地球温暖化だの侵略戦争だのは、単なる必然的な現象でしかないのである。
 これからの狸は、滅亡寸前の口座残高とか、ちっとも快癒に向かわない●ンタマ袋とか、そうした必然的な現象ばかり気に病まず、より巨視的に生きて行こうと思う。
 生きて行けなくなったら、死ねばいいだけのことである。


06月21日 火  年収200万ないけどそこそこ暮らす

『年収200万で豊かに暮らす』とゆーよーな書物を出したら、ツイッターやら何やらでずいぶん叩かれてしまった――そんなニュースをネットで見た。
「そーゆー質素を美徳とする国民意識が、貧困大国日本の政治をダメにしているのだ」
「年収200万じゃサイゼリアにも行けないぞ」
 ――等々、まあ叩く人の気持ちも重々わかるのだが、なにせ狸は去年の所得が非課税レベルだったのだから、サイゼリアには当然行けない。外食は週に一度、マックか吉野家に行くのが精一杯だ。自炊のメインも納豆や豆腐や卵である。ただし、これ以上体を壊したくないので、野菜はなるべく多めに食う。よって食費の半分は野菜が占める。
 いや我ながらこの国の底辺層になっちまったよなあ、とは思うのだが、それでも世界的に見れば、ずいぶん楽に生きている。栄養失調にもなっていないし、まだまだ餓死もしそうにない。だから、日々餓死者の絶えないような国の女児のために、些少ながら寄付も続けている。天気が良ければ、交通費のかからない範囲で、思うさま徘徊もする。運良く仕事にありついて、交通費あっちもちで遠出できれば、帰りに見知らぬ街や田舎道を徘徊したりもできる。

 客観的に見れば、狸が豊かでないのは確かだ。今の日本の政治が、まともとも思わない。
 だから狸は痔民党には投票せず、主に協賛党を贔屓にしている。
 それでも、いつも痔民が勝つ。
 最底辺からもじゃぶじゃぶ税金吸い上げて、それでも足りなくて、じゃぶじゃぶ国債刷って、じゃぶじゃぶ日銀に金を刷らせて、てっぺんから順にじゃぶじゃぶ注ぎこみ、てっぺんから順に潤って、最底辺はほとんど潤わないのがわかっているのに、また最底辺からもじゃぶじゃぶ税金吸い上げて――そんな痔民が、いつも勝つ。

 実は今、日本こそ世界で一番豊かな国なのではないか。
 でなけりゃ痔民&肛明の天下が、ここまで続くはずがない。
 あるいは、みんな1ドル360円の時代に戻りたがっているのかもしれない。

          ◇          ◇

 ところで、こないだもここに貼った、ロックバンド『特撮』による『スウェードの愛のテーマ』、あのYOUTUBE動画だと、どうしても歌詞をうまく聴きとれない部分が多い。原盤を直接聞くと、ちゃんと聴きとれるのだが。
 どこかに歌詞があるのではないかとネットを探し回ってみたが、見当たらないようだ。
 お気に入りの歌なので、こっそり記しておこうと思う。
 ただし、漢字や改行やスペースなどは、歌詞カードと違うかもしれない。CDごと売り払ってしまったからである。
 あくまで記憶が頼りなのである。

     
しどけなく 愛よ コーナーを回れ
     ことのほか 走れ 見知らぬ夜の中

     夢ちがえ 夢を売ったって わずか
     ささやかな時を 買ったって わずか

     でも君と
     恋をするなら 自転車に乗って
     折りたためると なおさら便利
     恋をするなら 自転車に乗って
     盗まれるから カギかけろよ

     ああ 銀輪に 二人乗り
     スウェードの靴で こいでったらいいよ
     夜の中へ
     くるくると回ってさ
     さあ 愛の中へ

     恋をするなら ハンドルも変えて
     折りたためると ナイフと同じ
     ピカピカ光り 美しいけれど
     危険もあるさ 気をつけろよ

     恋をするなら 自転車に乗って
     折りたためると なおさら便利
     恋をするなら 自転車に乗って
     盗まれるから カギかけろよ


 なお、作詞は狸のご贔屓、オーケンさんです。


06月14日 火  浮気

 身近に親しい猫がいなくなって久しく、猫番組や猫動画でがまんしていたわけだが、NHKの『家族に乾杯』で、なんじゃやら熊の子のような犬種を知り、興味を引かれた。
 甲斐犬、という犬種であった。

     

 秋田犬は「あきたいぬ」、土佐犬は「とさいぬ」、そんな一般的な読み方に対して、甲斐犬は、あくまで「かいけん」なのである。
「うちの飼い犬はかいいぬです」などという、しょーもない駄洒落を真っ先に考えた狸は大いに落胆したが、まさに「飼い犬」と勘違いされたくなくて例外的に「かいけん」と呼ぶことになったと知り、さらに脱力した。

 赤ん坊の動画を見つけたら、やっぱり犬の子ではなく、熊の子にしか見えない。

     

