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にゃ〜月にゃ〜にゃ〜日 にゅい曜日  ごろにゃ〜ご

 にゃあ、にゃにゃんのにゃん、にゃんころりんのごろにゃ〜ご。
 みゅう。み〜み〜み〜。にゃみゃんみゃにゃんにゃん。にゃんころりんのにゃ〜。
 ごろごろごろごろ……。

 ……このまま猫に化けていようかとも思ったが、元が狸なので、モフモフにも液状にもなりにくく、やはり狸姿に戻って腹鼓を打つ方が楽だ。

          ◇          ◇

 ともあれ、『猫の日』をキーワードにして、ケーブルテレビのボックスを自動録画状態にしておいたら、1日で24時間を超える録画が溜まっており、さすがに笑ってしまった。ふたつのチャンネルを同時録画できるボックスのこと、他のドキュメントや映画等の番組指定予約をしておかなかったら、猫だけで48時間は溜まっただろう。
 日本の猫ブームも、ここまで来ると善し悪しである。毎日実物の猫に触れられた頃とは違い、現在は映像を見ているだけなので、かえって欲求不満がつのる

 などと言いつつ、狸穴のパソでYOUTUBEを突っつくと、お勧めで表示される動画が、猫ばかりになりつつある。動物としてダメになってしまったライオンや虎や豹など、大型猫科動物の動画も多い。
 野生の環境では猛々しい大型猫科動物も、生まれつき人に飼われて飢えを知らずに育つと、ただの巨大な猫になってしまう成獣が少なくないようだ。百獣の王ライオンは人に撫でられてゴロゴロと喉を鳴らし、精悍なピューマがにゃあにゃあ鳴きながらおやつをねだる。マジに猫と同じ声で鳴くのである。
 それを狸は『ダメになってしまった大型猫科動物』と呼んで楽しんでいるわけだが、無論、ただの冗談として、そう呼んでいる。
 空腹でもないのに人間に襲いかかる人間の多さを思えば、よほど真っ当な動物であり、実はダメでもなんでもない。


02月16日 木  ぐだぐだ

 今週は二度ばかり夜勤仕事にありついたが、それだけで老狸の体は半死半生。さほどの力仕事でもないのに電池切れ寸前である。
 冬の朝日に目を細めながら帰穴し、風呂に入って「あーうー」などと唸っているうちはまだいいのだが、カーテンを閉めてお天道様をシャットアウトして寝る時には、二度と目覚められる気がしない。それでも夜には目覚めるのだが、自律神経がとっちらかったままなのか、体はグダグダである。
 とはいえ、預金残高も食料の備蓄もそろそろ心細いから、次の仕事の口がかかれば、受けないわけにはいかない。
 昨日は年金が入ったが、半月待ってもらっていた家賃を納め、止められる寸前の電気代やガス代や下水道代やスマホ使用料を支払うと、その日の内に激減してしまう。
 かくして日本の最底辺高齢者は、順調に、孤独死めざして歩み続けるのである。

          ◇          ◇

 などと言いつつ、グダグダと炬燵で過ごす時間は多いわけだから、NHK−BS入魂の社会派ミステリー『ガラパゴス』や、ケーブルで録画しておいたジョニー・デップの『MINAMATA』など、印象に残った映像作品は多々ある。

『ガラパゴス』は、スポンサーのいないNHKでしか制作不可能な力作で、エンタメとしての過剰な煽りは散見するものの、派遣労働現場の悲惨さをテーマにした社会派刑事ドラマとして、なにか『砂の器』にも似た、重層的感動を味わえた。
 ちなみに狸が派遣労働を始めた十数年前は、時給750円で8時間働いて1日数千円、でも派遣会社は一人頭2万で受けている、などという現場がザラであった。同じ現場に、同じ地域の他の派遣会社から入った労働者は時給700円、そんな差もあった。
 しかし、狸が契約していたB社と、時給が安いC社は、実は同じA社の子会社なのである。つまり、派遣先の企業が50人の募集を依頼したとすれば、B社は20人の枠を引き受ける。すると、そこで外れた失業者は、「アブれるよりはマシ」と、安いC社の口利きで、同じ現場に30人が入る。すなわちA社が元締めの、ボッタクリの増幅構造なのである。場所によっては、さらに時給の安いD社があったりもする。
 今は、時給はけっこうマシになったが、基本的構造に変わりはない
 かくして日本の最底辺労働者は、順調に、最底辺を歩み続けるのである。

