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06月24日 火  続・心頭滅却すれば火もまた涼し

 もはや今年の日本の早すぎる酷暑にも、世界中のアレコレにも、狸の脳味噌が対応を拒否しているので、また安易に生成AIに頼ってみた。

     

 今回の入力は、ズバリ「鍋物にされた狸」である。
 ぐつぐつ煮られている感じが不足しているが、まあ、楽しそうなので良しとしよう。

 ところで、今気づいたのだが、前回の溶岩狸、妙に指が多いですね。
 狸は六本指、そう学習してしまった生成AIの仕事なのだろう。
 まあ、狸自身、手が四本あって指も倍あったら探食活動が楽だろうと常々思っているので、その願望が反映されたのかもしれない。

          ◇          ◇

 ところで、狸穴のある集合住宅は、以前にも記したが、昭和の大阪万博と同じ年に建築された、あまりにも由緒正しい物件である。
 てっきり、このまま朽ち果ててゆくのかと思っていたら、なんじゃやら前のオーナーがどこぞの不動産会社に売却してしまったとかで、その会社ではまだまだ稼げると踏んだらしく、外壁や配管や、あちこちの手すりを改修しはじめた。
 まあ、確かにJRと京成と地下鉄が交わる駅チカ物件なので、見かけさえ装えば、まだまだ入居者は絶えないだろう。

 しかし――こないだの夜勤の後、昼間に熟睡していたら、狸穴の階のベランダの手すりを、いきなりギュインギュインと切断撤去しはじめた。
 まあ、昼間に寝る日も多い狸のこと、アイマスクや、しっかりした耳栓は常備している。
 で、その日もなんとか眠り続けていたのだが――。

 夕方目覚め、工事も終わっていることだし、ベランダに面するガラス戸を開いて風を入れようとしたところ――。
 ぬぬぬわんと、サッシの全面が、半透明のビニールでびっしり封印されている。
 ビニールの外側には、部屋の内側に向けて、「現在ベランダの手すりが存在しないので出入り禁止」などと、張り紙がある。

 この蒸し暑い毎日、夜間に一番風の通る窓を、数日間も封印されてしまったのである。
 風だけなら、横の小窓で、しのげない事もない。
 ただ、この時期に欠かせない毎日のプチ洗濯、その洗濯物を干せるのは、後にも先にもベランダだけなのである。

 冬場なら週一のコインランドリーでしのげる。
 しかしこの時期、汗で濡れそぼった衣類を一周間放置したら、文字通り発酵してしまう。
 もっと有体に表現すれば、腐ってしまうのである。

 と、ゆーわけで、現在、狭苦しい狸穴のあちこちにビニール紐を張り、とりあえず部屋干しにしているのだが――。
 今年の狸は、酷暑で死ぬ前に、毛皮一面がカビて死ぬかもしれない。



06月17日 火  心頭滅却すれば火もまた涼し

 んなわきゃねーだろう、などと、早くも悶絶しそうな酷暑の中で己にツッコミつつ、生まれて初めて、AI生成画像に頼ってみた。

     

 うん、このリアルさなら、まさに「心頭滅却すれば火もまた涼し」の境地、誰にもフェイクとは見破られまい。
 皆さん、この狸の悟りきった実態を、世界中にガンガン拡散してください。

          ◇          ◇

 ……などと言いつつ、ほんとは「溶岩の中で黒焦げになっている狸」と入力した結果、出力された画像なんですけどね。
 他にも「砂漠でミイラになった狸」とか「七輪で炙られている狸の干物」とか色々試してみたのだが、どうやっても肝腎の狸は、健康で可愛い狸しか出力してくれない。
 それだけ狸ラブなAIなのでしょう、うん。



06月11日 水  

 ぬるま湯をみっしりと含んだ海綿のような大気の中、死なないために生きるしかない季節が今年も巡ってまいりましたが、皆様方におかれましては、いかがお過ごしのことでございましょうや否や!!

          ◇          ◇

 ……で、米の話である。
 すでに金メッキの剥げた天を衝くほど巨大なナニが国中を巨大なオムツの内部と化しつつある米の国の話ではなく、狸が毎日食う、米の話である。
 もとより高価なブランド米を購う余裕の狸は、こないだ近所のメガドンキが仕入れてくれた、カリフォルニア米を現在の主食にしている。
 幸い、カリフォルニア州がオムツの中身と化す前に収穫された米らしく、とくに異臭はない。普通に炊いても充分うまいし、おまけに価格は、噂に聞くだけで未だに狸穴周辺では見かけない随意契約の備蓄米ほど安価ではないが、国産のブレンド米よりは遥かに安い。

