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| 12月11日 木 実はそれほどヤバくないような、でもやっぱりヤバいような |
月曜は近所の眼科医院で『眼底出血』と聞いてかなりビビったが、本日、大学病院で判明した病名は『網膜静脈閉塞症』であった。
つまり、網膜上の微細な静脈の一部が詰まって血流が滞り、赤い糸状に固まっていたわけである。
現状の微細さだと、これ以上無暗に固まりまくるわけではなく、代謝によって患部が自然治癒する可能性も高いそうだが――。
問題は、いつになったら自然治癒するか、である。
余分な水分による網膜のむくみが解消しない限り、狸の右目の視界は、部分的に歪んだままなのである。
つまり、間が悪いと狸は長期間、貞子の犠牲者の顔を見続けねばならぬ。
幸い、現代医学は加速度的に進化しているから、眼球内に注射して回復を促す薬品もあるそうだが――。
驚くなかれ、注射一回で、ぬわんと五万円。三割負担でも五万円ですよ。
◇ ◇
しかし、背に腹は代えられぬ、とゆーわけで、クリスマスイブに初回の予約がとれた。
その日、まず改めて精密検査し、自然治癒に向かっていれば、とりあえず様子見。
自然治癒の気配がなければ、自分へのプレゼントとして、まず五万円を投入。
ただし、それ一回で回復する保証はなく、前例では、月に一度の注射を複数回重ねる患者も少なくないらしい。
わははははははは。
高額医療費って、ひと月なんぼでしか計算してくれんのよなあ。
十何年前のヘルニアは、同じ月のうちに手術と二週間入院をこなしたから、後日、ほとんど戻ってきたのである。
……でもまあ、今は年金が入るだけ、良しとしよう。
この国の国民保険が、まだ破綻していないだけ、良しとしよう。
今回、狸を担当してくれたのが、なかなかフメる女医さんであったことも、良しとするにやぶさかではない。
そういえば十何年前、マクワウリなみに巨大化した狸のキ●タ●を最初に診てくれたのも、まだ若い女医さんであった。
| 12月08日 月 ちょいヤバ狸 |
先週あたりから、右目が部分的に霞んでいるのに気づき、本日、駅近くの眼科で検査してもらったら――。
ぬわんと、右目に眼底出血が見つかってしまった。
◇ ◇
そもそも眼科にかかるのは、小学校の頃に結膜炎をやった時以来なので、診療技術の進化には驚愕した。
目薬で瞳孔を開き、眼球内の写真をあっちこっちの角度から撮りまくり、短時間の内に3D解析までできる。
右目の網膜の画像を見ると、確かに左目には見られない赤い糸のような部分があり、それが出血部分である。
ちっぽけな糸先のくせに、それが原因で網膜に水がたまり、視野の異常に繋がるのだそうだ。
確かに、左目の網膜表面を3D解析で横から示したものと、右目のそれでは、右目が明らかに厚く、波打って見える。
医師の所見によれば、緊急手術が必要なほどではないが、どうやら先週どころの発症ではなく、それ以前からじわじわ進行していたらしい。
ちなみに左目にも緑内障の初期症状が見られるとのことだが、今のところ視力の異常は自覚できないし、その眼科でも、正月明けからゆっくり治療すればいいレベル。
その左目が、遠近両様眼鏡によってしっかり見えすぎ、かえって右目の異常に気づくのが遅れたらしい。
確かに昔から、矯正視力も左のほうが優秀で、右目の衰えを補っていた。
どのみち眼底出血の治療は、眼球への薬剤注射が必要なので、市井の眼科医院では対処できず、以前ヘルニアで開腹手術したことのある大学病院に、紹介状を書いてもらった。
明日には予約を入れる予定だが――さて、今後の狸の運命やいかに。
◇ ◇
まあ、最悪、右目が弱視のままでも、左目をこれ以上悪くしなければ日常生活は可能なわけだが、子供のころから愛好していたステレオ写真を見られなくなるのは、ちょっと残念である。
ビューマスターのリールはけっこうコレクションがあるし、1950年代のステレオカメラでせっせと撮影した、自前のステレオペアも大量にある。
でもまあ、ここ数年はしまいっぱなしだから、それもまたこの世と同じ無常、そう割り切れないことはない。
むしろ問題は、懐具合である。
家賃や光熱費は、いくら狸が「無常だから気にしないでください」と哀願しても、先様は「そうだね、無常だから気にしないよ」とは言ってくれない。
いっそヘルニアの時ほど治療費がかさめば、後日、高額医療費として戻ってくるのだが。
◇ ◇
ところで現在、右目の視界全体がぼやけているわけではなく、網膜の表面が水ででっこまひっこましているぶん、よく見える部分と見えない部分がある。
その見える部分と見えない部分の境目が、上下左右に微妙にズレている。
こうしてテキストを打っているだけなら、輪郭が明瞭なぶん、脳味噌が左目を優先してくれるので問題ない。
ところが、仕事場やら買い物中やら、その微妙なズレに人様の顔がかかると――。
貞子の呪いで、もうすぐ死ぬ人の写真――そんな歪みが生じて、ドキリとすることがある。
まあ、よほどタイミングが悪くないと、そこまで怖くは歪まないんですけどね。
| 12月01日 月 そのうち誰もいなくなる |
狸の私見だと、もはや世界中の大国の多くが大ボラ吹きの詐欺師に支配されている訳だが、我が国はすでに大国の座から滑落しているので、大ボラ吹きの詐欺師に支配されているという現実を国民の過半数が支持していようといまいと、世界的には大した影響がない。
国民の経済格差がひたすら拡大してゆく中、騙されていた国民が「……あれ、なんかおかしくね?」と気づいた頃には、今現在そこそこの生活ができている方々も、そこそこ以下の生活水準に落ちているだけの話である。
でもなあ。
やっぱり戦争だけは、やってほしくないのよなあ。
過去の戦争も今日日の戦争も、貧しい若者から先に死んでゆくだけだ。
◇ ◇
以前、原始仏教的な利他主義こそが平和への道、とここに記したが、正確には利己主義でも利他主義でもなく、無常の世においては自分も他者も等価の存在、ただそれだけのことである。
それこそが、狸の憧れる「うにょうにょごにょごにょ慣れ合い慣れ合い」の世界、すなわち全世界の猫鍋化なのである。
どのみち人類も、猫と同じただの生物種、わざわざいがみ合わなくたって、そのうち絶滅するのだ。