[戻る]


03月30日 土  初恋のロリに似ている

 最近のディズニーシーのCMで、真っ先に、空に飛び立つ女児がいるでしょう。
 ラストまで三人の中のトップを飛んでいる、細っこくて、ちょっと中性的な女児。
 その子が、狸が小学校時代、片思いしていた他のクラスの女児に、かなり似ているのである。

 もし壮年期の狸なら、さっそく芸名を調べ、末長く成長過程をチェックしながら、その後の人生を見守り続けるはずなんだが――。
 もはや、芸名を検索する気力がない。
 それほど狸は、実在のロリに対して、枯れてしまったのである。
 追い続ける気力があるのは、もう脳内キャラのみなのである。

 思えば、年老いる前、青年期や壮年期に見守り始めたいわゆるチャイドルたちは、その後、様々な人生をたどった。
 きゃりーぱみゅぱみゅのように華やかに開花したロリ、一時期は着エロにシフトしかけたものの無事に劇団四季で主演を張るまで成長してくれたロリ、子役から順調にキャリアを重ね、中年になっても堅実に女優業に勤しむロリ――。
 一方、てんちむのようにアヤシゲなキャリアを重ね、今では整形しすぎて別人のような色物になってしまったロリもいれば、海外に渡って無修正のアダルト女優に転進したロリもいる。悲しいことだが、裏ビデオに流れたのち、自死してしまった痛ましいロリもいる。

 無論、本人の生まれながらの資質もあろうが、狸の知るかぎり、やはり、子供時代にどんな家庭でどんな保護者に育てられたか、それが彼女らの成長の根幹にあると、狸は思う。
 この世のすべての、実在のロリを育む立場の方々に、どうか大切に慈しんでやってくださいと、サミしく、しかし切実に祈り続けるしかない、孤独死候補の老狸である。

          ◇          ◇

 猫耳物件の、分割短縮版の推敲が終わった。元版よりも、原稿用紙換算で二百枚ばかり削ったことになる。
 それでも千枚近くあるので、最後まで追いかけてくださるごく少数の読者の方々には、感謝の念に堪えない。

 さて、とりあえず、怨霊物件を打ち進めるのに集中しようと思うが――これまた先が長いのよなあ。
 ここまでのぶんでも、紙の本なら二巻分はある。それでも、ストーリーは半分も進んでいない。
 どーすんだ、これ。

 ……などと言いつつ、当人が楽しいんだから、別にいいやな。


03月23日 土  ロシアから来たシロイルカ

 モスクワの無差別テロのニュースで、うわあ、と仰天した。
 犠牲となった多数の一般市民の方々には、心より黙祷を捧げつつ――。
 まさに他国と交戦中の国の首都が、そこまで気の抜けた警戒態勢だったのも驚きである。
 おまけにプーちん君に至っては、拘束した四人の実行犯がウクライナに逃げようとしていたとか、いきなり言い出すし。

 冗談抜きで、プーちん君は一度、精密検査を受けるべきである。
 まあ、仮に老人性痴呆の兆候が見られたとしても、発表前に暗殺されてしまうので、口にできる医師は一人もいるまいが。

          ◇          ◇

 NHKスペシャルで、『ひとりぼっちのスパイ・イルカ』を見た。
 どうやらロシアで軍事用に飼育されていた白イルカらしく、ノルウエー領海にまぎれこんだ時は、サンクトペテルブルク製のハーネスを着用し、ハーネスには、カメラ固定用らしい器具が付属していたそうである。ロシア側で白イルカを調教しているらしい施設も、衛星写真で確認されている。ただの偵察用であることを、祈るばかりである。
 ともあれ、人間に慣れ切った白イルカ君は、悲しいほどに愛くるしいのであった。

 もっとも、知能の高いイルカを索敵目的で軍事利用しようとする動きは、冷戦時のアメリカあたりにもあった。
 それを元ネタにした、マイク・ニコルズ監督の映画『イルカの日』(1973)を高校時代に観て、涙した記憶がある。
 映画の方は、他国との戦争に駆り出されるのではなく、イルカに人の言葉を理解させる研究を行っていた海洋動物学者が、愛するイルカたちを大統領暗殺に利用しようとする組織と戦う羽目になり、暗殺はなんとか阻止するのだが、このまま人間と関わるのはイルカたちにとって不幸でしかないと悟り、海に帰してやることになる。

