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11月29日 金 雑想 |
オーストラリアで、16歳未満のSNS禁止が法令化されたそうだが、妥当な策であろう。
いい大人でさえ、SNSのスカポンタンな情報に溺れてスカポンタン化しがちなのに、子供などひとたまりもない。
無論、使いようによっては、立派なコミュニケーションツールとして機能するのも確かなのだが、経営側はあくまで金のためにやっているから、スカポンタン大歓迎である。フェイク情報や詐欺的甘言や差別的発言や誹謗中傷は、とにかくSNS全体の賑やかしになる。穏健なコミュニケーションより、遥かに金を産む。
オーストラリア政府の決断には、SNS参加者の年齢確認など徹底困難な要素も多かろうが、大いに頑張ってほしいものである。
◇ ◇
Eテレの『芸能きわみ堂』が、近来稀なる好企画を実現してくれた。
なんと、文楽とアルゼンチンタンゴのコラボである。
観るまでは半信半疑だった狸だが、正直、ぶっ飛んだ。
通常の文楽よりも、人形に魂が宿る時間が圧倒的に多い。
造形的には変わるはずのない人形の顔の喜怒哀楽が、生けるがごとく変化するのは、一般の文楽でも時々は観られる。
ところがアルゼンチンタンゴに乗った文楽人形だと、実にしばしば、それはもう見る見るうちに表情が変わる。
人形を操る吉田一輔さんの実力もあろうが、小松亮太さんのバンドネオンがなければ、あそこまで魂は入らない。
いやあ、すごいものを観させてもらった。
今回のコラボ企画は、MCを務める高橋英樹さんの発案だそうだ。
さすが、現代劇から時代劇までなんでもござれのベテラン演技者らしい着眼である。
こうした番組を観るにつけ、狸は日本国民として、やっぱりNHKを失いたくない。
どこの民放も配信会社も、古典芸能など二の次だし、ましてこんな企画は絶対に通してくれない。
あの『日本国民をNHKから守る党』の党首をニュース等で見るたび、狸は『日本国民をNHKから守る党から日本国民を守る党』を結成したくなる。
あの党首の顔は、怒った顔も笑った顔も、まんべんなく卑しい。
派手な愚行はあくまで表看板で、実はなかなかの知恵者とも察するが、根が卑しい知恵ほど、傍迷惑なものはないのである。
11月22日 金 生死一如 |
確かキルケゴールの言葉だったと思うが、もう半世紀も昔、高校時代に読んだ書物の記憶なので、もしかしたら違っているかもしれない。
誰も、泣きながらでなくては、この世に入って来ない。
誰も、出て行ったきり、帰ってこない。
誰も、入って来たいのかとも、出て行きたいのかとも、問われない。
思春期盛りの狸には、たいそう厭世的な言葉に思われたが、今にして思えば、しごく客観的な、この世の実相である。
でもまあ、出て行った者を悼めるのも、生きていればこそ、とゆーことで――。
◇ ◇
……で、いきなり現実べったりの、俗な話題になる。
カクヨムでだらだらちまちまと更新し続けている伝奇物件、すでに毎回数件のPVしかない状態なのであるが、小分けにした中の特定の部分だけ異様にPVが増える件は、以前にもここで触れた。
その理由を、狸は今回の更新の末尾で確信した。
使いようによっては問題になりそうな性的キーワードを文中に用いると、てきめんにPVが増える。
以前、使いようによっては問題になりそうな差別的俗語を用いて、そこだけPVが増えたことがあった。
前回の更新の末尾で「泡に落ちる女」と記した回も異様にPVが増えたが、同じ回に巷で話題のタイムリーな洋酒名も記しており、どちらのせいなのか確信できなかった。
しかし今回、昭和のセックス入門書の大御所として一世を風靡した奈良林祥氏とか、戦前の希少なセックス入門書として伝説化しているヴァン・デ・ベルデの『完全なる結婚』とか、アレ方向の著者名や書物名を具体的に記した回だけ、前例に輪をかけてPVが集中している。
あれは、やっぱり検閲係の方々とか、ネット警察っぽい方々が、全年齢対象の場でウロンな狸がけしからぬ情報を流しているのではないかと、チェックして下さっているに違いない。
でも、御心配は無用です。
狸も人間に化けている以上、人の道は踏み外しません。
障碍者の方々やトランスジェンダーの方々が登場するEテレのトーク番組なども好んで視聴しておりますし、今回の作中で引用した著者名や書物名も、作中人物が「同衾する女性に対しては一にも二にも滅私奉公、それが正しい男の嗜みだ」と言っているように、男尊女卑の甚だしかった過去には珍しい、パートナー本位のスグレモノです。
