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08月25日 日  ぼうダベぼ

 NHK特集の『熱波襲来』で知ったのだが、黒潮の流れが、昔とはがらりと変わっているらしいのである。
 昔は南から日本列島の東側に沿って北上し、房総半島あたりでぐるりと東の太平洋に蛇行し、東北地方まで届くのはあくまで一部だったのだが、これが現在は、東北地方まで堂々と北上してから東に曲がり、そのあたりの海水温度を大いに上げているらしい。で、その黒潮自体の水温も、地球温暖化で上がりまくっているらしい。

 わははははははは。
 早い話、北海道を除く日本列島全体が、南から東にかけて、最新型の高性能加湿暖房装置を設置されてしまったのである。
 永遠にこのまんまというわけではなさそうだが、すぐに元に戻るわけでもなさそうだ。

 なるほど、それじゃ今年の狂暑もヤケクソ豪雨も理の当然だよなあ、と納得しつつ………どのみち狸は、ぼうダベぼ。

          ◇          ◇

 マクドナルドのAIによるCMが大不評というニュースを見、あまり民放を視聴しない狸もネットで探して見たのだが、なるほど、有名なクリエイターさんに依頼したと言う割には、YOUTUBEやあちこちの広告で見かけるAI生成のリアル系お嬢様がたと、ほとんど絵柄がいっしょなのであった。のみならず、それらの絵柄のお嬢様がたは、いわゆるアダルト系でもすでに活躍しているのである。
 つまり、実在のモデルさんやタレントさんとの違和感が一般視聴者に反感を買っただけでなく、アダルト業界のお嬢様がたを一般のCMに起用してしまったような、粗忽っぷりなのである。
 まあ、それは画一的な『萌え絵』と同じパターンの流れに過ぎないが、AI生成のイラストや動画は妙に生々しいぶん、なお問題が大きかろう。
 ともあれ、すでにパンドラの箱は開かれてしまったのだから、あとはなるようにしかならないのである。


08月18日 日  もうダメぽ

 正確には『もうダメぽ』といった生易しい状態ではすでになく、『ぼうダベぼ』な状態である。この場合正確には『う』にも濁点がつくので、片仮名の『ヴ』とは全く異質の濁りであり、『う』と『ぐ』と『ぬ』が三つ巴になったような、ねばねばずぶどろの『う』なのである。
 つまり筋肉も脳味噌もフカシ抜きで軽く湯がかれてしまっているので、朝晩の歯磨きの途中など、ふと、どこから磨き始めて今ここを磨いているのか失念してしまい、始めから全部磨きなおしたりしなければならない。

 今朝は、カクヨムに転載中の野薔薇物件の本日更新分が、一回前とまったく同じ内容なのに気づき、我ながら愕然とした。旧作を自分のパソコン上で推敲しながら小分けにしているのだが、前回と全く同じ部分をコピペしまい、その事を自覚できないほど脳味噌に火が通ってしまっているのである。
 ……ぼうダベぼ。
 この場合『う』にも濁点がつくので、片仮名の『ヴ』とは全く異質の濁りであり、『う』と『ぐ』と『ぬ』が三つ巴になったような、ねばねばずぶどろの『う』なのである。
 これこのように、なんぼでも同じコピペを繰り返してしまう。

          ◇          ◇

 などと言いつつ、夜にはなんとか脳味噌が体温に近づいてきたので、録画が溜まっていたNHK地上波やBSやEテレの敗戦記念日スペシャルをチェックした。
 とにかく本数が多いので、以前に観たのと同じネタだったら視聴を省略しようと思っていたのだが、そこはそれNHKの偏執的にして愛すべき左巻き根性、ネタが同じでも毎年毎年新しい視点を突っ込んでくるし、新発見の素材も織り込んでくるので目が離せない。

 その後、ようやくロハのケーブルで録画できた『エスター ファースト・キル』(2022)を、わくわくと再生する。
 元祖は2009年にジャウム・コレット=セラ監督が撮った、スリラー映画ファンにとっては伝説的な佳作で、その後セラ監督はリーアム・ニーソンと組んで『アンノウン』や『フライト・ゲーム』といった堂々たるアクション・スリラー大作を成功させ、ハリウッドの看板監督に大成した。
 さて、今回の『エスター ファースト・キル』は、元祖の前日譚で、監督はB級C級ホラー&スリラー専門のベテラン、ウィリアム・ブレント・ベル。
 以前にも1000万ドル程度の低予算ホラーで1億ドルを稼ぎ出した実績があり、劇場公開で赤字を出す事はあってもソフト化や配信で充分元はとれたので、今回の話題作に抜擢されたのだろう。と言っても、今回の予算もハリウッド映画としては、C級からB級に格上げされた程度らしい。
 しかしこの監督、狸の大好きな『ザ・ボーイ 人形少年の館』(2016)を、さらなる低予算で撮った方である。しかし続編の『ザ・ボーイ 残虐人形遊戯』(2019)では、見事に脱力級のスカを引かせてくれた監督でもある。
 そんな、誰にとってもバクチと言うべき、今回の『エスター ファースト・キル』――。