『MINAMATA』は、「この映画は実際の出来事に基づいています」と謳う洋画にありがちな、もののみごとに史実を改変した内容であった。
 それでも主演のジョニー・デップは、もののみごとにシリアスな演技をこなしており、昔、ブレイク前からジョニデに注目していた狸としては、なかなか嬉しい映画であった。
 しかし、水俣病に関する実際の経緯や、写真家ユージン・スミスの実人生を知らない観客が、この映画の内容を本気にしてしまうと、エラいことになる。
 とりあえず、冒頭の謳い文句を、「この映画の20パーセント程度は実際の出来事に基づいています」くらいに修正するべきだろう。

          ◇          ◇

 打鍵中の怨霊物件、歳末の更新を最後に、一度も追加更新できずにいる。
 それまでの部分を一本に再構成するうち、手直しするべき部分が増えてしまったためでもあるが、新たに打ち進めた続きのストーリーも、なかなか「あとは次回のお楽しみ」と言える場面まで進まない。
 分量だけならけっこう増えているのだが、作劇上の区切りがつくまでは、まだしばらくかかりそうである。


02月08日 水  雑想

 トルコの大地震映像を見ていると、あまりに完全圧壊してしまうビルの多さに慄然とする。
 阪神淡路の惨状や、東日本の津波映像も、思い出すと未だにゾワゾワしてしまうが、トルコの都会は、ゾワゾワどころではない。なにしろ、箱形に重ねた積み木のように、一瞬に崩れ落ちてしまうのである。
 あのあたりも、ずいぶん大地震の多い土地だと聞くが、あれらの中層ビルは、鉄筋を使っていないのだろうか。民家は煉瓦を積み上げるだけとも聞くが、まさか中層ビルまで……。

 NATOの中では唯一ロシアを擁護してくれる国なのだから、ロシアもウクライナ侵攻なんぞ中断して、国軍でもワグネルでも、片っ端からトルコに救援に向かわせれば良かろうに。
 まあ、自衛隊とは違って、救援活動は苦手な兵士ばかりかもしれないが。

          ◇          ◇

 EテレのETV特集で、『命の砦 〜集中治療室 密着40日の記録〜』を観た。
 新型コロナがらみのエクモに関わる部分が多いが、他にも、出産時に出血が止まらなくなった若い女性など、一般の救急搬送から集中治療に移った方々と、現場の医師たちの苛烈な日々が、なんとも生々しく描かれていた。
 これほど膨大な情報と膨大な情動と深い情緒が、渾然一体となったドキュメンタリーは久しぶりだ。十年に一度の名作と言ってよい。

 民放にも、優れたドキュメント番組はある。特に地方局の単発など、入魂の力作が少なくない。
 ただ、民放ゆえの宿命がある。やくたいもないCMの大量挿入は避けられないし、スポンサーが絡んだ問題は扱えない。
 その点でも、EテレとBS1には佳作が多い。
 狸がNHKを擁護する由縁である。

          ◇          ◇

 記者たちの前で、つい「ゲイのカップルなんて気持ち悪くて見るのもいやだ」などと本音を漏らして更迭されてしまった荒井秘書官、オフレコのはずの席だったらしいから気の毒と言えば気の毒だが、まあ痔民仲間としては当然の認識であり、キャリアを棒に振るまでには至らないだろう。
 そもそも狸穴のある選挙区では、公約でLGBT擁護を明言すると絶対に当選できないという原則がある。荒井氏が御近所に引っ越してきて市会議員や国会議員に立候補すれば、当選できる可能性が高い。
 ともあれ、故・三遊亭円生師匠が、たびたび噺の枕で使っていた『大学出の与太郎』という皮肉――マスメディアに顔を出す一流大学出身のインテリ層の、世間知らずで人心に疎い発言を、おちょくるのに使っていた言葉ですね――に、実にドンピシャの人物ではある。

 しかし、それが荒井氏の本心かどうか、狸には一抹の疑念がある。なにせ上司のキシダ君が「同性婚なんぞ認めたら日本社会が変わってしまう」などと、国会で明言するような人物だ。秘書は上司におもねるしかない。
 実は荒井氏自身、年の割にはスリムで様子のいい上司に秘かに思いを寄せており、それを気取られないため、あえて対外的には、そんな虚勢を張っているとも考えられる。
 それを言ってしまえば、上司のキシダ君だって、実はアソウ君や2F君の醜怪で歪んだ笑顔に被虐的な恋心を募らせている可能性が、けしてゼロではない。