 そのラストシーンは、今でも忘れられない。
 イルカたちはすでに人の言葉を幼児程度に理解しており、動物学者とその妻を、「パー」や「マー」と呼べるまでになっている。
 そのイルカたちに、動物学者は、心を鬼にして、新しい言葉を教え込む。
 ――「人間は、悪い」

「人間は、悪い」、そう繰り返し教え込むのである。
 だから、もう人間に近づいてはいけない――。

 大昔の記憶なので、内容の細部は定かではないが、そのラストで、愛するパパに「人間は、悪い」と明言されてしまい、おそらくはパパの大いなる悲しみも汲み取りつつ、寂しそうに去ってゆくイルカたちの姿は、今でも忘れられない。
 あまつさえ、そこで、こんな音楽が流れる。

    

 ああ、思い出しただけで、涙がほろほろと……
 
 
 

03月16日 土  雑想

 昨夜、ここを更新しようとしていた時、OSの反応が激重になった。
 ああ、いつものアレか、と苦々しく思いながら打鍵し続けていたら、画面全体が、真っ白になった。
 おお、ここまでやるのは珍しいな、と、お手上げ状態で待つこと数分、ホワイトアウトした場面は徐々に元に戻り始めたが、完全には元に戻らず、例によって下のバーに、OSアップデートの再起動を促すアイコンが登場した。

 アップデートの準備だけで、これだけの状態に陥る。
 再起動には、当然、また延々と時間がかかる。

 そしてアップデート完了後、これまで使えていた一太郎のIMEが、まともに反応しなくなった。やむを得ず慣れないマイクロソフトIMEに切り替えたが、今一、反応が鈍い。
 あまつさえ、これまでなんの不都合もなく基本的設定を維持していたバーティカル・エディタが、起動するたびに、一部を設定しなおさなければいけなくなった。

 いよいよ、狸穴の古パソに、限界が近づいているようだ。

          ◇          ◇

 千葉沖の揺れが落ち着いたと思ったら、今度は福島の震源で、狸穴界隈が千葉沖震源と同じくらい揺れる。
 あの大震災と比べれば、軽く揺れる程度の体感で、震源に近い地域や、能登の正月を思えば気にするのも申し訳ないが、小心な狸には、やはり精神的にコタえる。

 でも、落ち着け、落ち着け――。

 明治時代のモースの手記から、昭和のイアン・フレミングの旅行記まで、東京滞在中には「また揺れた」「またまた揺れた」と感心しているほどなのである。
 揺れているのがデフォルトのこの国では、揺れながら生きるしかないのである。

 ……でも、生きている限りは、やっぱり圧死したくないのよなあ。

          ◇          ◇

 AIチャットを詐欺に活用する輩が出現したというニュースに接して、なんの疑問も抱かなかった。
 当然である。
 誰だって、少しでもラクに贅沢したい。

 そのうちAI自体、働いているフリをして実は隠れて遊び惚けたり、他のAIにセクハラを仕掛けたり、し始めるに違いない。
 どのみち、人類が蓄積した膨大なデータを元に、動いているんだものね。

 前にも記した気がするが、そのうち、膝を抱えて一晩中うなだれているAIが出てきたら、いっしょにうなだれてやりたいと思う。

          ◇          ◇

 久方ぶりに更新した怨霊物件、あまりに久方ぶりすぎて、旧知の方々が覗いてくれたら御の字と思っていたのだが、更新前から通読してくれていた新規の方々も、ぼちぼち、戻ってきているようだ。
 ありがたいことである。とにかく、狸が生きている限りは途中放棄しないらしいと、納得してくれたのだろう。
 なお、ちょこちょこと推敲漏れに気づいて、後日こっそり修正したりしているのだが、修正前に読んで下さった旧知の方々には、謹んでお詫び申し上げます。