ちなみに風俗で働く女性の方々に対しても、狸には「ありがとうという感謝の心」しかありません。まあ、現在はもう懐も精力も枯れ果ててしまって、最後にお世話になったのがいつだったかさえ、忘れてしまいましたけど。
……あれ? 待てよ。
同じ回で、星新一先生の『おーい、出てこい』も取り上げてたな。そちらのほうが、検索に引っ掛かったのかな。
うーむ、また解らなくなってきた。
ともあれ、人倫にもとる悪漢輩なんぞは、R−18レベルで死んだほうがマシな状態に陥れるか、無惨にツブしてやる予定ですけどね。
あ、いや、小心者の狸ゆえ、あくまで創作物の中の話です。
11月15日 金 トンデモ増殖中 |
どうも我が国にも、トランプ方式で票を集めたり、失地回復をはかるお偉いさんが増えているようで、例の元兵庫県知事さんなどもトンデモな主張を始めたし、もともとトンデモ大好きな議員さんを、与野党ともに員数合わせのため後生大事に飼い続けていたりする。
そんな社会であればこそ、いきおい医学界や医療関係団体の有力者までが、妙な反ワクチン理論に取り憑かれてしまったりもする。
まあ、昭和の昔から、しょっちゅうUFOに乗っていると本気で主張する大学教授なんぞもいたわけだが、あくまで少数派だったので、色物扱いで済んでいた。
しかし現在のように、多数のトンデモ論者に祀り上げられてエラブツ扱いになってしまうと、「それも立派な多様性」と看過するわけには、さすがにいかなくなる。
何が何でも自分が正しいと主張するスカポンタンは、社会的に、狡猾な詐欺師と変わらないからである。
先日、大手書店の店頭に、大量の反ワクチン系のトンデモ本が平積みになっていたので、ざっと目を通してみた。
正直、医学にはド素人の狸でも、その筆者が信じたい数字や信じたい論文だけを元に、信じたい結論を主張しているだけだと解った。自分の主張に齟齬が生じそうになると、いきなり道徳の教科書のような人情話や説教に移行して、読者をケムにまいたり、自分に酔ったりもする。
売れるからと言って、そんな本を店頭に山積みにしてはいけない。オカルト本のコーナーに、二三冊並べて置くくらいでいい。
ちなみに狸は、大のオカルト愛好者なのだが、あくまで趣味として嗜んでいるのである。
真面目な僧侶や神職者が、祟りに悩んでいる人をお祓いをするのも、セラピーの一種だと心得ている。当然、相応のセラピー料を請求してもかまわない。
しかし、その僧侶や神職者が、安物のパワーストーンをウン万円で売りさばいたり、量産の壺や金メッキの多宝塔をウン十万ウン百万で商い始めたら、100パーセントの詐欺師、あるいはトンデモなスカポンタンと断じるしかない。
まあ、高価な物ほど有難がるのも人の常、金が余っている方なら、勝手に払うのを止めはしない。
でも、スカポンタンな候補者に投票するのは、人の世の劣化に繋がるので、どうか思いとどまっていただきたい。
◇ ◇
そんなこんなで気分がふさいだ時、狸は、あの映画『HACHI 約束の犬』を観直すことにしている。
初めて観た時も、優しい御主人が死去したあたりから、なお駅で待つハチの姿に目頭が熱くなったのだが、何度か観るうちに、最初の出会いのシーンからすでに目頭が熱くなり、帰らない御主人を駅で待つハチの姿には滝のような涙を禁じえず、ラストの雪の夜、やっと帰ってきた御主人に夢の中で飛びつきながら息を引き取るシーンなどは、見るたびに嗚咽、いや号泣の度合が高まってゆく。
こうしてこの駄文を打っている今も、実はほろほろと泣いていたりする。
そうして泣いた後、気分が沈静化したら、ケーブルのファミリー劇場で録りためた、オカルトエンタメ大学の講義とか、同じ製作会社による『緊急検証!』シリーズとか、呪物収集家の田中さんがホストを勤める『学級怪』とか『怪水浴』とか『樹怪談』とか、いわゆる田中組四人による怪談会まじりのユルユルしたお遊戯シリーズを再見し、心をほぐす。
一度でも観た方なら、『緊急検証!』などというタイトルからは想像しがたい、とんでもねーユルさ和やかさを御存知だろう。
、そして、あの四人のベテラン怪談師がユルユルと興じる旅先での戯れ事と、それぞれの個性的なリアクション、さらに怪談会に入ったとたんにガラリと変わって本来の巧みな話芸を披露する姿などは、狸のようなユルめのオカルト愛好者を、心底くつろがせてくれる。