 狸は、社会人生活の第一歩を新宿サブナードで歩み出したため、早くから二丁目のお得意さんたちにも親しんできた。
 和装バッチリの熟女マダムから美形のホステスさんまで、今でも懐かしく、彼らの笑顔を思い出せる。
 当時、いわゆる性転換手術は普及していなかったらしく、二丁目の女性の股間には、多く、狸と同様のキ●タマやサ●がぶら下がっていた。中には、それをネタに若い狸をからかってくる、豪快なマダムなどもいた。
 その方は、今なら買取大吉のCMに出てきそうな和服姿で、いつも風呂敷包みを小粋に携え、その中からカメラやフィルムを出してきた。
 ときには古美術品の皿を取り出し、「これ、ウン十万したのよ。あんたも欲しい?」「無理です。僕の給料の半年分なんで」などと、笑いあったりもした。

 霞ヶ関の痔民党本部の地下に秘密の部屋があり、キシダ君と荒井氏、もしくはアソウ君と2F君が「ウッフン」「ああソコだめ」などと吐息しながら絡み合っている姿を想像すると、そうなったらこの国も、なんぼかマシな社会になりそうな気がする。
 ロシアのプーちんや中華のプーさんも、国連本部の地下にある秘密の部屋で、バイデンさんと「ウッフン」「ああソコだめ」「お願いアタシにも」、そんなトリプル・プレイを楽しめばいいのである。
 ……いや、駄目だな。
 うっかり三角関係になって、マジに核ミサイルが飛び交ったりしたら、世界が終わってしまう。


02月01日 水  じっと手を見る


    
働けど働けど猶わが生活(暮らし)楽にならざりぢっと手を見る 〜石川啄木〜

 などと言う割には、気の乗らない仕事はほとんどやらなかった啄木の愚痴なので、あまり本気にしてはいけない。
 狸が見る限り、周囲の非正規労働者の若者たちは、その八割が真面目にせっせと働いており、それなりに遊んでもいる。ただ、将来の希望などは、残念ながら抱きようがない。貯金や投資に回す余剰金が、まったくないからである。
 だったら貧乏人はまったく遊ばないでせっせと働いて、せっせと派遣会社にピンハネさせ続けなさい――それが特殊詐欺の元締め、痔民の総意である。あれらはルフィ君(今度フィリピンから帰ってくる、海賊ではない方のルフィ君ですね)の仲間たちなのである。
 嘘だと思ったら、今度帰ってくるルフィ君や、痔民の爺さんたちの手を、じっと見てみればよろしい。どっちもツヤツヤしてますから。
 ただし、女性の手と比べてはいけない。女性差別ではありません。今時はビンボな若い女性でも、マツキヨでニベアクリームくらいは買えます。ニベアが無理でも、ダイソーのアロエクリームなら買えます。
 ちなみに、年老いた狸の手がヒビわれて血が滲んだりしているのは、単に暖房のない現場を好んでいるだけなので、ただの自業自得です。
 まあ、近頃はなかなか仕事が見つからないので、ちょっとは同情してやっても、損にはならないと思いますが。

          ◇          ◇

 巷では、回転寿司屋で幼稚園児のような悪戯をする若い衆が、増殖しているようだ。
 特定されてしまった彼らの顔写真を見ると、実にシヤワセそうにツヤツヤしている。
 十中八九、手指もツヤツヤしているはずである。
 ためしに一度、頭骨をくりぬいて、脳味噌を視認したら面白かろう。
 きっと脳味噌も、シヤワセそうにツヤツヤとフヤけているはずだ。

 ロシアのプーちんの脳味噌も、彼らと並べて比較してみたい。
 戦況の厳しい近頃、必ずしもシヤワセではないのかも知れないが、どのみちツヤツヤとフヤけているはずだ。

          ◇          ◇

 ともあれ、狸自身の手のヒビや出血を見ていると、中島みゆき姐御の歌を聴きたくなる。
 御当人の歌声ではないが、とても心に浸みるカバーがあったので、貼っておこうと思う。