 思えば、かなり昔、冷夏による凶作時に出回ったタイ米だって、他人が言うほど違和感はなかった。
 狸の舌は、幸いにして畜生舌である。
 小学校の低学年時代、給食で供された脱脂粉乳だって、多くの同級生が鼻をつまんで飲んでいる中、狸や畜生舌仲間だけは、うまいうまいと飲んでいた。
 給食を残すのが絶対に許されず、全部飲食するまで教室に幽閉されていた時代、他人の分まで飲んでしまう狸ら畜生舌仲間は、ずいぶん重宝されたものである。

 閑話休題。

 いずれ古古古古米まで放出されたら、さすがに狸穴界隈にも出回るのだろうが、狸はカリフォルニア米で充分である。
 台湾も米の輸出に積極的だそうだし、なにも国産の古古古古米なんぞ食っている義理はない。
 国民民主党の方が「一年後には家畜の餌」と言って大炎上していたようだが、狸が常々その党を「あれ? あそこ、もうカルトなんじゃね?」とか警戒している事実などはちょっとこっちに置いといて、少なくともあの発言は間違っていない。普通なら古古古古米は、翌年には家畜の餌になる。
 そんなものを国民相手に叩き売って、それすら未だに流通していない地域も多い現状で、胸を張る痔民の連中の方がどうかしている。
 そもそも全ての備蓄米は、古古米も古古古米も古古古古米も、元々国民の税金が化けた米だ。

 ちなみに、カルトっぽい党派は何も国民民主党に限らず、以前にも述べたような気がするが、現在は与党も野党も、ウンコ票欲しさに大なり小なりカルトを飼っている。狸が支持する野党さえも、残念ながら「言論の自由」を盾に、カルトを飼っている。
 狸個狸としては、言論の自由や多様性の容認は何より尊重するべきと心得つつ、無知や悪意による虚偽情報で他人を貶め歴史を歪める言動は、自由や多様性の範疇外、恥ずべき外道と心得ている。

          ◇          ◇

 などと愚痴っぽい話が続いたところで、明るい話題も。

 NHKの『ザ・バックヤード』で、『川崎市動物愛護センター アニマモールかわさき』の活動を知り、大いに心が和んだ。
 保護された生まれたばかりの子猫たちなんぞ、身も世もあらず悶絶してしまうほど愛らしく、狸も探食活動の必要がなかったら、ミルクボランティアに志願したいくらいである。

 もとより全ての猫は、人間より尊重されてしかるべき存在だし、犬も人間と同等の存在なのだ。

          ◇          ◇

『ザ・バックヤード』のちょっと前に録画した、『クローズアップ現代』の『密着・東京“赤ちゃんポスト” 〜母子への支援どうすれば〜』も、興味深く視聴した。

 人間の赤ん坊も、馬鹿な大人なんぞより、よほど尊重されてしかるべき存在である。
 しかし――。
 狸の本性として、何より女児とその母親を、格別に尊重したいのも確かである。

 無論、男児と父親もまた、犬や狸と同程度には尊重されてしかるべき存在なのだろう。
 ただし、孕ませっぱなしで知らん顔の男なんぞは、夜中にこっそり拉致して、食肉工場に叩き込んで、ミンチにしてもさしつかえない。
 米不足の足しにはなるまいが、税込み108円のハンバーグや肉団子くらいには加工できる。



06月03日 火  老人性涙腺決壊

 昨夜録画した『映像の世紀 バタフライエフェクト』の、『シリーズ 核の80年 (2) 〜 ヒロシマ 世界を動かした2人の少女 〜』を観ているうちに、嗚咽が止まらなくなって往生した。

 まったくNHKは困ったものである。
 NHKは、なんとしても狸の涙腺を決壊させ、脱水症状で死に追いやるつもりか。
 いつぞや、ひめゆり部隊の生き残りの少女を扱ったドキュメンタリーを観てしまい、つくづく往生したのを思い出す。
 戦場からなんとか生還し、懸命に人生を全うする女児の陰には、数知れぬ無辜の女児の死が潜んでいるのだ。

 もし、今回の番組を昨夜観ていたら、狸は冗談抜きで死んだかもしれない。
 今日はアブレ日で、しかも涼しかったが、昨日は真夏なみに暑く、湿度も大変高く、ハンドフォークを握ってウスラボケっとパレット待ちしているだけでも発汗が止まらず、ほとんど脱水状態で帰穴したのである。

 無論、今どきの労働現場は、熱中症対策を徹底している。冷水器は使い放題だし、塩飴も嘗め放題である。
 しかし、現在の狸の肉体は、それらを速やかに吸収できないほど、代謝が衰えてしまっている。

 今年の夏も、どうやら酷暑になりそうだ。
 暑中、また女児が非業の死を迎えたりしそうなドキュメンタリーを録画したら、入念に体調を整えてから再生せねばなるまい。

          ◇          ◇

 それにつけても――。

 いつぞや、確かETV特集で知った、故・大江健三郎先生が講演で何度も引用したという、デンマークの文法学者(確かクリストフ・ニーロップという方だったか)の言葉が、近頃、耳に蘇ってならない。

 ――(戦争に)抗議しない人間は共謀者である――