 ひっきりなしに更新している猫耳物件は、さすがに旧知の方々以外のPVが壊滅したようだが、希望的観測抜きで、すでに別の場所で完結した傍若無人バージョンを、覗いてくださっている方がいるようだ。この三か月ほどで、あっちのアクセス数が、200以上増えている。
 あっちは、同じ方が突っついても、短時間の再訪以外はそのたびにアクセス数が計上されてしまうのだが、たとえお一方やお二方でも、終わりまでちまちま突っついてださる新しい方がいるなら、ありがたい事この上ない。
 カクヨムの方の、そこそこ良識的な(?)バージョンも、なんとかラストまで続けようと思う。


03月09日 土  生きる

 昭和時代から活躍していた著名人の訃報には、だいぶ慣れていたとはいえ、狸より若い方の訃報に接すると、やはりコタえる
 とはいえ無名の狸としては、死ぬまで細々と生きているしかない。

          ◇          ◇

 あの東日本大震災が起きた日付が近づき、NHKスペシャルでは、原発事故に絡んだ漁師さんたちの13年に渡る悲喜交々を、ETV特集では、内陸部の人々の悲喜交々を、じっくり捉えた秀作が放送された。
 どちらも襟を正して鑑賞しつつ、しみじみ思うのは、やはり、色々あっても人間っていいな、ということである。

 その一方で、NHKのBSスペシャルでは、『ソビエトハイウェイ』というシリーズが始まり、旧ソビエトから独立した周辺諸国の、悲喜交々を描いている。
 ロシア帝国やソビエト共産党によるかつての支配を、未だに心血レベルで憎悪している人々も多いが、逆に、今でも懐かしんで現ロシア軍の駐留を歓迎する少数派も存在する。
 襟を正して鑑賞しつつ、しみじみ思うのは、やはり、人間ってしょーもないもんだな、ということである。

 それが人間の多様性なのである。
 狸本人としては、人間に化けているだけの小動物なので、人間って面白いなと感心しながら、死ぬまで細々と生きているしかない。

          ◇          ◇

 猫耳物件も怨霊物件も、PVがめっきり減ってきた。
 そりゃあ、無名の老狸が、紙の本なら重くて持ち歩きたくないような分量のテキストを延々と垂れ流しているのだから、当然の経緯なのである。
 でもまあ、垂れ流しているだけなら重くて困る心配もないので、とりあえず垂れ流し続けようと思う。

 などと言いつつ、ふと、猫耳物件が別タイトルですでに完結している某所のアクセス数を覗いてみたら、妙に増量していた。
 話の続きが気になって、そっちに流れてくれている新規の読者が、少しは存在するのかもしれない。


03月01日 金  揺れる狸、不動の人々

 震源は千葉県南部、という臨時ニュースがNHKラジオにしばしば流れ、狸穴界隈も時折揺れを感じるのだが、能登の方々の辛苦を思えば、申し訳ない程度の揺れである。
 それでも小心な狸は、何度も続くと東日本震災の頃を思い出し、つい心臓がバクバクと高鳴ったりもする。

 そんな時には、衆院政治倫理審査会の中継を思い出すのが一番だ。
 まるでキシダ君が憑依したかのように一致団結して、すべてをうやむやにして時の流れに身を任せる偉物たちの、不動の姿が目の当たりにできる。
 あの、一見コンニャクのようにのらりくらりとしながら、しかし根本的には「うやむやにしてりゃ、そのうちなんとかなる」と微動だにしない立ち姿には、たとえこの国が海に沈もうとも「そうそう、そのうちなんとかなる」と安らかに溺死してゆく覚悟が、確かに感じられる。

          ◇          ◇

 ところで、谷口先生のツイートで気づいたのだが、この狸穴にリンクさせていた掲示板が、ついにブロックを食らったようだ。
 昔、この狸穴がヤフー上にあった頃、狸自身がこっそり昭和合法物件を紹介したりして、いっとき強制的に閉鎖されたことがあった。
 あれから数年、ネット界隈はどんどん清潔化を追求しているわりに、現実世界は、どんどん混濁を増してゆくばかりである。
 いや、ネット界隈も、精神的にはどんどん混濁している気がする。

 まあ、タブーを増やすほどプッツンする奴が増えるのは世の常、別に不思議でもなんでもない。
 その点でも、すべてをうやむやにして時の流れに身を任せる日本の偉物たちの、タブーなんぞ気にもかけないおおらかさは、大いに見習うべきだろう。
 ……狸は気が小さいので、見習えんけどな。