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03月24日 月  齢なのさ

 昨日の未明、尿意を覚えてトイレに立とうと半身を起こしたところ、腰に激痛が走った。
 そのままでは立ち上がれないほど痛かったのだが、立ち上がらないと、蒲団の上で排尿しなければならない。いかに狸であっても、人に化けている以上、それだけは避けたい。
 いででで、などと呻きながら四つん這いでトイレに向かい、四つん這いで進む間にも腰に激痛が走り、ようやく蒲団に戻ったものの、横臥しても腹這いになっても体を曲げてみても、痛みに耐えかねて起きだし椅子に座ってみても、痛みが治まらない。

 結句、昼になっても痛みが去らず、いでででででで、などと呻きながら、何年か前に脚の肉離れでお世話になった、駅近くの整体屋さんに向かった。本来なら形成外科あたりを受診したかったのだが、日曜はどこも閉っている。
 幸い、腰痛などというものは整体屋さんにとって最も経験豊かな分野らしく、肉離れのときもやってもらったような鎮痛外用薬を用いてのマッサージで、たちどころに痛みが引いた。
 どうやら、軽い椎間板ヘルニアあるいはギックリ腰らしく、要するに、腰の使いすぎである。
 言われてみれば、去年の師走、そして今月と、ロジの作業で日銭を貯めこむ日々が続いていた。
 けして新婚間もない旦那さんのような、ハッピーな腰の使い方をしていたわけではない。

 このまんま痛みが軽減するようなら様子見でいいし、再発を繰り返すようなら専門医を受診するように――。
 そんな御託宣をたまわったが、まあ専門医にしたところで、緊急手術を要するような重態でもない限り、たいがい様子見らしいことは、周囲の噂で知っている。今日日の日雇い現場には、70歳を越える人々も少なくないのである。
 とりあえず日常生活には支障が出ないあんばいになったので、マツキヨで鎮痛クリームとロキソニンを調達し、なんとか帰穴した。
 おかげさまで今日は熟睡できたし、日銭稼ぎのほうも、そろそろアブレがちな時期なので、しばらくは自主アブレを決めこもうと思う。

          ◇          ◇

 マイナンバーカードの更新のため、先週、街角の証明写真ボックスを利用した。
 そろそろ更新が必要ですよ、と役場から届いた通知には、なんじゃやら例の四角いバーコードみたいなものが印刷されており、ボックスのスキャナーで、そのまま手続きが済む。支払いも同じスキャナーで、キャッシュレス決済が使える。

 いやあ、便利な世の中になりましたなあ、と感心しつつ、肝心の証明写真を検めると、我ながら愕然とするような加齢顔である。
 更新前のカードでは、かろうじて「まだ中年です! ホントです!」と強弁できそうな顔だったのに、今となっては「どう見てもジジイじゃないか! ウソつきは泥棒の始まりだぞ!」と説教されてしまいそうな顔である。
 当然、腰も、顔同様に衰えているのだろう。
 しかし貧乏人は、顔や腰がどうであろうと死ぬまで働かねばならないのが、現在のこの国のキマリである。

 でもまあ、永田町あたりで、「いででででででででで」と呻きながら蠢いている狸を見かけたら、お握りくらいは恵んでくださいね、痔民のお偉い方々。
 ポケットマネーから、ポンと十万円の商品券を恵んでくれるのも、大吉と思われます。


03月16日 日  投票日

 冷たい雨の中を、嬉々として県知事選挙に出かけた。
 初夏と真冬の波状攻撃、さらに稼ぎ時の連日労働で老体がヨレヨレになっても、投票だけは欠かせない。
 それも期日前投票は極力避けて、当日出かけるのが大吉である。
 なんとなれば、子供も孫もない狸にとって、堂々と小学校に潜入できる機会は、選挙の投票日に限られる。