 ――いやあ、上出来でした。
 元祖『エスター』ほど謎めいた深みはないものの、そもそもエスターが少女ではなく低身長症のサイコ成人である事は、元祖の終盤でとっくに観客にはバレているのだから、サスペンスの方向性を全く変えるしかない。
 今回のエスターは、最初は別人の低身長症サイコ成人リーナ、しかも狂暴な詐欺&殺人犯として東欧の精神病院に収容されている。それが、のっけから職員を殺しまくって脱走、ネットで調べた過去のアメリカの行方不明児童エスターになりすまし、家族の待つアメリカに無事逃亡する。さて、エスター、いやリーナは、いかにして赤の他人の家族の目を欺ききるのか、ハラハラドキドキのサスペンス展開――。
 と、思いきや――途中でいきなりとんでもねードンデンが生じ、サイコ対サイコの決戦に突入してしまうのですね。しかも敵のサイコは、天然サイコ(?)のリーナよりもさらに始末の悪い、根性のねじ曲がった上流サイコ。
 いやあ、狸としては「がんばれエスター、いやリーナ! さあ殺せ! そっちも殺せ!」と、合法ロリの勝利を祈るばかりでした。まあ、エスターの勝利はわかりきってるんですけどね、前作を観てますから。

 ともあれ『ファースト・キル』というサブタイトルは、明らかに詐欺であった。なんぼでも殺しまくる。なんなら登場以前にも、かなり殺しているっぽい。


08月10日 土  ちょっとつぶやく

 白地の青い鳩が闇夜のXに化けて久しいのだけれど、自分では一度もつぶやかず、数少ない知己のつぶやきを盗み聞きしているだけの狸なので、やっぱり、この閉ざされた狸穴でしか怖くてつぶやけない。

          ◇          ◇

 長崎市長はあいかわらず「決して政治的な理由でイスラエルの大使に招待状を発出しないのではなく、あくまでも平穏かつ厳粛な雰囲気の下で式典を円滑に実施したいという思いで今回の決定をした」などと言い張っているようだが、そもそも「平穏かつ厳粛な雰囲気の下で円滑に実施しなければならない平和祈念式典(それも核兵器がらみの)」などというシロモノが、今の世界に対してどんな意味があると言うのか!!
 ……などと、一介の狸が公の場で絶叫したとしても、それこそ今の世界に対してはなんの意味もないわけだが、まあ、どうせ市長さんはどこぞの県警のおエラいさん同様、とにかく平穏無事に任期を務めあげたいだけなのだろうし、市議会議員の方々も似たようなものだろう。地元だけ無難に式典やってりゃ満足、それが本音なのではないか。そうした狭い了見であればこそ、まさかここまで国際的な大問題になろうとは、ヒトカケラも想像できていなかったに違いない。

 ぶっちゃけ、世界で唯一、敵国に原爆を投下した過去のある米国、それほど状況が悪化するまで、過去にあちこち戦火を広げまくった日本、そしてそれ以降も世界中で戦火を絶やすまいと望むように連綿と殺し合いまくっているあっちこっちの国々、それらを全部かき集めなければ、世界的な平和祈念式典なんぞ成立しないのである。
 たとえ全世界の平和が実現しなくとも、現在ドンパチの起きていないちっぽけな島国に寄り集まって、祈念するだけなら可能である。
 それすらクレームやデモやテロ行為で妨害する輩がいたら、その輩こそ真の平和の敵であるに相違なく、それが自称平和団体であろうと過激派組織であろうと、今すぐ心臓を抑えて「う!」とか呻いて、全員そのまま逝ってヨシ。

          ◇          ◇

 しかし、あっちこっちでこう揺れが続くと、狸もおちおち風呂に浸かっていられない。
 根が小心なので、風呂から上がれないまま狸穴が倒壊し、狸姿を露呈したまま死ぬのが恐ろしい。
 日本列島内に生息する限り、どこの風呂も倒壊する恐れはある。
 絶対に倒壊しない風呂がほしい。
 風呂付きトイレ付きの核シェルターなら完璧だ。
 キシダ君あたりなら所有しているに違いないから、キシダ君に化ける修業をせねば、などと、いじましい思いに耽る、先刻の風呂の狸なのであった。