 なかなか癖のある犬種らしいが、独特の野性味を備えた表情や、山岳向きの体形が、実に狸好みではある。

     



06月07日 火  この世界の片隅を全部合わせりゃ全世界

 ツイッターをハシゴしていたら、こんなロシアのバンドの存在を知った。

     

 どうやらシベリアの少数民族に由来する、こんなバンドらしい
 なるほど、確かにアイヌとも関係がありそうだ。

 ことほどさように、ロシアは広い。
 不健康にむくんだ生っ白い現大統領がなんぼアレだからと言って、国民がみんな不健康にむくんだ生っ白いアレばかりとは限らない。
 とはいえ「人類みな兄弟」などと、昭和の大政商のような、厚顔な言葉はとても吐けない。だいたい、兄弟で殺し合う人間も無数にいる。
 人類みな人類、それだけは確かである。

          ◇          ◇

 おお、年金機構から、非情な葉書が届いた。今年度の年金が、去年に輪を掛けてダダ下がり。
 まあ、昨年の全国平均の所得やら物価やらに合わせて決める仕組みらしいから、このところの物価の爆上がりはきれいさっぱり勘定に入っていないわけで、予想どおりと言えばそれまでなのだが――来年度は、ちゃんと上げてくれるのだろうか。
 物価はド〜ンと上がったけど、国民の所得はあいかわらず増えてないので、来年の年金や生活保護は、やっぱり下げます――なんてね。

          ◇          ◇

 打鍵中の怨霊物件、構想がどんどん変わってゆくので、脳内テーマ曲もどんどん変わってゆく。
 現在、こんな曲がエンディングで流れる予定である。

     

 ボーカル入りもあります。

     

 ちなみに小説のタイトルは、紆余曲折を経て、『天壌霊柩』に決定しました。



06月01日 水  不動の人

 まあ野党からは「この鬼」「財務省の犬」「資本家の犬」などと罵られ放題のキシダ君であるが、まあ実際は「お金持ちのオトモダチの詐欺師」くらいが妥当であろう。

 ともあれ国会での発言を聞く限り、相変わらず麗々しいキャッチコピーをブチ上げるのは得意だし、今年中には、さらに細かいキャッチコピーを打ち出すために大々的なコピーライターチームの結成を確約しているようだし、でもあいかわらず具体的な施策などはカケラも口にしてくれないし、引き続きどんな貧困層からも容赦なく年貢を取り立て続けると明言しているし、その分配はあいかわらず限られたオトモダチが最優先とも明言しているし、「まあそのうち最底辺の貧乏人もほんの少しはオコボレにありつけるかもしれないよ。いやきっとありつける日がくると信じて次の選挙も痔民党に投票しとけばいいんだ貧乏人は」と言わんばかりの自信に充ち満ちた大真面目な顔は、もはや偉大なるプーちんを思わせるほどドス黒い。
 あれは、やはり鬼でも犬でもない。もうすぐ便所コオロギまで退化しそうな詐欺師の顔なのである。

 しかしプーちんとは違い、とにかく全ての国政上の問題はテキトーなキャッチコピーでごまかしてひたすら様子見を続け、そのうちなるようになるのを待つ、という不動の信念があるから、他国に攻め込むような愚かな行為には絶対に走らない。敵基地攻撃能力だの核共有だのは、まあ党内極右の顔を立てて、大真面目な顔で麗々しく、しかしあくまで最低限の言及にとどめる。「いいじゃん、そんなのアメちゃんに任せとけば。そのためにアメちゃんの顔を立てて日米安保やってんじゃん」、そんな本音が顔に出ている。
 その点、ヤバイ君よりは、なんぼかマシであろう。まだ便所コオロギまでは堕ちていない。

 でも、消費税だけは、なんとかお目こぼししていただけまいか。なにせ物価といっしょに、自動的に爆上がりするんだこれが。すでに貧乏人を殺しにかかっているぞ。
 非課税の貧乏狸がデカいツラするんじゃない、などと言う魯鈍な人間もあろうが、ビンボであればあるほどマジにキツいのよ、消費税。
 公園のホームレスだって、消費税からは逃げられないのだ。

 ……あ、そうか。昭和レトロなオモライさんになればいいのか。放浪中の、裸の大将みたいな。
 ぼぼ僕はおなかがすいたのでオムスビをください。
 うん、これなら税金はゼロだ。

          ◇          ◇

 ところで、ちまちまと打ち続けている怨霊物件、すでに200枚に達しているのに、ちっとも話が進まない。猫耳物件ほどは延びるまいが、木馬物件くらいは続きそうだ。
 弾みをつけるため、そろそろ放流を始めたい気がするのだが、ご多分に漏れず、どこに放流していいかわからない。
 ラノベでも純文学でもなく、といって今様の中間小説でもない。狸のでんぐりがえりは正体不明である。

 十年前のあの板のような、オールOKの放流場所が今もあったらと、つくづく思う。
 いや、まだ存在はしてるんですけどね。誰も出入りしていないだけで。