 日曜日だから、当然、生徒の姿は見られない。若い女性もめったにいない。下手すりゃ御町内の老人くらいしか、受付にいない時も多い。
 ただ、投票会場は、ほぼ例外なく図書室が使用される。
 その図書室とて、書架の大部分は、模造紙みたような無粋な大判の紙で覆われてしまうのだが、さすがに室内の全周をくまなく覆うのは面倒なのか、上部や下部は、書架の児童書がそのまま覗いている。
 それだけで、小学校の頃から図書室に入り浸っていた狸は、懐旧の喜びを感じる。
 そして何より、小学校の図書室の児童書には、日々、多くの現役女子小学生が触れているはずである。

 小学校時代の狸は、無論、その点を意識していなかった。
 まあ、憧れの少女がどの本を借りたか知っていたら、こっそり頬ずりくらいはしたかもしれないが、残念ながら他の組の女子だったので、彼女が借りた本は特定できなかった。
 しかし現在の狸は、全ての女子小学生を愛でている。
 早い話、女子小学生でさえあれば、もはやなんでもいいのである。
 ……我ながらあぶねーよなあ、まったくよう。

 であるから、女子の好みそうな愛らしい装丁の児童書を、投票後、出口までの間に認めたりすると、こっそり持ち帰って頬ずりしたい思いに捕らわれる。
 無論、実行はしません。
 それがさすがに窃盗行為であるくらいは、人ならぬ狸の身でも理解できる。
 ぶっちゃけ、それ以上に、自分が小学校時代、そうした愛らしい装丁の児童書をも盛んに慈しんでいたことを、思い出してしまうからである。

 現代の男子児童の中にだって、そうした奴がいないとも限らない。
 そんな奴がいじりまくった書籍には、触りたくもない。
 まして頬ずりなんぞしてしまったら、顔が腐る。
 ……数十年前の自分に関しては、とりあえず一切合切、こっちに置いといて。

          ◇          ◇

 で、肝腎の県知事選挙、狸が投票した候補者は、当然ながら落選した。
 狸穴界隈で、左側通行の候補者が当選できたためしはない。

 選挙結果が判明した後、久しぶりに高畑勲監督の遺作『かぐや姫の物語』を観た。
 狸は、その美しい作品を、こう捉えている。

 老左翼が最期に残した、現世への遺言状。


03月09日 日  くたびれたぬき

 人が足りない時に限って仕事に呼ばれる立場の狸なので、何曜日でも短時間の仕事でも文句は言えないのだが、熟睡中に呼び出されると、さすがにコタえる。
 といって、年金でまかなえるのは家賃と光熱費止まりなので、「はい、行きます」と即答しするしかない。でないと飢えるし、オベベも買えない。
 などと言いつつ、明日からはコンスタントに稼げそうなあんばいである。ただし、入園入学シーズンが過ぎた後は、例によってどうなるか判らない。

 サービス業もOKの若い衆は、すっかりアブレの心配から脱したようだが、狸はもうダメです。作り笑顔を保つには、ヒネクレすぎました。
 若い時分、あくまで中小企業ながら、年間トップセールスマン賞などとゆー栄誉に輝いた日々が、今となっては夢幻のようです。
 まあ、自分の好きな物ばかり商っていたからなんですけどね。その商売物も、今は中古品しか出回ってないし。

          ◇          ◇

 天を衝くほど巨大な金メッキされたウンコは、相変わらず世界中で活躍していらっしゃる。
 米の国のトランプさんも、すっかり天を衝くほど巨大な金メッキされたウンコの仲間入りを果たし、頑張っていらっしゃるようだ。
 共和党大会で喝采を送っているウンコの主さんたちを見ても、皆さん、ほんとにいいオベベを着こんで、白い顔が血色を帯びてツヤツヤしている。

 しかし大統領選の時は、けっこう日々のオベベにも困るような、青い顔や黄色い顔や黒い顔の方々も声援を送っていたようだが、あの方々も、次々と公約を実現してくれるウンコの山を、せっせと金メッキし続けているのだろうか。