なお、そのシリーズはYOUTUBEでも何作か無料配信されているので、どなたでもロハでユルユルできます。
たとえば、こんなの。
11月08日 金 時事狸談 |
あちらの次期大統領は、やっぱりトランプさんに決まったようだ。
狸にとっては意外でもなんでもなく、そもそもハリスさんの出馬決定が遅すぎた。
さらに、あちら製のドキュメンタリー番組を見れば見るほど、あちらの国の大部分は保守的な田舎なのであって、大都会のエリート記者がマスコミに流す下馬評など、あてにならないのが明らかである。おそらく選挙前の両者の支持率拮抗自体が、都会のエリート層によるフィルターで多分に偏っていたのだろう。
田舎の保守性を侮ってはいけない。田舎らしい人情の厚さとかとは別勘定で、「女の大統領はちょっとなあ」などと、有色人種までが投票を躊躇する。
田舎ほど保守的なのは世の常、日本のような狭い国土でも、未だに男尊女卑がデフォルトの土地が、多く残存していたりする。
狸の故郷のように、女性県知事が長く活躍できた田舎など、めったにない。
その点では、狸の故郷も東京都なみにナウい土地柄である――と言いたいところだが、まあ、単に、何かと頭がユルいだけかもしれない。
しかし頭は、ユルいくらいでちょうどいい。
でないと「なにがなんでも多様性が一番! 多様性を認めない奴なんぞ絶対に認めん!」とか言い出すスカポンタンが、増えるばかりである。
ともあれ、これ以降、関税強化とか移民対策強化とか、トランプ流のアメリカファースト路線は避けられまいが、選挙戦中に吹きまくっていた「俺なら世界中のあちこちの戦火をたちどころに鎮めてみせる!」は、くれぐれもアメリカファースト、いやトランプファーストに徹してほしくないものである。
親イスラエルの親ロシアで押しまくられては、たまったものではない。
11月01日 金 天と地と |
今年は本当に秋が少ない。
天高き秋の空の下、思うさま徘徊できたのは、ほんの三回程度か。
狸的には、六月から十月までがずっと夏であり、その中で、半月ほどが夏と冬の混在日、純粋に秋を感じたのが一週間、そんな感覚だ。
正直、体調はガタガタであり、白寿を過ぎた老狸のごとくヨタヨタと蠢いている。
◇ ◇
衆院選、狸が投票した候補者は、例によって爆沈した。
まあ、今のこのキナ臭い世界で、断じて戦争反対とか、あくまで外交で平和を保つべしとか、断じて憲法九条を守り抜くとか、そんなことばかり言っていたのでは、昔からのシンパが寿命でこの世を去るぶん、議席も減ってゆくのはやむをえないのだが、日本人の大勢がどうであろうと狸には関係ないので、たぶん死ぬまであの党に投票し続けるのだろう。
痔民と肛明は、予想以上に苦戦して過半数を割ってしまったが、あれは明らかに、例の痔民の二千万円問題がトドメを刺したのである。あれがなかったら、かろうじて過半数には達しただろう。煽りをくらった肛明は気の毒といえば気の毒だが、まあ、あそこも昔からのシンパが寿命でこの世を去るぶん、議席が減ってゆくのはやむをえない。
それにしても、痔民の看板である意思破さんや、未だに肛明の看板っぽい前代表が、選挙戦終盤で野党の悪口をヒステリックに叫びまくったのは、いかに痔肛政権が国民の感情から乖離しているか、改めて露呈してしまった。
対立候補を口汚くののしるのは、あっちのトランプさんだけで充分だ。口喧嘩がデフォルトのあっちの国だからこそ、嘘でもなんでもいいから敵を口汚く罵りまくれるスカポンタンが勝ったりするのであって、日本人の国民性とは真逆なのである。
野党だって痔民の悪口で大躍進したではないか、と反論する向きもあろうが、痔民が金に汚いのは単なる事実だから、悪口ではない。
その証拠に、例の二千万円をほぼ独断で非公認候補者にも配りまくった張本人が、なんのお咎めもなく居座っている。意思破さんよりも金持ちだからである。その金が、党内のコネにも直結している。
◇ ◇
ともあれ、狸はヨレヨレである。
このまま狸穴の奥で、丸くなって餓死を待つのが楽だろう、とも思う。
とはいえ因果なことに、狸はやっぱりBUCK−TICKより、筋少が好きな野良狸なのである。
たとえヨレヨレでも、動ける限りは、地べたで探食し続けるしかない。
……いや、別に誰かに噛みつきたいわけじゃ、ないんですけどね。