          ◇          ◇

 ちょっとつぶやくどころか、風呂で蘇生した脳味噌から、どんどん無駄話が滲出してくる。
 『科捜研の女 シーズン24』の視聴率が、以前ほど高くないそうだ。
 まあ24年も続いていれば飽きられた可能性はあるし、今回の新キャラは人によって好悪が別れそうだし、オリンピックとカブった時間帯もあろう。
 そもそも、世帯視聴率だの個人視聴率だのの数字って、どう計っているのだろう。昔ながらのリアルタイム集計なのだろうか。
 狸の場合、ほぼ全話、録画したものを視聴している。楽しみにしていればこそ、何日かたってから、じっくり腰を据えて観賞したりもする。
 今時は、そうしたタイムシフト視聴者や、後日ネットで観る視聴者のほうが多そうな気もするのだが、そこいらは視聴率に加味されているのだろうか。


08月08日 木  昔の狸で死んでます

 日々、まあなんとか生き続けながら、思うことは多々ある。

 ほぼ死んだ状態で夜勤から帰って、風呂の中で蘇生を試みていると、ラジオから原爆特番らしい広島出身の世界的な指揮者の話が流れ始め、そのお母さんが女学生の頃に被爆した話を大竹しのぶさんが朗読し始め、いきなり感極まって嗚咽のち号泣、精神は昂ったものの、肉体的には溺死しそうになった。

 NHK特集で、広島が被爆した直後、その界隈で唯一倒壊を免れた赤十字病院に半死半生の被爆者たちが押し寄せ、自ら被爆した医師や看護婦さんたちも懸命に対応し、しかしあまりの状況に自死する医師なども現れて、その医師が生前「人間はこれでいいのか」「人生とはなんなのですか」と仲間に洩らしていたとか、そんなナレーションを聞いたとたんに嗚咽号泣して、晩飯が食えなくなったりもした。

 別に、自分が感受性豊かな狸だとアピールしたいわけではない。
 逆なのである。
 体も感情も、今夏の狂暑の中で、マジに茹だってしまっているのだ。体は生存限界に近いし、感情的にも明らかに箍が外れている。
 7月分の電気料金請求書が届いたときなどは、思わず爆弾テロで痔民党本部を木っ端微塵に吹き飛ばしてやりたくなった。

 しかし、死なない限りは、狸らしく穏健に生きねばならない。
 そして死ぬときは、ちゃんと真人間に化けたまま、「人間はそれほど悪くないんじゃないの?」「ただ生まれて死んでくだけで、それなりの人生なんじゃないの?」と、胸中でつぶやきながら死にたい。
 いや、ウン十年前なら、同じことを全人類に対して絶叫しながら死にたいと思っていたはずだ。

 その頃に愛聴していた筋少の歌を、一曲。

     


08月01日 木  暑中ヤケクソ申し上げます

 こんな暑苦しい時期に限って、二日続けて仕事が入ったりする。
 それも午後の日盛りをメインに、五時間ぽっきりの短時間仕事なのである。ありがたいのか迷惑なのか、自分でもわからない。いや、もちろん僅かでも日銭が稼げれば、ありがたいんですけどね。
 もしかしたら常連の若い衆が、悪条件に音を上げて、逃げたのかもしれない。あるいはぶっ倒れたとか。

 ともあれ今年の狂暑だと、例年より発汗レベルが尋常ではなく、それこそ全身ぐっしょり濡れそぼり、乾いているのは靴下と靴の中だけ、そんな有様になる。
 そのままでは帰りの電車に乗れないので、下着からチノパンまで、全部着替えねばならない。
 だから車中では狸の毛皮も乾いているのだが、それまでの大量発汗で消耗し、人間に化けているのを忘れそうになる。
 満員電車の中で四つん這いの狸姿を露呈したら、確実に鉄砲で撃たれる。
 しかし、こう猛暑が続くと、鍋で狸汁を煮るのは、人間の皆様も辛かろう。
 幸い狸は、日中の暑さで、肉も臓物も軽く火が通っている。
 であるから狸汁ではなく、薄切りにして軽くシャブシャブして、冷たい味噌ダレあたりで召しあがるのがよろしかろう。

 キンキンに冷えた生ビールと、冷や奴と枝豆があれば、もっといい。食べられる狸もシヤワセに違いない。

          ◇          ◇

 例の『天壌霊柩』にちっとも区切りがつかず、十年近く前の夏、狂暑しのぎにしたためた『野薔薇姫』を、カクヨムに放流することにした。
 あの暑苦しい文体を、ほとんどそのまま放流する予定である。
 誰が読むんだ、この時期にあんな暑苦しい文体、とも思うが、まあ盛夏の我慢大会のようなノリで書き上げた作品だから、まさに季節ものなのである。

 しかし、サザエさんや三丁目の夕日では定番だった昭和名物、真夏の着膨れ我慢大会――。
 今やったら、参加者の半数は、生きて帰れないだろうなあ。お年寄りが多かったし。