 ま、知らんけど。

          ◇          ◇

 ……いかんいかん。我ながら、どんどん性根が腐ってゆく。

 気分一新のため、明日は豪勢に、スキヤキでも驕ろう。
 ダイエーの一人鍋なら、夜は処分特価で400円を割るはずだ。
 生玉子も、豪勢にふたつ割ってな。

 ……でもねえ、お隣の奥様。
 お米も卵もお野菜も、いーかげんにしろコノヤローぶっコロすぞテメエなイキオイで、ちっともお安くなりませんわねえ。
 そろそろ町内会で一致団結し、革命に走ったほうが、よろしいのじゃございませんの?
 それとも町会長さんのお庭を借りて、戦闘機や戦車を大増産して、ガンガン輸出するとか。
 北欧あたりの福祉国家さんだって、ちゃんと武器の輸出でお稼ぎになって、シヤワセになっていらっしゃるんですもの。
 ねえ、お隣の奥様?


03月02日 日  天変人異

 狸穴界隈の、本日の午後3時の気温が20度、明日の午後3時の予報が3度。
 わははははははは。
 これは笑える。2月中旬以降、繰り返し押し寄せる寒波が回を増すごとに厳寒化し、三月に入ってトドメを刺しにきた。
 まあ、三寒四温という言葉自体は、確かにその通りなのだけれど。

          ◇          ◇

 しかし米の国のトランプさん、ここまで使えない人だとは思わなかった。
 国際社会では、これまでの他国に対する非常識な放言を『ディール』などと持ち上げていたが、要はDV男のスケコマシと同じレベルなのではないか。
 まず派手にぶんなぐり、相手が恐怖におののいて対抗心を失ったところで、なんぼか優しい言葉をかける。
 それでも自分に屈服しない場合は、屈服するまで、それを繰り返す。
 最後まで屈服しなければ諦めるしかないのだが、DV男は元々脳味噌が腐っているので、思わず首をしめたり、刺したりもする。

 視点を変えて、昭和のガキ大将に例えてみたい。
 たとえば、逆らう奴を片っ端からぶん殴って、すなおに従う奴だけを配下に収めるタイプのガキ大将。
 このタイプのガキ大将は、自分より強い奴が現れれば、それまでである。配下は当然、強い方になびく。といって当人は、自分がナンバー2に落ちるのは自尊心が許さないから、一匹狼、つまり孤高のボッチじみた立場を気どるしかなくなる。しかし周囲の人間には、「……バーカ」くらいにしか思われない。
 弱い仲間も幼い子供もうまく取り込んでこそ、まっとうなガキ大将なのである。そうできる奴は、老いても町内会長として重んじられたりする。
 あくまで昔の話、ニュースでいちいち株価なんぞ報じなかった時代の話ですけどね。

          ◇          ◇

 ことほどさように、なにかと気持ちの沈みがちな昨今ではあるが、YOUTUBEで猫動画ばかり観ていたら、なんともコタえられない動画が、お勧めに出てきた。

     

 狸は元来、CGアニメの猫は好まず、生物としての猫を愛でる質である。
 しかし、明らかにAI生成動画のこの子猫には、メロメロに熔解してしまい、同じチャンネルの動画に片っ端から惑溺している。

 いわゆる生成AIは、力いっぱい実務に寄るか、力いっぱい夢想の具現化を極めるのが、吉と思われる。
 フェイクニュースやフェイクポルノなんぞ、骨を宙に放り投げる太古の猿と同レベルである。

          ◇          ◇

 カクヨムの怨霊物件、ようやく次章が更新できそうな按配に組み上がったのだが、前回更新から四ヶ月も経過している。
 果たして何人の読者様が残っていらっしゃるか。
 などと言いつつ、その続きもあっちこっち打ち散らかしているので、どのみちいつかは、また更新するんですけどね。
 今回はまとめてどーんと更新せず、最終チェックしながら小分けに更新してみようか、などとも思う。

 ところで、前回更新分のラスト回、あいかわらず1日1PVずつ増えている。
 その前回の時は、続きを更新したとたんにラストだけのPV増加もピタリと止まったのだが、今回も止まってくれるといいなあ。
 なにせ、もはや6名様しか読んでくれていないはずなのに、そこだけがPV120に近づいているのである。